- 架構ってなに?
- 「構造」と「架構」って何が違うの?
- ラーメン架構、トラス架構、壁式架構の違いは?
- 設計図で「架構図」ってどこの図面を指す?
- 現場で「架構」って言葉、どう使えばいいの?
- 「架構計画」と「構造計画」って同じ?
上記の様な悩みを解決します。
架構(かこう)は、建築や土木の構造図でよく出てくる言葉ですが、「構造」「フレーム」「骨組み」と混同されがちで、いざ説明しろと言われると詰まる用語の代表格。施工管理者が現場で構造担当と話すときにも、この言葉の使い分けが分かっていると会話の解像度が上がるので、ここで整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
架構とは?
架構とは、結論「柱や梁などの線材(直線部材)を組み合わせて作る、建物の骨組みそのもの」のことです。
「架けて構える」と書く通り、文字通り部材を「架け渡して構成する」イメージ。骨組みとほぼ同じ意味で使われますが、構造力学では「線材で構成された組立体」という意味合いが強くなります。
具体的に何が架構と呼ばれるか、典型例を挙げると次のとおり。
- 鉄骨造のH形鋼の柱と梁を、ピン接合・剛接合で組み上げた骨組
- RC造の柱・梁・スラブで構成される立体的なフレーム
- 木造軸組工法の通し柱・管柱・桁・梁の組み合わせ
- 鉄骨トラスの上弦材・下弦材・斜材の組み合わせ
ポイントは、「面材(壁や床)」ではなく「線材(柱・梁・斜材)」で構成された骨組を指すケースが多い、という点。たとえば壁式RC造のような壁主体の構造は、教科書的には「架構」と呼びにくいんです。
「フレーム」「ラーメン」「骨組」「架構」がほぼ同義で混用されるので、読み手は文脈で判断する必要があります。設計図書では「骨組み」よりちょっと固い言葉として「架構」を使う、というニュアンスですね。
架構と構造の違い
似た言葉「構造」との違いを押さえておくと、文脈の読み違いが減ります。
| 項目 | 架構 | 構造 |
|---|---|---|
| 指す範囲 | 線材で組まれた骨組そのもの | 建物が荷重に耐える仕組み全体 |
| 含むもの | 柱・梁・斜材などの組合せ | 架構+壁・床・基礎・接合部などすべて |
| 使う場面 | 構造力学、構造計画 | 一般的な建築用語、構造設計全般 |
| 英語 | frame、framework | structure |
ざっくり言うと「構造の中の、骨組み部分が架構」という入れ子関係。
たとえば「この建物の構造はRC造です」と言うときは、基礎から壁・床まですべてを含めた仕組みの話。一方「この建物の架構はラーメン形式です」と言うときは、柱・梁の組み方の話に限定されます。
実務では、「構造計画」というと建物全体(基礎・耐震要素・防耐火など)を含む計画を指し、「架構計画」というともっぱら柱・梁のスパン割りや接合部の方式の話になります。設計者と打合せするときにこの言葉を使い分けると、議論の論点がぶれません。

架構の種類
架構の主な種類を、現場で耳にする頻度の高い順に整理します。
①ラーメン架構(剛接合架構)
柱と梁を剛接合(節点が回転しない状態で接合)した架構。地震や風の水平力に対して、柱と梁の曲げモーメントで抵抗するのが特徴。
- 採用されやすい構造:S造、RC造、SRC造
- メリット:壁を必要としないため、開口や間取りの自由度が高い
- デメリット:柱・梁が曲げに耐えるよう大断面になりやすい
オフィスビル、店舗、商業施設の多くがこの形式。柱・梁を剛に組むので、「層間変形角」「偏心率」「剛性率」など、構造計算の指標がここにダイレクトに効いてきます。

②ブレース架構(ピン接合+斜材)
柱と梁はピン接合(節点が自由に回転する)にして、水平力は斜め材(ブレース)で抵抗する架構。
- 採用されやすい構造:S造の倉庫、工場、低中層の事務所
- メリット:部材断面が小さく、コストを抑えやすい
- デメリット:ブレースが入る部分は壁や開口の制約になる
工場や物流倉庫では、コストと施工性のバランスが優れているので圧倒的にこのタイプ。「鉄骨ブレース」と検索すると出てくるあれですね。

③トラス架構
部材を三角形の単位で組み合わせた架構。各部材は引張または圧縮しか受けず、曲げモーメントが理論上発生しないので、軽量で大スパンに有利。
- 採用されやすい構造:体育館、駅舎、工場、橋梁
- メリット:自重が軽く、長スパンに向く
- デメリット:細かな部材の組合せで、施工が手間
体育館の屋根、東京タワー、橋梁など。三角形の安定性を最大活用した形式です。

