- 砂質土ってどんな土?
- 粘性土とどう違う?
- 砂質土のN値ってどれくらい?
- 内部摩擦角の目安は?
- 基礎設計でどう扱う?
- 施工で気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
砂質土とは、結論「粒径0.075〜2mmの砂を主体とする土」のことです。粘性土と並んで、地盤調査でまず分類される代表的な土種。砂は粒どうしが噛み合うことで強さを発揮するので、「内部摩擦角φ」で表現される力学特性が中心。一方で 液状化を起こしやすいという独特の弱点も持ちます。本記事では、砂質土の定義・分類・粘性土や礫質土との違い・N値や内部摩擦角の目安・基礎設計での扱い・施工管理での注意点まで、地盤工学の入門レベルから整理します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
砂質土とは?
砂質土とは、結論「粒径0.075〜2mmの砂を主体とする土」のことです。
英語では sandy soil。日本工業規格(JIS A 1217、JIS A 1224、地盤工学会基準 JGS 0051)で 粒度試験による分類が定義され、砂分(0.075〜2mm)の比率が50%以上を占める土が砂質土に分類されます。
砂質土の特徴
砂質土の代表的な性質は、
- 透水性が高い(水を通しやすい)
- 粘着力が小さい or ゼロ(砂粒どうしは粘着しない)
- 内部摩擦角φが大きい(30〜40°程度)
- 圧密沈下が小さい(瞬時に沈下が終わる)
- 液状化を起こしやすい(飽和した緩い砂のとき)
→ 「水はけが良い、しかし揺れに弱い」というのが砂質土の二面性です。
粒径による土の分類
国土地理院・地盤工学会の 粒径区分は、
| 区分 | 粒径 [mm] |
|---|---|
| 礫(れき) | 2 〜 75 |
| 砂 | 0.075 〜 2 |
| シルト | 0.005 〜 0.075 |
| 粘土 | 0.005 以下 |
→ 砂質土は 「礫より細かく、シルトより粗い」粒径帯にいる土。0.425mm を境に 「細砂」「中砂」「粗砂」にさらに分けられます。
土の比重・密度の話はこちらに整理しています。

砂質土の分類
砂質土は JIS分類(地盤材料の工学的分類)で4種類に分けられます。
①JIS分類による砂質土の4種
| 記号 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| SW | 良質粒度砂 | 粒径分布が広く、締まりやすい |
| SP | 不良粒度砂 | 粒径が揃いすぎて空隙が多い |
| SM | シルト混じり砂 | 細粒分を含み透水性低下 |
| SC | 粘土混じり砂 | 細粒分でやや粘着が出る |
→ 「良いSW > 中間SM・SC > 弱いSP」の順に 基礎地盤としての安定性が変わります。
②均等係数Uc・曲率係数Ucで判定する
砂質土の良質性は 粒度曲線から計算される2つの係数で判定。
均等係数 Uc = D60 / D10
曲率係数 Uc' = (D30)² / (D10 × D60)
- D10、D30、D60:通過質量百分率が10%、30%、60%に対応する粒径
- Uc ≥ 6 かつ 1 ≤ Uc’ ≤ 3 → 良質粒度(SW)
- Uc < 6 または Uc’の範囲外 → 不良粒度(SP)
→ 粒度曲線が 「Sカーブを描いて広く分布」しているほど締め固めが効きやすく、基礎地盤として優秀。
③相対密度Drによる締まり具合の分類
砂質土は 「どれだけ詰まっているか」で性質が変わります。
| 相対密度Dr | 状態 | N値の目安 |
|---|---|---|
| 0〜15% | 非常に緩い | 0〜4 |
| 15〜35% | 緩い | 4〜10 |
| 35〜65% | 中位 | 10〜30 |
| 65〜85% | 密な | 30〜50 |
| 85〜100% | 非常に密な | 50以上 |
→ 「緩い砂は液状化が怖い、密な砂は良い支持層」と覚えておけば実務感覚は十分。
砂質土と粘性土の違い
施工管理者が 混同しやすいこの2種類の違いを整理します。
①粒径と粘着力の違い
| 項目 | 砂質土 | 粘性土 |
|---|---|---|
| 粒径 | 0.075〜2mm | 0.005mm以下(粘土) |
| 粘着力c | ほぼゼロ | 大きい |
| 内部摩擦角φ | 30〜40° | 小さい(0〜15°) |
| 透水性 | 高い | 低い |
| 沈下 | 瞬時 | 長期的(圧密沈下) |
| 液状化リスク | あり(飽和時) | なし |
→ 砂と粘土は 「ほぼ正反対の性質」を持つ、と覚えれば実務判断が早くなります。
②力学的な強度の出し方の違い
砂質土:τ = σ × tan(φ) …内部摩擦のみで抵抗
粘性土:τ = c + σ × tan(φ) …粘着力+内部摩擦
→ 砂は「粒どうしの噛み合いで抵抗」、粘土は「粒子間の電気的引力(粘着)で抵抗」という、強度発生のメカニズムが根本的に違います。
③沈下の起き方の違い
| 項目 | 砂質土 | 粘性土 |
|---|---|---|
| 沈下発生 | 載荷と同時 | 数年〜数十年かけて進行 |
| 沈下量予測 | 簡単 | 圧密試験必須 |
| 不同沈下 | 比較的少ない | 発生しやすい |
→ 「砂質地盤に建てた建物はすぐ落ち着く、粘性地盤に建てた建物は何年もかけて沈む」という違いがあります。
粘性土の細かい話はこちらに整理しています。

