- ニュートン(N)とkgfって何が違うの?
- 1 N は何 kgf になるの?
- なんで2つの単位があるの?
- 構造計算では今どっちを使うの?
- 古い図面のkgf表記をN表記にどう直す?
- ボルト締付トルクの単位はどうなってる?
上記の様な悩みを解決します。
構造計算書を読んでいて「kN」と「kgf」「tf」がごちゃ混ぜに出てきて混乱した経験、施工管理1年目には必ずあります。これは1999年のSI単位切り替え以前と以降で表記が違うため。今回は建築の技術知識として、ニュートンとkgfの違い、換算方法を整理してみます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
ニュートンとkgfの違いとは?
ニュートンとkgfの違いとは、結論「ニュートンがSI単位の力で、kgfが工学単位の力」のことです。
換算の基本式
1 kgf = 9.80665 N ≒ 9.8 N
質量1kgの物体に作用する地表での重力が「1 kgf」、その同じ力を物理学的に表記すると「9.8 N」になります。
ニュートン(N)とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位 | ニュートン |
| 記号 | N |
| 定義 | 質量1kgの物体に1m/s²の加速度を生じさせる力 |
| 体系 | SI単位(国際単位系) |
| 元になる単位 | kg・m・s |
ニュートンは1948年に正式採用されたSI単位の力で、現在国際的に標準とされる単位です。
kgf(重量キログラム)とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位 | 重量キログラム(キログラム重) |
| 記号 | kgf(または kgw、kg重) |
| 定義 | 質量1kgの物体に作用する地球重力下での重力 |
| 体系 | 工学単位系(重量単位系) |
| 元になる単位 | kgf・m・s |
kgfは「1kgの物の重さ」と直感的に対応するため、長年工学計算で慣用的に使われてきた単位です。
Nとkgfの関係式
力 = 質量 × 加速度、の関係から、1 kgf = 1 kg × 9.80665 m/s² = 9.80665 N。
実用計算では g ≒ 9.8 m/s² で 1 kgf ≒ 9.8 N とすることが多く、より粗い丸めでは 1 kgf ≒ 10 N と扱う場合もあります。
ニュートンメートルの話はこちらも参考に。

ニュートンとkgfの換算
実用的な換算を整理しておきます。
基本換算表
| kgf | N | kN |
|---|---|---|
| 1 kgf | 9.8 N | 0.0098 kN |
| 10 kgf | 98 N | 0.098 kN |
| 100 kgf | 980 N | 0.98 kN |
| 1,000 kgf(1 tf) | 9,800 N | 9.8 kN |
| 10,000 kgf(10 tf) | 98,000 N | 98 kN |
逆方向の換算
| N | kgf |
|---|---|
| 1 N | 0.102 kgf |
| 10 N | 1.02 kgf |
| 100 N | 10.2 kgf |
| 1,000 N(1 kN) | 102 kgf |
| 10,000 N(10 kN) | 1,020 kgf(≒ 1 tf) |
ざっくり覚える式
ざっくり覚える式としては、1 kgf → 約 10 N(10倍する)、1 N → 約 0.1 kgf(10分の1)、1 tf(トン重)→ 10 kN(10倍)、1 kN → 約 100 kgf(100倍)、という4つを押さえておけば現場の換算でだいたい間に合います。
応力の単位の換算
| 工学単位 | SI単位 |
|---|---|
| 1 kgf/cm² | 0.098 N/mm²(≒ 0.1 N/mm² = 0.1 MPa) |
| 10 kgf/cm² | 0.98 N/mm² |
| 100 kgf/cm² | 9.8 N/mm² |
| 1,000 kgf/cm² | 98 N/mm² |
例:SS400の降伏応力
工学単位なら約2,400 kgf/cm²、SI単位なら約235 N/mm²(≒ 235 MPa)。
