- 演色評価数って、演色性とどう違うの?
- Raの計算式って実際どうなってる?
- R9〜R15ってなんでわざわざ別の指標があるの?
- JIS Z 8726には何が書いてあるの?
- 試験成績書のRa値って、カタログ値と何が違う?
- 設計図書の「Ra90以上+R9>50」って具体的にどう確認する?
上記の様な悩みを解決します。
演色評価数とは、結論「JIS Z 8726『光源の演色性評価方法』で定められた、照明の演色性を0〜100の数値で表すための“評価指標そのもの”」のことです。一般用語の「演色性(color rendering)」が現象の名前だとしたら、演色評価数はそれを測るためのモノサシ。Ri = 100 − 4.6 × ΔEi という計算式で、基準光源と試験光源の色差を点数化する仕組みになっています。施工管理として図面に「Ra90以上+R9>50」と書かれていた時に、それが何を要求しているのかを試験成績書のレベルで読み解けるようになるのがこの記事のゴール。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
演色評価数とは?
演色評価数とは、結論「JIS Z 8726『光源の演色性評価方法』で定義された、光源の演色性を試験色との色差から計算して数値化する指標」のことです。
英語ではCRI(Color Rendering Index)。「演色性」という現象を、試験色を使って機械的に点数化するためのモノサシ、という位置づけです。
| 用語 | 性格 |
|---|---|
| 演色性(color rendering) | 物の色がどう見えるかという現象 |
| 演色評価数(CRI) | 演色性をJIS規格で計算した点数 |
つまり「Raが高い/低い」と言うとき、本来は「演色性が良い/悪い」と言いたい場面で、評価指標の値を引っ張ってきている、という構図。Ra80・Ra90といった数値はJIS Z 8726の計算手順を踏んで初めて出てくる値で、ここから何が分かって何が分からないかは、計算式の中身まで遡らないと判断できません。
なお、「Ra80以上の方がオフィスに合う」「美術館はRa95以上が一般的」といった用途別の選定感は演色性(Ra)とは?高い場合の用途、低い場合の用途、メリットなどの解説に整理してあります。本記事は評価指標の構造と計算手順にフォーカスします。

Raと特殊演色評価数の構成
演色評価数にはRaと特殊演色評価数があり、
| 種類 | 記号 | 内容 |
|---|---|---|
| 平均演色評価数 | Ra | 試験色R1〜R8の平均値 |
| 特殊演色評価数 | R9〜R15 | 鮮やかな色・肌色・葉色などR1〜R8に含まれない7色の個別評価値 |
で構成されます。Raの「R」はRendering、「a」はaverage(平均)の意で、8色の中庸的な代表色を平均した値。R9〜R15はRaに含まれていない、振れの大きい色を個別に評価する補助指標、という関係です。
基準光源の決め方
JIS Z 8726では、評価対象の照明と比較する基準光源を、評価対象の色温度に応じて使い分ける、と定めています。
- 5000K未満:黒体放射(白熱電球と同じスペクトル)
- 5000K以上:CIE標準昼光(D光源)(自然光のスペクトル)
ここがポイントで、基準光源は「絶対的な良い光」ではなく、評価対象と同じ色温度の理想的な光源。3000KのLEDは3000Kの黒体放射と比較されるので、低色温度=Ra低いとは限らない、という構造になっています。
演色評価数の計算方法
「計算方法」と聞くと身構えますが、施工管理として中身を全部覚える必要はありません。仕組みのイメージだけ押さえておけばOK。
計算の流れ(ざっくり)
JIS Z 8726に基づくRaの計算は、以下のステップ。
- 15色の試験色(R1〜R15)を準備(あらかじめ規定された反射スペクトルを持つ色見本)
