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層間変形角の基準とは?1/200、1/120の根拠、緩和条件など

  • 層間変形角の基準値1/200ってどこに書かれてるの?
  • 1/120まで緩和できる条件って何?
  • 1次設計と2次設計で基準が変わるって本当?
  • 木造、S造、RC造で基準値は同じ?
  • 大規模地震時にはどれくらいまで変形してOK?
  • 実際の現場で基準が問題になる例は?

上記の様な悩みを解決します。

層間変形角は、地震時に各層がどれくらい斜めに変形するかを示す指標で、建物の損傷度を直接決める数値です。建築基準法には明確な許容値が定められていますが、構造や使い方によって緩和条件があり、ここで詰まる人が多い項目でもあります。本記事では、層間変形角の基準値とその根拠、緩和条件、構造種別ごとの違い、現場でよくある実例まで整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

層間変形角の基準とは?

層間変形角の基準とは、結論「建築基準法施行令で定められた、地震時に各層が許容できる変形角の上限値」のことです。

→ ざっくり、「地震時に各層がどこまで斜めに動いてもよいかの法定上限」が層間変形角の基準、というイメージです。層間変形角の定義そのものは、こちらの記事でも解説しています。

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根拠条文と1次設計の許容値

基準値の根拠条文は、建築基準法施行令第82条の2(層間変形角に関する規定)、国土交通省告示第594号・第595号(1次設計時の許容値、2次設計の判定方法)、というあたり。これらの法令で、層間変形角の許容値が定められています。

1次設計(中程度の地震)時の許容値は、原則1/200以下、緩和として間仕切壁・外装材・設備・ガラスなどの内外装が層間変形に追従できる仕様なら1/120まで緩和可、というルール。つまり「中程度の地震で1/200以下に収まること」が基本ルール、「内外装が変形に追従できる仕様」を採用すれば「1/120まで許容できる」と覚えておくと整理しやすいです。

1/200基準の意味と根拠

1/200という数字は、過去の地震被害と建物の使用感の両面から決められました。

物理イメージと技術的根拠

階高3.5mの建物で1/200の層間変形角ということは、1層あたり17.5mmの水平変形まで許容できる、という意味です。これは「建物の中で人が違和感を感じない」「内装材にひび割れが発生しにくい」「設備配管が抜けない」程度の変形に対応します。

1/200にした技術的根拠は、内装材(壁紙・タイル・ボードなど)が剥がれにくい変形限界、開口部(窓・ドア)が開閉に支障をきたさない変形限界、設備配管・ダクトが引き抜けない変形限界、居住者がパニックを起こさない程度の体感変形、というあたり。1次設計は「中程度の地震(おおむね震度5強相当)」を想定しています。この程度の地震では、建物に損傷が出てはいけないので、内装・外装・設備までを含めた「無被害ライン」として1/200が選ばれました。

1次設計の位置づけ

1次設計とは何か。C0 = 0.2を採用した中程度地震を想定、建物に弾性的に応答してもらう(壊れない・損傷しない)、層間変形角と剛性率・偏心率の3点セットで判定、というあたり。層間変形角は、剛性率・偏心率と並んで「1次設計の3点セット」として位置付けられます。剛性率の計算は、こちらの記事も合わせてどうぞ。

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1/120までの緩和条件

緩和規定の根拠は、建築基準法施行令第82条の2第二号の「内外装が変形に追従できる場合」という条件です。

緩和条件と工法

緩和条件の具体例としては、間仕切壁(ボードと下地の取り付けにスライド機構やクリアランスがある)、外装材(ALCパネルなどの場合、ロッキング工法やスライドファスナー工法を採用)、ガラス(エッジクリアランス=建具枠とガラスの隙間を必要量確保)、設備配管(可撓継手・フレキシブル継手で変形吸収)、というあたり。

外装ALCパネルの取付工法ごとに対応できる層間変形角は次のとおり。

ALC工法 対応可能な層間変形角
縦壁ロッキング工法 1/100まで
縦壁挿入筋工法 1/150まで
横壁アンカー工法 1/200まで
横壁ボルト止め工法 1/200まで

ロッキング工法は変形追従性能が高いため、1/120の緩和を受けやすい工法です。逆に、横壁ボルト止め工法では1/200までしか対応できないので、緩和は受けられません。

ガラスと判断

ガラスのエッジクリアランスとして、ガラスは縁辺と建具枠の間にクリアランスを設けることで層間変形に追従させます。日本建築学会の指針では、1/200の場合はガラス長辺の3〜5mm程度、1/120の場合はガラス長辺の8mm程度以上、を確保することが推奨されています。クリアランスが不足すると、地震時にガラス縁が枠と衝突して破損するリスクがあるため、設計図書での明示が必要です。

緩和の判断は構造設計者と意匠設計者の連携で行います。緩和規定は「内外装の仕様」と「構造的な許容値」の両方を見ながら判定します。意匠で「強い意匠を採用したい」、構造で「変形が大きくなる」という状況なら、緩和の余地があるかをセットで検討する必要があります。

