- 図面のΦやRって何を表してるの?
- □とt(板厚)はどう違うの?
- 寸法記号と部材記号の違いは?
- JISでどう決まってるの?
- 現場で見落としやすい記号は?
- 古い図面と新しい図面で違いはある?
上記の様な悩みを解決します。
施工管理1年目で図面を渡されたとき、最初の関門が「寸法記号の読み方」です。Φ100、□50、t12、R200…記号の意味が分からないと、図面に書かれていることの半分も読み取れません。今回は建築の技術知識として、寸法の記号を体系的に整理してみます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
寸法の記号とは?
寸法の記号とは、結論「図面の寸法値の前後に付けて、形状や寸法の種類を表す記号」のことです。
主要規格
| 規格 | 内容 |
|---|---|
| JIS Z 8317 | 製図 – 寸法の記入方法 |
| JIS Z 8312 | 製図 – 線の基本原則 |
| JIS Z 8316 | 製図 – 図形の表し方 |
| JIS A 0150 | 建築製図通則 |
これらJIS規格に基づいて、寸法の記号は厳密に規定されています。
寸法記号の役割
| 機能 | 例 |
|---|---|
| 形状を示す | Φ(円)、□(正方形)、R(半径)、S(球) |
| 種別を示す | t(厚み)、C(面取り)、↗(勾配) |
| 方向を示す | ⇔(範囲) |
| 省略を示す | 〜、…(連続値) |
「Φ100」と書いてあれば「直径100mmの円」、「t12」と書いてあれば「板厚12mm」と即座に分かるための、共通言語です。
部材記号との違い
寸法記号と部材記号は別物。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 寸法記号 | Φ、R、□、t、C |
| 部材記号 | PL(プレート)、H(H形鋼)、L(山形鋼)、C(C形鋼) |
両方とも図面に頻出するので、混同しないことが大事です。
直径の記号の話はこちらも参考に。

主要な寸法記号一覧
最重要の寸法記号を整理しておきます。
①:Φ(ファイ、ファイマーク)
意味:直径(円)
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| Φ100 | 直径100mmの円 |
| Φ50 H7 | 直径50mm、公差等級H7 |
| Φ20×3 | 直径20mm、肉厚3mm |
円管・配管・丸鋼・穴の表記で使う最重要記号。「φ」の小文字でも同じ意味です。
②:R(アール)
意味:半径(円弧、円の半径)
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| R50 | 半径50mmの円弧 |
| R10 | 半径10mmの角丸 |
| R∞ | 半径無限大(直線) |
角丸・曲線・アーチ形状の表記で使います。
③:□(しかく、四角)
意味:正方形(一辺の長さ)
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| □50 | 一辺50mmの正方形 |
| □100×6 | 一辺100mm、肉厚6mmの角パイプ |
正方形断面・角パイプの表記で使います。
④:t(ティー、テー)
意味:厚み(thickness)
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| t12 | 厚み12mm |
| PL t9 | プレート厚9mm |
| t=6 | 厚み6mm |
板厚・スラブ厚・ガラス厚・防水厚など、平らな部材の厚みを表記する記号です。
厚みのtの話はこちらも参考に。

⑤:C(シー、チャンファー)
意味:面取り(chamfer、45度の面取り)
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| C2 | 45度面取り、2mm |
| C5 | 45度面取り、5mm |
角を斜めに面取りする加工の指示。鋼材の溶接前処理、コンクリートの面取りで頻出。
⑥:Sφ(エスファイ)
意味:球の直径(spherical diameter)
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| Sφ20 | 直径20mmの球 |
| SR10 | 半径10mmの球 |
球面・ドーム形状の表記。
⑦:M(メートル、metric)
意味:ねじ呼び(メートル並目ねじ)
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| M10 | ねじ径10mmのメートル並目ねじ |
| M12×1.25 | ねじ径12mm、ピッチ1.25mm(細目) |
ボルト・ナットの表記。
ボルトの話はこちらも参考に。

⑧:n×L(n本×長さ)
意味:同じ寸法のn個の繰り返し
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| 5-Φ10 | 直径10mmの穴を5個 |
| 4×100=400 | 100mm間隔で4ピッチ、合計400mm |
繰り返し配置の省略表記。
寸法の単位記号
寸法値そのものの単位記号も覚えておきます。
JIS基本単位(SI単位系)
| 単位 | 記号 | 用途 |
|---|---|---|
| ミリメートル | mm | 建築・機械の標準単位 |
| センチメートル | cm | 一部の建築寸法 |
| メートル | m | 大型建築・敷地寸法 |
| インチ | inch(”) | 配管・電気の一部 |
建築業界の基本ルール
| 場面 | 単位 |
|---|---|
| 機械図面・鋼材図面 | mm が原則 |
| 建築意匠図 | mm が原則(一部 m 併記) |
| 配置図・敷地図 | m が中心 |
| 配管・電気の呼び径 | inch(”) や A(呼び径) |
設計図書では原則 mm単位 で書かれ、特に断りがない数値は すべてmm と読みます。
省略の慣行
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| 100 | 100mm |
| 1,000 | 1,000mm = 1m |
| 3,500 | 3,500mm = 3.5m |
「mm」を書かず、数字だけで表記 するのが日本建築の図面の標準的なやり方です。
寸法表記のルール
JIS Z 8317「寸法の記入方法」で定められた、主要なルールを整理します。
寸法値の前後の位置
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| Φ50 | 値の 前 に記号(直径50mm) |
| 50× | 値の 後 に記号(50倍) |
| 50(4) | カッコ内は 参考値 |
記号の位置によって意味が変わるので注意。
寸法線の引き方
- 寸法線は 対象物の外側 に引く(原則)
- 寸法補助線(引き出し線)を直角に出す
- 寸法値は寸法線の上または中央に書く
寸法の優先順位
複数寸法が重複する場合は、
- 全体寸法(部材の総長さ)
- 位置寸法(基準からの距離)
- 個別寸法(部分の長さ)
の順で記入されることが多いです。
省略寸法・略号
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| GL | 地盤面(Ground Level) |
| FL | 床面(Floor Level) |
| CL | 天井面(Ceiling Level)または中心線(Center Line) |
| SL | スラブ面(Slab Level) |
建築図面では、これらの基準面記号と寸法をセットで使います。
部材記号との関係
寸法記号と部材記号は、現場でセットで出てきます。代表的なものを整理します。
鋼材の部材記号と寸法表記
| 部材記号 | 名称 | 寸法表記例 |
|---|---|---|
| H | H形鋼 | H-400×200×8×13 |
| BH | ビルドH | BH-500×200×9×14 |
| C | C形鋼 | C-150×75×6.5×10 |
| L | 山形鋼(アングル) | L-100×100×10 |
| □ | 角形鋼管 | □-150×150×6 |
| Φ | 鋼管 | Φ-89.1×4 |
| FB | フラットバー | FB-50×9 |
| PL | プレート | PL-12(厚みのみ) |
「H-400×200×8×13」と書いてあれば「H形鋼、せい400、幅200、ウェブ厚8、フランジ厚13」を意味します。
H鋼の話はこちらも参考に。