④礫質土との違い
砂質土と 礫質土もよく比較されます。
| 項目 | 砂質土 | 礫質土 |
|---|---|---|
| 粒径 | 0.075〜2mm | 2mm以上 |
| N値の出方 | 中〜大 | 非常に大きい |
| 支持層適性 | 中 | 高い |
| 液状化リスク | あり | ほぼなし |
→ 礫質土は「砂よりさらに強い、最高ランクの基礎地盤」というイメージ。
礫質土の細かい話はこちらに整理しています。

砂質土のN値と内部摩擦角の目安
地盤調査で 真っ先に出てくるN値と内部摩擦角の関係。
①N値と内部摩擦角φの推定式
砂質土では N値から内部摩擦角φを推定するのが一般的。
大崎の式:φ = √(20×N) + 15 (N≤30 程度)
Peck の式:φ = 0.3×N + 27 (簡易)
道路橋示方書:φ = √(15×N) + 15 (N≤50 程度)
- N = 10 → φ ≒ 29°(大崎)、30°(Peck)
- N = 30 → φ ≒ 39°(大崎)、36°(Peck)
- N = 50 → φ ≒ 43〜45°(地盤工学会式)
→ 数式は多少違いますが、「Nが大きいほど内部摩擦角も大きい」という関係は共通です。
②N値別の砂質土の評価
| N値 | 状態 | 想定φ | 基礎としての適性 |
|---|---|---|---|
| 0〜4 | 非常に緩い | 20〜28° | 不適、液状化リスク大 |
| 5〜10 | 緩い | 28〜30° | 直接基礎は厳しい |
| 11〜30 | 中位 | 30〜36° | 直接基礎可能 |
| 31〜50 | 密な | 36〜40° | 良好な支持層 |
| 51以上 | 非常に密 | 40〜45° | 最良の支持層 |
→ N = 30以上を直接基礎の 「支持層」として扱うのが一般的。N値が連続して30以上を示す層を 「支持層」と呼びます。
③現場での感覚
僕も基礎工事の立会いで何度かボーリング柱状図を見てきましたが、
- N=5以下の 緩い砂は、ハンマー打撃の音が 「ボッボッ」と鈍く、サンプラーも軽く落ちる
- N=30以上の 密な砂は、「カンカン」と硬い音で、サンプラーがほぼ動かない
標準貫入試験・N値の細かい話はこちらに整理しています。


