労働者名簿とは?作業員名簿との違い、記載事項、注意点など

  • 労働者名簿って結局なに?
  • 現場で出す作業員名簿と同じもの?違うもの?
  • 何を書けばいいの?項目は?
  • 誰を載せる?日雇いや一人親方は?
  • 様式は決まってる?テンプレートある?
  • 保存期間って5年?3年?どっちが正しいの?
  • 作ってないと罰則あるの?
  • 建設会社だと誰が作るの?総務?現場?
  • 下請の労働者名簿まで元請が集めるの?
  • CCUS登録してれば名簿いらない?

上記の様な悩みを解決します。

労働者名簿は、建設業に限らずすべての会社が作らなければならない法定の帳簿です。ただ施工管理をやっていると、現場で毎回出している「作業員名簿(グリーンファイル)」とごっちゃになって、「労働者名簿って作業員名簿のこと?」と混乱しがちです。実はこの2つは別物で、根拠になる法律も、作る場所も、提出先も違います。

今回は労働者名簿の定義・記載事項・保存期間・罰則といった基本を押さえた上で、施工管理目線で一番モヤっとしやすい「作業員名簿との違い」「建設会社では誰がどこで作るのか」「一人親方・下請の扱い」「CCUS時代の管理方法」まで、現場で実際にハマるポイントを整理しました。

なるべく分かりやすい表現でまとめていくので、書類関係が苦手な方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

労働者名簿とは?

労働者名簿とは、結論「会社が雇っている労働者一人ひとりについて、氏名・生年月日・住所・業務内容などを記載して備えておく、労働基準法で義務付けられた帳簿」のことです。

根拠は労働基準法第107条です。会社(使用者)は、各事業場ごとに、労働者名簿を労働者ごとに作って備え付けなければならない、と定められています。これは建設業だけのルールではなく、業種を問わずすべての会社に課せられる義務です。

労働者名簿は、賃金台帳・出勤簿と並んで「法定三帳簿」と呼ばれます。この3つは労働基準監督署の調査(臨検)が入ったときに必ず確認される基本帳簿で、整備されていないと是正勧告の対象になります。

法定三帳簿 根拠条文 中身
労働者名簿 労基法107条 従業員ごとの基本情報(氏名・生年月日・住所・業務等)
賃金台帳 労基法108条 賃金の計算根拠(労働時間・賃金額・控除等)
出勤簿 労基法等 労働日・労働時間の記録

僕の感覚だと、施工管理をやっていると「労働者名簿」という言葉自体に馴染みが薄いです。普段の現場業務で出てくるのは圧倒的に「作業員名簿」の方なので、労働者名簿と聞くとピンとこない人が多い。でもこれは総務や経理が会社の根っこで管理している帳簿で、現場の作業員名簿とは出どころが全然違う、というのをまず押さえておくと整理しやすいです。

労働者名簿と作業員名簿の違い

施工管理者が一番混乱するのがここです。結論から言うと、労働者名簿と作業員名簿はまったくの別物です。

比較項目 労働者名簿 作業員名簿
根拠 労働基準法107条(法律上の義務) 施工体制台帳の添付書類(建設業のルール)
目的 会社の労務管理・労基署対応 現場に誰が入っているかの把握・安全管理
作る単位 事業場(会社)ごと 工事現場ごと
作る人 雇用主(自社の総務・人事) 各下請業者が作り、元請が集約
提出先 提出義務なし(事業場に備え付け) 元請(一次→元請へ、二次→一次へ)
記載対象 自社が雇う全労働者 その現場に入る作業員
主な記載項目 氏名・生年月日・住所・業務種類・雇入日等 氏名・職種・社会保険加入状況・健康診断日・資格等

ざっくり言うと、労働者名簿は「会社が自社の従業員を管理するための帳簿」、作業員名簿は「現場ごとに、その現場に入る作業員を把握するための安全書類」です。法律も違えば、作る場所も提出ルートも違います。

作業員名簿は、施工体制台帳に添付する「グリーンファイル(労務安全書類)」の一種です。新規入場のたびに更新したり、現場ごとに作り直したりするのは作業員名簿の方で、労働者名簿は会社で1セット持っていれば現場ごとに作り直す必要はありません。

作業員名簿そのものの書き方はこちらが詳しいです。

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僕としては、この2つを混同したまま「労働者名簿出して」と言われると、現場の作業員名簿を出してしまって話が噛み合わない、という事故が起きやすいと感じます。労基署が言う「労働者名簿」は会社の総務が持っている法定帳簿のこと、元請が言う「作業員名簿」は現場のグリーンファイルのこと、と頭の中で住み分けておくと、どっちを求められているのか迷わなくなります。名前が似ているだけに、最初にここを切り分けておくのが大事です。