- 基準光源で各試験色を照らした時の見え方(CIELAB色空間での座標)を計算
- 試験光源(評価したい照明)で同じ試験色を照らした時の見え方を計算
- 両者の色差ΔEを求める
- Ri = 100 − 4.6 × ΔEi で各試験色の演色評価数を計算
- R1〜R8の平均を取って平均演色評価数Raとする
要するに「基準光源で見たときの色と、評価対象の照明で見たときの色が、どれくらいズレているか」を計算して、ズレが小さければ100に近づく、という仕組み。
普段の計算は不要
照明器具メーカーはカタログにRa値を記載しているので、施工管理が現場で計算することはまずありません。
ただし、
- 複数メーカーのLEDを混在させる場合: それぞれRa値が違うと色がチグハグに見える
- 古い蛍光灯と新しいLEDを混在: 演色性が大きく違って違和感が出る
といった場面で、カタログ数値の意味を読み取れることが大事です。
特殊演色評価数(R9〜R15)の意味
平均演色評価数Raは「8色の平均」なので、特定の色の見え方を見落とすことがあります。
特殊演色評価数の構成
| 試験色 | 内容 |
|---|---|
| R9 | 鮮やかな赤 |
| R10 | 鮮やかな黄 |
| R11 | 鮮やかな緑 |
| R12 | 鮮やかな青 |
| R13 | 西洋人の肌色 |
| R14 | 木の葉の緑 |
| R15 | 日本人の肌色 |
R9〜R15は、Raに含まれていない「鮮やかな色」と「肌色・葉色」を個別に評価する指標。
R9(鮮やかな赤)が特に重要
中でもR9(鮮やかな赤)は、現場で重視されます。
- 生鮮食品売り場: 肉や魚が美味しそうに見えるかどうか
- 医療現場: 血液や肌の色を正確に見られるか
- 美術館: 油絵の赤の発色
低Ra(70〜80)のLEDだと、Raは80でもR9は0近辺ということもザラ。「Ra80だから問題ない」と思ったら肉が美味しそうに見えない、という現場トラブルは典型的なパターンです。
設計仕様書で「Ra90以上、かつR9>50」のような指示があったら、それはR9のスコアを単独で確保したい、という意図です。
LED照明の演色評価数の見方
現場で最もよく扱うLED照明について、演色評価数の見方を整理します。
カタログでのチェックポイント
LED照明器具のカタログで確認すべきは、
- 平均演色評価数Ra: メイン指標
- 特殊演色評価数(R9特に): 高演色仕様の場合は必ず併記
- 色温度(K): 2700K〜6500Kなど。色温度が違うと印象が大きく変わる
- 配光・光束: 演色性とは別軸だが、選定セットで考える
メーカーによっては「演色性タイプ」「高演色タイプ」などとシリーズ分けされていて、Ra80標準品よりRa90/95タイプのほうが当然高価です。
同じ室内で混在させない
施工管理の現場でハマりやすいのが、「Ra値が異なる器具を同じ室内で混ぜてしまう」こと。
- ベース照明Ra80 + ダウンライトRa95 → 場所によって色の見え方が違って違和感
- 既存器具Ra70(古い蛍光灯)+ 新規LED Ra80 → 古い側が暗く・くすんで見える
同じ空間ではRa値を揃えるのが鉄則。改修工事で部分更新する場合も、できる限り全体の演色性を統一します。
試験成績書の確認
電気工事の検査時には、設置した器具の試験成績書(IES試験データ含む)を施工計画書に綴ります。
- Ra値の証明:カタログ値ではなく、実測値が記載されている試験成績書を確認
- 色温度の偏差:±150K以内が一般的な許容範囲
特に医療・美術館案件では、現地での色温度・演色性測定が竣工検査項目に含まれることもあります。
設計図書「Ra90以上+R9>50」の読解と試験成績書チェック
施工管理として最もよく出会うのが、設計図書の照明仕様欄に書かれた「Ra○○以上」「R9>○○」という指示。これを試験成績書まで遡って確認する流れを整理します。
