- 質量ってどうやって求めるの?
- 公式は何を覚えればいい?
- 質量と重さって何が違うの?
- 単位はkg?g?t?
- 建築計算ではどう使う?
- コンクリートや鉄の質量はどう計算する?
上記の様な悩みを解決します。
質量の求め方は、結論「密度(ρ)×体積(V)で求める」のが基本式。m=ρVという1本の公式さえ覚えれば、コンクリート1m³の重さも、配管に入っている水の重さも、屋上に積もる雪の重さも、すべて同じやり方で計算できます。「質量」と「重さ(重量)」の違いがあやふやだと、構造計算の単位(kgとkgfとN)でつまずきがちなので、ここで一緒に整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
質量の求め方とは?
質量の求め方とは、結論「物体の密度に体積を掛ける(m=ρV)」というのが最も基本のやり方です。
英語では Mass calculation。物理量としての質量(Mass)は「物体に含まれる物質の量」のことで、地球上でも月の上でも宇宙空間でも変わらない普遍的な量です。
質量を求める3つの基本パターン
- ①密度×体積で求める:均質な材料(金属・コンクリート・水など)
- ②天秤で測る:基準分銅と釣り合わせる
- ③重さから逆算する:重さ÷重力加速度で算出
施工管理や建築設計の実務では、ほぼ①の密度×体積で求める場面しかありません。図面から体積を読み取り、材料の密度(または比重)を掛けて質量を出すのが日常の計算です。
質量と「重さ」は別物
「質量=重さ」と日本語では混ざって使われがちですが、物理的には別物です。
- 質量:物質の量そのもの。場所に依存しない(kg、g)
- 重さ(重量):質量に重力が掛かった力。場所で変わる(N、kgf)
詳しい違いはこの記事の後半で整理します。まずは「質量を求める=密度×体積を計算する」をしっかり押さえておきましょう。
質量の公式
質量を求める基本公式と、関連する3つの式を整理します。
①質量の基本公式
質量 m = 密度 ρ × 体積 V
| 記号 | 意味 | 単位(SI単位系) |
|---|---|---|
| m | 質量 | kg |
| ρ | 密度(ロー) | kg/m³ |
| V | 体積 | m³ |
これさえ覚えれば、
- コンクリート1m³の質量=2,300〜2,400 kg/m³ × 1m³ = 約2,400 kg
- 水1m³の質量=1,000 kg/m³ × 1m³ = 1,000 kg
- 鉄1m³の質量=7,850 kg/m³ × 1m³ = 7,850 kg
といった計算が即座にできます。
②重さ(重量)への変換
重さ W = 質量 m × 重力加速度 g
| 記号 | 意味 | 値・単位 |
|---|---|---|
| W | 重さ(力) | N(ニュートン) |
| m | 質量 | kg |
| g | 重力加速度 | 約9.8 m/s² |
③日常的な「kgf」を使う場合
工学ではkgf(キログラム重)もよく使われます。
1 kgf ≒ 9.8 N
つまり、質量1kgの物が地球上で受ける重力の大きさを「1kgf」と呼ぶ、というイメージ。一般生活で「体重60kg」と言うときの「kg」は、厳密には60kgf(重さ)の意味で使っていることが多いです。
ヤング率や応力の話で出てくる単位の関係は、こちらでも整理しています。

質量と重さの違い
ここを分けて理解できると、構造計算の単位(N、kgf、kg)で迷わなくなります。
| 項目 | 質量(mass) | 重さ・重量(weight) |
|---|---|---|
| 物理量 | スカラー量 | 力(ベクトル) |
| 単位 | kg、g、t | N、kN、kgf |
| 場所依存 | しない | する(地球と月で違う) |
| 求め方 | 密度×体積、天秤 | 質量×重力加速度、ばね秤 |
| 記号 | m | W、F |
直感的なイメージ
- 質量60kgのあなたが月に行ったとする
- 月の重力加速度は地球の約1/6
- 月での体重(重さ):60kg × (1/6 × 9.8 m/s²) ≒ 98 N
- 地球での体重:60kg × 9.8 m/s² ≒ 588 N
- でも質量はどちらも60kgで変わらない
ここが「質量は普遍、重さは場所で変わる」の意味です。
建築計算での使い分け
- 物量・運搬・コスト計算:「kg」で考える(質量基準)
- 構造計算・荷重・応力:「N」「kN」で考える(重さ基準)
- 法定や設計図書の表記:両方混在することも多い
最近の構造計算はSI単位系(N、kN)で統一されていますが、現場では「1kgf ≒ 10 N」というざっくりの変換感覚で会話することがほとんどです(厳密には9.8倍ですが、現場では10倍で十分通じる)。
質量の単位換算
質量の単位はkg・g・tの3つを押さえれば実務上はOK。
基本の換算表
| 単位 | 意味 | 換算 |
|---|---|---|
| 1 t(トン) | 1,000 kg | 1,000,000 g |
| 1 kg(キログラム) | 1,000 g | 0.001 t |
| 1 g(グラム) | 0.001 kg | 0.000001 t |
| 1 mg(ミリグラム) | 0.001 g | 0.000001 kg |
建築でよく使う質量の感覚
- 鉄筋D13 1m:約 0.995 kg(≒1kg/m)
- 鉄筋D22 1m:約 3.04 kg
- 鋼板厚さ9mm 1㎡:約 70.65 kg(鋼比重7.85×厚9mm)
- コンクリート1m³:約 2,400 kg(2.4トン)
- ブロック塀1m²:約 150 kg
「鉄筋1m=1kg」というざっくり感覚を持っておくと、配筋検査の現場で「この束はだいたい何kgか」が即座に出てきます。
長さの単位も合わせて確認しておきたい方はこちらをどうぞ。

