- ミルシートってなに?
- 材料証明書との違いって?
- 試験成績表とは何が違うの?
- どこをどうやって見ればいいの?
- ミルシートの正式名称って?
- 絶対ミルシートを提出しなきゃいけないの?
- ミルシートの発行ってお金かかるの?
上記のような悩みを解決します。
鋼材に関わる仕事をするならミルシートに関する知識が必要です。とはいえ色々書いてあってよく分からないし、必要だったり不要だったりして扱いに困ることも多いと思います。
また、試験成績表とか材料証明書とか、似ている書類って色々あるし、よく分かりませんよね。
今回はミルシートに関する悩みを解決します。なるべく分かりやすいようにまとめるので、初心者の方にも伝わりやすいと思います。
ミルシートとは?
ミルシートとは、結論「鋼材の品質を証明する書類のこと」です。
運転免許みたいなものですよ。運転免許は「この人は自動車を運転する知識も技能もありますよ」ということを証明しますよね。
建築基準法では鋼材の強度に規定があります。
簡単な話、鉄筋だとしたら、ただの鉄の棒ならなんでもいい訳ではありません。雑魚な鉄筋だったら地震に耐えられませんからね。しっかり規定に適合した鉄筋を使う必要があります。
「これはしっかりした鋼材なんです!」と口で言っても証明にはなりません。ミルシートがあることによって初めて、鋼材の品質を保証することができるんです。
ミルシートと材料証明証の違い
ミルシートは「鋼材の品質を証明する書類のこと」でして、材料証明証は「材料の品質を証明する書類のこと」です。大きな違いは無いように見えますよね。
結論、ミルシートと材料証明証の違いは「品質を保証する対象」です。
材料証明証が品質を証明する材料(具体例)
- 樹脂製のもの
- ゴム製のもの
- プラスチック製のもの
- 鉄製のもの
材料証明証という大きな枠組みの中にミルシートが入っている感じですね。
要は材料証明証の一種がミルシートという訳です。
ミルシートと試験成績表との違い
ミルシートと試験成績表の違いは、結論「完成前か?完成後か?の違い」です。
まずミルシートとは鋼材の素材の品質を証明するものになります。対して試験成績表は、製品の品質を証明するものです。
つまり完成前(素材)の品質を証明するのがミルシートで、完成後(製品)の品質を証明するのが試験成績表という訳です。
ちなみに検査成績表には下記のような項目が記載されています。
試験成績表に記載されているもの
- 検査項目(密度、外観、検査した日など)
- 検査成績
- 規定値
まずどのような項目で検査を行ったか。検査を行った結果と規定値を比較することで、証明することができるという訳です。
対して、ミルシートには下記のような項目が記載されています。
ミルシートに記載されているもの
- 材料規格
- 検査規格
- 製品番号
- 検査結果
- 成分
- 品質保証者
- 寸法
ミルシートの見方
結論、ミルシートの見方は「規格を確認すること」です。
ミルシートには多くの情報が書かれていますが、全てを見たとしても実りがあるかといえばそうではありません。ぶっちゃけ耐力とか伸びとか、具体的な数字を出されても分かりませんよね。
チェックポイントとしては「規格」の部分を見ましょう。
ミルシートには「材料規格」と「検査規格」というものが書かれています。
まず材料規格とは「材料の特性や形状などを識別する為の番号」です。
例えば「A-01」は「楕円形のゴム」とか、「B-06」は「横長の鉄」とかですね。番号によって特性と形状が決まっています。(*あくまで例えです。)
そもそも発注したものが材料規格と適合しているのか?という点を確認しましょう。
「検査規格」は、その名の通り「検査した規格」です。その現場がJISなら検査規格もJISである必要があります。
ミルシートの正式名称(英語)
ミルシートは英語で表現すると「mill sheet」です。
ミルシートの直訳
- mill=製作所
- sheet=書類
要は「製作所の書類」というのが直訳になります。実はこれって和製英語でして、本当の英語表記は「mill test report」です。
「製作所のテストレポート」という意味ですので、意味自体は一緒になります。一応「ミルシートは和製英語」ということは覚えておきましょう。
ミルシートの提出は必須?
結論から言うと、ミルシートの提出は必須ではありません。
必須では無いという表現が正しいかは分かりませんが、正確に言えば「現場によって必要になる場合もあるし、不要の場合もある」ということです。
ミルシートが必要か不要かは施主が決めます。
例えば、施主が国や県である場合は必ずミルシートの提出が求められます。公共工事は民間が施主の場合とは違って細かい決まりが必要ですからね。その一つとしてミルシートがあります。
対して民間企業の場合は、必要な場合もあるし不要な場合もあります。
割とうるさい施主だったら提出が必須になる場合がありますね。ただゆるい施主の場合はミルシートの提出が求められない場合もあるんです。
施主に確認して「不要」とのことでしたらミルシートは作らなくてもいいですが、後から何を言い出すか分からないので一応作っておいた方がいいですよ。
後々になってミルシートが必要になった、、、とかだとメーカーさんも困ります。
小規模な現場とかなら工期が短いのでまだマシですが、大型現場だったら数年前の分を調べなければ行けなくなります。
必然的にミルシートが届くのは遅くなります。
ミルシートは有料?無料?
結論、ミルシートは無料です。
ミルシートは鋼材の品質を証明するものです。普通に考えて証明書を作るのは別料金とか意味不明ですからね。どこのメーカーもミルシートは無料で作ります。
『お前その数百円で何すんだよ。。。』と思ってしまいます(笑)。それはさておいて、有料のメーカーは微妙なのでお付き合いは避けた方がいいかなと思います。
逆にミルシートの作成にお金を取っているメーカーは無料にした方がいいです。その数百円に対する機会損失が大きすぎます。
トラブルを避ける為に、メーカーと最初に打ち合わせた段階でミルシートの話をすることをオススメです。
後々になって金取ることを知ったらイラッと来ますからね。先に値段を聞いておくか、あらかじめミルシートの作成をお願いしましょう。
ミルシートに関する情報のまとめ
ミルシートに関する情報のまとめ
- ミルシートとは:鋼材の品質を証明する書類のこと
- ミルシートと材料証明書との違い:品質を保証する対象
- ミルシートと試験成績表との違い:完成前か?完成後か?の違い
- ミルシートの見方:規格を確認すること
- ミルシートの正式名称:mill test report
- ミルシートの提出は必須か:必須ではない(現場による)
- ミルシートは無料か有料化:基本は無料
以上がミルシートに関する情報のまとめとなります。
とりあえずミルシートに関する情報は網羅的にまとめたので、一通りの知識はついたと思います。忘れてしまったらその度に読み直せばいい訳ですから、一回で覚える必要はありません。