- 再生骨材ってそもそも何から作るの?
- H・M・Lって何の違い?どれをどこに使うの?
- JISの番号(A5021/5022/5023)がややこしい
- 普通の骨材と強度はどう違うの?落ちるの?
- 主要構造部に使って建物が弱くならない?
- デメリットを正直に知りたい(売り文句ばかりで不安)
- 吸水率が高い・乾燥収縮が大きいって本当?
- 現場で受け入れるとき何を確認すればいい?
- 施主や元請に「再生骨材で大丈夫?」と聞かれたら何と答える?
上記の様な悩みを解決します。
再生骨材は、解体コンクリートを再利用した骨材で、脱炭素やコスト削減の流れで採用を検討する現場が増えてきた材料です。ただ「種類や用途は何となく分かるけど、強度やデメリットを正直に説明しているサイトが少なくて不安」という声がかなり多いところでもあります。今回は定義・種類・JIS規格という基本を押さえた上で、現役目線で「吸水率や乾燥収縮など品質の実態」「メリットだけでなくデメリット」「天然骨材との違い」「現場での受入ポイント」まで、売り手バイアスを抜きに整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
再生骨材とは?
再生骨材とは、結論「建物などの解体で発生したコンクリート塊を破砕・処理して、もう一度コンクリートの材料として使えるようにした骨材」のことです。1度コンクリートとして使った骨材を再利用するので「再生」骨材と呼びます。
解体で出たコンクリート塊には木くずや金属くずなどの不純物が混じっているので、そのまま再使用はできません。コンクリート再生工場に運び、異物を除去し、ジョークラッシャー(破砕機)で砕いて、ふるい分け(粒度調整)を経て、ようやく再生骨材になります。処理をどこまで丁寧にやるかで品質が変わり、それが後述するH・M・Lの種類分けにつながります。
そもそも骨材とは、コンクリートの体積の大半を占める砂(細骨材)や砂利(粗骨材)のことです。骨材の基本が曖昧な人は、先にこちらを押さえておくと理解が早いです。

再生骨材の種類(H・M・L)
再生骨材には、結論「処理の高度さと品質に応じてH・M・Lの3種類」があります。Hが最も高品質・高価、Lが最も簡易・安価で、その間がMです。処理方法と用途をセットで覚えると整理できます。
| 種類 | 処理方法 | 品質 | 主な用途 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| 再生骨材H | 破砕+磨砕+分級など高度処理 | 最も高い | RC造を含む主要構造部、普通コンクリート全般 | 高い |
| 再生骨材M | 破砕+磨砕(モルタル一部残存) | 中間 | 管・側溝・擁壁・ブロック等の製品、杭・基礎梁 | 中間 |
| 再生骨材L | 破砕など簡易な処理(磨砕なし) | 最も低い | 捨てコン、均しコン、裏込・土間コン | 安い |
ポイントは、HからLへ下がるほど、骨材に付着したセメントペーストやモルタルを取り除く度合いが下がることです。Hは付着モルタルを磨砕でしっかり落とすので天然骨材に近づき、Lは砕いただけなのでモルタルが多く残ります。この付着モルタルの多寡が、後で説明する吸水率や強度の差として効いてきます。
実務での使い分けは、おおまかに「強度・耐久性が要る部位ほどH、要らない捨てコンや埋め戻し相当はL、その中間の二次製品や基礎まわりはM」という感覚で捉えると大きく外しません。Mは乾燥収縮や凍結融解の作用を受けにくい部位(地中の杭・基礎梁や、屋内・地中の二次製品)が本来の守備範囲で、外気にさらされて乾湿を繰り返す部位に使うときは耐凍害性を確認したうえで選ぶ、という前提も押さえておくと安全です。
再生骨材のJIS規格(A5021・5022・5023)
再生骨材は、品質ごとに別々のJISで規定されています。ここが少しややこしいので整理します。結論から言うと、Hは「骨材」の規格、MとLは「コンクリート」の規格として定められています。
- JIS A 5021:コンクリート用再生骨材H(骨材そのものの規格)
- JIS A 5022:再生骨材コンクリートM(その骨材を使ったコンクリートの規格)
- JIS A 5023:再生骨材コンクリートL(その骨材を使ったコンクリートの規格)
なぜHだけ骨材規格で、M・Lはコンクリート規格なのか。これはHが「天然骨材と同じように扱える高品質な骨材」なので、骨材として規格化し、普通コンクリート(JIS A 5308)の材料として使えるようにしているからです。一方、M・Lは品質にばらつきがあり、骨材単体で天然骨材と同列に扱うのが難しいため、「この骨材を使うときはこういうコンクリートにしなさい」という、コンクリート側でセットにした規格になっています。
