- 経験記述ってなくなったって聞いたけど、結局どっちなの?
- 今から何を準備すればいいのか分からない
- 代表工事を1本仕上げておけば、それで乗り切れるんじゃないの?
- 準備した工事のテーマと、出題される場面がズレたらどうしよう
- 題材って自分で選べるの?それとも問題文で決まるの?
- 今年出るのは安全管理?それとも工程管理?
- 何を書くと減点されるのか、採点基準は公開されてないの?
- 調べるサイトによって書いてあることがバラバラで混乱する
- 実務経験、正直ちょっと足りない気がする…多少盛ってもバレない?
上記の様な悩みを解決します。
2級電気工事施工管理技士の経験記述(第二次検定の問題1)は、令和6年度から出題の形そのものが変わった論点です。令和5・6・7年度の問題冊子を並べてみると、消えたものと残ったものがはっきり分かれていて、「経験記述はなくなった」という噂だけを鵜呑みにすると準備の方向を丸ごと間違えます。今回は問題1がどう位置づけられているかと合格の目安を先に押さえ、原本を並べて確かめた、問A・問Bの選択制や年度で入れ替わる管理項目、問題文に明記された減点条件といった、他の解説記事が触れていない論点まで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、これから経験記述の対策を始める方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
2級電気工事施工管理技士の経験記述、噂の中身を原本で分ける
結論から言うと、「なくなった」という言い方は半分だけ当たっています。この記事は、令和5年度・令和6年度・令和7年度の第二次検定の問題冊子を実際に並べて、問題1から何が消えて何が残ったのかを確定させることを目的にしています。噂の出どころも、噂が外している部分も、原本を突き合わせれば一度で片が付きます。
この確認が要るのは、解説記事どうしで言っていることが割れているからです。令和5年度以前の形式を前提にしたテンプレや例文を配っているページがある一方で、「もう経験記述は出ない」と断定しているページもあります。どちらを信じるかを解説記事の多数決で決めても、答えは出ません。
今回、判断の材料にしたのは次の4点です。いずれも実施機関である一般財団法人 建設業振興基金が公開している資料です。
- 令和5年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題
- 令和6年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題
- 令和7年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題
- 令和8年度 2級電気工事施工管理技術検定 受検の手引(第一次・第二次検定同時申請用)
出題した側が配った紙に何が書いてあるか。それだけが事実です。僕がこの記事で扱うのも、その紙に書いてあることに限ります。
消えたのは工事名や工期を書く欄。経験を書かせる設問は残っている
まず、噂の出どころのほうから確定させます。令和5年度2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題のp.2を見ると、問題1の前半に、自分の工事の属性を書き込ませる項目見出しが6つ並んでいます。
- ①工事名
- ②工事場所
- ③電気工事の概要
- ④工期
- ⑤この電気工事でのあなたの立場
- ⑥あなたが担当した業務の内容
この6項目こそが、「代表工事を1本決めて丸暗記していく」という定番の準備法を支えていた根拠です。工事名から工期まで書かせる欄がある以上、受検者が事前に自分の工事を1本選び、書く中身を固めていくのは合理的でした(令和5年度 第二次検定問題 p.2)。
一方、令和6年度以降の問題冊子には、この項目見出しが問題1に見当たりません(令和6年度 第二次検定問題 p.2/令和7年度 第二次検定問題 p.2)。工事名も工事場所も工期も、書き込む欄そのものが無くなっています。ここだけを切り取れば、「経験記述はなくなった」という言い方が出てくるのも分かります。
ただ、消えたのは欄であって、経験を書かせる設問ではありません。令和7年度の問題1は、問A・問Bのどちらも「あなたの電気工事の経験を踏まえ,」という書き出しで始まっています(令和7年度 第二次検定問題 p.2)。令和6年度の問題1も、屋外の作業がある電気工事、あるいは土曜日・日曜日および祝祭日のみ施工できる電気工事という現場の状況を指定したうえで、工程管理上の内容を書かせる設問でした(令和6年度 第二次検定問題 p.2)。自分の経験を土台にして書けという要求は、令和7年度の問題1にはっきり残っています。
整理すると、令和6年度の変更は「経験を書かせるのをやめた」のではなく「工事の属性を書かせる欄をやめた」ものです。この2つを混ぜて「なくなった」と一言で片付けると、対策の入口から方向がずれます。僕は、消えたものと残ったものを分けて理解しておくことが、今の経験記述対策の出発点になると考えています。
なお、1級の経験記述については別に1本まとめてあります。2級だけを受ける方は読み飛ばして構いません。

