- 土の比重ってなに?
- 単位や記号がいろいろあって混乱する
- 砂と粘土でどれくらい違うの?
- 計算式や求め方は?
- 残土運搬や盛土工事でどう使う?
上記の様な悩みを解決します。
「土の比重」は土工事・地盤工事の計画段階で必ず出てくる基本指標。「残土が何㎥出るからダンプ何台必要?」「盛土の締固めはどの密度を狙う?」「地下の土圧はどのくらい?」などの判断は、すべて土の比重・密度の理解から始まります。
ところがこの分野、比重・密度・単位体積重量の用語が乱立していて初学者を混乱させがち。記号もγ(ガンマ)が何種類も出てきます。この記事ではまず用語の整理から入って、現場での使い方まで一気通貫で解説します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
土の比重とは?
土の比重とは、結論「土の単位体積あたりの重さを、水の重さを基準に表した比率」のことです。
ただし「土」と一括りに言っても、土粒子だけの重さ/水を含んだ全体の重さ/乾燥した状態の重さで値が変わります。そのため、用語と記号を細かく使い分けるのが土質工学の世界の作法。
土の比重・密度の主な4種類
- 土粒子の比重 Gs:土粒子そのものの密度 ÷ 水の密度
- 湿潤密度 γt:自然状態の土全体の単位体積重量
- 乾燥密度 γd:土を乾燥させた状態の単位体積重量
- 飽和密度 γsat:間隙すべてを水で満たした状態
- 水中密度 γ’:地下水位以下の土の実効重量
実務で「この土の比重は?」と聞かれた時は、何の比重を聞いているのか文脈で判断する必要があります。一般的には湿潤密度 γt のことが多いです。
土の物性は地盤調査の標準貫入試験で得られる N値とセットで扱います。

土の比重の単位と記号
実務でよく見る単位と記号を整理します。
主な記号と単位
| 記号 | 名称 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| Gs | 土粒子の比重 | 無次元 | 土粒子の密度 ÷ 水の密度 |
| γt | 湿潤単位体積重量 | kN/m³ | 自然状態の土全体 |
| γd | 乾燥単位体積重量 | kN/m³ | 乾燥状態の土 |
| γsat | 飽和単位体積重量 | kN/m³ | 間隙完全飽和 |
| γ’ | 水中単位体積重量 | kN/m³ | 浮力を引いた実効重量 |
| γw | 水の単位体積重量 | 9.81 kN/m³ | 水の標準重量 |
| ρt | 湿潤密度 | t/m³ または g/cm³ | γt を g/cm³ で表した値 |
「比重」と「単位体積重量」は厳密には違う概念ですが、実務では混在して使われがち。比重は無次元、単位体積重量は kN/m³ と覚えておくと整理しやすいです。
換算の目安
- 湿潤密度 ρt = 1.8 t/m³ ≒ 湿潤単位体積重量 γt = 17.6 kN/m³
- 1 t/m³ ≒ 9.81 kN/m³
g(重力加速度)≒ 9.81 m/s² を使った換算なので、密度(質量/体積)と重量(力/体積)の関係を意識しておきます。
質量と重量の違いはこちらの記事もどうぞ。

土の種類別の比重・単位体積重量
実務でよく扱う土の代表的な値を整理します。
種類別の代表値(湿潤単位体積重量 γt)
| 土の種類 | γt(kN/m³) | 備考 |
|---|---|---|
| 砂利・礫質土 | 18〜22 | 締まると重い |
| 砂・砂質土(密) | 18〜20 | 関東平野で一般 |
| 砂・砂質土(緩) | 16〜18 | 緩い砂は軽め |
| シルト | 17〜19 | 中間的 |
| 粘性土(自然) | 16〜19 | 含水比で変化大 |
| 泥炭・有機質土 | 11〜14 | 軽量で軟弱 |
| 砕石(クラッシャラン) | 19〜22 | 路盤材として一般 |
| コンクリート殻(再生砕石) | 18〜21 | 再生材 |
埋戻し材として使われる砕石(再生クラッシャラン RC-40 等)はおおむね γt = 20 kN/m³を目安にすると現場感覚と合います。
土粒子の比重 Gs
純粋な土粒子の比重は、土の種類でほぼ決まっています。
Gs の代表値
- 砂・砂利:2.65 程度
- シルト:2.60〜2.70
- 粘土:2.65〜2.80
- 火山灰質粘性土(ローム):2.60〜2.80
- 有機質土(泥炭):1.5〜2.5(バラツキ大)
施工現場では Gs を直接測ることは少なく、土質試験成績書にデータとして記載される値を使います。
地盤改良工事の文脈での土の物性整理はこちらが参考になります。