僕の整理では、この「Hは骨材規格、M・Lはコンクリート規格」という区分の理由まで理解しておくと、なぜHだけ主要構造部に使えるのかが腑に落ちます。番号を丸暗記するより、品質と規格の対応で覚えるのがおすすめです。
再生骨材の強度・品質(吸水率・乾燥収縮)
ここが、競合の解説でいちばん抜けやすいところです。結論から言うと、再生骨材は付着モルタルの影響で、天然骨材より吸水率が高く、乾燥収縮が大きくなる傾向があります。
骨材に古いモルタルが付いていると、そのモルタルが水を吸うため、再生骨材は吸水率が高くなります。吸水率が高いと、練り混ぜ時の水の管理が難しくなり、放置すると配合がブレてワーカビリティーや強度に影響します。また、付着モルタルの分だけ乾燥収縮が大きくなりやすく、これはひび割れのリスクにつながります。同じ理由で、凍結融解に対する耐久性も天然骨材使用時より不利になりがちです。
ただし、これは「使えない」という話ではありません。再生骨材HはJISで吸水率などの上限が規定されており、その範囲内であれば普通コンクリート相当の設計基準強度で問題なく使えます。一方で、高強度コンクリートには再生骨材Hでも使えない、というのが基本的な線引きです。強度を担保するためには、種類の選定と水セメント比の管理がセットになります。水セメント比の考え方はこちらが参考になります。

正直なところ、品質面の弱点を理解せずに「リサイクルだから良いもの」とだけ捉えると現場で痛い目を見ます。弱点を知った上で適材適所に使うのが、再生骨材との正しい付き合い方です。
再生骨材のメリット
再生骨材のメリットは、結論「コスト・廃棄物・環境の3方向で効く」ことです。適用箇所に合わせて種類を使い分ければ、無理なく効果を出せます。
代表的なメリットは次の通りです。
- 種類を使い分けることで、天然骨材のみの場合よりコストを抑えやすい
- 解体で出るコンクリート塊を再資源化し、産業廃棄物を減らせる
- 天然の砂・砂利の採掘を減らし、河川や山林への環境負荷を抑えられる
- 建設リサイクル法の趣旨に沿い、脱炭素・サステナブルの取り組みとして示せる
特に環境面は近年の追い風です。コンクリート塊の再資源化率は非常に高い水準にあり、その出口として再生骨材コンクリートが位置づけられています。施主や元請に対して「環境配慮の取り組み」として説明しやすいのは、実務上の見えにくいメリットでもあります。
再生骨材のデメリット
タイトルにも入れている通り、デメリットも正直に押さえておく必要があります。メリットだけ見て採用を決めると、品質トラブルにつながります。
主なデメリットは次の通りです。
- 吸水率が高く、配合・水分管理がシビアになる
- 乾燥収縮が大きく、ひび割れリスクが上がりやすい
- 凍結融解など耐久性の面で天然骨材使用時より不利になりやすい
- 解体元のコンクリート由来のため品質にばらつきが出やすい
- 高強度コンクリートには使えない(H でも適用範囲に上限がある)
- M・Lは適用部位が限定され、主要構造部には使えない
これらは「再生骨材がダメ」という意味ではなく、「天然骨材と同じ感覚で全部位に使うと失敗する」という意味です。現場目線で言えば、デメリットを理解して、要求性能の高い部位はH、低い部位はL、というように割り切って使い分けることで、デメリットを実質的に回避できます。品質ばらつきへの対策は、後述の受入確認で吸収します。
天然骨材・スラグ骨材との違い
再生骨材の位置づけを理解するために、天然骨材やスラグ骨材と比べておくと、どこに使うべきかが見えてきます。
天然骨材は、川砂利・砕石・川砂など自然由来の骨材で、品質が安定していて強度・耐久性に優れる代わりに、採掘による資源・環境の負荷があります。スラグ骨材は、鉄鋼製造で出る高炉スラグや電気炉スラグを骨材化したもので、これも産業副産物の再利用という性格を持ちます。再生骨材は、この中で「解体コンクリート由来の循環材」という立ち位置です。
つまり、品質・コスト・環境のバランスで選ぶ材料群の一つが再生骨材だと捉えると整理しやすいです。強度最優先なら天然骨材、環境・コスト配慮と適用部位が合えば再生骨材、という判断軸になります。軽量骨材のような特殊用途の骨材もあり、用途で骨材を選ぶ感覚はこちらも参考になります。

なぜ今、再生骨材が注目されるのか