令和6年度から問A・問Bの2択。場面は問題文が決める
令和6年度の問題1には、令和5年度に無かった仕組みがもう1つ入りました。柱書が「次の問A又は問Bのどちらかを選択して答えなさい。」となっていて、受検者は2つの設問のどちらかを選んで答える形になっています(令和6年度 第二次検定問題 p.2/令和7年度 第二次検定問題 p.2)。令和5年度の問題1の柱書にこの選択はありません(令和5年度 第二次検定問題 p.2)。
効いてくるのは、問Aと問Bが「どんな現場か」で分かれている点です。年度ごとに、問題文の側があらかじめ現場の状況を指定しています(令和6年度 第二次検定問題 p.2/令和7年度 第二次検定問題 p.2)。
- 令和6年度 問A:屋外の作業がある電気工事
- 令和6年度 問B:土曜日・日曜日および祝祭日のみ施工できる電気工事
- 令和7年度 問A:施設等が運用中で、大勢の来客がある現場の電気工事
- 令和7年度 問B:関連工事と輻輳する現場での電気工事
この4つを並べると、受検者に許されているのは「2つのうちどちらの場面で書くかを選ぶこと」までで、「どんな場面で書くか」自体は選べないと分かります。自分の代表工事が屋外中心なら令和6年度の問Aには乗せやすかったはずですが、令和7年度は問Aが来客、問Bが他工種との輻輳を前提にしており、屋外かどうかはそもそも論点になっていません(令和7年度 第二次検定問題 p.2)。
だから、代表工事を1本だけ仕上げていく準備は、この形式と噛み合いません。用意した工事が問Aにも問Bにも当てはまらなければ、本番で書き出しから止まります。逆に言えば、選択肢が2つある以上「どちらかには寄せられる」余地も生まれたわけで、材料の作り方さえ変えれば恐れるほどの変更ではありません。
どちらを選ぶべきかは、その年に出た問A・問Bと自分の経験の当たり具合で決まります。事前に「問Bのほうが書きやすいはずだ」と決め打ちしておく意味は、ほとんど無いでしょう。
年度で管理項目が入れ替わる。1つに絞った準備が効かない
問A・問Bの選択制よりも準備に響くのが、管理項目の入れ替わりです。令和6年度の問題1と令和7年度の問題1を見比べると、聞かれている管理の軸そのものが違います(令和6年度 第二次検定問題 p.2/令和7年度 第二次検定問題 p.2)。
- 令和6年度の問題1:問A・問Bとも工程管理上の内容を書かせる設問だった
- 令和7年度の問題1:問A・問Bとも安全管理上の内容を書かせる設問だった
選択制が入ってからの2年で、管理項目は工程管理から安全管理へ入れ替わりました。令和8年度に何が出るかは、公表されている資料からは分かりません。根拠にできる年度が2つしかない以上、「次は品質管理が来る」といった話はただの当てずっぽうなので、僕はこの記事でその手の予想はしません。
ここから逆算すると、準備すべきものの形が変わります。必要なのは「1本の工事の記録」ではなく、「複数の管理項目について、留意すべき事項とその理由、そして対策または処置を出せる状態」です。令和7年度は、留意すべき事項とその理由を2つ求めました(令和7年度 第二次検定問題 p.2)。工程管理でも安全管理でも同じ現場を題材にできるので、扱う工事を増やすのではなく、1つの現場から取り出せる切り口を増やすほうが早く仕上がります。
逆に、安全管理だけを深掘りして本番で工程管理が来ると、書く材料が単純に足りません。令和6年度と令和7年度の並びが示しているのは、まさにその落とし方です。
【PR】経験記述、年度で入れ替わる管理項目に振り回されないために
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令和6年度は工程管理上、令和7年度は安全管理上と、直近2年で出題される管理項目が入れ替わっています。1つの管理項目だけを深掘りする準備では、本番で留意すべき事項とその理由・対策を具体的に書ききれないことがあります。電気工事の実務に即して複数の管理項目を横断的に整理しておきたいなら、電気系の資格対策を扱う能センの講座で、留意点と理由・対策のセットを一通り洗い出しておくのも一つの手です。
減点と不配点は問題文の条件文に書いてある
記述式の設問は、正答が公表されません(令和7年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定問題 最終ページ「検定問題・解答の公表の範囲」)。それでも「これを書いても点にならない」という条件だけは、問題文にはっきり書かれています。見落とされやすいのは、設問の本体ではなく、その下にぶら下がっている条件文のほうです(令和6年度 第二次検定問題 p.2/令和7年度 第二次検定問題 p.2)。
- 令和7年度:解答する2項目について、留意すべき事項とその理由、対策または処置の内容を重複させないこと
- 令和7年度:保護帽を着けたことだけ、あるいは要求性能墜落制止用器具(安全帯)を着けたことだけを挙げた記述には配点しないこと
- 令和6年度:解答を、電気工事に附帯する工事を主体にして書かないこと
このうち令和7年度の2つ目は、安全管理と聞いて最初に挙げたくなるものを、名指しで対象から外しています。ここはかなり厳しい条件です(令和7年度 第二次検定問題 p.2)。安全管理の設問だからと保護帽と安全帯を書いて終わりにした答案は、採点の中身を議論する前に条件文で弾かれます。
