- 日影図ってなに?
- どう書くの?
- 日影規制って何?
- どんな建物が対象?
- どう読めばいいの?
- 設計変更時に気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
日影図は中高層建物を建てるときに「周辺敷地に何時間日影を落とすか」を確認するための法定図面で、確認申請でほぼ必須です。施工管理として直接書く機会は少ないものの、設計変更や追加工事のときに規制をオーバーしないか判断する場面が出てきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
日影図とは?
日影図とは、結論「冬至日に建物が周辺敷地にどれだけ日影を落とすかを時間別にプロットした図」のことです。
冬至日(12月22日頃)は太陽の南中高度が最も低く、日影が一年で最も長くなる日。この日を基準に「何時間連続して日影が落ちる範囲がどこまで広がるか」を等時間線で示します。
法的には建築基準法第56条の2 日影による中高層の建築物の高さの制限を満たすかどうかを審査するための図で、確認申請に添付するのが必須。これをクリアできないと、そもそも建物が建てられません。
つまり日影図は、
- 建物の高さ・配置を決める制約条件
- 周辺住民への日照配慮の根拠資料
- 確認申請の必須添付図書
という3つの意味を持つ非常に重要な図面です。
意匠図・配置図との関係性はこちらでチェックできます。


日影図の書き方
日影図を作成する手順を整理します。実務ではほぼCAD・専用ソフト(A’s、ARCHITREND、Vectorworks等)で計算しますが、原理を理解しておくと検算ができます。
日影図作成の基本手順
– 計画建物の3Dモデルを作成(高さ・形状・凹凸を正確に)
– 北緯(緯度)を入力(日本では北緯35度前後が多い)
– 計算日(冬至日 12月22日)と時間範囲(8:00〜16:00)を設定
– 太陽位置から建物の影を時刻ごとに投影
– 各時刻の影を重ね合わせ、何時間日影になるかを等時間線で表示
– 法定の規制ライン(敷地境界線から5m・10m)を重ねて判定
ポイントは敷地境界線から5mと10mの位置に等時間線を引くこと。建築基準法では、敷地境界線から5m超かつ10m以内の範囲、10m超の範囲、それぞれで「日影を落としてよい時間の上限」が決められています。
これを超えると規制違反になるので、計画段階からボリュームスタディを回して建物の高さや形状を絞り込むのが設計者の本業です。
確認申請に必要な図書類はこちらが参考になります。