「Ra90以上+R9>50」が要求される理由
- Ra90以上:8試験色の平均で90点を要求 → 多くの色が自然に見える
- +R9>50:鮮やかな赤を単独で50点以上 → 肉・血液・絵画の赤の発色を担保
なぜ単独でR9を指定するかと言うと、Ra90のLEDでもR9が0近傍という製品が普通に存在するから。Raは8色の平均なのでR9のような振れ幅の大きい色を1色含めても全体への影響が小さく、Raだけ見ていると赤の発色を担保できない、というのがR9併記が増えてきた理由です。
試験成績書での確認手順
メーカーから取り寄せる試験成績書(測光試験成績書)には、JIS Z 8726準拠の測定結果が載っています。確認順序は、
- 試験規格欄:JIS Z 8726準拠であること(古いCIE準拠だと試験色が異なる場合あり)
- 色温度:図面指示と±150K以内
- Ra値:実測値で図面指示以上
- R1〜R15のRiが個別記載されているか:R9>50など個別指定があれば必ず確認
- 試験ロット:納品ロットと試験ロットが一致しているか(量産品でもロットによる変動あり)
カタログ値と試験成績書の値が1〜2ポイントずれているのは普通で、ロット差や測定誤差。ただしR9のような特殊演色評価数は5〜10ポイント差が出ることもあるので、シビアな案件ではロット指定で発注します。
同一空間でのRa統一
施工管理の現場でハマりやすいのが、「Ra値の異なる器具を同じ室内で混ぜてしまう」こと。
- ベース照明Ra80 + ダウンライトRa95 → 場所によって色の見え方が違って違和感
- 既存器具Ra70(古い蛍光灯)+ 新規LED Ra80 → 古い側が暗く・くすんで見える
同じ空間ではRa値を揃えるのが鉄則。改修工事で部分更新する場合も、できる限り全体の演色性を統一します。
竣工検査での実測
医療・美術館・印刷工場など演色性がシビアな案件では、現地での色温度・Ra実測が竣工検査項目に入ることがあります。
- 照度計+分光放射計で現地測定
- 照明点灯後30分以上のエージングを経てから測定
- 測定点は床面・対象物表面など実用面で
「カタログでRa90と書いてある」だけでは検査が通らず、実測値の証明を求められるケースは増えてきています。
演色評価数に関する情報まとめ
- 演色評価数とは:JIS Z 8726で定義された、演色性を試験色との色差から計算する評価指標
- 演色性との違い:演色性は現象、演色評価数(CRI)はそれを測るモノサシ
- Ra:試験色R1〜R8の平均値。Ri = 100 − 4.6 × ΔEi の平均
- 特殊演色評価数R9〜R15:Raに含まれない鮮やかな色・肌色・葉色を個別評価。特にR9(鮮やかな赤)が現場で重視
- 計算式:基準光源と試験光源それぞれの試験色見え方をCIELAB空間で比較し、ΔEを点数化
- 基準光源:5000K未満は黒体放射、5000K以上はCIE標準昼光(D光源)
- 試験規格:JIS Z 8726(光源の演色性評価方法)
- 設計図書の読解:「Ra90以上+R9>50」はRaの平均値だけでなくR9単独スコアを担保する指示
- 試験成績書チェック:JIS準拠/色温度/Ra/R9単独値/試験ロットの5項目
以上が演色評価数に関する情報のまとめです。
演色評価数は「演色性」という現象をJIS規格の計算手順で点数化したもので、ここを混同していると「Raは高いのに肉が美味しそうに見えない」みたいな現場トラブルにハマります。特にR9併記指定が増えてきた最近の設計図書を読むには、Raと特殊演色評価数の違い、試験成績書の見方まで押さえておくと、メーカー選定からロット指定まで段取れます。用途別の選定感を含めた演色性そのものの基礎は別記事で押さえておくと、立体的に理解できます。一通り基礎知識は理解できたと思います。
合わせて読みたい






