型枠支保工とは?
型枠支保工とは、結論「型枠を支える支柱を施工すること」です。
建物はコンクリートでできています。コンクリートは液体ですので、コンクリートを流し込む型が必要になります。これが型枠です。
コンクリートはめちゃくちゃ重いです。柱とかならまだ耐えられそうなものですが、床部分の重荷に耐えられる訳はありません。
コンクリートを流しこめば型枠に重荷がかかりますので、型枠が壊れないように支えが必要です。ここで登場するのが型枠支保工という訳です。
コンクリートは垂れ流しになり、コンクリート打設は失敗。垂れ流しのコンクリート対応に追われ、工期に遅れも生じます。
コンクリート打設において、大変重要な工事です。
型枠支保工に必要な材料
型枠支保工に必要なもの①根太板
根太板とは、一言でいうと「型枠を支える板」です。
そもそも型枠支保工が型枠を支える工事ですから「当たり前じゃん」と思うかもしれません。根太板は、型枠と直接接触し、型枠を直接支えます。
型枠支保工の大まかな流れは、上から「型枠→根太→大引板→パイプサポート」という順番です。型枠を直接支えるのが根太板です。
型枠支保工に必要なもの②大引板
大引板は、一言で言うと「根太板を支える板」です。
根太板だけでは強度が足りない。。。みたいな話ではありません。大引板は根太板に対して、垂直に交わるように施工します。片方だけでなく、クロスさせることで強度が格段に増します。
型枠支保工に必要なもの③支保工(パイプサポート)
根太板と大引板を施工したら、次はパイプサポートです。
型枠支保工の中の「支保工」部分です。実際に型枠を支える支柱の部分を施工していきます。重いものを動かすので、一番労力がかかるかもしれません。
コンクリートによって、支柱の間隔は異なります。
型枠支保工に必要なもの④水平つなぎ
型枠支保工には、水平つなぎというものが必要です。
水平つなぎとは、結論「支柱を水平に繋ぐもの」です。
支柱は基本に縦ですので、地面に対して垂直に置かれています。それに対し、水平つなぎは地面に対して水平です。
型枠支保工の流れ
型枠支保工の流れ①型枠にかかる重さを計算
型枠に流し込まれるコンクリートの重さを計算して、下記のような点に関して答えを導きだします。ここで、間違えてしまうとコンクリート打設の日は地獄絵図です。
- 支柱が何本必要なのか?
- 支柱はどれくらいの間隔で必要なのか?
- どの種類の支柱が必要なのか?
簡単な話、何トンもあるコンクリートを支柱1本で支えるなんて無理な話です。逆に、とりあえず沢山支保工を作ればいい!という方式でいくと、支柱のお金も人件費も無駄になります。
少なすぎず、多すぎず、若干の余裕を持たせます。
当然のことながら、コンクリートの重さが重ければ重いほど支柱の数は増えます。その辺の計算方法は知りませんが、綿密な計算が必要なのは間違いありません。
型枠支保工の流れ②使用する材料を検討
先ほども説明しましたが、型枠支保工には下記のような材料が必要になります。
- せき板:上下に挟む板(型枠)
- 根太材:支柱下の床板を支える
- 大引板:根太材を支える
- 支保工:支える支柱
この段階ではもっと踏み込んで、どの種類の根太板が必要なのか?どの種類の大引板が必要なのか?どの種類の支保工が必要なのか?を検討します。
根太板には「単管パイプ」と「角パイプ」があります。大引板には「角パイプ」や「ビーム」などがあり、どの素材が適切なのかを考えます。
型枠支保工の流れ③法令との整合性を測る
労働安全衛生規則第240条第3項に型枠支保工に関する条文がありますので、法令に整合するような施工をしなければなりません。
具体的には、下記のようなことが記されています。
労働安全衛生規則第240条第3項第二百三十七条 事業者は、型わく支保工の材料については、著しい損傷、変形又は腐食があるものを使用してはならない。
第二百三十八条 事業者は、型わく支保工に使用する支柱、はり又ははりの支持物の主要な部分の鋼材については、日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)、日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)、日本産業規格G三四四四(一般構造用炭素鋼鋼管)若しくは日本工業規格G三三五〇(建築構造用冷間成形軽量形鋼)に定める規格に適合するもの又は日本産業規格Z二二四一(金属材料引張試験方法)に定める方法による試験において、引張強さの値が三百三十ニュートン毎平方ミリメートル以上で、かつ、伸びが次の表の上欄に掲げる鋼材の種類及び同表の中欄に掲げる引張強さの値に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値となるものでなければ、使用してはならない。
