- H鋼ってなに?
- フランジってどの部分?
- LアングルとCチャンネルの違いって?
- どんな利用用途があるの?
- どういう表記があるの?
- 寸法と規格を知りたい
- H鋼の値段って?
- どんなメーカーが作ってるの?
上記のような悩みを解決します。
この記事ではH鋼に関する情報を網羅的に解説していきます。専門用語は極力使わず、誰でも理解できるよう執筆しますので、ご安心ください。
H鋼とは?
H鋼とは、結論「Hの形をした鋼材のこと」です。
鋼材と宣言している通り「鋼」でできており、強度が強い部材になります。利用用途に関しては後ほど詳しく説明しますが、建築の構造体などの強度が求められる場所で使われることが多いです。
分かりやすい具体例としては、S造もしくはSRC造の柱に使われます。
強度が強い分、建物の構造部分に採用されるという訳です。ちなみに梁に使われるのは「Iビーム」と呼ばれる鋼材になります。
材料としては、下記のような特徴を持ちます。
H鋼の特徴
- 高引張力(変形しない)
- 耐候性(気候の変動にも対応)
- 防錆性(さびない)
- 耐海水性(海水耐性)
H鋼のフランジってどこ?
H鋼のフランジは上図に示した通りです。
上のフランジのことを「上フランジ」と呼び、下のフランジのことを「下フランジ」と呼びます。
とはいえ現場に行けば、どちらが上とかどちらが下なんて分かりませんから、あまり現場では使われない呼び方です。
簡単な覚え方としては「挟む側がフランジ」で「挟まれる側がウェブ」と覚えましょう。
そもそもフランジは様々な分野で呼ばれており、筒型部材の出っ張った部分のことをフランジと呼んだりもします。ただH鋼に関しては、挟む側の方をフランジと呼びます。
建設業で働いていると「フランジ」という単語はよく聞くと思います。
ダクトに関する話でもフランジは出てきますし「フランジ残しで」みたいな単語も出てきます。ケースバイケースでフランジの意味は変わってくるので、注意が必要です。
H鋼とLアングルとCチャンネルの違い
H鋼によく似た鋼材で「Lアングル」や「Cチャンネル」と呼ばれているものがあります。似ていても異なるものですので注意しましょう。
H鋼とLアングルとCチャンネルの違いは、結論「形」です。
具体的には下記のような違いがあります。
H鋼とLアングルとCチャンネルの違い
- H鋼:Hの形をしている鋼材
- Lアングル:Lの形をしている鋼材
- Cチャンネル:Cの形をしている鋼材
形状が異なれば使用用途も変わってきます。
例えば、Cチャンネルはその名の通り「C」の形をしているので、ケーブルの固定などに使われたりします。H鋼は形的にインシュロックを付けずらいから採用されません。
対してH鋼は建築の構造体に使われたりします。
Cの形は左右非対称なのに対し、Hの形は左右対称です。
構造体では荷重が分散してしまうと良くないので、左右対称であるH鋼が使われたりします。(Lアングルも左右非対称なので構造体には使われない)
建築の構造体に強度が必要。。。というのは容易に想像が付くと思います。Cチャンネルでは強度を発揮しきれません。
まとめると、形や強度が異なるので使用用途も異なるといった格好です。
H鋼の利用用途
H鋼の利用用途
- S造SRC造の構造体
- 橋や船舶の構造体
- 道路の杭基礎
H鋼には上記のような利用用途があります。
要は基礎工事や躯体工事にて使われいる訳です。
基礎や躯体に使われる理由としては「高引張力」という特性にあります。
「高引張力」というのは「曲がらない」という特性でして、建物の基礎や躯体には強く求められる性質です。簡単な話、地震や何かしらの衝撃で構造体が曲がってしまったら、元通りに出来ませんよね。
ケーブルが劣化したなら新しいケーブルに引き換えればいいですし、SDがボロくなってきたら新しいSDにすればいいです。
「地震で柱が曲がっちゃったから、新しい柱に取り替えようか!」とは出来ないんです。最初から強度が強く、変形せずに働いてくれる部材が必要になります。
それがH鋼という訳です。
正確に言えば「H鋼とはHの形をした鋼材」ですので、全てのH鋼が建築の構造体に使われる訳ではありません。H鋼の一種が建築の構造体に使われるという訳です。
H鋼の寸法と重さ(JIS規格)
H | B | t1 | t2 | 重さ(kg/m) |
100 | 50 | 5 | 7 | 9.3 |
100 | 100 | 6 | 8 | 16.9 |
125 | 60 | 6 | 8 | 13.1 |
125 | 126 | 6.5 | 9 | 23.6 |
150 | 75 | 5 | 7 | 14 |
148 | 100 | 6 | 9 | 20.7 |
150 | 150 | 7 | 10 | 31.1 |
175 | 90 | 5 | 8 | 18 |
175 | 175 | 7.5 | 11 | 40.4 |
198 | 99 | 4.5 | 7 | 17.8 |
200 | 100 | 5.5 | 8 | 20.9 |
194 | 150 | 6 | 9 | 29.9 |
200 | 200 | 8 | 12 | 49.9 |
200 | 204 | 12 | 12 | 56.2 |
248 | 124 | 5 | 8 | 25.1 |
250 | 125 | 6 | 9 | 29 |
