- 開閉器ってなに?
- 図面ではどう表記されるの?
- どんな種類があるの?
- 柱上開閉器って?
- 引込開閉器盤って?
- どんなメーカーが作っているの?
上記のような悩みを解決します。
開閉器はどの現場でも必ず使われています。電気工事に携わるなら必須の知識ですので、覚えておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
開閉器とは?
開閉器とは、結論「電路を遮断する装置のこと」です。
超簡単に言えばスイッチのようなものです。スイッチをONにすると電路は繋がり、スイッチをOFFにすると電路は繋がらなくなりますよね。
同様に、開閉器を投入(ON)すると電路は繋がり、開放(OFF)すると電路は遮断されます。開閉器はBSと表現されることが多いですが、「BS」は「Break Swich」という意味でして、要するにスイッチです。
似たような装置としては、遮断器や断路器がありますね。違いは下記です。
遮断器と断路器
- 遮断器:全ての種類の電路を遮断する
- 断路器:電流の流れていない電路を遮断する
ただ役割は異なります。
まず遮断器は事故電流や異常電流を遮断するのに使われたりします。断路器は電流の流れていない電路を完全に遮断し、安全性を高める機能を持ちます。
では、開閉器はどうなのかというと、負荷電流の遮断に使用されます。
簡単に言ってしまえば、大きめのスイッチです。
電球を付けるには、よく見るスイッチでON操作OFF操作を行いますよね。大掛かりな設備(トランスとかコンデンサとか)になると、あのよく見るスイッチではON操作OFF操作できないんですよ。
そこで開閉器がスイッチの役割を果たすという訳です。
開閉器の記号
真ん中のLBSって奴ですね。丸に横棒とスイッチの周りを四角で囲っている形です。DS(断路器)の場合はシンプルな横棒、CB(遮断器)の場合はバッテンで表現されていますね。
スケルトンとか受変電の図面において登場するので、覚えておきましょう。
また、この画像には「LBS」とか「DS」とか「CB」とか書いてありますが、実際の図面にこのような分かりやすい表記はありません。
自分で書き込んでみたり、マーカーを引いたりと、どこに何があるか分かりやすようメモしておくと効率的です。参考までに。
開閉器の種類
負荷開閉器
負荷開閉器とは「負荷電流を開放投入する装置のこと」です。
割と一般的な開閉器ですね。負荷開閉器は定格以上の電流を遮断することはできません。
例えば、30Aが電路に流れていたとして、負荷開閉器の定格が20Aなら電路を遮断することができないんです。それでは困るので、ヒューズが内蔵されているタイプの負荷開閉器も多くあります。
大きな電流が流れると、ヒューズが溶断され、電路を遮断します。
電磁開閉器
電磁開閉器は「サーマルリレー付きの開閉器」です。
ではサーマルリレーとは何なのかというと、結論「過負荷の場合に電路を遮断する」という役割を持つ装置です。過電流が発生すると、電路の温度が上昇します。この温度上昇を検知して、電路を遮断します。
呼び方としては、マグネットスイッチと呼ばれたりもしますね。
手元開閉器
手元開閉器とは、その名の通り「負荷の近くにある開閉器のこと」です。
負荷開閉器なんかは、盤の中に組み込まれていたりします。盤の近くに負荷はありませんから、物理的距離が離れていますよね。
対して手元開閉器は、負荷のすぐそばにあります。
例えば電動機があったとしたら、電動機のすぐそばに開閉器があり、この開閉器を操作することによって電動機の電源を操作できます。
電柱に付いている柱上開閉器(PAS)
電柱に付いているPASも開閉器です。
よく電柱にバケツのようなものが付いていますよね。あれがPASでして、要するに電柱にある電線と、建物内に引き込む電線の接続点な訳です。この接続点を開放投入するのにも開閉器が採用されます。
具体的な名称としては「柱上開閉器」とも呼びますね。PASの方が一般的です。
柱上開閉器(PAS)の役割
- 波及事故の防止
- 工事の際の電路遮断
電気は逆流します。
もし建物内で異常電流が発生し、それが逆流したら、電柱の電線を通って他の建物の電気設備に影響を与えてしまうこがあります。これが波及事故です。
波及事故が発生しないように設置されるのがPAS(柱上開閉器)という訳です。
また、工事を行う際の電路遮断にも使われます。電柱の電線と受変電設備の間のケーブルに傷が付いてしまった場合は、この間のケーブルを更新する必要がありますよね。
ケーブルが生きていては更新工事をすることができないので、PAS(柱上開閉器)まで切ります。こんな感じで使われることがありますよ。
引込開閉器盤とは?
引込開閉器盤とは、結論「集合住宅の分岐部分に設置される盤のこと」です。
もし部屋数が30部屋のマンションがあったとしたら、30部屋それぞれに電気を供給しなければなりませんよね。30部屋に電源供給するのに、30回線引き込むなんてアホらしくてやってられません。
この分岐部分に設置されるのが引込開閉器盤です。
中に入るものとしては下記のようなものが挙げられます。
引込開閉器盤の中身
- 開閉器
- ワットアメーター
- SPD
開閉器は前述した通りでして、ワットアメーターは電力量を計測する装置です。部屋に住む人それぞれが電気代を払う訳ですから、使用した電気量を計測する必要があります。
あとはSPDと呼ばれる避雷設備が入ってくる場合もあります。
あんまり入れすぎると盤のサイズが大きくなってしますので、適切な中身・盤選定が必要になってきます。
開閉器を作っているメーカー
開閉器を作っているメーカー
- 三菱電機
- オムロン
- 富士電機機器制御
- 日立産業システム
- 春日電機
ほとんど遮断器や断路器と同様ですね。
三菱電機が一番最大手な気がします。お問い合わせするとカタログを貰うことができます。割と勉強になるので貰っておいた方がいいですよ。現場にあるなら不要ですが。
どのメーカーも大きくは変わりませんが、担当者によって融通が効かなかったり、対応が遅かったりします。
メーカー選定は慎重に行いましょう。
開閉器に関する情報まとめ
開閉器に関する情報まとめ
- 開閉器とは:電路を遮断する装置のこと
- 開閉器の図面表記:上章参照
- 開閉器の種類:負荷開閉器、電磁開閉器、手元開閉器
- 柱上開閉器とは:電柱にある電線と建物内に引き込む電線の接続点
- 引込開閉器盤とは:集合住宅の分岐部分に設置される盤のこと
- 開閉器のメーカー:三菱電機、オムロン、他
以上が開閉器に関する情報のまとめです。
一通り開閉器の基礎知識は網羅できたと思います。
似たような装置としては「遮断器」と「断路器」が挙げられますね。電気工事をやるなら、違いを抑えておくのは必須ですので、きちんと区別しておきましょう。
下に詳細な記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。