④壁式架構(壁式構造)
柱や梁ではなく、耐力壁が主な水平力抵抗要素となる架構。厳密には「架構」と呼びにくいですが、対比のために載せておきます。
- 採用されやすい構造:壁式RC造、CLT、壁式PC、低層住宅の枠組壁工法
- メリット:壁の中に構造要素が収まるので、空間がスッキリする
- デメリット:開口の位置・大きさに制約が出る
5階建て程度のマンションでよく見るタイプ。柱型・梁型が出っ張らないので、住戸プランがフラットに作れるのが特徴。
⑤チューブ架構・スーパーストラクチャー
超高層ビルで採用される、外周部に密に柱を配置して建物全体を「筒(チューブ)」として水平力に抵抗させる架構。世界貿易センターや六本木ヒルズなど。一般の建物ではほとんど出てこないですが、知識として頭の片隅に。
架構設計の考え方(ざっくり流れ)
設計者がどんな順番で架構を決めているのか、施工管理が知っておくと打合せがスムーズになるので軽く触れておきます。
ステップ1:建物用途・規模からスパン・階高を決める
事務所なら6〜10mスパン、住宅なら3〜6mスパンが目安。階高は事務所4m、住宅3mなど用途で決まる。
ステップ2:構造種別と架構形式を仮決めする
規模・用途・コスト・工期から、RC造ラーメン/S造ラーメン+ブレース/壁式RCなどを選定。
ステップ3:耐震要素(耐震壁・ブレース)の配置
平面で耐震要素をバランスよく配置。重心と剛心のズレ(偏心率)が大きくならないよう、隅に偏らないように散らす。
ステップ4:部材断面の仮定と構造計算
柱・梁・スラブの断面を仮定し、許容応力度計算や保有水平耐力計算で安全性を検証。
ステップ5:架構図の作成
柱位置・スパン・梁配置を表現した平面・断面の架構図を作成。施工図のベースになる。
施工管理者の関与は主にステップ5以降。設計図の架構を、実際にどう建てるかの段取りを組む役回りですね。

現場での「架構」の見え方
施工管理の現場で、架構という言葉が登場する具体シーンを4つ。
①架構図/伏図でスパン割りを確認するとき
「架構図」と呼ばれる図面は、構造図の中でも柱・梁の配置を平面で示した図面。一般には「伏図(ふせず)」とほぼ同義。たとえば「2階梁伏図」と「2階架構図」は、現場では同じものを指していることが多いです。
スパン(柱間距離)、梁の符号(G1, B2など)、梁の符号に対応する断面リストの3点を行き来しながら、施工図の整合を確認するのが日常業務ですね。

②鉄骨建方の段取りで「架構ブロック」を考えるとき
鉄骨工事では、何本かの柱と梁をひとかたまりとして「架構ブロック」を組み、クレーンで吊り上げる段取りがよくあります。地組みでブロックを作っておけば、高所作業を減らせて工程も短縮できる。「この架構ブロックの重量は何トンか」「どのクレーンで吊るか」という議論で、毎日のように出てくる単語です。

③構造計算ルートと架構計画の関係
建築基準法のルート1・ルート2・ルート3という構造計算の選択肢は、架構計画と密接に絡みます。たとえば偏心率や剛性率が基準を超える架構はルート3(保有水平耐力計算)に進む必要があり、設計の手間と工期に響く。施主への打合せで「この架構計画だと構造計算ルートはどれか」を意識できると、設計判断の理由が腑に落ちますね。
④工種間の取り合いを「架構」単位で見る
電気・設備の配管が、架構の梁を貫通するとき。スリーブの位置・大きさは架構の応力分布に影響するので、構造設計者の許可を得て位置を決める必要があります。「ここは架構の応力が集中する部分なので避けてください」と言われたら、それは梁の支点付近やラーメン架構の隅角部であることが多い、という背景知識ですね。
僕も電気施工管理時代、RCラーメン架構の梁にスリーブを入れる位置を構造担当と協議した経験がありますが、スパン中央なら緩く、支点近くは厳しい、というのは肌感覚として残っています。

架構に関する情報まとめ
- 架構とは:柱や梁などの線材を組み合わせた、建物の骨組み
- 構造との違い:構造は建物全体の仕組み、架構はその中の線材で組まれた骨組部分
- 主な種類:ラーメン、ブレース、トラス、壁式、チューブ
- 設計の流れ:用途・規模→スパン・階高→構造種別→耐震要素→部材断面→架構図
- 現場での出番:架構図/伏図、鉄骨建方の架構ブロック、構造計算ルート、設備との取り合い
以上が架構に関する情報のまとめです。
「架構」という言葉は、骨組み・フレーム・構造と曖昧に重なるので最初は厄介ですが、「線材で組まれた建物の骨組」という芯さえつかめば文脈ごとの意味が見えてきます。施工管理の現場では、架構図を読むスピードと、架構ブロックの段取りを描けるかどうかが、鉄骨工事の勘所そのもの。図面と現場の両方で「架構」を意識する癖を付けると、段取りの精度が一段上がりますね。







