- 冷温水配管ってなに?
- 冷水だけ・温水だけと何が違うの?
- 4管式と2管式の使い分けは?
- 配管材料はどれを選べばいいの?
- 保温は必要?やらないとどうなる?
- 試運転・エア抜きで何を見ればいい?
上記の様な悩みを解決します。
「冷温水配管」はセントラル空調設備の心臓部であり、熱源機(チラー・ボイラー)と室内機(FCU・AHU)の間で冷水・温水を循環させる配管です。電気・空気・冷媒のように目に見えない熱を「水」という分かりやすい媒体に乗せて運ぶ仕組みなので、いったん流れを掴むと急に理解が進みます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
冷温水配管とは?
冷温水配管とは、結論「冷水と温水を循環させて、室内の冷暖房を実現するための配管」のことです。英語では chilled and hot water piping。
セントラル空調(中央式空調)では、ビルの機械室にあるチラーや吸収式冷温水機で冷水(5〜7℃)/温水(45〜55℃) を作り、ポンプで天井裏や床下のFCU・AHUに送ります。FCU・AHUは送られてきた水と室内空気を熱交換し、冷風・温風を室内に吹き出す仕組み。
つまり冷温水配管は「熱源機⇔室内機の間で熱を運ぶ電線のような役割」を持つ配管、と捉えると整理しやすいです。
冷温水配管の主な構成要素
- 熱源機(チラー、吸収式冷温水機、ヒートポンプ)
- 一次ポンプ・二次ポンプ
- 配管(往き/還り)
- 仕切弁(バタフライ弁・ボール弁)
- 流量調整弁・バランシングバルブ
- 膨張タンク・補給水装置
- ストレーナ・エア抜き弁
- 末端機器(FCU・AHU・ファンコイル)
意外と部材点数が多く、図面を読むときは記号を頭に入れておくのが必須。設備の系統図の話はこちらにも書いています。

冷温水配管の方式(2管式・3管式・4管式)
冷温水配管の最初の分かれ道が「何本の管で熱を送るか」 という方式選定です。
| 方式 | 管の本数 | 冷暖切替 | 同時運転 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 2管式 | 往き+還り = 2本 | 季節で切替 | 冷暖同時不可 | 住宅・小規模事務所 |
| 3管式 | 冷往+温往+共通還り = 3本 | 自由 | 同時可 | 中規模ビル(最近少ない) |
| 4管式 | 冷往+冷還+温往+温還 = 4本 | 自由 | 同時可 | 大規模ビル・ホテル |
2管式は最も一般的でコストが安い反面、夏は冷水しか流れないので「南側は冷房、北側は暖房したい」という同時要求に応えられません。4管式は管の本数が倍になるぶん工事費・スペースが増えますが、ホテル客室のように部屋ごとに冷暖を選びたい用途では必須。
3管式は還り管を共通化したコスト圧縮版でしたが、冷温混合による熱損失と制御の複雑さから、最近の新築ではほとんど採用されません。
配管材料の選び方
冷温水配管に使う管種は、圧力区分・媒体温度・管径で選定します。
| 管種 | 規格 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 配管用炭素鋼鋼管(SGP黒) | JIS G 3452 | 蒸気・温水(屋内) | 安価。屋外腐食注意 |
| 白ガス管(SGP白) | JIS G 3452 | 冷温水(屋内) | 亜鉛メッキで屋内ならOK |
| 塩ビライニング鋼管(SGP-VA/SGP-VB) | JWWA K 116 | 冷水・冷却水 | 内面塩ビで防食 |
| 粉体ライニング鋼管(SGP-PA/SGP-PB) | JWWA K 132 | 冷水・冷却水 | 内面エポキシ粉体塗装 |
| 配管用ステンレス鋼管(SUS304TPD) | JIS G 3448 | 高品質要求の用途 | 高耐食。高価 |
実務的には屋内系統はSGP白+保温施工、屋外系統はSGP-VAやSUSが一般的。冷水配管では結露対策が最重要で、内面の腐食より外面結露からの腐食が問題になります。
ガス管全般の話はこちらに書いています。

施工の流れと試運転
冷温水配管の施工は、おおむね以下の順序で進みます。
冷温水配管工事の標準的な流れ
- 機器据付(チラー、ポンプ、AHU、FCU)
- 主管・立管の墨出し・支持金具取付
- 配管の搬入・切断・ねじ切り(または溶接)
- 主管→枝管→末端機器の順で配管接続
- 仕切弁・流量調整弁・ストレーナの取付
- 通水→水圧試験(最高使用圧×1.5倍、保持30分以上)
- 系統内の洗浄(フラッシング)
- 保温・保冷工事
- 試運転・流量調整・温度確認
水圧試験の詳細はこちら。