大地震時(2次設計時)の基準

2次設計(大地震)では、層間変形角の許容値は1次設計とはまったく違う扱いになります。

前提と判定方法

2次設計の前提は、C0 = 1.0を採用した大規模地震(おおむね震度6強〜7相当)を想定、建物が塑性化することを許容する(部材が降伏してエネルギーを吸収)、倒壊・崩壊を防ぐことが目的(修復可能かは別問題)、というあたり。

2次設計時の層間変形角の判定方法は、保有水平耐力計算(ルート3)(限界変形角は構造材料・形式ごとに告示で規定)、限界耐力計算(地震動の応答スペクトルから直接判定)、時刻歴応答解析(地震波の波形入力で実際の応答を確認)、というあたり。

構造種別ごとの一般的な限界変形角は次の通り。

構造種別 2次設計の限界変形角の目安
RC造ラーメン 1/100〜1/50(部材の靱性に応じて)
S造ラーメン 1/50〜1/40(高靱性鋼を使う場合)
RC造耐震壁 1/200〜1/100(壁の損傷度合いで)
木造 1/30〜1/15(壁倍率や接合金物に依存)

これらは「建物の倒壊を防ぐための限界」であり、変形後の建物の補修可能性とは別の話です。

性能設計の考え方

近年は「性能設計」の考え方が浸透し、層間変形角を「目標性能の指標」として使うケースが増えています。例えば、レベル1地震(C0=0.2)→層間変形角1/200以下(無被害)、レベル2地震(C0=1.0)→層間変形角1/100以下(補修可能)、想定外地震→倒壊しない(命を守る)、というように、地震の規模ごとに目標を分けて設計する流れになっています。

構造種別ごとの層間変形角の特徴

RC造とS造

RC造の層間変形角は、ひび割れ前は剛性が高く変形が小さい、ひび割れ後は剛性低下し変形が増える、耐震壁を入れると劇的に変形が抑えられる、1次設計の1/200は耐震壁付きRC造では普通に満足、というあたり。

S造の層間変形角は、弾性域はRC造より変形が出やすい(鋼材は弾性域でしなる)、塑性化すると変形吸収能力が高い(粘る)、1/200を満足するためにブレースの配置や柱断面の検討が重要、高層S造ではダンパー併用で変形を抑えるケースが増えている、というところ。

木造とハイブリッド

木造の層間変形角は、壁量計算で層間変形角を1/120以下にコントロール、壁倍率・壁配置・接合金物が変形に直結、4分割法・必要壁量で層間変形角を間接的に確保、というあたり。壁量計算と層間変形角の関係も別途まとめています。

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SRC造は鉄骨で粘り、RCで剛性を確保するハイブリッド構造。木造ハイブリッド(CLT・木鋼複合)は変形性能のチューニングが鍵。層間変形角はそれぞれの工学モデルに基づいて評価します。

現場で層間変形角が問題になる典型ケース

実務でよく層間変形角が問題になる4つのパターンを紹介します。

ピロティ・大開口

ケース1:ピロティ構造。1階に壁が極端に少ないピロティ構造では、1階の層間変形角が他層に比べて大きくなり、剛性率・偏心率と並んで層間変形角もアウトになりやすい。耐震壁の追加、柱断面の拡大、保有水平耐力計算の併用で対応します。

ケース2:開放的なファサード(大開口)。オフィスや商業施設で「ファサードを大開口にしたい」というケース。ガラスファサードや軽量カーテンウォールでは、層間変形角への追従性が制約となります。1/120緩和の有無、ガラスのエッジクリアランス、カーテンウォールの取付工法をセットで検討する必要があります。

塔屋・既存改修

ケース3:屋上階の塔屋・ペントハウス。最上階の塔屋(エレベーター機械室など)は質量が小さく、地震応答が増幅されるため、層間変形角が大きくなる傾向があります。設計段階で「塔屋部分は通常層と別扱い」として剛性チェックを行うのが安全です。

ケース4:既存建物の用途変更・増築。既存の建物に増築する、あるいは用途変更する場合、既存部の構造評価と新設部の調整で層間変形角の確認が必要になります。既存不適格の建物では、層間変形角が現行基準を満たしていないことが多く、補強の必要性を判断する基本指標になります。

層間変形角の基準に関する情報まとめ

  • 層間変形角の基準とは:建築基準法施行令第82条の2が定める層変形の上限値
  • 1次設計:原則1/200以下、内外装が追従できれば1/120まで緩和
  • 1/120緩和:ALCロッキング工法、ガラスのエッジクリアランス、配管の可撓継手など
  • 2次設計:構造種別・部材靱性で限界変形角が変わる(RC 1/100、S造 1/50など)
  • 構造種別:RC造は変形小・S造はやや大・木造は壁量計算で1/120以下
  • 問題ケース:ピロティ、大開口ファサード、塔屋、増築・用途変更
  • 偏心率・剛性率と並行確認:1次設計の3点セットとして同時にチェック

以上が層間変形角の基準に関する情報のまとめです。基準値そのものはシンプル(1/200、緩和時は1/120)ですが、緩和を受けるための内外装仕様の組み合わせや、2次設計時の判定方法、構造種別ごとの考え方まで含めて押さえる必要があります。意匠と構造が同じテーブルで「変形角と仕様」を一緒に決めていく習慣を作ると、終盤のやり直しが減って効率が良いです。

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