「じゃあその適切な素材ってなんだ?」という話もありますが、これは設計の人のお仕事になりますので、設計になったら学びましょう。
型枠支保工の流れ④支保工の搬入
まずは搬入しなければ型枠支保工はできませんよね。「搬入なんて持ってくるだけやん」と舐められがちですが、割と面倒な場合もあります。
現場では自由に使えるスペースが少なく、資材置き場の確保が大変な場合があります。持ってきてすぐに全てを施工する訳ではないので、資材置き場の確保が必要になります。
また、型枠支保工は1階で搬入されてくるので、4階で使いたいなら4階まで運ぶ必要があります。
型枠支保工は見てわかる通り重いです。手で運ぶなんて大変ですよね。タワークレーンを使うなら玉掛けの資格が必要になりますし、他業種との調整も必要です。
型枠支保工の流れ⑤支保工の施工
図面通りに支保工を組み立てます。いくら正確に設計をしたとしても、施工でミスが生じてしまったら何もかもが無意味です。
図面通り正確に施工を行い、チェックすることが大切です。
型枠支保工の流れ⑥支保工の搬出
コンクリート打設が終了したら、支保工は用済みになります。コンクリートが固まったら、支保工を解体して搬出します。
支保工が現場に残ってたらめちゃくちゃ邪魔ですからね。雑木林のイカツイバージョンを想像すれば、大差ないと思います。
搬入と同じくらい搬出は大変です。今度は上に上げたものを下に下げなければなりません。トラックとの打ち合わせもありますし、なにより肉体労働なので大変そうです。
型枠支保工の種類
型枠支保工の種類
- くさび結合式型枠支保工
- パイプサポート式型枠支保工
- 軽量支保はり式型枠支保工
- 組立鋼柱式型枠支保工
- 枠組式型枠支保工
基本的な型枠支保工の流れはどれも同じになります。
設計をしていく段階で、現場によって使用する材料や素材が変わります。その変化によって呼び名が変わっていくといった感じですね。
本質的には同じなので、覚えておく必要はないかもしれません。
型枠支保工に必要な資格
結論、型枠支保工の作業をするのに資格は不要です。
ただ、作業主任者には資格が必要になります。要は職長さんや職長さんを目指す人は資格取得を検討した方がいいです。
技能講習ですので難易度はなく、お金を払って講習を受ければ資格取得となります。 受験資格は必要ですので、自分が受験資格を満たしているか?は確認が必要です。
もう少し資格について詳しく解説してみますね。
型枠支保工の受講資格
型枠支保工の組み立て等作業主任者の受講資格型枠支保工の組立て又は解体の作業経験が3年以上ある者
学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校で土木、建築に関する学科を専攻して卒業した者で、その後の作業経験が2年以上ある者(卒業証明書添付)
その他厚生労働大臣が定める者
要は、型枠支保工の実務経験が3年以上あるか?定められた学校を卒業+実務経験が2年あるか?のどちらかです。(「その他厚生労働大臣が定めるもの」についてよく分かりません。)
定められた学校というのは、結論「建築or土木専門の高校or大学」です。工業高校だったり大学の工学部を出ている人は実務経験2年で、その他は実務経験は3年になります。
実務経験を証明する書類を作って、会社からハンコを貰わなければなりません。
ちなみに申し込みの時点で実務経験が2年or3年必要です。実務経験がギリギリの人は、注意しておきましょう。
型枠支保工の講習科目
型枠支保工の講習内容①作業の方法に関する知識(7時間)
②工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識(3時間)
③ 作業者に対する教育等に関する知識(1時間30分)
④ 関係法令(1時間30分)
⑤ 修了試験
型枠支保工の講習にかかる時間
型枠支保工の講習にかかる時間は、結論「13時間」です。
1日じゃ終わらないので、2日かけて講習を行います。朝の9時半くらいにスタートして、夕方の18時前に終わるくらいのスケジュール感です。
型枠支保工の受講に必要なお金
型枠支保工の受講に必要なお金は、結論「12000円くらい」です。
内訳としては、10000円が受講料で2000円はテキスト代といった感じになります。講習する人とか、いい商売してますよね。