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応力ひずみ曲線とは?見方、降伏点、SS400の数値、降伏比など

  • 応力ひずみ曲線ってなに?
  • グラフのどこをどう読むの?
  • 降伏点と引張強さの違いは?
  • SS400・SD295って実際どれくらいの数値なの?
  • 降伏比って何で必要?
  • 設計や現場でどう使われる?

上記の様な悩みを解決します。

応力ひずみ曲線は鋼材・鉄筋の性質を一枚で表現する基本グラフです。施工管理技士試験でも構造設計でも避けて通れない論点ですが、教科書を読むだけだと「曲線の意味は分かったけど、現場でどう使うの?」となりやすい。本記事では実際の鋼材の数値とセットで整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

応力ひずみ曲線とは?

応力ひずみ曲線とは、結論「材料に力(応力)をかけたときの伸び(ひずみ)を、力を増やしながら記録したグラフ」のことです。

縦軸に応力σ(N/mm²)、横軸にひずみε(無次元)を取り、引張試験機で材料を引っ張りながら値をプロットしていきます。鋼材なら一般的に初期は直線で増加→ある点で急に折れる→上下にジグザグして→最大値→破断という独特の形になります。

これが何で大事かというと、構造設計で「この材料はどこまで安全に使えるか」を判定する根拠そのものだからです。施工管理側でも、ミルシートの引張試験成績書を読むときにこの曲線の知識がないとスペックの妥当性が分からなくなります。

ミルシートの基礎についてはこちらで整理しています。

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応力ひずみ曲線の見方

鋼材(軟鋼)の典型的な応力ひずみ曲線は5つのフェーズに分かれます。

鋼材の応力ひずみ曲線の5フェーズ
– 比例限度:応力とひずみが一直線に増える区間(フックの法則が成立)
– 弾性限度:これを超えると除荷しても完全に戻らなくなる
– 降伏点:応力がほぼ一定で、ひずみだけが進む
– 引張強さ:応力の最大値
– 破断:ひずみが大きくなり最終的に切れる

ポイントは、降伏点を超えるとひずみがあっても応力が増えない=材料が永久変形するという事実。構造物にこの状態を起こすと元に戻らなくなるので、設計はこの降伏点を超えない範囲で行うのが大原則です。

降伏点に達した後、しばらくして再び応力が上がっていく現象は「ひずみ硬化」と呼ばれ、最大値(引張強さ)に達した後は局所的にくびれが生じて応力が下がりつつ破断します。

フックの法則・影響線と組み合わせた構造力学の基礎理解には、以下の記事が参考になります。

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応力ひずみ曲線の各点の意味

主要な5つの点を整理します。

名称 意味
A 比例限度 フックの法則が成立する限界
B 弾性限度 除荷で元に戻る限界
C 上降伏点・下降伏点 応力ほぼ一定でひずみ増加
D 引張強さ 応力の最大値
E 破断点 材料が分離する点

設計で実用上重要なのはC点(降伏点)とD点(引張強さ)の2つだけ、と覚えておくと整理が楽です。許容応力度はC点を基準にして、終局時の検討ではD点も使う、という流れになります。

C点は「上降伏点」と「下降伏点」の2つに分けられることもあります。実用上は下降伏点を採用する場合が多く、JIS規格の保証値もこちらに対応しています。

応力ひずみ曲線の材料別の数値

施工管理として現場でよく扱う鋼材・鉄筋の代表値を並べます。

材料 降伏点(N/mm²) 引張強さ(N/mm²) 伸び(%)
SS400(一般構造用鋼) 235以上(厚16mm以下) 400〜510 21以上
SN400B(建築用鋼) 235〜355 400〜510 22以上
SN490B 325〜445 490〜610 17以上
SD295A(鉄筋) 295〜390 440以上 16以上
SD345(鉄筋) 345〜440 490以上 18以上
SD490(鉄筋) 490〜625 620以上 12以上