冷温水配管は閉回路なので、配管内に空気が残ると流量が出なくなり、ポンプもキャビテーション(空転)を起こします。
試運転前に押さえておくべきポイント
- 系統最上部にエア抜き弁(自動エア抜き弁または手動弁)を必ず設置
- 立管の最上部、AHUコイル上部、ヘッダー頂部は重点エア抜き対象
- 通水後は系統水を一度全循環させてから、ストレーナ清掃
- バランシングバルブで流量調整。設計流量±10%が目安
- 流量が出ない箇所は、ストレーナ詰まり・空気溜まりを疑う
フラッシング(系統洗浄) も忘れずに。新設系統には溶接スラグ・ねじ切り粉・パッキン片が必ず混入していて、これを残したまま運転すると流量制御弁・熱交換器を傷めます。少なくとも1回はストレーナ清掃を伴う本格洗浄が必要です。
保温・保冷の重要性
冷温水配管で最大の落とし穴が保温(保冷)施工です。
保温・保冷をサボると起きる問題
- 温水管:熱損失でエネルギー効率が下がる
- 冷水管:表面結露で天井・壁が水浸しになる
- 露点を下回る配管表面に水滴がつき、ビス頭やフランジ部から腐食が始まる
- 結露水で天井ボードがふやける/カビが発生する
冷水配管の保冷材は防湿層付きが原則。ロックウール/グラスウール保温筒の外側にポリエチレン防湿フィルム+アルミガラスクロスを巻いて、水蒸気が保温材内部に入らないようにします。
中規模ビルの新築現場で、冷水ヘッダーの分岐T字部の保冷を「形が複雑だから後で」と後回しにし、試運転時に天井から水滴が落ちて天井ボードを丸ごと交換、というケースを見たことがあります。保冷の最大の弱点は形状複雑部で、フランジ・継手・弁回りこそ丁寧にやる必要があります。
保温の規格・施工はこちらに書きました。

水処理(防食・スケール対策)
冷温水配管は密閉循環なので新水補給は少ないですが、長期運転では水質悪化による腐食・スケールが発生します。
冷温水系の水処理ポイント
- 補給水のpH管理(中性〜弱アルカリ)
- 防食剤(亜硝酸塩系・モリブデン酸塩系)の自動注入
- スケール抑制剤の併用
- 年1回の水質分析(鉄イオン・電気伝導率・pH)
- 系統内が赤水化したら全水抜き+系統洗浄
水処理は施工後の保全フェーズの話なので、施工管理としては「初期充填水の水質を機械設備工事仕様書通りに整える」ことと、「水処理装置の取付・配管接続を漏れなく実施する」ことに責任を持つ範囲です。
冷温水配管で起きがちなトラブル
現場でよく出会う失敗パターンを5つ。
冷温水配管のあるある失敗
- 冷水管の保冷未施工部から結露で天井浸水:分岐T字部・弁回りの形状複雑部で起きがち
- エア抜き不足で流量が出ない:立管頂部のエア抜き弁を取り忘れる
- 異種金属接合での電食:銅管とSGP鋼管を直接接続して、ガルバニック腐食でピンホール
- ストレーナ清掃忘れで詰まる:試運転後、ストレーナを開けずに本運転を始めて流量低下
- 保温の継ぎ目テーピング不足:保温は完璧でも継ぎ目から湿気が入って中の保温材が水を吸う
特に3の電食は新築・改修の異種金属接合で見落とされがち。フランジ間に絶縁フランジセット(絶縁ガスケット+絶縁スリーブ)を入れる、もしくは異種金属が直接触れない継手構成を取るのが対策です。
冷温水配管に関する情報まとめ
- 冷温水配管とは:熱源機⇔FCU・AHU間で冷水・温水を循環させる配管
- 方式:2管式(最一般・冷暖切替)/3管式(少数派)/4管式(同時運転可)
- 配管材料:屋内SGP白/屋外SGP-VA・SUS。圧力・温度・部位で選定
- 保温・保冷:冷水管は防湿層付き保冷が必須。形状複雑部こそ丁寧に
- 試運転:エア抜き、流量調整、ストレーナ清掃、フラッシングの順
- 水処理:防食剤・スケール抑制剤の注入と年1回の水質分析
- 頻発トラブル:保冷未施工部の結露、エア抜き不足、電食、ストレーナ詰まり
以上が冷温水配管に関する情報のまとめです。
一通り冷温水配管の基礎知識は理解できたと思います。「2管式・4管式の違い」と「冷水管の保冷の重要性」を押さえておけば、設備図を読んでもどこに気を遣うべきかが見えてきます。
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