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弾性率の単位とは?GPa・N/mm²・kgf/cm²、換算など

  • 弾性率の単位って結局どれを使えばいいの?
  • GPaとMPaとN/mm²ってどう違う?
  • 古い計算書のkgf/cm²はどう換算する?
  • せん断弾性係数や体積弾性率も同じ単位でいいの?
  • 鋼・コンクリート・木材それぞれの代表値は?
  • 単位の付け間違いを防ぐコツは?

上記の様な悩みを解決します。

弾性率(ヤング率・せん断弾性係数・体積弾性率)の単位は、教科書では GPa、構造計算書では N/mm²、海外資料では psi、昭和の計算書では kgf/cm² と、出てくるところによってバラバラ。同じ値なのに数字の桁が違うので、初学者は「単位を変換しただけで間違いだと思う」ような落とし穴にハマりがちです。本記事では、弾性率の単位の全パターンと換算を、現場で迷わない形で整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

弾性率の単位とは?

弾性率の単位とは、結論「『応力 ÷ ひずみ』の単位で、応力と同じくパスカル(Pa)を基本としたものすべて」のことです。

ひずみは「変形量 ÷ 元の長さ」で無次元(単位なし)になるので、弾性率の単位は応力(圧力)と同じ単位を取ります。

現代の標準は N/mm²(= MPa)と GPa

弾性率と一口に言っても、ヤング率(縦弾性係数)・せん断弾性係数(横弾性係数)・体積弾性率の3種類があり、いずれも単位は同じ「圧力の単位」になります。弾性率の種類そのものの違いは別記事に整理してあります。

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弾性率はすべて「圧力の単位」と覚えれば、表記が違っていても瞬時に同じ仲間だと判断できる、という訳ですね。

弾性率で使われる単位の一覧

実務・学術・古い計算書で出てくる単位はおおむねこの一覧で網羅できます。

単位 読み方 系統 典型的な出現場所
Pa パスカル SI単位(基本) 理学・教科書(小さすぎてあまり使わない)
MPa メガパスカル SI単位 機械・土木
N/mm² ニュートン毎平方ミリ SI単位 建築構造設計(最頻出)
GPa ギガパスカル SI単位 ヤング率・材料規格(最頻出)
kN/mm² キロニュートン毎平方ミリ SI単位 構造計算書(GPaと同義)
kgf/cm² キログラム重毎平方センチ 工学単位(旧SI) 1979年以前の計算書
kgf/mm² キログラム重毎平方ミリ 工学単位(旧SI) 旧構造計算書
psi ポンド毎平方インチ ヤード・ポンド単位 米国規格
ksi キロポンド毎平方インチ ヤード・ポンド単位 米国規格

建築実務でほぼ毎日見る単位は、N/mm²・GPa・kN/mm²の3つです。

単位換算の早見表

換算をその都度計算機で叩くと事故の元なので、よく使う換算は丸暗記しておくのがおすすめ。

SI単位の中での換算

SI単位内の換算は、1 GPa = 1,000 MPa = 1,000 N/mm² = 1 kN/mm²、1 MPa = 1 N/mm² = 0.001 GPa、1 N/mm² = 1 MPa = 0.001 GPa、という関係。つまり「N/mm² と MPa は同じ値」「kN/mm² と GPa は同じ値」と覚えてしまえばOKです。

SI単位 ⇔ 旧工学単位の換算(重力加速度 9.80665 m/s² を使う)

SI⇔旧工学単位の換算は、1 N/mm² ≒ 10.197 kgf/cm² ≒ 0.10197 kgf/mm²、1 MPa ≒ 10.197 kgf/cm²、1 GPa ≒ 10,197 kgf/cm² ≒ 101.97 kgf/mm²、1 kgf/cm² ≒ 0.0981 N/mm² ≒ 0.0001 GPa、1 kgf/mm² ≒ 9.81 N/mm² ≒ 0.00981 GPa、という関係になります。

ザックリ換算(実務で使う暗算)

実務での暗算用のザックリ換算は、1 N/mm² ≒ 10 kgf/cm²、1 GPa ≒ 10,000 kgf/cm² = 100 kgf/mm²、1 kgf/mm² ≒ 10 N/mm²、というあたりを丸覚えしておけば便利です。

SI ⇔ ヤード・ポンド換算

SI⇔ヤード・ポンド換算は、1 psi ≒ 0.006895 MPa(≒ 1/145 N/mm²)、1 ksi ≒ 6.895 MPa(≒ N/mm²)、という関係。

実務では「N/mm² ↔ kgf/cm²」の換算が圧倒的に多く出てきます。kgとkgfの違い・SI移行の話は次の記事で整理しています。

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弾性率の代表値を単位ごとに見る

代表的な材料の弾性率を、複数の単位で並べたのが下の表です。同じ材料でも書き方で見た目の数字が大きく変わることに注意。

材料 N/mm² (MPa) GPa kN/mm² kgf/cm² kgf/mm²
鋼材(鉄骨) 205,000 205 205 約 2,090,000 約 20,900
ステンレス(SUS304) 197,000 197 197 約 2,008,000 約 20,080
アルミニウム 70,000 70 70 約 714,000 約 7,140
コンクリート(Fc24) 25,000 25 25 約 255,000 約 2,550
木材(スギ) 7,000 7 7 約 71,400 約 714
RC造のヤング比 n (E_s/E_c ≒ 9.3)

同じ「鋼材のヤング率」でも、教科書では「205 GPa」、構造計算書では「205,000 N/mm²」、昭和の計算書では「2,090,000 kgf/cm²」となります。3つとも完全に同じ値です。