ここで注目してほしいのは降伏点が固定値ではなく「下限値」として規定されている点。例えばSS400なら「降伏点235N/mm²以上」が保証されているだけで、実物は260〜280程度出ているのが普通です。

これが何で重要かというと、地震時に降伏点を超えてエネルギー吸収する設計(保有水平耐力計算など)では、実物が想定より強い=先に破断するべき箇所が破断しなくなり、想定外の場所が壊れるという危険があるためです。

引張強さ・降伏点の比率(降伏比)が次のセクションで効いてきます。

SS400は「JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材」の代表的な鋼種です。建築用としては靭性を高めたSN材(JIS G 3136)が多く使われます。

参考: https://seko-kanri.com/torasu/

応力ひずみ曲線と降伏比

降伏比 = 降伏点 / 引張強さ

これが応力ひずみ曲線から読み取れる重要な値で、建築構造では降伏比0.8以下(80%以下)が望ましいとされます。

鋼材 降伏点 引張強さ 降伏比(参考値)
SS400 235 400 約59%
SN400B 235 400 約59%
SN490B 325 490 約66%
高張力鋼(HT780など) 685 780 約88%

降伏比が低い=降伏してから破断するまでの「粘り(靭性)」が大きい=地震時のエネルギー吸収余地が大きい、という関係。SS400やSN材が建築で重宝される理由はここにあります。

逆に高張力鋼は強度は高いけど降伏比が高く、降伏してすぐ破断する傾向があるので、建築の塑性設計には不向きです。橋梁や産業機械では高張力鋼が活躍しますが、住宅・ビルの主要構造では原則SN材を採用します。

JIS G 3136でSN材が定められた経緯と、SS材との使い分けは構造設計で頻出論点です。

応力ひずみ曲線の設計・現場での使い方

施工管理として応力ひずみ曲線を直接描く場面は少ないですが、以下のシーンでこの知識が効きます。

応力ひずみ曲線を読む実務シーン
– ミルシートの試験値レビュー(降伏点・引張強さ・伸びを確認)
– 鋼材代替時の妥当性判断(SN400B → SS400 への変更可否など)
– 配筋検査での鉄筋種別チェック(SD295とSD345を取り違えていないか)
– 構造設計者からの「降伏比NG」の指摘理解
– 補強鉄骨・鉄筋の追加発注時のスペック整合

特にミルシートを見るときに「降伏点が規格値ぴったり」だと逆に怪しいので、規格下限値より15〜20%ほど上に出ているのが正常、という感覚を持っておくと書類チェックの目が肥えます。

代替材料の提案を業者から受けたときも、降伏点・引張強さ・伸び・降伏比の4点セットを見比べるのが王道。「強度は同等です」と言われても、降伏比だけNGで設計者から差し戻されるのは現場あるあるです。

ミルシート自体のチェック方法はこちらにまとまっています。

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鉄筋・鉄骨の違いと使い分けはこちら。

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応力ひずみ曲線に関する情報まとめ

  • 応力ひずみ曲線とは:材料に応力をかけて伸びを記録したグラフ
  • 見方:比例限度→弾性限度→降伏点→引張強さ→破断の5フェーズ
  • 各点:実用上重要なのは降伏点と引張強さの2点
  • 材料別:SS400は降伏点235以上、SD345は345〜440など
  • 降伏比:降伏点/引張強さ、建築では0.8以下が望ましい
  • 設計・現場:ミルシート検証、代替材料判断、配筋検査での種別確認

以上が応力ひずみ曲線に関する情報のまとめです。

応力ひずみ曲線は「グラフの形を覚える」より「降伏点と引張強さの位置関係を、実際の鋼材数値と紐付けて読める」ようにするのが実務派の押さえ方です。現場で生きる知識にするには、ミルシートを開いて自分の目で数値を読むのが一番の近道。鉄筋・鉄骨の違い、フックの法則、降伏点と組み合わせて理解を深めると、構造設計者との会話が一段スムーズになりますよ。

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