- 構造形式って結局何種類覚えればいいの?
- ラーメン構造って食べ物のラーメンと関係あるの?
- 剛接合とピン接合の違いがいまいち分からない
- 壁式構造って柱がないの?どうやって建ってる?
- ブレース構造とラーメン構造、どっちを使うか誰が決める?
- 構造形式と構造種別(S造・RC造)って同じ意味?違う?
- 地震のとき各構造はどう力を受け止めてるの?
- 図面のどこを見れば構造形式がわかる?
- 現場で建方を見て構造形式を見分けたい
- 形式ごとのメリット・デメリットを一覧で比較したい
上記の様な悩みを解決します。
構造形式とは、結論「建物が地震や風の水平力にどうやって抵抗するか、その仕組みの種類」のことです。ラーメン・壁式・ブレース・トラスといった名前は聞くけれど、「S造・RC造(構造種別)」とどう違うのか、現場でどう見分けるのかが曖昧なまま、という人は多いですよね。今回は4つの代表的な構造形式と違いといった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で「構造形式と構造種別の整理」「地震時の力の流れ」「形式ごとの施工管理ポイント」まで、現場で効くところを網羅的に整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
構造形式とは?
構造形式とは、結論「建物が地震や風などの水平力に、どうやって抵抗するか」を表す仕組みの種類のことです。
建物には、自分自身の重さや積載物による「鉛直力(縦方向の力)」と、地震や風による「水平力(横方向の力)」がかかります。このうち特に厄介なのが水平力で、これを柱・梁・壁・斜め材のどれで、どう受け止めるかによって構造形式が分かれます。柱と梁をガッチリ固めて抵抗するのか、壁という面で抵抗するのか、斜めの部材(筋交い)で抵抗するのか、という違いですね。
代表的な構造形式は次の4つです。
- ラーメン構造:柱と梁を剛接合して、その曲げ抵抗で水平力に耐える
- 壁式構造:耐力壁という「面」で水平力に耐える
- ブレース構造:柱梁の枠にブレース(斜め材)を入れ、その軸力で水平力に耐える
- トラス構造:三角形を組み合わせ、各部材の引張・圧縮で力を伝える
建築構造の全体像はこちらが詳しいです。

僕の感覚だと、構造形式は「水平力(横揺れ)を何で受け止めるか」という一点で整理すると、4つの違いがスッと頭に入ります。柱梁で受けるのがラーメン、壁で受けるのが壁式、斜め材で受けるのがブレース、三角形で受けるのがトラス、という具合です。この「何で水平力を受けるか」を軸に、以降の各形式を見ていくと混乱しません。
構造形式と構造種別(S造・RC造)の違い
ここで最初につまずきやすいのが、「構造形式」と「構造種別」の混同です。結論から言うと、この2つは別の分類軸です。
- 構造形式:水平力への抵抗の「仕組み」による分類(ラーメン・壁式・ブレース・トラス)
- 構造種別:建物の骨組みに使う「材料」による分類(木造・S造・RC造・SRC造)
つまり「ラーメンかブレースか」は仕組みの話、「S造かRC造か」は材料の話で、レイヤーが違います。両者は組み合わせて使われるので、実務では「RCラーメン構造」「S造ブレース構造」のように、構造種別+構造形式のセットで呼びます。これが「なぜ組合せで言うのか」の答えです。
代表的な組み合わせを整理すると次のようになります。
| 構造種別\構造形式 | ラーメン | 壁式 | ブレース | トラス |
|---|---|---|---|---|
| RC造(鉄筋コンクリート) | RCラーメン(ビル・マンション) | 壁式RC(低層集合住宅) | △(少ない) | △ |
| S造(鉄骨) | S造ラーメン(中高層ビル) | △ | S造ブレース(工場・倉庫) | トラス屋根(体育館等) |
| 木造 | 木造ラーメン(一部) | 壁式(在来・2×4) | 筋交い(在来軸組) | 小屋組トラス |
材料ごとの違い(S造・RC造・SRC造)はこちらが参考になります。