そして条件文自体が年度で入れ替わります。令和6年度は附帯工事を主体にするなという条件で、令和7年度の2つとは中身がまったく違います(令和6年度 第二次検定問題 p.2/令和7年度 第二次検定問題 p.2)。過去問で条件文を暗記するのではなく、本番でその年の条件文を最初に読む癖をつけるほうが確実です。
合格の側の基準にも触れておくと、第二次検定は得点60%以上が合格基準とされています(建設業振興基金「技術検定の合格基準」)。ただし令和8年度 受検の手引 p.27「5.合格基準について」には、この基準は試験の実施状況等を踏まえて変更する可能性があるという断りが添えられているので、60%固定のものとして扱わないほうが安全です。
難易度の目安に使われる合格率について補足すると、振興基金が公表しているのは受検者数と合格者数で、合格率そのものは公表されていません。その数字はそこから割り出した算出値です(令和7年度 2級電気工事施工管理技術検定 第二次検定 実施結果=受検者数5,023名・合格者数2,600名、算出値51.8%)。
「経験記述」は公式の用語ではない
調べるほど情報がばらつく理由の1つは、探している言葉そのものが公式資料に無いことです。受検の手引にも問題冊子にも、「経験記述」「施工経験記述」という語は出てきません(令和8年度 2級電気工事施工管理技術検定 受検の手引および令和5〜7年度 第二次検定問題を全件確認)。
受検の手引が試験の内容として示しているのは、施工管理法を「知識」と「能力」に分け、知識は四肢択一(マークシート)、能力は記述で問うという区分です(令和8年度 受検の手引 p.24「(4)試験の内容」)。「経験記述」という区分名は、この表のどこにも登場しません。
つまり、公式情報を「経験記述」という語で探しても行き止まりになります。開くべきは、その年の第二次検定問題のp.2と、受検の手引のp.24あたりです。検索語として「経験記述」を使うのは何も問題ありませんが、公式資料の中でその見出しを探すのはやめておいたほうが早く着きます。
第二次検定が全体としてどう組まれているかは、こちらで整理しています。

盛って書くリスクは、制度の側に書いてある
最後に、経験を多少盛っても大丈夫なのかという不安に触れておきます。ここで区別しておきたいのは、公表資料に置かれている警告が、答案の中身についてではなく、受検申請で提出する実務経験証明書についてのものだという点です。
令和8年度 受検の手引には、証明事項に事実と相違がある場合に合格および受検実績が取り消される場合があること(p.11)、実務経験証明書の内容が事実と異なると判明した場合に建設業法の規定に基づく合格取り消しや一定期間の受検禁止などの処分が行われることがあること(p.12)が書かれています。冊子の最終ページにある「ご注意」欄にも、実務経験証明書の虚偽記載等によって受検できなくなる事例や、合格後に取り消される事例が近年増えているという記載が置かれています。
一方で、答案の記述内容そのものがどう扱われるのかは、公表資料からは確認できませんでした。書いてある事実と書いていない事実を混ぜたくないので、この記事では「答案に嘘を書くと合格が取り消される」とは書きません。ただ、証明書の側にこれだけの記載が繰り返し置かれている試験なのだという事実は、知っておいて損はないでしょう。
実務経験の年数の数え方でつまずいている場合は、そちらは別記事にまとめてあります。

2級電気工事施工管理技士の経験記述に関する情報まとめ
- 「なくなった」のか:令和5・6・7年度の問題冊子を並べると、消えたものと残ったものの両方がある
- 消えたものと残ったもの:令和5年度にあった工事名・工期などの記入項目欄は消え、経験を踏まえて書かせる設問は残っている
- 問A・問Bの2択:令和6年度から選択制になり、どんな現場かは問題文の側が指定する
- 管理項目の入れ替わり:令和6年度は工程管理上、令和7年度は安全管理上で、1つに絞った準備は効かない
- 減点と不配点:解答の重複や、保護帽・安全帯を着けたことだけを挙げる書き方は、条件文で対象外にされている
- 公式の用語:受検の手引にも問題冊子にも「経験記述」の語は無く、見るべきは問題冊子と手引の該当ページ
- 盛って書くリスク:手引が繰り返し警告しているのは、答案ではなく実務経験証明書の虚偽記載である
以上が2級電気工事施工管理技士の経験記述に関する情報のまとめです。
準備の作り方は、代表工事を1本磨き込む形から、1つの現場を複数の管理項目で切り分ける形へ移すのが素直です。まずは自分が関わった現場を1つ選び、工程管理で言えること・安全管理で言えることを、留意すべき事項と理由と対策の3点セットで書き出してみてください(令和7年度は、この3点セットを2つ求めました)。原本を開く手間さえ惜しまなければ、噂に振り回されずに済む試験だというのが、僕の見立てです。
令和8年度の第二次検定は11月8日に第一次検定と同日で実施され、前期日程での実施はありません(建設業振興基金「令和8年度 建築及び電気工事施工管理技術検定実施日程について」p.2/同基金 2級電気工事施工管理技術検定のご案内「1.試験日程」)。日程の全体像はこちらにまとめてあります。