内部摩擦角の細かい話はこちらに整理しています。

砂質土の基礎設計での扱い
砂質土の上に建物を建てる場合、設計者が気にするポイントを整理します。
①許容支持力
砂質土の 直接基礎の許容支持力は、
qa = (1/3) × (α × γ1 × B × Nγ + γ2 × Df × Nq)
- Nγ、Nq:支持力係数(内部摩擦角φで決まる)
- B:基礎幅、Df:根入れ深さ
- 砂質土では 「Nγ × B」項が支配的
→ φ = 30°でNγ ≒ 15、φ = 35°でNγ ≒ 30と、内部摩擦角が 5°上がるだけで支持力2倍になることが多い。
②沈下量予測の簡易式
砂質土の沈下量は 概算で短時間に決定できます。
即時沈下 Se = q × B × (1-ν²) / Es
- Es:弾性係数(N×700〜1000 [kN/m²])
- ν:ポアソン比(0.3〜0.4)
→ 粘性土と違って 「載荷と同時に沈下完了」するので、設計者は 長期沈下を気にしなくていいのが砂質地盤の利点。
③液状化判定(飽和砂のとき)
地下水位以下の 緩い砂質土では、地震時に 液状化を起こす可能性。
液状化判定 FL = R / L
- R:液状化抵抗比(N値・粒度・密度で推定)
- L:地震時せん断応力比
- FL < 1.0 → 液状化の可能性あり
→ N=15以下、地下水位以下、細砂が中心 という3条件が揃うと 液状化リスクが急上昇。
地盤・基礎全般の話はこちらに整理しています。

砂質土の現場での注意点
施工管理者として、砂質土の地盤工事で 気をつけたいポイント。
①根切り時の崩壊
砂質土は 粘着力がゼロなので、
- 鉛直に掘ると 斜面が立たない(自立しない)
- 法面勾配は 1:1.5〜1:2.0が安全側
- 山留め必須の判断基準は 「砂質土+深さ1.5m以上」
→ 粘性土なら鉛直自立できる現場も、砂質土になると 必ず山留めを検討する。
②地下水位下での施工
砂質土は 透水性が高いので、地下水との戦いに。
- 地下水位を 基礎より下げるためのウェルポイント・ディープウェル工法
- 砂質地盤の 「ボイリング・パイピング」現象に注意
- 排水しながらの コンクリート打設は品質低下リスク
→ 地下水処理が 施工費・工期の大半を決めることが多い。
ボイリング・パイピングの細かい話はこちらに整理しています。

③締固めと盛土材としての評価
砂質土を盛土材として使う場合、
- SW(良質粒度砂):締固めしやすく、品質安定
- SP(不良粒度砂):締固めしにくく、所要密度に到達しにくい
- 含水比 w = 5〜10%前後で最大乾燥密度が出る
→ 河川砂・海砂は 塩分・有機物のチェックが必要、土質試験で品質確認するのが施工管理の基本。
転圧・盛土工事の細かい話はこちらに整理しています。
④液状化対策の必要性判断
設計段階で液状化判定が FL<1.0となった場合、
- 地盤改良(セメント系深層混合、薬液注入)
- 既製杭で支持層に直接到達
- 柱状改良+直接基礎の組み合わせ
→ 砂質地盤での 建物選定段階から地盤改良費用を見込んでおくのが、コスト管理の基本です。
杭基礎の話はこちらに整理しています。

砂質土に関する情報まとめ
- 砂質土とは:粒径0.075〜2mmの砂を主体とする土
- JIS分類:SW、SP、SM、SC の4種類
- 粘性土との違い:粘着力c ≒ 0、内部摩擦角φ大、透水性高、液状化リスク
- N値と内部摩擦角:N=10でφ=29°、N=30でφ=36°前後
- 基礎設計:N≥30が支持層、許容支持力はNγ・Nq係数で算定
- 液状化判定:飽和砂+N≤15+細砂で要警戒
- 現場の注意点:根切り崩壊、地下水処理、ボイリング、液状化対策
以上が砂質土に関する情報のまとめです。砂質土は 「すぐに沈下が終わる、しかし揺れに弱い」という独特の性格を持ち、設計者・施工管理者ともに 「液状化と地下水」の2点を最重要視するのが基本姿勢。一通り砂質土の基礎知識は理解できたと思います。
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