244 | 175 | 7 | 11 | 43.6 |
250 | 250 | 9 | 14 | 71.8 |
250 | 255 | 14 | 14 | 81.6 |
298 | 149 | 5.5 | 8 | 32 |
300 | 150 | 6.5 | 9 | 36.7 |
294 | 200 | 8 | 12 | 55.8 |
294 | 302 | 12 | 12 | 83.4 |
300 | 300 | 10 | 15 | 93 |
300 | 305 | 15 | 15 | 105 |
346 | 174 | 6 | 9 | 41.2 |
350 | 175 | 7 | 11 | 49.4 |
340 | 250 | 9 | 14 | 78.1 |
344 | 348 | 10 | 16 | 113 |
350 | 350 | 12 | 19 | 135 |
396 | 199 | 7 | 11 | 56.1 |
400 | 200 | 8 | 13 | 65.4 |
390 | 300 | 10 | 16 | 105 |
388 | 402 | 15 | 15 | 140 |
394 | 398 | 11 | 18 | 147 |
400 | 400 | 13 | 21 | 172 |
400 | 408 | 21 | 21 | 197 |
414 | 405 | 18 | 28 | 232 |
428 | 407 | 20 | 25 | 283 |
458 | 417 | 30 | 50 | 415 |
498 | 432 | 45 | 70 | 605 |
446 | 199 | 8 | 12 | 65.1 |
450 | 200 | 9 | 14 | 74.9 |
440 | 300 | 11 | 18 | 121 |
496 | 199 | 9 | 14 | 77.9 |
500 | 200 | 10 | 16 | 88.2 |
506 | 201 | 11 | 19 | 102 |
482 | 300 | 11 | 15 | 111 |
488 | 300 | 11 | 18 | 125 |
596 | 199 | 10 | 15 | 92.5 |
600 | 200 | 11 | 17 | 103 |
606 | 201 | 12 | 20 | 118 |
582 | 300 | 12 | 17 | 133 |
588 | 300 | 12 | 20 | 147 |
594 | 302 | 14 | 23 | 170 |
692 | 300 | 13 | 20 | 163 |
700 | 300 | 13 | 24 | 182 |
792 | 300 | 14 | 22 | 188 |
800 | 300 | 14 | 26 | 207 |
890 | 299 | 15 | 23 | 210 |
900 | 300 | 16 | 28 | 240 |
912 | 302 | 18 | 34 | 283 |
H鋼の価格
H鋼の価格は「一概には言えない」というのが結論です。
会社ごとに「掛け率」というものが存在します。掛け率とはその商品の何%で買えるか?という話でして、100円の商品の掛け率が20%なら20円でその商品を購入できます。
会社ごとに掛け率は決まっており、大きな会社になればなるほど掛け率は低くなります。要は安い値段で買えるという訳です。
株みたいなもので上がったり下がったりするんです。よって一概には言えないのがH鋼の価格になります。というのが大前提ではありますが、参考として、Yahoo!知恵袋に乗っていた情報を載せておきます。
- H-100×100×5×7= 14.8kg/m →1,550円/m
- H-150×150×7×11= 31.5kg/m→ 3,250円/m
- H-200×200×8×12= 49.9kg/m→ 5,100円/m
- H-200×100×5.5×8= 21.3kg/m →2,200円/m
引用:Yahoo知恵袋
H鋼を作っているメーカー
H鋼を作っているメーカー
- JFEスチール
- 日鉄スチール
- 丸藤シートパネル
- ヤマトスチール
上記のようなメーカーがH鋼を作っています。
代理店は様々ありますが、実際にH鋼を作っているメーカーは上記です。個人的にはJFEスチールが大手のイメージですね。
注意点としては、打ち合わせの段階でミルシートも発行してもらうことです。
ミルシートとは「鋼材の品質を証明する書類」でして、後からお願いするとメーカーさんも大変になります。ミルシートが必要な場合はあらかじめ伝えておきましょう。
H鋼に関する情報のまとめ
H鋼に関する情報のまとめ
- H鋼とは:Hの形をした鋼材のこと
- H鋼のフランジとは:上図参照
- H鋼とLアングルとCチャンネルの違い:形と強度
- H鋼の利用用途:S造SRC造の構造体、橋や船舶の構造体、道路の杭基礎
- H鋼の表記:B、H、t1、t2
- H鋼の寸法と重さ:上表参照
- H鋼の価格:一概には言えない
- H鋼のメーカー:JFEスチール、日鉄スチール、丸藤シートパネル
以上がH鋼に関する情報のまとめとなります。
一通り網羅的な情報を記したので、H鋼に関する基礎的な情報は身についたのではないかなと思います。似たような部材で、CチャンネルやLアングルなどもあるので、是非読んでみてください。