労働者名簿の記載事項

労働者名簿に書くべき項目は、労働基準法107条と労働基準法施行規則53条で決まっています。全部で9項目です。

# 記載事項 根拠 補足
氏名 労基法107条 ふりがなの併記が推奨
生年月日 労基法107条
履歴 労基法107条 法令上は明確な定義なし。社内異動・昇進等を記載するのが一般的
性別 施行規則53条
住所 施行規則53条 常に最新のものに更新
従事する業務の種類 施行規則53条 常時30人未満の事業場は記載不要
雇入の年月日 施行規則53条
退職の年月日とその事由 施行規則53条 解雇の場合はその理由も
死亡の年月日とその原因 施行規則53条

ポイントを3つだけ補足します。

  • 「履歴」は法律上はっきり定義されていない項目です。実務では社内での異動・昇進・配置転換などを書くケースが多いですが、何を書くかは会社の運用に委ねられています
  • 「従事する業務の種類」は、常時雇用する労働者が30人未満の事業場では記載不要です。小規模な工務店だとここは省略できる場合があります
  • マイナンバーや基礎年金番号は労働者名簿の法定項目ではありません。労務ソフトのテンプレートには入っていることもありますが、法律で求められているのは上の9項目です

建設業だと、ここに自社で独自に「保有資格(施工管理技士・各種技能講習等)」を追加して管理している会社も多いです。法定項目ではないので必須ではありませんが、現場配置や主任技術者の選任を考えるうえで、資格情報を名簿に紐づけておくと実務が楽になります。

僕の感覚だと、記載事項そのものより「変更があったときにちゃんと直せているか」の方が現場では大事です。引っ越して住所が変わった、異動で業務が変わった、というときに名簿が古いままだと、いざ労基署の調査で「これ最新ですか?」と聞かれて詰まります。雇い入れ時にきっちり作るのは当然として、その後のメンテをルール化しておくのが抜けがちなポイントです。

労働者名簿の対象者(誰を載せて、誰を載せない)

労働者名簿は「自社が雇うすべての労働者」が対象です。正社員だけでなく、契約社員・パート・アルバイトも含みます。一方で、対象にならない人もいます。

区分 労働者名簿の対象 理由
正社員 自社の労働者
契約社員・パート・アルバイト 雇用形態を問わず自社の労働者
日雇い労働者 ×(原則) 継続的な雇用が前提でないため
派遣社員 ×(派遣元が作成) 雇用契約は派遣元との間にある
移籍出向の出向者 ×(出向先が作成) 雇用契約が出向先にある
役員 × 労働者に該当しない
一人親方 ×(雇用関係がない) 個人事業主であり労働者でない

建設業で特に注意したいのが、下から2つの「一人親方」と「日雇い」です。

一人親方は会社に雇われている労働者ではなく、独立した個人事業主です。なので、元請や上位下請が一人親方を労働者名簿に載せる必要はありません。ただし現場に入るなら「作業員名簿」には載せます。ここでも労働者名簿と作業員名簿の役割の違いが効いてきます。

派遣社員も労働者名簿は派遣元が作るのが原則で、派遣先(現場側)が作るものではありません。ただし、混同しやすいですが「賃金台帳」の方は日雇い労働者についても作成が必要です。労働者名簿は日雇い対象外、賃金台帳は日雇いも対象、とねじれているので注意してください。

僕としては、建設業は雇用形態がとにかく入り混じる業界なので、ここの線引きを最初に整理しておくと混乱が減ると感じます。「うちが直接雇ってるか?」がシンプルな判断軸で、直接雇用なら労働者名簿、現場に入るだけの一人親方や他社の社員は作業員名簿で押さえる、という分け方が実務的です。

労働者名簿の様式・テンプレート

労働者名簿に決まった様式(フォーマット)はありません。記載事項さえ漏れなく入っていれば、エクセルでも紙でも労務ソフトでも構いません。

厚生労働省(各都道府県労働局)が参考様式をエクセルで配布していて、まず作る場合はこれをベースにするのが早いです。市販の労務ソフトや人事システムにも標準テンプレートが入っているので、従業員数が多い会社はそちらを使うのが一般的です。