正直なところ、新人のうちは「S造=ラーメン」「RC造=壁式」のように1対1で覚えてしまいがちですが、実際はS造でもブレースやトラスを使うし、RC造でもラーメンと壁式の両方があります。「材料(種別)」と「仕組み(形式)」は独立した2軸で、掛け算で建物が決まる、と捉えておくと図面を読むときに混乱しません。
ラーメン構造
ラーメン構造とは、結論「柱と梁を剛接合(一体化)して、その骨組みの曲げ抵抗で水平力に耐える構造」のことです。
「ラーメン」は食べ物ではなく、ドイツ語の「Rahmen(額縁・枠)」が語源です。柱と梁の接合部を、角度が変わらないようにガッチリ固める「剛接合」でつなぎます。地震や風で横から力がかかると、柱と梁が一体となって粘り、曲げで力を受け止めます。
剛接合とは、接合部の角度が固定されて回転しない接合方法のことです。これに対して、力がかかると接合部が回転してしまうのが「ピン接合」で、ブレース構造で出てきます。
ラーメン構造のメリットは、壁や斜め材で水平力を受けないので、大きな窓・広いスパン・吹き抜けといった大開口を自由に取れることです。オフィスビル・マンション・商業施設で広く使われます。デメリットは、水平力を柱梁で受けるため柱・梁が太くなりやすく、室内に柱型・梁型の出っ張りができやすいことです。
ラーメン構造の詳細はこちらで深掘りしています。

僕としては、ラーメン構造は「柱と梁の枠組みそのものが踏ん張って横揺れに耐える構造」とイメージすると分かりやすいと感じます。壁に頼らない分だけ間取りの自由度が高い反面、接合部(剛接合)の出来が構造性能を左右するので、後述する溶接管理が施工のキモになります。
壁式構造
壁式構造とは、結論「柱や梁ではなく、耐力壁という『面』で建物を支え、水平力に耐える構造」のことです。
ラーメン構造が「線(柱・梁)」で支えるのに対して、壁式構造は「面(壁)」で支えます。正確には柱や梁が全く無いわけではなく、壁の中に納まって外からは見えない形になります。壁と床という面で箱のように組み立てるので、室内に柱型・梁型の出っ張りが出にくく、すっきりした空間になるのが特徴です。
メリットは、面で支えるので耐震性が高く、防音・断熱の効果も期待できること。デメリットは、耐力壁を一定量確保しなければならないため、大きな開口(窓・吹き抜け)を自由に設けにくいことです。また、構造上の制約から高さ(階数)に制限があり、一般的なRC壁式構造は5階建て程度までとされています。低層の公営住宅・UR団地・5階建て以下のRCマンションでよく採用されます。
壁式構造の詳細はこちらが参考になります。

実務だと、壁式構造は「壁を抜けない(撤去できない)」点が、リフォームや将来の間取り変更で効いてきます。マンションで壁式かラーメンかによって、後から間取りをいじれる範囲が変わるので、図面で構造形式を見分けられると入居者対応や改修計画でも役立ちます。
ブレース構造
ブレース構造とは、結論「柱と梁の枠に、ブレース(筋交い)と呼ばれる斜め材を入れて、その軸力で水平力に耐える構造」のことです。
ブレース構造では、柱と梁の接合部は基本的にピン接合(力がかかると回転する接合)にして、水平力は斜めに入れたブレースが引張・圧縮の軸力で受け持ちます。柱・梁は主に鉛直力(建物の重さ)を支える役割に専念できるので、ラーメン構造に比べて柱・梁を細くできるのがメリットです。
ブレース(筋交い)は、四角い枠の対角線上に斜めに入れる部材で、地震や風の水平力に抵抗するのが役割です。鉄骨造(S造)の工場・倉庫・体育館・店舗など、大空間を経済的に作りたい建物で標準的に使われます。
ブレースの詳細はこちらが参考になります。


現場目線で言えば、ブレース構造は「斜めの筋交いが横揺れを一手に引き受ける構造」と捉えると分かりやすいです。だからこそブレースの取り付け精度(建入れ)と、ターンバックル付きブレースの調整・本締めが構造性能に直結します。ここは後半の施工ポイントで触れます。
トラス構造
トラス構造とは、結論「部材を三角形に組み合わせて、各部材の引張力・圧縮力で力を伝える構造」のことです。
三角形は、四角形と違って各辺の長さが決まると形が変形しない(安定する)という幾何学的な性質があります。この性質を利用して、細い部材を三角形に組むことで、軽くても大きな力に耐える構造を作れます。各部材には引張力か圧縮力(軸力)だけがかかり、曲げが生じにくいので、部材を効率よく使えるのが特徴です。
体育館の屋根、鉄橋(トラス橋)、大スパンの屋根架構など、「柱を立てずに大きな空間を覆いたい」場面でよく使われます。建物全体というより、屋根や橋といった大空間の架構に使われることが多い構造形式です。
トラス構造の詳細はこちらが参考になります。