日影規制(日影による中高層の建築物の制限)
日影図で判定するのは日影規制(建築基準法第56条の2)です。地域や建物の高さで規制内容が変わるので、用途地域別に整理します。
| 用途地域 | 対象建築物 | 規制例(5m〜10m) | 規制例(10m超) |
|---|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 軒高7m超 or 3階建以上 | 3時間 | 2時間 |
| 第一種中高層住居専用地域 | 高さ10m超 | 4時間 or 5時間 | 2.5時間 or 3時間 |
| 商業・近隣商業 | 規制なし | – | – |
| 工業・準工業 | 高さ10m超(地域指定あり) | 4〜5時間 | 2.5〜3時間 |
※具体的な規制時間は地方公共団体の条例で定められるので、必ず該当地域の都市計画情報を確認してください。
つまり、第一種低層住居専用地域で軒高7mを超えるアパートを建てる場合、冬至日に敷地境界線から5〜10m以内の地点で3時間以上日影を落としてはいけない、という規制が効きます。これを満たすために高さ・形状・配置を調整するのが日影規制対応です。
判定面(測定面)は地盤面から1.5m(住居系では1.5m、その他は4m or 6.5m)の水平面で計算します。これは地上1.5mを「人が日光を浴びる高さ」と想定したもので、地面そのものではない点に注意。
日影図の対象建物
日影図の作成・添付が必要な建物は以下のとおり。
日影規制の対象となる建物
– 第一種・第二種低層住居専用地域:軒高7m超、または3階建以上
– 第一種・第二種中高層住居専用地域:高さ10m超
– 第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域:高さ10m超(条例で指定)
– 用途地域指定なし区域:地方公共団体の条例による
– 商業地域、工業地域、工業専用地域:原則対象外
戸建住宅でも軒高7m超や3階建以上に該当すると規制対象になるため、3階建ての戸建を建てるときは設計事務所が必ず日影図をチェックします。
注意したいのは、屋上の階段室・エレベーター塔・パラペット。建物本体は規制を満たしていても、屋上の出っ張りが日影を増やしている場合は再計算が必要です。屋上設備の追加・改修工事でも日影規制に抵触しないかを確認する必要があります。
日影図の読み方
確認申請書類として日影図を見るときの読みどころを整理します。
日影図でチェックすべきポイント
– 等時間線の表示(30分・1時間・2時間・3時間・5時間など)
– 5m線・10m線の規制ラインと等時間線の交点
– 隣地境界線との位置関係
– 計画建物の影の最大到達点
– 屋上塔屋・パラペット・看板の影
等時間線が5m線の外側で規制時間を超えていないことを確認するのが基本。日影図には通常「規制時間の等時間線が5m線・10m線にかかっていないこと」が判定根拠としてグラフィカルに描かれているので、規制ラインと等時間線の関係を見れば適合か否かが視覚的に分かります。
実際には日影が5m線・10m線の外側に少し出ているように見えても、規制値を超えていない場合もあります。これは規制時間と等時間線の関係なので、図面に書かれている「適合」判定文字(または不適合)を確認するのが手堅いです。
日影図の注意点
施工管理として日影図に絡む業務でやらかしがちな点を整理します。
日影図まわりで気をつけたい論点
– 屋上構造物の追加:申請後にエアコン室外機の架台や手すりを増やすと再計算が必要
– バルコニー追加:手すり高さの変更でも要検討
– 増築・改修:増築部分の日影が増えていないか確認
– 仕様変更で軒高が変わる:屋根勾配の見直しなどで軒高が動くと規制対象が変わる場合
– 隣接敷地への影響説明:規制適合でも近隣住民への説明資料として求められることが多い
設計確認申請が下りた後でも、現場で軒高や屋上塔屋の高さが変わるような施工変更があった場合、計画変更の確認申請(または軽微変更)が必要になることがあります。「ちょっとパラペット高くなっただけ」で日影規制をオーバーするケースも実務ではあるので、屋上の出っ張りの高さは設計図と完全一致させることが原則です。
僕も小さな改修工事で「屋上に通信用のアンテナポールを立てたい」という追加要望があったとき、日影規制への影響を再確認したところ、当該建物が対象建物に該当しないため問題なし、という結論で進めたことがあります。逆に対象建物だったら確認申請の計画変更が必要だった、という所まで考えられて初めて施工管理だな、と感じました。
確認申請後の変更手続きについては、設計図書・施工図の管理と一緒に押さえておきたいところです。


日影図に関する情報まとめ
- 日影図とは:冬至日に建物が周辺敷地に落とす日影を時間別にプロットした図
- 書き方:建物3Dモデルから時刻別の影を重ね、等時間線で日影時間を可視化
- 日影規制:第一種低層住居で軒高7m超、その他で高さ10m超が対象
- 対象建物:用途地域と高さで決まる、屋上塔屋も含めて判定
- 読み方:等時間線と5m線・10m線の位置関係でチェック
- 注意点:屋上設備・バルコニー・改修で再計算が必要
以上が日影図に関する情報のまとめです。
日影図は意匠設計者が用意する図面ですが、施工管理として現場で軒高や屋上構造物が変わるときに「日影規制への影響を再確認すべきか」を判断できる目を持っておくと、計画変更の確認申請の要否を即答できるようになります。配置図・意匠図と組み合わせて理解しておきましょう。