作成のときに押さえておくといいポイントを挙げておきます。

  • 9つの記載事項を漏れなく入れる(業務の種類は30人未満なら省略可)
  • 1人につき1葉(1シート)で作るのが基本。一覧表形式でまとめてもよいが、項目漏れに注意
  • 氏名にはふりがなを付けておくと読み間違いを防げる
  • 建設業なら保有資格・社会保険加入状況の欄を独自に足しておくと現場配置の検討に使える
  • 退職者の分も、保存期間が終わるまでは消さずに残す

様式自由とはいえ、項目が1つでも欠けていると「記載不備」として是正勧告の対象になり得ます。様式を自作する場合は、上の記載事項チェックだけは必ず通してください。

僕の感覚だと、自作エクセルで運用している会社ほど「項目の抜け」と「更新漏れ」が起きやすいです。厚労省の参考様式か、ちゃんとしたテンプレートをベースにしておけば、少なくとも項目抜けは防げます。凝ったレイアウトより、記載事項が全部入っていて、更新しやすい構造かどうかで選ぶのがおすすめです。

労働者名簿の保存期間は5年?3年?

ここは競合記事でも説明がブレていて混乱しやすいので、はっきりさせておきます。結論は「原則5年、ただし当分の間は経過措置で3年でよい」です。

項目 内容
原則の保存期間 5年(労働基準法109条)
当分の間の経過措置 3年(労働基準法143条1項)
起算日 労働者の退職・解雇・死亡の日(施行規則56条)
経過措置の終了時期 現時点で明確なアナウンスなし。将来的に5年完全義務化の見込み

もともと労働者名簿の保存期間は3年でした。2020年4月施行の改正労働基準法で、賃金請求権の時効が5年に延びたのに合わせて、保存期間も原則5年に延長されました。ただ、いきなり5年は負担が大きいということで、当分の間は3年とする経過措置(労基法143条1項)が置かれています。

なので「5年」と書いてある記事も「3年」と書いてある記事も、どちらも間違いではありません。法律の建前は5年、実務上の経過措置は3年、というのが正確な理解です。実務では「最低3年、できれば5年保管しておけば安全」と考えておけば間違いありません。

起算日は「作成日」でも「退職日」でもなく、労働者の退職・解雇・死亡の日からカウントします。在籍中はずっと保管が続き、辞めた日から3年(5年)が保存期間、という形です。

僕としては、経過措置がいつ終わって5年完全義務化になるか読めない以上、最初から5年保管で運用ルールを組んでおくのが安全だと感じます。3年で捨てて、後から「やっぱり5年だった」となると取り返しがつかないので、迷ったら長い方に倒しておくのが書類管理の鉄則です。電子保存ならスペースも食わないので、5年保管にしておくデメリットはほぼないです。

労働者名簿を作成しない場合の罰則

労働者名簿の作成・保存を怠ると、罰則があります。

労働基準法120条1号により、労働者名簿の未作成・記載不備・保存義務違反は「30万円以下の罰金」の対象です。

ただ実務の流れとしては、いきなり罰金になるわけではありません。労働基準監督署の調査(臨検)で不備が見つかると、まず是正勧告が出ます。期限内に直して報告すれば、それで済むケースがほとんどです。問題は、是正勧告を受けても対応しない、あるいは悪質と判断された場合で、ここまでくると罰金や企業名公表のリスクが現実になります。

段階 内容
①臨検(調査) 労基署が法定三帳簿を確認
②是正勧告 不備があれば指摘・改善指示
③是正報告 期限内に直して報告すれば基本ここで終了
④罰則 勧告無視・悪質な場合に30万円以下の罰金、企業名公表も

建設業は元請の現場で安全パトロールや書類確認が頻繁にあり、書類管理がルーズな会社は元請からの信頼も落ちます。法定帳簿は「労基署対策」だけでなく「元請からの評価」にも直結する、という意識で整備しておくのがいいです。

僕の感覚だと、罰金そのものより「ちゃんとした会社かどうか」を見られる材料になっている方が大きいです。労働者名簿すらきちんと整備できていない会社は、現場の安全書類も雑だろうと見られてしまう。逆にここがきっちりしていると、元請からの信頼貯金になります。罰則回避というより、会社の信用を守るための土台だと捉えるといいです。

建設会社における労働者名簿の実務(誰が・どこで作るか)

ここからは建設業ならではの実務の話です。労働者名簿は「事業場ごと」に備え付けるのがルールなので、作る場所と担当者を整理しておきます。

労働者名簿は基本的に、本社や支店の総務・人事・経理が、自社の従業員について作って備え付けます。現場の施工管理が現場で作るものではありません。ここが作業員名簿との一番大きな運用上の違いです。

