- 気密試験ってなに?
- 水圧試験や満水試験とどう違うの?
- 配管の気密試験と建物の気密測定って同じ?別物?
- 試験圧力や時間はどう決まる?
- 合格基準ってどこに書いてある?
- 漏れたらどうやって直す?
上記の様な悩みを解決します。
「気密試験」は現場でよく出てくる言葉ですが、実は 「配管の漏れがないかを確認する試験」 と 「建物全体の隙間量(C値)を測る試験」 の2つの文脈で全く違う意味で使われます。混同したまま打合せに出ると、設計事務所と話が噛み合わなくなる地味に厄介なやつです。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
気密試験とは?
気密試験とは、結論「配管や建物に空気圧をかけて、漏れがないか・どれくらい漏れるかを測定する試験」のことです。英語では air tightness test。
施工管理の現場で「気密試験」と言われたら、まず文脈を確認するのが鉄則。同じ単語でも、対象によって試験方法も合格基準もまったく別物だからです。
「気密試験」が指す2つの文脈
- 設備配管の気密試験:ガス管・冷媒管・通気管などに圧縮空気を入れて漏れを確認する試験
- 建物(住宅・ビル)の気密測定:建物全体に減圧/加圧をかけてC値(相当隙間面積)を測る試験
呼び方も微妙に違っていて、設備配管は 「気密試験」「漏れ試験」 が主流、建物は 「気密測定」「C値測定」 と呼ばれます。ただ現場では混在しているので「気密試験お願いします」とだけ言われると、設備屋さんは配管試験、住宅メーカーはC値測定をイメージします。
似た試験との違い
混乱しがちな兄弟試験との関係を整理しておきます。
| 試験名 | 媒体 | 対象 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 気密試験 | 圧縮空気・窒素 | ガス管・冷媒管・通気管 | 漏れの有無 |
| 水圧試験 | 水 | 給水管・消火管 | 漏れ+耐圧 |
| 満水試験 | 水 | 排水管・通気管 | 漏れ+通水 |
| 気密測定(C値) | 空気 | 建物全体 | 隙間量の定量 |
水圧試験との使い分けについてはこちらでも触れています。

設備配管の気密試験
ガス管や冷媒管など、水を入れたくない/入れられない配管で実施するのが配管の気密試験です。
対象になる配管
気密試験を行う代表的な配管
- 都市ガス・LPガス配管(ガス事業法・液化石油ガス法に基づく)
- 冷媒配管(フロン排出抑制法、JRA-4055)
- 通気管・ベント管(公共建築工事標準仕様書 機械設備工事編)
- 圧縮空気配管・窒素配管
- 医療ガス配管
水で試験すると、配管内に水が残って次工程で困るケース(冷媒系・ガス系)や、そもそも水を入れる構造になっていない系統(通気管)で気密試験が選ばれます。
試験圧力と保持時間
代表例として、空調冷媒配管(R32・R410A等)の気密試験を国交省「公共建築工事標準仕様書 機械設備工事編」ベースで整理するとこうなります。
| 段階 | 試験圧力 | 保持時間 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1次試験 | 0.5 MPa | 5分以上 | 大きな漏れの早期発見 |
| 2次試験 | 1.5 MPa | 5分以上 | 中程度の漏れ確認 |
| 3次試験 | 4.15 MPa(R32) | 24時間以上 | 微小漏れの確認 |
R410A/R32は「設計圧力 × 1.0以上」の試験圧力で実施するのが基本。最終3次試験で24時間圧力が保持できれば合格、というのが現場の実運用ですね。
ガス配管はこれとは別で、都市ガスの低圧配管なら 8.4 kPa以上で1分以上保持(ガス事業法施行規則)とか、用途・圧力区分で細かく決まっているので、必ず仕様書と所轄の規定を確認する流れになります。
試験ガスは窒素が標準
現場では「気密試験=窒素ガスを入れる」のが標準です。
窒素を使う理由
- 不活性ガスなので可燃ガスと混ざっても発火・爆発のリスクがない
- 水分を含まない(乾燥窒素なら配管内も乾く)
- 圧縮空気と違ってオイルや水分の混入がない
- 冷媒配管なら、その後の真空引きや冷媒充填と相性が良い
中規模オフィスのテナントビル空調更新で、設備の協力会社さんが窒素ボンベ(容量44.6L、充填圧150kg/cm²)を3本搬入していたのを横で見たことがあります。ボンベ代と充填代でざっくり20万円という見積もりが出ていて、「気密試験のためだけにこれだけ掛けるのか」と驚いた記憶です。ただ圧縮空気で代用すると水分とコンプレッサーオイルが冷媒回路に入って後から不具合が出るので、ここはコストを払ってでも窒素一択ですね。
漏れの探し方
圧力低下が確認されたら、漏れ箇所を特定する必要があります。
漏れ箇所の特定方法
- 発泡液(リークチェッカー):継手・溶接部に塗布して泡で確認。最も基本
- 電子式リークディテクタ:冷媒漏れに特化、フロンに反応
- 超音波式漏れ検知器:高圧配管で使用、漏れ音を可聴域に変換
- ヘリウムリークテスト:医療ガス・極微小漏れの確認
施工管理として現場で使うのは発泡液がほとんど。1L 1,000円程度の安価な道具ですが、ロウ付け継手の微小漏れまでしっかり拾ってくれます。
建物の気密測定(C値)
もう一方の文脈が、建物全体の気密性能を測定する試験です。住宅省エネ基準・ZEH・HEAT20など、住宅性能の議論で頻出します。
気密測定の目的
建物の気密測定は、C値(相当隙間面積) を実測することが目的です。
C値(cm²/m²)= 建物の総相当隙間面積(cm²)÷ 床面積(m²)
C値が小さいほど隙間が少なく、計画換気の効率や冷暖房負荷の削減に直結します。HEAT20などの高断熱住宅では「C値 1.0以下」を目標にする例が多く、寒冷地のZEHレベルだと 0.5以下 を狙うケースも増えています。
ただし、2025年改正建築物省エネ法では新築住宅の省エネ基準適合義務化が始まりましたが、C値そのものに法的な基準値はありません(断熱基準UA値とは違う)。住宅メーカー・設計事務所の任意目標としての位置付けです。
UA値(外皮平均熱貫流率)の計算方法はこちらにまとめています。

