- 乗入れ構台ってどんな仮設?
- どんな現場で必要なの?
- 何トンの重機まで通せる?
- 構台と土留めの関係は?
- 撤去はいつする?
- 構台分のコストってどれくらい?
上記の様な悩みを解決します。
乗入れ構台は、地下5m以上の建物工事で重機・ダンプを地下底部に進入させるための仮設構造物です。「重機が降りられないと、地下工事が始まらない」という意味で、地下深い建物の工事の生命線です。施工管理者として、想定重機から逆算して構台規格を決められることが、計画段階の重要スキルです。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
乗入れ構台とは?
乗入れ構台とは、結論「深い地下工事で、地表から地下底部まで重機・ダンプを進入させるために設ける仮設の橋状構造物」のことです。
英語では「Access Bridge」または「Working Platform」。
乗入れ構台の役割
- 重機の地下進入路:バックホウ・ダンプを地下まで降ろす
- 掘削土砂の地上搬出:効率的な土搬路
- 資材の地下搬入:鉄筋・型枠・コンクリート
- 作業員の昇降経路:階段機能
- 構造躯体施工の作業基盤:地下躯体の作業床
- 土留めの支保補完:親杭兼用で経済性◎
「地下工事の重機用の仮設橋」というイメージで、地下深い建物の工事を可能にする黒子的な構造物です。
土留めとの関係はこちら。


必要になる現場の判定
施工管理者として最初の判断は「この現場に乗入れ構台が必要か」です。
乗入れ構台が必要な現場の判定軸
| 地下の深さ | 重機の使用 | 構台の必要性 |
|---|---|---|
| 〜2m | 小型機械のみ | 不要(階段で十分) |
| 2〜5m | 小型バックホウ | 状況次第(仮設斜路で対応も) |
| 5〜10m | バックホウ・ダンプ | 乗入れ構台必須 |
| 10m超 | 大型重機 | 大型構台+複数階の中間構台 |
「地下5m超+重機進入が必須」が乗入れ構台の標準的な必要条件です。
乗入れ構台が必要な代表的現場
- マンションの地下駐車場
- オフィスビルの地下層
- 地下鉄連絡通路
- 地下発電機室・受水槽の大型ピット
- 地下街・地下商店街
逆に必要ない現場
- 戸建の浅地下車庫(階段で対応)
- 簡単な地下ピット(重機不要)
- 全面オープンカット(仮設斜路で対応可)
重機重量と耐荷重設計
施工管理者として最重要なのが、「想定重機の重量に対して、構台の耐荷重がどう決まるか」です。
主な重機の重量目安
| 重機 | 自重 | 積載時 |
|---|---|---|
| 0.4㎥バックホウ | 12〜14t | – |
| 0.7㎥バックホウ | 18〜22t | – |
| 1.0㎥バックホウ | 25〜30t | – |
| 10tダンプ(10t) | 10t | 20t(土砂5㎥積載時) |
| 22tダンプ | 22t | 40t以上 |
| コンクリートポンプ車(中型) | 25〜30t | – |
| 移動式クレーン(25t吊) | 25〜30t | – |
構台の耐荷重設計の考え方
- 想定する最大重量重機の総重量を基準
- 動荷重係数1.5倍を掛ける(走行時の衝撃)
- 複数台同時通行の可能性を考慮
- これに安全率2倍を見込む
例えば0.7㎥バックホウ(22t)と22tダンプ(40t)が同時通行する想定なら:
(22t + 40t) × 1.5(動荷重) × 2(安全率) = 186t
これに耐えられる構造を設計します。
構台の規格目安
| 想定最大重機 | 構台の梁サイズ | 支柱間隔 |
|---|---|---|
| 中小型重機(〜25t) | H-300×300 | 4〜5m |
| 大型重機(25〜40t) | H-400×400 | 3〜4m |
| 超大型(40t超) | H-500×500以上 | 3m以下 |
H形鋼の話はこちら。

構造と部材
乗入れ構台の構造を整理します。
主要部材
- 支柱(杭):親杭(H形鋼)を地中に打ち込み
- 桁(梁):H形鋼の水平梁
- 覆工板(道路面):鉄製プレート(厚さ22〜25mm)
- 手すり・側壁:墜落防止(高さ85cm以上)
- 昇降階段:作業員用
- 照明設備:地下空間の照明
親杭兼用のメリット
土留めの親杭と乗入れ構台の支柱を共用化することで:
- 杭の本数削減:トータルコストダウン
- 施工順序の合理化:土留めと構台が一体で進む
- 構造の連続性:土圧と荷重の流れが整理される
「土留め+乗入れ構台を別々に発注しない」のが、地下工事のコスト最適化の基本です。
撤去と盤替えとの関係
乗入れ構台は地下躯体完成後、上から順に撤去します。これが切梁の盤替えと連動して非常に複雑な工程になります。
撤去のタイミング
| 段階 | 状態 | 作業 |
|---|---|---|
| 1 | 地下最下階躯体施工 | 構台はそのまま |
| 2 | 地下中間階躯体施工 | 構台はそのまま |
| 3 | 地下最上階躯体施工 | 構台一部撤去開始 |
| 4 | 地上1階床完成 | 構台本格撤去 |
| 5 | 1階躯体完成 | 構台完全撤去 |
ここでの最大の課題は、「乗入れ構台がまだあるうちに、設備工事の引込みを地下までやっておくか/構台撤去後にやるか」の判断です。
- 構台があるうちに引込み配管を済ませる → 構台干渉でやりにくい
- 構台撤去後に引込み配管 → 構台撤去まで待たされる
最適解は「構台撤去工程と設備引込み工程を並行で計画」しておくこと。これを着工前に決めないと、地下工事終盤で工程が大混雑します。
私が以前、地下3階のオフィスビル工事で、構台撤去前に電気の引込み配管を済ませる判断をした現場では、構台の梁を縫って配管を通すのに通常の倍の時間がかかりましたが、構台撤去後の地上工事をスムーズにスタートできたメリットの方が大きかったです。地下工事のクリティカルパス上にある構台撤去を、後工程まで含めて計画する視点が必要です。
クリティカルパスの話はこちら。
乗入れ構台に関する情報まとめ
- 乗入れ構台とは:地下5m超の建物工事で重機を地下底部に進入させる仮設橋
- 必要な現場:地下5m超+重機進入必須。マンション地下駐車場・オフィスビル地下層が典型
- 耐荷重設計:想定最大重機重量×動荷重1.5×安全率2の総重量に耐える設計
- 規格目安:中小型重機ならH-300×300@4〜5m、大型ならH-400×400@3〜4m
- 親杭兼用:土留めと共用してコスト最適化
- 撤去:地下躯体完成後、上から順。構台撤去工程と設備引込み工程を並行計画
乗入れ構台は「土工事業者の仮設材」と思考停止しがちですが、地下工事のクリティカルパス上にあって、後の躯体・設備・内装工事まで連鎖する基幹構造物です。設計図書を渡されたら、想定重機・撤去タイミングまで含めて検証しておくべきですね。
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