帳簿 作る場所 担当 タイミング
労働者名簿 本社・支店(事業場) 総務・人事・経理 雇入時に作成、変更時に更新
作業員名簿 各工事現場 各社の現場担当・施工管理 現場着工・新規入場のたび

「事業場ごと」というのがポイントで、本社・支店・営業所がそれぞれ独立した事業場なら、その事業場で働く労働者の名簿をそれぞれ備える必要があります。1か所に全社分まとめて置けばいい、というわけではない点に注意してください(クラウド管理なら各事業場から最新版を参照できる形にしておく)。

下請の労働者名簿について、元請が集める義務はありません。元請が現場で集約するのは「作業員名簿」であって、各下請会社の労働者名簿そのものを回収するわけではない、という整理です。各社が自社の事業場で自社の労働者名簿を備える、というのが正しい姿です。

施工体制台帳・作業員名簿まわりの実務はこちらも参考になります。

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僕としては、施工管理が労働者名簿を直接作る場面は実はあまりないけれど、「現場で出す作業員名簿」と「会社が持っている労働者名簿」の関係を理解しておくと、書類の指示が来たときに迷わないと感じます。労基署対応で「労働者名簿を見せて」と言われたら総務マター、元請の安全書類で「名簿出して」と言われたら現場の作業員名簿、という切り分けが現場で効いてきます。

労働者名簿の管理・電子化(CCUS時代の整理)

最近は労働者名簿も紙からデジタル管理に移行する会社が増えています。労働者名簿は電子データでの保存・管理が認められているので、要件さえ満たせばエクセル管理でも労務ソフト管理でもOKです。

電子化のメリットを整理するとこんな感じです。

  • 各事業場から常に最新版を参照できる(支店ごとの備え付けがクラウドで完結)
  • 住所変更・異動などの更新がその場で反映され、更新漏れが減る
  • 紙の紛失リスク・保管スペースが不要になる
  • 労基署の調査時にすぐ出せる

ここで施工管理者が気になるのが「CCUS(建設キャリアアップシステム)に登録していれば労働者名簿はいらないのか?」という点だと思います。

結論を言うと、CCUSと労働者名簿は別物で、CCUS登録は労働者名簿の代わりにはなりません。CCUSは技能者の資格・就業履歴を業界横断で蓄積する仕組みで、目的も運営主体も労働基準法の労働者名簿とは違います。ただ、CCUSに登録した技能者情報(氏名・生年月日・資格・社会保険加入状況など)は労働者名簿や作業員名簿の項目と重なる部分が多いので、情報の使い回しで作成の手間を減らすことはできます。

CCUSの全体像はこちらが詳しいです。

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システム 根拠・目的 労働者名簿の代わりになる?
労働者名簿 労基法107条/会社の労務管理
CCUS 業界の技能者情報蓄積/処遇改善 ×(別物。情報の流用はできる)
作業員名簿 施工体制台帳の添付/現場の安全管理 ×(別物)

僕の感覚だと、CCUS・作業員名簿・労働者名簿は「似た情報を別々の目的で持っている3つの仕組み」と捉えると整理しやすいです。同じ作業員の氏名や資格を3か所に書くことになるので、どれか1つを正本にして他に流用する運用を組めると、二度手間が減ります。ただし「CCUSやってるから労働者名簿は省略」はできないので、そこは分けて考えてください。

労働者名簿に関する情報まとめ

  • 定義:会社が雇う労働者ごとに氏名・生年月日・住所等を記載する、労基法107条で義務付けられた法定帳簿
  • 法定三帳簿:労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の3つ。労基署の調査で必ず確認される
  • 作業員名簿との違い:労働者名簿は会社の法定帳簿、作業員名簿は現場ごとのグリーンファイル。法律も作る場所も提出先も別物
  • 記載事項:氏名・生年月日・履歴・性別・住所・業務の種類・雇入日・退職日と事由・死亡日と原因の9項目(業務種類は30人未満なら省略可)
  • 対象者:正社員・パート等の自社労働者が対象。日雇い・派遣・一人親方・役員は対象外
  • 様式:法定様式なし。記載事項が揃えばエクセル・紙・労務ソフト何でも可。厚労省の参考様式が便利
  • 保存期間:原則5年(労基法109条)、当分の間は経過措置で3年(労基法143条)。起算日は退職・解雇・死亡の日
  • 罰則:未作成・不備・保存違反は30万円以下の罰金(労基法120条)。実務は是正勧告→対応で済むことが多い
  • 建設業の実務:本社・支店の総務が事業場ごとに作成。施工管理が現場で作るのは作業員名簿の方
  • 管理・電子化:電子保存OK。CCUSは労働者名簿の代わりにはならないが情報の流用はできる