古い設計図書で「2,400 kgf/cm²」と書いてあれば、それは現在の「235 N/mm²」と同じ値です。
圧力の単位の換算
| 工学単位 | SI単位 |
|---|---|
| 1 kgf/m² | 9.8 N/m² = 9.8 Pa |
| 1 kgf/cm² | 98 kPa ≒ 0.1 MPa |
| 1 atm(標準気圧) | 101.325 kPa |
ニュートンとkgfが出てくる具体例
実際の現場で使われる例を整理します。
例①:荷重の表記
| 場面 | 旧表記(kgf) | 現行表記(N) |
|---|---|---|
| RC造単位体積重量 | 2,400 kgf/m³ | 24 kN/m³ |
| 床積載荷重(事務所) | 300 kgf/m² | 2,900 N/m² ≒ 3 kN/m² |
| 屋根積雪荷重 | 30 kgf/m²(1cmあたり) | 約 294 N/m² |
| 風荷重 | 60 kgf/m² | 約 588 N/m² ≒ 0.6 kN/m² |
鉄筋コンクリートの単位体積重量の話はこちらも参考に。

例②:ボルト締付トルク
ボルト締付トルクの単位は、
| 旧表記 | 現行表記 |
|---|---|
| 1 kgf・m | 9.8 N・m |
| 100 kgf・cm | 9.8 N・m |
| 200 kgf・m | 約 1,960 N・m |
例:M16高力ボルト(F10T)の標準締付トルクは、旧表記で約44 kgf・m、現行表記で約430 N・m。
トルクレンチに kgf・m スケールと N・m スケールの両方が付いている製品が、まだ現場では多く使われています。
例③:許容応力
| 材料 | 許容応力(旧) | 許容応力(SI) |
|---|---|---|
| SS400(鋼) | 1,600 kgf/cm² | 156 N/mm² |
| SD345(鉄筋) | 2,000 kgf/cm² | 195 N/mm² |
| Fc24(コンクリート) | 80 kgf/cm² | 7.85 N/mm² |
鉄筋の話はこちらも参考に。

例④:地耐力
| 表記 | 値 |
|---|---|
| 旧 | 5 tf/m² = 5,000 kgf/m² |
| SI | 49 kN/m² ≒ 50 kN/m² |
地盤の地耐力(許容支持力)も、SI化で表記が変わっています。
N値の話はこちらも参考に。

SI単位と工学単位の歴史
なぜ2つの単位系があるか、背景を整理しておきます。
1948年:SI単位の国際採用
国際度量衡総会で、ニュートン(N)が力のSI単位として正式に採用されました。物理学では当然のように使われていましたが、工学分野では従来のkgfが慣性で残り続けました。
1999年:日本の計量法改正で SI単位へ完全切り替え
1999年10月1日施行の計量法改正で、日本の公的・商業・工学計算は原則すべてSI単位に統一されました。建築基準法も同時にSI化されています。
現在:工学単位は「過去の遺産」として残る
| 場面 | 現状 |
|---|---|
| 新規設計 | SI単位(N、kN、N/mm²) |
| 既存図面・古い計算書 | kgf単位が混在 |
| 一部の工具(トルクレンチ等) | kgf・m と N・m の両表記 |
| 業者の口語 | 「トン」「キロ」が現役 |
完全切替から26年経った2026年でも、現場では古い表記を読み解く力が必要です。
換算暗算のコツ
実務でよく出てくる、「10倍」または「100倍」の関係を覚えておくと便利です。
| よく使う変換 | 関係 |
|---|---|
| kgf → N | × 10(厳密 9.8) |
| N → kgf | ÷ 10(厳密 0.102) |
| tf → kN | × 10(厳密 9.8) |
| kN → tf | ÷ 10 |
| kgf/cm² → MPa(N/mm²) | ÷ 10 |
| MPa(N/mm²)→ kgf/cm² | × 10 |
「10倍」または「10分の1」で頭の中で換算できれば、99%の現場会話はカバーできます。
ニュートンとkgfの使い分け
それぞれをどう使い分けるべきか、整理しておきます。
SI単位(N)を使うべき場面
SI単位(N)を使うべき場面は、新規設計図書・構造計算書、公的提出書類(確認申請、検査)、学会論文・学術論文、国際取引・輸出入、というあたり。