僕の考えでは、トラス構造は「三角形は変形しない、という性質を最大限に使った構造」と押さえると本質が掴めます。ラーメン・壁式・ブレースが建物の骨格(柱梁壁)の話なのに対して、トラスは大スパンの屋根・橋といった特定の場面で出てくる、という位置づけの違いも意識しておくと整理しやすいです。
4つの構造形式の比較
ここまでの4形式を、水平力の受け方・メリット・デメリット・主な用途で比較します。
| 構造形式 | 水平力の受け方 | 接合 | メリット | デメリット | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| ラーメン | 柱梁の曲げ抵抗 | 剛接合 | 大開口・間取り自由 | 柱梁が太い・凹凸 | ビル・マンション |
| 壁式 | 耐力壁(面) | − | 耐震性・防音・すっきり | 開口制限・高さ制限 | 低層RC集合住宅 |
| ブレース | 斜め材の軸力 | ピン接合+ブレース | 部材が細い・経済的 | ブレースで開口制限 | 工場・倉庫・体育館 |
| トラス | 三角形の軸力 | ピン接合 | 軽量で大スパン | 屋根・橋など用途限定 | 体育館・橋 |
地震時の力の流れで見る違い
施工管理として一段深く理解するなら、「地震の力がどの部材に、どんな形で流れるか」で見ると腑に落ちます。
- ラーメン:水平力 → 柱と梁の接合部に「曲げモーメント」として流れる
- 壁式:水平力 → 耐力壁が「面のせん断力」で受け止める
- ブレース:水平力 → ブレースに「引張・圧縮の軸力」として流れる
- トラス:荷重 → 各部材に「引張・圧縮の軸力」として分散する
つまりラーメンは「曲げ」、壁式は「面のせん断」、ブレースとトラスは「軸力」で力を処理している、という違いです。曲げモーメントや軸力といった力の種類を押さえると、各形式の部材がなぜそういう太さ・配置になっているかが見えてきます。
耐震の考え方全体はこちらも参考になります。


僕としては、構造形式の違いを「メリデメの暗記」で覚えるより、「水平力がどの部材にどう流れるか」で理解しておくほうが、試験でも現場でも応用が利くと感じます。力の流れが分かれば、なぜラーメンは接合部が大事で、なぜブレースは斜め材の精度が大事なのか、という施工管理のポイントまで一本でつながります。
施工管理が押さえる構造形式別のポイント
最後に、施工管理として現場で構造形式とどう向き合うかを整理します。形式によって「どこを重点的に管理するか」が変わるので、ここを押さえておくと現場での見方が一段深くなります。
図面・現場での見分け方
まず図面では、構造図(伏図・軸組図)を見ると構造形式が分かります。柱梁中心で開口が大きければラーメン、壁が構造要素として描かれていれば壁式、軸組図に斜めのブレースが入っていればブレース構造、というのが基本の見分け方です。現場では建方の段階で、柱梁を剛接合(溶接・高力ボルト)で組んでいくのか、ブレースを入れていくのか、壁配筋を組んでいくのかで判別できます。
構造図の読み方はこちらが参考になります。

形式別の施工管理の重点
- ラーメン構造:剛接合部の品質が命。S造なら柱梁接合部の溶接(開先・脚長・溶接欠陥)の管理、RC造なら柱梁接合部の配筋(定着・かぶり)の管理が重点
- ブレース構造:ブレースの取り付け精度(建入れ直し)と、ターンバックル付きブレースの調整・本締めが重点。ブレースが効いて初めて水平力に抵抗するので、未調整・緩みは厳禁
- 壁式構造:耐力壁の配筋(縦横筋・開口補強)と、コンクリートの確実な充填(ジャンカ・コールドジョイント防止)が重点。壁が構造の主役なので打設品質が直結する
- トラス構造:節点(接合部)の精度と、各部材の建入れ・仮設計画。大スパンを地組み・揚重する手順の安全管理も重要
溶接欠陥や接合部の管理はこちらが参考になります。