以上が労働者名簿に関する情報のまとめです。

労働者名簿は、施工管理が直接作る場面は少ないものの、「現場の作業員名簿」と混同しやすい書類です。労働者名簿は会社が事業場ごとに備える法定帳簿、作業員名簿は現場ごとの安全書類、と役割を切り分けて理解しておくと、書類の指示が来たときに迷わなくなります。記載事項・保存期間・罰則の基本を押さえつつ、自社で直接雇っている人だけが労働者名簿の対象、という線引きと、保存期間は迷ったら5年に倒しておく、という2点だけ覚えておけば実務で困ることはほぼないはずです。

労働者名簿に関するよくある質問

Q1:労働者名簿と作業員名簿は同じものですか?

別物です。労働者名簿は労働基準法107条で定められた法定帳簿で、会社が自社の従業員について事業場ごとに作って備え付けます。一方、作業員名簿は施工体制台帳に添付するグリーンファイル(労務安全書類)の一種で、工事現場ごとに、その現場に入る作業員を把握するために各下請が作り元請が集約します。根拠になる法律も、作る場所も、提出ルートも違うので、「労働者名簿を見せて」と言われたら会社の総務が持つ帳簿、「作業員名簿を出して」と言われたら現場のグリーンファイル、と切り分けて対応します。

Q2:労働者名簿の保存期間は5年ですか3年ですか?

原則は5年(労働基準法109条)ですが、当分の間は経過措置として3年でよいとされています(労働基準法143条1項)。2020年4月の改正で3年から5年に延長された際、いきなり5年は負担が大きいため経過措置が置かれた経緯です。どちらの記載も間違いではなく、法律の建前は5年、実務上の経過措置は3年、というのが正確です。起算日は退職・解雇・死亡の日からで、経過措置の終了時期は未定なので、迷ったら5年保管にしておくのが安全です。

Q3:一人親方は労働者名簿に載せる必要がありますか?

載せる必要はありません。一人親方は会社に雇われている労働者ではなく独立した個人事業主なので、労働者名簿(自社が雇う労働者の帳簿)の対象外です。ただし、現場に入る場合は「作業員名簿」には記載します。労働者名簿は雇用関係がベース、作業員名簿は現場に入るかどうかがベース、と判断軸が違う点に注意してください。

Q4:建設会社では労働者名簿は誰が作るんですか?

本社や支店の総務・人事・経理が、自社の従業員について作るのが基本です。労働者名簿は「事業場ごと」に備え付けるルールなので、本社・支店・営業所がそれぞれ事業場なら、その事業場の労働者分を備える必要があります。施工管理が現場で作るのは作業員名簿の方で、労働者名簿を現場で作る場面は基本ありません。

Q5:下請の労働者名簿は元請が集めるんですか?

集めません。元請が現場で集約するのは「作業員名簿」であって、各下請会社の労働者名簿そのものを回収する義務はありません。労働者名簿は各社がそれぞれ自社の事業場に備える帳簿です。元請が集める安全書類(グリーンファイル)の中の作業員名簿と、各社が自社で持つ労働者名簿を混同しないようにしてください。

Q6:CCUSに登録していれば労働者名簿は不要ですか?

不要にはなりません。CCUS(建設キャリアアップシステム)は技能者の資格・就業履歴を業界横断で蓄積する仕組みで、労働基準法の労働者名簿とは目的も運営主体も別物です。CCUS登録は労働者名簿の代わりにはならないので、両方とも整備が必要です。ただし、CCUSに登録した氏名・生年月日・資格・社会保険加入状況などは労働者名簿や作業員名簿の項目と重なるので、情報を流用して作成の手間を減らすことはできます。

Q7:労働者名簿はエクセルや電子データで管理してもいいですか?

問題ありません。労働者名簿に法定の様式はなく、記載事項さえ漏れなく揃っていればエクセル・紙・労務ソフトのいずれでも構いません。電子保存も認められているので、クラウドの労務システムで管理すれば、各事業場から最新版を参照でき、更新漏れも減ります。労基署の調査時にすぐ出せる点でも電子管理は有利です。ただし、様式自由でも項目が1つでも欠けると記載不備として是正勧告の対象になり得るので、記載事項チェックだけは必ず通してください。

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