kgf単位が許容される場面
kgf単位が許容される場面は、既存図面の改修・補修設計(元図面の表記に合わせる)、現場の口語コミュニケーション(「2トンの梁」など)、一部の工具スケール(トルクレンチ)、既存ベテランとの設計協議、というあたり。
両方を使う場面
両方を使う場面は、図面凡例で「単位:N(kgf)」併記、トルク値の両表記、重量物搬入計画書、というあたり。
実務では「並列で扱える」のがベスト
若手でも、現場の打ち合わせで「この荷重、2 tf って書いてあるけど、これkNで言うと?」と聞かれたら、すぐ「約20 kN」と返せると信用が上がります。両方の単位感覚を持つのが理想です。
ニュートンとkgfの計算の注意点
実務で間違えやすいポイントを整理します。
注意点①:質量と重量の混同
「質量 m(kg)」と「重量 W(N or kgf)」は別の物理量です。質量は物体が持つ物質の量で単位kg・場所を選ばないもの、重量は物体に作用する重力で単位N または kgf・重力加速度に依存するもの、という違いがあります。
「2 kg の鉄」は質量、「2 kgf の力」は重量です。SI単位ではこれが厳密に区別されますが、kgfベースでは混同しやすいです。
注意点②:kgとkgfを略して「kg」と書く慣行
「質量100kgの物の重さ100kg」と書く慣行が日本にはありますが、これは厳密には誤り。物の重さは100 kgf(≒ 980 N)と書くべき。SI単位の図面では、質量は100 kg、重量は980 N(または0.98 kN)と明確に区別します。
注意点③:単位の桁ミス
kgf → N の換算で桁を1つ間違えるミスが起こりがち。
例:1 tf を 98 N と書いてしまう(正しくは 9,800 N = 9.8 kN)。
| 単位 | 値 |
|---|---|
| kgf | g(グラム重)の1,000倍 |
| tf | kgfの1,000倍 |
| N | kgfの約10倍 |
| kN | Nの1,000倍 |
桁の整理をチェック表で確認するクセを付けましょう。
注意点④:応力の単位での換算
応力の単位での換算は、N/mm² = MPa、kgf/cm² → N/mm² は÷10、kgf/cm² → kN/m² は×100、というのが基本ルール。
「1 N/mm² = 10 kgf/cm²」を基本に、桁の関係を整理。
注意点⑤:重力加速度の値
精密計算では g = 9.80665 m/s² ですが、一般工学では g = 9.8 m/s²、簡易計算では g = 10 m/s²、というふうに使い分けます。g = 10 m/s² を採用した計算書では、kgf → N の換算が10倍ぴったりになっています(つまり厳密値より約2%大きく出る)。
僕も新人時代に、既存の電気室基礎のリプレース工事で古い昭和の構造計算書(kgf/cm²、tf/m²)を読みながら設計図を作り直す仕事をしたことがあります。最初は「kgf/cm²」がパッと頭に入らず、エクセルで換算表を作って横に置いていたのですが、「÷10すればMPaになる」「×10すれば現行表記」の感覚が身に付くと、暗算で読めるようになりました。単位の換算は、最初は表を作って慣れるのが王道です。
ニュートンとkgfに関する情報まとめ
- ニュートンとkgfの違い:SI単位 vs 工学単位(旧来の重量単位)
- 換算:1 kgf ≒ 9.8 N、ざっくり 1 kgf ≒ 10 N
- 応力換算:1 kgf/cm² ≒ 0.1 MPa
- 歴史:1948年SI採用、1999年日本でSI完全切り替え
- 例:RC自重 2,400 kgf/m³ = 24 kN/m³、SS400 235 N/mm² = 2,400 kgf/cm²
- 使い分け:新規はSI/既存改修はkgf併記/現場会話は両方
- 注意点:質量と重量の区別/桁ミス/応力の換算/重力加速度の値
以上がニュートンとkgfに関する情報のまとめです。
「kgfに10をかければN、Nを10で割ればkgf」というシンプルな関係を頭に入れておけば、現場での換算は十分こなせます。古い図面と新しい図面を行き来する施工管理にとって、両単位を併走できる感覚はとても大事な基礎技能です。一通りニュートンとkgfに関する基礎知識は理解できたと思います。
合わせて、単位・力・モーメントに関連する知識もチェックしておきましょう。