建築での質量計算の実例
建築の現場で実際に出る質量計算をいくつか具体例で見ていきます。
例1:コンクリート1m³の質量
質量 = 密度 × 体積
= 2,400 kg/m³ × 1 m³
= 2,400 kg = 2.4 t
普通コンクリートの密度は2,300〜2,400 kg/m³。生コン1台(4.5m³ミキサー車)でざっくり11トン弱になります。
コンクリートの比重・密度の詳細はこちらをどうぞ。

例2:D22鉄筋10mの質量
質量 = 単位質量(kg/m)× 長さ
= 3.04 kg/m × 10 m
= 30.4 kg
鉄筋の単位質量はJIS G 3112で規格化されています。設計図の鉄筋数量から、配筋ピースの重量や運搬便数を計算するときに使います。
例3:水を満たした配管100mmの自重(1mあたり)
配管内径100mmの水の体積:
V = π × (0.05)² × 1 = 0.00785 m³
質量 = 1,000 kg/m³ × 0.00785 m³ = 7.85 kg/m
つまり1mあたり配管自重+水7.85kg。配管支持金物の選定や、屋上配管の架台設計でこの数値が効いてきます。
水の密度については別記事で詳しく整理しています。

例4:H鋼H-300×150(10m)の質量
H-300×150の単位質量はJISで36.7 kg/m(規格表より)。
質量 = 36.7 kg/m × 10 m = 367 kg
鉄骨建方計画でクレーン能力を選定するときに使う計算です。
例5:屋上の積雪荷重
積雪深30cmの場合(積雪の比重 0.3 と仮定):
雪の単位面積あたり質量 = 1,000 kg/m³ × 0.3 × 0.3 m
= 90 kg/m²
これに重力加速度を掛けると 約900 N/m²=0.9 kN/m² の積雪荷重。豪雪地帯では同じ計算で何倍にも膨らむため、屋根の構造設計で見落とせない計算ですね。
[talk words=’電気施工管理時代、屋上設備の架台を据え付ける検討で「キュービクル200kg、配管系50kg、点検通路の床版30kg/m²で全部合算するとどれくらい?」とゼネコン構造担当者から聞かれて、すべて密度×体積に分解して合計を出した記憶があります。質量計算は地味ですが、屋上に物を載せる計画ではこの足し算がそのまま設計荷重になるので、現場の意外と大事な作業ですね。’ name=”” avatarimg=”https://seko-kanri.com/wp-content/uploads/2020/02/c-run.png” avatarsize=70 avatarbdcolor=#d0d0d0 avatarbdwidth=1 bdcolor=#d0d0d0]
応力やひずみと質量との関係を更に深掘りしたい方はこちらをどうぞ。

質量の求め方に関する情報まとめ
- 質量の求め方とは:基本は m = ρV(密度×体積)
- 求め方3パターン:①密度×体積、②天秤、③重さ÷重力加速度
- 質量と重さの違い:質量は場所で変わらない、重さは重力で変わる
- 単位:kg、g、t(実務はこの3つで十分)
- 重さへの変換:W=mg(重力加速度約9.8 m/s²)
- ざっくり換算:1kgf ≒ 10 N(現場感覚)
- 建築での使い方:コンクリート・鉄筋・配管・H鋼・積雪などの重量計算
以上が質量の求め方に関する情報のまとめです。
一通り質量の求め方に関する基礎知識は理解できたかなと思います。「密度×体積で質量、質量×重力加速度で重さ」の2本立てで整理しておけば、構造計算でも積算でも現場でも混乱しません。kgとN(ニュートン)が混在する図面でも落ち着いて読めるようになりますよ。
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