Lアングルの話はこちらも参考に。

鉄筋の部材記号と寸法表記
| 部材記号 | 名称 | 寸法表記例 |
|---|---|---|
| D | 異形鉄筋 | D16(直径16mm) |
| φ | 丸鋼 | φ9(直径9mm) |
| @ | ピッチ | D13@200(200mm間隔でD13) |
「D13@200」と書いてあれば「D13の鉄筋を200mm間隔で配置」を意味します。
鉄筋の話はこちらも参考に。

コンクリートの部材記号
| 部材記号 | 名称 | 寸法表記例 |
|---|---|---|
| W | 幅(Width) | W=600 |
| D | せい(Depth) | D=800 |
| H | 高さ(Height) | H=3500 |
| Fc | 設計基準強度 | Fc=24(N/mm²) |
「W=600×D=800」と書いてあれば「幅600mm、せい800mmの梁」です。
寸法記号の読み方の注意点
実務で寸法記号を読むときの注意点を整理します。
注意点①:DとΦの使い分け
| 記号 | 用途 |
|---|---|
| D | 異形鉄筋の直径(D10、D16など) |
| Φ | 円形(穴、丸鋼、配管)の直径 |
異形鉄筋に「Φ16」と書くのは不正確。正しくは「D16」。図面の凡例で確認しましょう。
注意点②:「@」と「×」の混同
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| @ | ピッチ(間隔) |
| × | 掛け算(同じ寸法の繰り返し) |
「D13@200」と「D13×200」は別の意味。
注意点③:「t」の位置
| 表記 | 解釈 |
|---|---|
| t12 | 厚み12mm |
| t=12 | 同上 |
| 12t | 同上(古い表記) |
「12t」の表記は 「12テン」とも読める ので、新規図面では「t12」が推奨されます。
注意点④:「C」の解釈
「C」は文脈で意味が変わります。
| 場面 | 意味 |
|---|---|
| 機械図面で値の前 | 面取り(chamfer) |
| 鋼材記号として | C形鋼 |
| 通り芯記号で | 中心線(Center Line) |
凡例を必ず確認しましょう。
注意点⑤:旧JISと新JISの混在
2010年改正前後のJISで一部記号の意味が変わっています。
| 旧JIS | 新JIS | 注意点 |
|---|---|---|
| φ(小文字) | Φ(大文字) | どちらでも可だが大文字が推奨 |
| □(中抜き) | □(中抜き) | 同じ |
| %(パーセント) | %(半角) | 表記揺れあり |
古い図面を扱うときは凡例で確認しましょう。
設計図書の読み解きの基礎の話はこちらも参考に。

僕も施工管理1年目に、ベテラン職長から「Φ16の穴開けて、C2で面取りな」と言われて頭が真っ白になった記憶があります。「Φ=直径、C2=2mmの45度面取り」が瞬時に出てくる頭になったのは、現場で何度も繰り返し聞いてからでした。寸法記号は、本で覚えるだけでなく、現場で口に出して使う頻度が定着の鍵 だと感じています。
寸法の記号に関する情報まとめ
- 寸法の記号とは:寸法値の前後に付けて形状や種別を表す記号
- 主要規格:JIS Z 8317「寸法の記入方法」、JIS A 0150「建築製図通則」
- 形状記号:Φ(直径)、R(半径)、□(正方形)、Sφ(球の直径)
- 種別記号:t(厚み)、C(面取り)、M(メートルねじ)
- 単位:mmが原則、数字だけの表記が一般的
- 部材記号との違い:寸法記号は「形」、部材記号は「種類」
- 注意点:DとΦの使い分け/@と×/tの位置/Cの多義/旧新JIS
以上が寸法の記号に関する情報のまとめです。
Φ、R、□、t、C の5つを覚えておくだけで、建築・機械図面の8割は読めるようになります。あとは部材記号(H、L、PL、D、Fc)とセットで覚えて、現場で使いながら徐々に応用記号も身に付けていきましょう。一通り寸法の記号に関する基礎知識は理解できたと思います。
合わせて、図面・部材の記号に関連する知識もチェックしておきましょう。








