- 杭基礎の種類ってどんなもの?
- 支持杭と摩擦杭の違いは?
- 既製杭と場所打ち杭の選び方は?
- どの工法を選ぶべき?
- 工法別の特徴は?
- 現場で気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
「杭基礎」は、軟弱地盤・重量建物で使われる基礎形式。種類が複数あり、用途・地盤・建物規模で工法選定するのが施工管理者の重要な役割。それぞれの特徴と選定基準を整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
杭基礎の種類とは?
杭基礎の種類とは、結論「支持機構(支持杭・摩擦杭)と工法(既製杭・場所打ち杭)の組み合わせで分類された基礎形式の体系」のことです。
英語で「Pile Foundation Types」「Pile Classification」。
杭基礎の分類軸は2つ
- 支持機構による分類:支持杭/摩擦杭
- 工法による分類:既製杭/場所打ち杭
施工管理者として「この建物にはどの杭が最適?」を判断するため、両軸の理解が必要。
杭基礎の基本はこちらでも触れています。

支持杭と摩擦杭の違い
「地盤からどう支えてもらうか」の違い。
支持杭(先端支持杭)
杭の先端を硬い支持層まで届け、先端で建物荷重を支える形式。
支持杭の特徴
- 杭先端を硬い地層(支持層、N値50以上)に到達させる
- 建物荷重のほとんどを杭先端で支持
- 中高層ビル・重量建物で標準
- 信頼性が高い
- 支持層が深いとコスト増
地盤・N値の話はこちら。


摩擦杭
杭の周面摩擦で建物荷重を支える形式。
摩擦杭の特徴
- 支持層に達しなくてもOK
- 杭の側面摩擦力で荷重支持
- 軽量〜中規模建物向き
- 支持層が極端に深い場合に有利
- 信頼性は支持杭よりやや劣る
支持杭vs摩擦杭の選定
選定の目安
- 支持層が浅い(10〜30m) → 支持杭
- 支持層が深い(40m超) → 摩擦杭または併用
- 重量建物 → 支持杭優先
- 軽量建物 → 摩擦杭でも可
- 中規模建物 → 周面摩擦+先端支持の併用
既製杭と場所打ち杭の違い
「杭をどう作るか」の違い。
既製杭
工場で製作した杭を現場に運んで打ち込む方式。
既製杭の特徴
- 工場製作で品質が安定
- 現場での施工が比較的速い
- 主に鋼管杭・PHC杭等
- 杭の長さは運搬可能な範囲で制限
- 支持層が深い場合は継ぎ足し
場所打ち杭
現場で地盤に穴を掘り、その中にコンクリートを打設する方式。
場所打ち杭の特徴
- 杭径・長さの制約が少ない(大径・長尺対応)
- 現場で鉄筋+コンクリートを組み立て
- 大規模・超高層建物向き
- 工期が長い
- 工法:アースドリル、オールケーシング、リバース等
場所打ち杭の話は別記事で詳しく書きます(次の記事)。
既製杭の主な種類
既製杭にはいくつかの種類があります。
1. 鋼管杭(鉄管杭)
鋼鉄製のパイプを打ち込む杭。
鋼管杭の特徴
- 強度◎:建物荷重を確実に支持
- 耐震性◎:弾性変形可能
- 施工性◎:打ち込み・回転施工
- 太径対応可(φ300〜800mm)
- コスト中
2. PHC杭(プレテンション高強度コンクリート杭)
遠心力で締まったプレストレストコンクリート杭。
PHC杭の特徴
- コンクリート強度80N/mm²以上
- コスト効率◎
- 戸建〜中層建物の標準
- 太径対応:φ300〜1,200mm
3. SC杭(鋼管巻きコンクリート杭)
鋼管をコンクリート充填した複合杭。
SC杭の特徴
- 鋼管の強度+コンクリートの圧縮強度
- 高い水平耐力
- 中高層建物向き
4. 木杭
木材製の杭。古典工法、現代では主に仮設用。
場所打ち杭の主な工法
場所打ち杭の代表的な工法を整理します。
1. アースドリル工法
回転式バケットで掘削、ベントナイト溶液で孔壁保護する工法。
特徴
- 中規模〜大規模建物で多用
- 杭径φ800〜2,500mm
- 工期効率◎
- 安定した施工
2. オールケーシング工法