鋼材のヤング率の詳細はこちら。

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弾性率の種類別・単位の使い分け

ヤング率以外の弾性率(せん断弾性係数・体積弾性率)も単位は同じですが、組み合わせで出てくる記号が違うので頭の整理として一覧化します。

ヤング率(縦弾性係数)E

ヤング率は、記号がE(または Y)、定義はσ ÷ ε(縦方向の応力÷縦方向のひずみ)、単位はN/mm²・GPa、鋼の代表値は205,000 N/mm² = 205 GPa、というところ。

せん断弾性係数(横弾性係数・剛性率)G

せん断弾性係数は、記号がG、定義はτ ÷ γ(せん断応力÷せん断ひずみ)、単位はN/mm²・GPa、鋼の代表値は79,000 N/mm² = 79 GPa(Eの約0.385倍)、という位置づけ。

体積弾性率 K

体積弾性率は、記号がK、定義は圧力増分÷体積ひずみ、単位はN/mm²・GPa、鋼の代表値は約160,000 N/mm² = 160 GPa、というあたり。

3つの関係式

E、G、K の3つの間には、ポアソン比 ν(ニュー)を介した関係があります。G = E / { 2 × (1 + ν) }、K = E / { 3 × (1 – 2ν) } という式で結ばれていて、鋼の場合 ν ≒ 0.3 なので、G ≒ E/2.6 ≒ 79,000 N/mm² となる訳です。

まれに出てくる「比弾性率」

材料の軽さも込みで剛性を評価する指標として「比弾性率(specific modulus)」が使われることがあります。これは E ÷ 密度 で、単位は (N/mm²) ÷ (kg/m³) = m²/s² と特殊になります。航空機・宇宙構造の世界で出てくる単位なので、建築の現場ではほぼ出てきません。

現場・計算書で気をつけたい単位の落とし穴

弾性率の単位そのものより、現場で「単位の付け間違い」「桁の読み違い」をやらかすパターンを整理しておきます。

落とし穴1:N/mm² と kN/mm² の混在

「205 kN/mm²」と「205,000 N/mm²」は同じ値ですが、構造計算ソフトの設定や手計算で入れ間違えると、たわみ計算の値が 1,000 倍ズレます。「kN は GPa の値そのまま」「N/mm² は GPa を 1,000 倍」と覚えておくと事故になりません。

落とし穴2:GPa と MPa の混在

材料規格カタログでは GPa 表記、構造計算ソフトでは MPa(= N/mm²)入力、というケースが多く、ここで桁を間違えると変形量が 1,000 倍違って計算されます。「GPa → MPa は ×1,000」「MPa → GPa は ÷1,000」のみ。

落とし穴3:昭和の計算書を読むとき

1979年(昭和54年)の計量法改正以降、SI単位が標準になりましたが、建築の既存改修や耐震診断では SI 以前の計算書がそのまま残っているケースが多々あります。kgf/cm² 表記の構造計算書はSI換算するとき×0.0981でMPaに、kgf/mm² 表記は×9.81でN/mm²に、「t/m²」の応力表示は×0.00981でN/mm²に、というのが基本の換算ルール。

数値の桁感覚としては「鋼のヤング率は kgf/cm² だと約 200万、N/mm² だと約 20万、GPa だと約 200」と桁の違いを覚えておくと、桁を1つ間違えても気付けます。

落とし穴4:海外規格を読むとき

ASTM や AISC の鋼材規格では psi・ksi 表記が頻出します。例えば鋼材のヤング率は約29,000 ksi ≒ 200 GPa、コンクリートFc24は約3.6 ksi(圧縮強度 4,000 psi)といった目安。

ksi の数値が SI 単位(GPa の場合)の約 1/145 になるという感覚があれば、海外規格でも桁感覚で違和感を察知できます。

落とし穴5:ヤング係数と剛性は同じか違うか

「ヤング率(縦)」と「剛性率(せん断)」「剛性(K = EI など断面係数を掛けたもの)」は、文脈では似た文字で書かれますが、ヤング率 E は単位 N/mm²、剛性 EI は単位 N·mm² と次元自体が違います。話の中で「ヤング率」と「曲げ剛性」「軸剛性」が混同されると単位の話がおかしくなるので、計算書を読むときは「単位(次元)が合っているか」を確認するクセが大事です。

部材の剛性を扱う細長比や断面二次半径の話はこちらで整理しています。

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弾性率の単位に関する情報まとめ

  • 弾性率の単位とは:応力(圧力)と同じ単位。Pa・MPa・GPa・N/mm²・kN/mm² が現代の標準
  • 主要単位:N/mm² = MPa、GPa = kN/mm²、1 GPa = 1,000 N/mm²
  • 旧工学単位:1 N/mm² ≒ 10 kgf/cm²、1 kgf/mm² ≒ 10 N/mm²
  • ヤード・ポンド:1 ksi ≒ 6.9 MPa、鋼のヤング率 ≒ 29,000 ksi
  • 鋼の代表値:205,000 N/mm² = 205 GPa = 約 2,090,000 kgf/cm²
  • 落とし穴:kN/mm² と N/mm² の混在、昭和の計算書、海外規格psi、剛性との混同
  • 種類別:ヤング率 E・せん断弾性係数 G・体積弾性率 K、いずれも単位は同じ

以上が弾性率の単位に関する情報のまとめです。「弾性率の単位はすべて圧力と同じ」「現代は N/mm² と GPa で十分」「kgf 系は ×9.81 で SI 換算できる」の3点を押さえれば、教科書・規格・古い計算書のどれを読んでも単位で迷うことはなくなります。構造設計者と話すときに「単位は GPa で言いますか N/mm² で言いますか」の一言を挟めるようになると、桁の事故が一段減りますよ。

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