混合構造という選択肢
なお、1棟の中で構造形式を組み合わせる「混合構造」もあります。たとえば下層階をRCラーメン、上層階を壁式にする、あるいは方向によってラーメンとブレースを使い分ける、といったケースです。図面を見て「全部同じ形式」と思い込まず、階や方向で形式が変わっていないかを確認するのが実務的です。
個人的には、構造形式は「知識として4種類覚える」ところで止めず、「自分の現場がどの形式で、だからどこを重点管理するか」まで落とし込めると、一気に実務で使える知識になると感じます。形式が分かれば検査の着眼点が変わるので、配筋検査・溶接検査・建入れ検査の精度も上がっていきます。
構造形式に関する情報まとめ
- 構造形式とは:建物が地震・風の水平力にどう抵抗するかの仕組みの種類
- 構造種別との違い:構造形式は「仕組み」、構造種別(木造・S造・RC造・SRC造)は「材料」。別軸で組み合わせて使う(例:RCラーメン)
- ラーメン構造:柱梁を剛接合し曲げで抵抗。大開口が取れる。ビル・マンション
- 壁式構造:耐力壁(面)で抵抗。耐震性高く開口・高さに制限。低層RC集合住宅
- ブレース構造:ピン接合+斜め材の軸力で抵抗。部材が細く経済的。工場・倉庫・体育館
- トラス構造:三角形の軸力で力を伝える。大スパンの屋根・橋
- 力の流れ:ラーメン=曲げ、壁式=面のせん断、ブレース・トラス=軸力
- 施工管理の重点:ラーメンは接合部(溶接・配筋)、ブレースは建入れ・本締め、壁式は配筋・打設、トラスは節点精度・揚重計画
- 見分け方:構造図(伏図・軸組図)と建方の様子で判別。混合構造もあるので階・方向で変化がないか確認
以上が構造形式に関する情報のまとめです。
構造形式は「水平力を何で受け止めるか」で4種類に整理でき、構造種別(S造・RC造)とは別軸で組み合わさって建物が決まります。力の流れで理解しておけば、形式ごとに施工管理のどこを重点管理すべきか(接合部・建入れ・打設)まで一本でつながります。図面で構造形式を判別し、検査の着眼点を形式に合わせて変えられるようになると、一級・二級の試験対策にも、日々の品質管理にもそのまま効いてくるはずです。
構造形式に関するよくある質問
Q1:構造形式と構造種別(S造・RC造)は何が違うのですか?
分類の軸が違います。構造形式は「水平力にどう抵抗するか(仕組み)」による分類で、ラーメン・壁式・ブレース・トラスがあります。構造種別は「骨組みに使う材料」による分類で、木造・S造(鉄骨造)・RC造(鉄筋コンクリート造)・SRC造があります。両者は独立した2軸なので、実務では「RCラーメン構造」「S造ブレース構造」のように、種別と形式を組み合わせて呼びます。
Q2:ラーメン構造の「ラーメン」は食べ物と関係ありますか?
関係ありません。ドイツ語の「Rahmen(ラーメン)=額縁・枠」が語源です。柱と梁を剛接合でつないだ枠組みが、額縁のように一体で水平力に抵抗することからこの名前が付いています。食べ物のラーメンとは無関係で、建築・土木で広く使われる構造用語です。
Q3:壁式構造に柱はないのですか?
柱や梁が全く無いわけではなく、壁の中に納まって外からは見えない形になっています。壁式構造は「耐力壁という面」で主に水平力を支えるのが特徴で、ラーメン構造のように室内に出っ張る柱型・梁型が出にくいので、すっきりした空間になります。その代わり耐力壁を一定量確保する必要があるため、大きな開口は設けにくく、高さ(階数)にも制限があります(一般的なRC壁式は5階程度まで)。
Q4:ラーメン構造とブレース構造は、どちらを使うか誰が決めるのですか?
構造設計者(構造一級建築士など)が、建物の用途・規模・スパン・コスト・意匠の要望を踏まえて決めます。大開口や自由な間取りが必要ならラーメン、工場・倉庫のように大空間を経済的に作りたいならブレース、という選び方が一般的です。施工管理は決定された構造形式を図面で正しく読み取り、形式に応じた施工・検査を行う立場になります。
Q5:構造形式によって施工管理のポイントは変わりますか?
大きく変わります。ラーメン構造は剛接合部の品質(S造なら溶接、RC造なら柱梁接合部の配筋)が最重要です。ブレース構造はブレースの取り付け精度(建入れ直し)とターンバックルの調整・本締めが重点になります。壁式構造は耐力壁の配筋とコンクリートの確実な充填(ジャンカ・コールドジョイント防止)が直結します。形式ごとに「構造性能を決める部位」が違うので、検査の着眼点もそれに合わせて変えます。
Q6:1つの建物で複数の構造形式を使うことはありますか?
あります。「混合構造」と呼ばれ、たとえば下層階をRCラーメン・上層階を壁式にする、あるいは建物の方向(X方向とY方向)でラーメンとブレースを使い分ける、といったケースがあります。図面を見るときは「建物全部が同じ形式」と思い込まず、階や方向で構造形式が切り替わっていないかを確認することが大切です。
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