ケーシングチューブを地中に挿入し、ハンマーグラブで掘削する工法。
特徴
- 孔壁保護がケーシングで確実
- 軟弱地盤・玉石まじり地盤に強い
- 振動・騒音が比較的少ない
- 高品質
3. リバース工法(リバースサーキュレーション)
ドリル先端から泥水を逆循環させて土砂を排出する工法。
特徴
- 大口径・深部対応:超高層ビル
- 杭径φ1,000〜3,000mm
- 高深度(80〜100m対応)
- 工期がかかる
4. 拡底杭
先端を太く拡幅した場所打ち杭。支持力を増大させる工法。
杭基礎工法の選定基準
「どの工法を選ぶ?」の判断軸。
建物規模による選定
建物規模別の杭工法選定
| 建物規模 | 推奨杭工法 |
|---|---|
| 戸建住宅(軟弱地盤) | 鋼管杭(小径) |
| 低層共同住宅 | PHC杭、鋼管杭 |
| 中層マンション | PHC杭、SC杭、場所打ち杭(小径) |
| 中高層オフィス | 場所打ち杭(中径)、SC杭 |
| 超高層ビル | 場所打ち杭(大径)、リバース |
| 工場・倉庫 | 鋼管杭、PHC杭 |
地盤条件による選定
地盤条件別の杭工法選定
- 支持層が浅い(10m以浅) → 既製杭で対応
- 支持層が深い(30m超) → 場所打ち杭
- 玉石・転石まじり地盤 → オールケーシング工法
- 地下水位が高い → リバース工法 or オールケーシング
- 狭小地・低空頭 → 小径既製杭
施工条件による選定
施工条件別の選定
- 市街地・近隣配慮 → 振動・騒音少なめの工法
- 狭小地 → 既製杭または小径場所打ち杭
- 工期短縮 → 既製杭
- 品質重視 → 場所打ち杭
杭基礎の支持力検討
施工管理者として知っておきたい支持力の考え方。
支持力の構成
杭基礎の支持力
- 先端支持力:杭先端の地盤反力
- 周面摩擦力:杭側面の摩擦
- 総支持力 = 先端支持力 + 周面摩擦力
設計支持力の検討
設計支持力 = 極限支持力 / 安全率(通常3.0)
支持杭は先端支持力が主体、摩擦杭は周面摩擦力が主体で設計。
施工管理として押さえる杭基礎選定のポイント
現場で杭工法を選定・管理する際のチェックリスト。
杭基礎施工管理のチェック項目
- 地盤調査結果の精読:N値分布、支持層深度
- 設計図書の杭種別・工法確認
- 支持杭/摩擦杭の判別
- 既製杭/場所打ち杭の選定根拠
- 杭径・本数・配置の確認
- 施工機械の搬入経路
- 近隣騒音・振動対策
- 杭の品質確認:既製杭は工場検査、場所打ち杭は配筋検査
- 支持層到達の確認:施工中の地質チェック
狭小地で「既製杭か場所打ちか」の判断が変わるパターン
杭工法選定では、地盤・建物だけでなく敷地条件が決定打になることがあります。例えば狭小地で重機が大きく入らない現場では、本来なら場所打ちが適していても、小径鋼管杭の回転圧入工法に切り替えるケースが頻出。逆に広い敷地で大型重機が入れるなら、コスト・工期で場所打ちが優位になることも。「地盤×建物×敷地」の三角形で工法が決まると理解しておけば、選定理由を施主・設計者に明確に説明できます。
杭基礎の種類に関する情報まとめ
- 杭基礎の種類:支持機構(支持杭/摩擦杭)×工法(既製杭/場所打ち杭)
- 支持杭:先端を支持層に到達、重量建物の標準
- 摩擦杭:周面摩擦で支持、軽量〜中規模、深支持層
- 既製杭の種類:鋼管杭/PHC杭/SC杭/木杭
- 場所打ち杭の工法:アースドリル/オールケーシング/リバース/拡底
- 建物規模別:住宅は鋼管・PHC、超高層は場所打ち
- 地盤条件別:浅い支持層は既製杭、深いは場所打ち
- 施工条件:狭小・低空頭・近隣で工法調整
- 施工管理の勘所:地盤調査精読/工法選定根拠/品質確認/支持層到達確認
以上が杭基礎の種類に関する情報のまとめです。
一通り杭基礎の種類の知識は理解できたと思います。「支持機構×工法の2軸で選定、地盤×建物×敷地で最適解」というフレームで、杭工法選定の議論を構造化できます。
関連する基礎・地盤系の記事もあわせてどうぞ。