再生骨材は昔からある技術ですが、近年あらためて注目度が上がっています。背景を知っておくと、採用検討を求められたときに上や施主へ説明しやすくなります。
理由は、大きく次の流れです。高度経済成長期に建てられた建築物の老朽化で解体工事が増え、コンクリート塊の発生量が増えています。一方で、天然の砂・砂利は採取規制や枯渇の懸念があり、新しい骨材を無尽蔵に採り続けられるわけではありません。さらに、建設業全体で脱炭素・サーキュラーエコノミー(循環型経済)の要請が強まり、「出た材料をその場で循環させる」再生骨材の価値が見直されています。
実務だと、こうした背景は「コスト削減」だけでなく「企業としての環境姿勢」としても効いてきます。再生骨材の採用は、単なる材料選定にとどまらず、解体から再資源化までの流れの一部として捉えると意味がつながります。
施工管理が現場で押さえるポイント
最後に、施工管理として再生骨材コンクリートを扱うときに、現場のどこを押さえるかを整理します。品質のばらつきを実務でどう吸収するか、という観点です。
現場で押さえたいのは、次のような点です。
- 部位の要求性能に対して、H・M・Lの選定が適切か(主要構造部はH一択)
- 受入時にJIS適合品か、配合計画書と納品が一致しているかを確認する
- 吸水率が高い前提で、スランプ・水分の管理を通常より丁寧に行う
- 乾燥収縮を見込んで、ひび割れ対策(養生・打設計画)に余裕を持つ
- 施主・元請への説明材料として、種類・適用部位・JIS適合を整理しておく
施主や元請から「再生骨材で大丈夫か」と聞かれたら、「主要構造部にはJIS A 5021のH(普通コンクリート同等に扱える品質)を使い、強度が要らない部位にL・Mを使い分けるので、性能は確保したうえでコストと環境配慮を両立できる」と説明できると安心してもらえます。レミコン(生コン)の受入検査の基本はこちらも参考になります。

僕の考えでは、再生骨材は「弱点を理解して使い分ければ強力な選択肢」であり、現場の力量が品質を左右する材料です。だからこそ施工管理の押さえどころを知っておく価値があります。
再生骨材に関するよくある質問
最後に、再生骨材でよく出る疑問をまとめておきます。
Q. 再生骨材は鉄筋コンクリートの主要構造部に使えますか?
A. 再生骨材H(JIS A 5021)であれば、普通コンクリートと同様に主要構造部にも使えます。M・Lは適用部位が限定され、主要構造部には使いません。
Q. 高強度コンクリートにも使えますか?
A. 基本的に使えません。再生骨材Hでも適用できる設計基準強度には上限があり、高強度コンクリートは天然骨材を使うのが原則です。
Q. 建築士・施工管理技士の試験では何が問われますか?
A. 出題されるとすれば、H・M・Lの種類と用途の対応、対応するJIS(A5021/5022/5023)、再生骨材Hが主要構造部に使える点、吸水率・乾燥収縮が大きい傾向、あたりが押さえどころです。
Q. 天然骨材より本当に安いのですか?
A. 部位に合わせて使い分ければ、天然骨材のみより建設コストを抑えやすいです。ただし品質管理の手間が増える面もあるので、トータルで判断します。
再生骨材に関する情報まとめ
- 再生骨材とは:解体コンクリート塊を破砕・処理して再利用した骨材
- 種類:H(高度処理・主要構造部可)/M(中間・二次製品や杭基礎梁)/L(破砕のみ・捨てコン等)
- JIS:A5021=再生骨材H(骨材規格)、A5022=再生骨材コンクリートM、A5023=同L
- 強度・品質:付着モルタルの影響で吸水率が高く乾燥収縮が大きい。高強度には不可
- メリット:コスト削減、産業廃棄物削減、天然資源・環境の保全、脱炭素の取り組み
- デメリット:吸水率・乾燥収縮・品質ばらつき・耐久性で不利。部位限定
- 他骨材との違い:強度最優先は天然骨材、環境・コスト配慮と部位が合えば再生骨材
- 注目の背景:解体増、天然骨材の制約、脱炭素・循環型経済の要請
- 現場ポイント:部位ごとの種類選定、受入確認、水分・ひび割れ管理、説明材料の整理
以上が再生骨材に関する情報のまとめです。
再生骨材は、種類と品質の弱点を理解して適材適所で使えば、コストと環境配慮を両立できる有力な材料です。「H・M・Lの使い分け」「吸水率・乾燥収縮という弱点」「主要構造部はHのみ」という3点を押さえておけば、採用検討でも試験でも、そして施主への説明でも迷わなくなります。骨材やコンクリート強度の関連知識も合わせて読んでおくと、材料選定の判断軸がさらにはっきりします。