土の比重の計算と求め方
実務で出会う計算パターンを整理します。
1. ダンプの積載量から土量を逆算
10tダンプ1台の積載重量は載荷重量で約9.5tぐらいまでが目安。
土量(m³)= 積載重量(t)÷ ρt(t/m³)
例:γt = 18 kN/m³(ρt = 1.84 t/m³)の砂質土
- 10tダンプ積載量:1台あたり 約 5.2 m³(解いた土の状態)
- 土運搬量 100 m³ → 約20台弱
掘削土はホグれて体積が増える(ほぐし率 L = 1.20〜1.30)ので、現場ではほぐした体積に対して運搬計画を立てます。
ほぐし土量 = 元の地山土量 × L(1.2〜1.3)
2. 盛土の締固め密度管理
盛土工事では「設計で想定した密度に締め固められているか」を D値(締固め度) で管理します。
D = ρd(現場の乾燥密度) ÷ ρdmax(最適含水比での最大乾燥密度)
D ≧ 90% が標準的な合格基準。これを下回ると沈下・支持力不足のリスクが顕在化します。
3. 土留め工事の主働土圧計算
土留め壁の設計では、土の重さが水平に押す圧力(土圧)を計算します。
主働土圧 Pa = (1/2) × γt × H² × Ka
- γt:湿潤単位体積重量
- H:土留めの高さ
- Ka:主働土圧係数(内部摩擦角φから算出)
要するに土が深いほど、重いほど、土圧は大きくなるという関係。例えばγt = 18 kN/m³、H = 3m、Ka = 0.33 だと、Pa ≒ 26.7 kN/m。
土留め関連はこちらが参考になります。


4. 上載荷重から地耐力検討
建物・構造物の支持地盤の検討では、上載荷重(土+構造物の重さ)が地耐力を超えないか確認します。
地盤の鉛直応力 σv = γt × z(土の自重による鉛直応力、深さ z で)
例:γt = 18 kN/m³、深さ 5m の地点の自重応力
- σv = 18 × 5 = 90 kN/m² = 90 kPa
これに構造物荷重を加算した値が許容地耐力を超えないことを確認します。地耐力の基準値は地盤種別と支持層で決まります。
N値と地耐力の関係はこちらで。

土の比重に関する施工管理の注意点
実務でつまずきやすい論点を整理します。
残土運搬のダンプ計画
最大のつまずきポイントが残土運搬計画。土量がほぐれて増えること、ダンプの実積載量、走行距離からの台数見積もりを正確に行わないと、工程・近隣調整・処分費がすべて崩れる重要工程です。
残土運搬計画のチェック項目
- 地山土量を測量で確定
- ほぐし率(L = 1.20〜1.30)を掛けて運搬土量
- ダンプ容量(実積載 4〜5 m³ / 10tダンプ)
- 1日あたり可能な往復回数(運搬距離・処分場待ちで決まる)
- 必要日数 = 運搬土量 ÷ (1日積載量) で算出
近隣道路の交通量・通学路規制・処分場の受入時間など、外部条件の制約も併せて見ないと机上の計算だけでは破綻します。
埋戻し材の選定と密度管理
電気・設備の地中埋設配管の上を埋め戻すときは、埋戻し材の選定と転圧密度が後で重要になります。
埋戻しでの典型トラブル
- 残土をそのまま入れた → 沈下で配管に応力集中 → 損傷
- 締固め不足 → 路盤陥没 → 後で再掘削
- 配管直上に大粒径の砕石 → 偏荷重で配管変形
- 雨天での埋戻し → 水分過多で締まらない
電気施工管理として地中ケーブル埋設工事に立ち会う場合、配管周りは砂で巻く・上はクラッシャランで締固めといった層別の埋戻し計画を施工要領書に明記します。
地中埋設配管の運用ルールはこちらで。

地下水位を考えた土圧計算
土留め設計で地下水位を見落とすと土圧と水圧が二重でかかってきて大事故。地下水位以下では土の重量が水中重量γ’になります。
γ' = γsat - γw ≒ 17 - 10 = 7 kN/m³
水中では実効重量が約半分以下になる一方で、水圧 γw × h が壁面に直接作用するので、合計の壁面圧は地下水位がない場合よりはるかに大きくなります。
地下水位の影響を見落とすと、山留め支保工の崩壊事故に繋がるので地下水位を必ず実測して計算に反映するのが鉄則。
液状化など地下水関連の話はこちらでまとめています。
土質試験成績書の確認
地盤調査時に土質試験成績書で湿潤密度・乾燥密度・土粒子比重・含水比などが計測されます。これを設計図書とセットで施工計画に反映するのが正攻法。
土質試験で確認する主な項目
- 湿潤密度 ρt(運搬計画に使用)
- 乾燥密度 ρd(締固め目標)
- 土粒子の比重 Gs
- 含水比 w(雨天作業判断にも)
- 粒度分布(透水係数推定)
- 内部摩擦角 φ・粘着力 c(土留め設計に使用)
地盤調査全体の流れはこちらで。
土の比重に関する情報まとめ
- 土の比重:土の単位体積あたりの重さを水の重さで除した値(または単位体積重量 kN/m³)
- 主な記号:Gs(粒子)/γt(湿潤)/γd(乾燥)/γsat(飽和)/γ’(水中)
- 代表値:砂質土 γt=18〜20、粘性土 γt=16〜19、砕石 γt=19〜22、泥炭 γt=11〜14
- 土粒子の比重:砂砂利2.65、粘土2.65〜2.80
- 計算用途:ダンプ運搬量/盛土密度管理/土圧計算/地耐力検討
- 施工管理での要点:ほぐし率を加味/地下水位の考慮/埋戻し密度管理/土質試験成績書の活用
以上が土の比重に関する情報のまとめです。
「土の比重」は単に数値を覚えるだけでなく、残土運搬・盛土密度・土圧・地耐力の各実務にどう接続するかを押さえると活きてきます。地盤改良・土留め・埋戻しのいずれも、根っこは土の重さの理解から始まります。
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