測定方法(JIS A 2201)
建物の気密測定はJIS A 2201で標準化されており、減圧法(または加圧法) で実施します。
気密測定の基本手順
- 内装下地完了後(気密ライン完成後)に実施
- すべての給排気口・換気扇を養生テープで塞ぐ
- 大型の送風機(気密測定器)を玄関などに設置
- 室内を強制的に減圧(または加圧)
- 圧力差ごとの風量を測定し、隙間特性を算出
- 結果からC値・αA値・n値を算定
測定機材は「気密測定器」と呼ばれる送風機+測定器のセットで、1日のレンタルで2〜4万円程度。1回の測定で1〜2時間ほどかかります。
失敗しやすいポイント
C値測定でよくある失敗パターン。
気密測定でハマるポイント
- 換気扇のシャッターを閉め忘れて漏れ扱いになる
- 配管・配線の貫通部の処理漏れ(ここが最大の犯人)
- コンセントボックス背面の気流止め処理忘れ
- サッシ気密パッキンの噛み込み
- 玄関ドアのドアスイープ部から漏れ
配管・配線の貫通部はまさに電気・設備工事の責任分界線そのものなので、施工管理者として 配筋検査と同じ熱量で「貫通部チェック」をやる くらいでちょうどよいです。気密パッキン1つ忘れるだけで、C値が0.5から1.5に跳ね上がる、なんてのもザラです。
試験のタイミングと工程上の注意
気密試験は工程に組み込むタイミングが命なので、ここで両方の試験を比較しておきます。
| 試験 | タイミング | 配管・建物の状態 | 失敗時の手戻り |
|---|---|---|---|
| 配管気密試験 | 配管完了後・断熱被覆前 | 露出 | 中(部位特定→補修) |
| 建物気密測定 | 内装下地完了後・仕上げ前 | 隙間処理完了 | 大(仕上げハツリ) |
特に建物気密測定は、ボード貼り直前の絶妙なタイミング で実施しないと、漏れが見つかっても仕上げを剥がして直すしかなくなります。
ボード関連の話はこちらにも書いています。

僕の前職の現場では、気密測定をプラスターボード張りの直後にやってしまい、コンセントBOX周りからの漏れが見つかって、ビニルクロス施工後だったから補修を諦めた、という残念な話がありました。タイミングだけは絶対に妥協できないですね。
気密試験で起きがちなトラブル
最後に、現場でよく起きるトラブルを5つ挙げておきます。
気密試験のあるある失敗
- 温度補正忘れ:気温が下がると圧力も下がる。試験中の気温変化を読み取らずに「漏れた!」と騒ぐ
- ボンベ圧不足:3次試験で4.15MPa入れたいのに、窒素ボンベの残圧を読まず途中で足りなくなる
- 配管末端の養生忘れ:プラグ止めしていない配管口を見落として、当然漏れる
- 継手のロウ付け忘れ:ロウ付け継手を「メカニカルでいいか」と判断ミスして、後で気密が抜ける
- 建物気密測定で換気の電源が入っている:レンジフードの自動運転に気付かず、減圧と相殺される
特に温度補正は知らないと事故ります。気密試験は 「圧力の絶対値ではなく圧力降下量を見る」 ので、温度変化分を補正しないと数字が暴れます。気温が10℃下がれば圧力も理論上3〜4%落ちる、と覚えておくと慌てなくて済みます。
気密試験に関する情報まとめ
- 気密試験とは:配管や建物に空気圧をかけて漏れを確認する試験。文脈で意味が変わる
- 2つの文脈:①設備配管の気密試験(ガス・冷媒・通気管)、②建物の気密測定(C値)
- 配管の試験圧力:冷媒なら設計圧力×1.0以上、3段階で1次〜3次まで実施。最終は24時間保持
- 試験ガス:窒素が標準。圧縮空気は冷媒系では使わない
- 建物のC値:JIS A 2201で標準化。HEAT20級なら1.0以下、寒冷地ZEHなら0.5以下が目安
- 漏れ探索:発泡液が基本。電子式・超音波式は補助
- タイミング:配管は被覆前、建物は内装下地完了直後(仕上げ前)
- 頻発トラブル:温度補正忘れ、ボンベ圧不足、貫通部の気流止め忘れ
以上が気密試験に関する情報のまとめです。
一通り気密試験の基礎知識は理解できたと思います。「気密試験」と一言で言っても配管系と建物系で全く違うものだ、という点だけでも掴んでおけば、現場で会話が噛み合わなくなることはぐっと減るはずです。
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