- 労働者名簿ってなに?
- 作業員名簿との違いって?
- どんな記載事項があるの?
- 書く際の注意点って?
上記のような悩みを解決します。
現場に入る際に必要なのが安全書類であり、安全書類の一つとして必ず入っているのが労働者名簿です。知っておくべき知識は抑えておきましょう。
この記事では労働者名簿とは?といったところから、作業員名簿との違い、記載事項、注意点などについて解説していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、安全書類に苦手意識がある方にも分かりやすい記事になっているかなと思います。
建設業の労働者名簿とは?
労働者名簿とは、結論「一人の労働者の詳細な情報を記した安全書類のこと」です。
施工会社側はどのような人が労働者として現場に入るのかを知る必要があります。
簡単な話、視力に問題のある労働者さんがいたら、それなりに対応することが出てきますよね。口でいうだけでなく、書類として残しておく必要があるんです。
勘違いしやすい部分として「監督社員も労働者名簿の提出が必要である」という点が挙げられます。
「労働者名簿」というネーミングですので『職人だけでいいんでしょ?』と勘違いされやすいですが、監督社員も必要です。
現場に入る人全員が「労働者」という捉え方をします。
ちなみに、労働者名簿は建設業特有の書類ではなく、全業種共通の書類です。
作業員名簿と労働者名簿の違い
作業員名簿と労働者名簿の違いとして、まず挙げられるのは「複数人が記入するか?一人が記入するか?」の違いです。
まず、作業員名簿には複数人の情報が記入されます。
例えばその会社から5人が現場に入るとすると、5人の情報が1枚の作業員名簿に記入されるんです。対して、労働者名簿は一人の情報が一枚の紙に書かれます。もしその会社から5人が現場に入るとすると、5枚の労働者名簿が必要です。
作業員名簿と労働者名簿の違い
- 作業員名簿:全員の情報をサラッとまとめる
- 労働者名簿:個々の詳細な情報を記入する
上記のような位置付けですね。
とは言ってみても具体的な内容として、作業員名簿と労働者名簿の違いは「視力、聴力、平行感覚」などに関する記載も行う点ですね。
作業員名簿では視力、聴力、平行感覚なんて書きませんからね。まあ労働者名簿もフォーマットは会社によって違うので、一概には言えません。
要は詳細な情報を記すのが労働者名簿です。
建設業における労働者名簿の記載事項
個人情報シリーズ
労働者名簿に記載する個人情報
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 入社年月日
- 所属会社
- 現住所
- 緊急連絡先
上記のような個人情報を記入します。
この中で一番重要なのは「緊急時の連絡先」です。
例えば、現場で事故を起こしてしまい、重体で病院に搬送されたとしましょう。今すぐに手術が必要だったとして、その許可を出す人が必要です。
医者は患者の同意なしに手術することはできません。
誰かの許可を貰ってからでないと手術できないんです。
患者本人に意識がない場合、本人以外が許可を出す必要があります。それが緊急時の連絡先に登録されている人という訳です。
非常に重要な項目ですので、緊急時の連絡先は書き間違えないようにしましょう。
職種、経験年数、直近の職務経歴
次は職種、経験年数、直近の職務経歴について記します。
要は今の現場でどんな仕事をするか?前の現場ではどのようなことをやっていたか?という内容を書く項目です。そこまで明確に書く必要はありません。
例えば「東京駅の現場で配管工事をしていた」とか、それくらいザックリでオーケーです。
経験年数に関しては、浅ければサポートが必要になったりしますし、本人の能力によって振り分けられる仕事も変わってくるので書くことが必要です。
身体能力関係
労働者名簿に記載する身体能力関係
- 視力
- 血圧
- 聴力
- 血液型
- 握力
- 平行感覚
- 直近でいつ健康診断を受けたか?
上記のような項目を書き込みます。
血圧なんかでは「最高血圧が150を超えたら入れない」だったり「最低血圧が80を割ったら入れない」など、現場によってルールが決まっています。
現場では事故を起こさないことが大切ですので、現場で事故を起こす可能性のありそうな人は現場に入れないんですね。
血圧も工夫して計り直せば適正数字を出せることが多いですから、そこまで心配はしなくてもいいと思いますよ。
例えば、視力が悪くても現場に入れます。あくまで監督者が職人の特徴を知っておき、適所に職人さんを配置することを目的としています。
建設業で労働者名簿を書く際の注意点
現場に入る前に労働者名簿を提出する
当たり前ですが、労働者名簿は現場に入る前に提出しましょう。
一番楽なのは初めて現場に入る時に、他の安全書類と一緒に書いてしまうのが良いです。現場事務所に紙がありますから。
労働者名簿は監督者が労働者の情報を把握し、適材適所に配置することが目的です。
現場に入った後に渡されても全く意味がありません。
もしかしたら現場によっては緩くやっていたりする所もあるかとは思いますが、本当はよろしくないことですので辞めておきましょう。
漏れなく記入すること
労働者名簿は漏れなく記入しましょう。
職人さんによっては「1回しかその現場に入らない」という人もいます。その職人さんの労働者名簿に不備があったら、修正をお願いできなくて監督者が困るんです。
いつもいる人なら『ここ書き直しといて!』で済みますが、もう現場に来ないならどうしようもありません。
労働者名簿を提出することの多い朝は、ゴタついていることも多いです。
監督者もそこまで細かく労働者名簿をチェックしない場合もあります。キッチリと一発で労働者名簿に漏れなく記入してください。
その会社のフォーマットがあるならそれに従うこと
作業員名簿なんかは全社共通ですが、労働者名簿はフォーマットが会社によって異なります。
会社の規定として決まっているので、その会社のフォーマットに従いましょう。
適当なフォーマットを拾ってきて作成し、それを一気に印刷して保管しておき。。。という手段は通用しません。面倒かもしれませんが、その都度、作成するようにしましょう。
建設業の労働者名簿に関する情報まとめ
建設業の労働者名簿に関する情報まとめ
- 労働者名簿とは:一人の労働者の詳細な情報を記した安全書類のこと
- 労働者名簿と作業員名簿との違い①:複数人が記入するか?一人が記入するか?
- 労働者名簿と作業員名簿との違い②:ザックリした情報か?詳細な情報か?
- 労働者名簿の記載事項:個人情報、職人としての経験、身体能力
- 労働者名簿を書く際の注意点:提出時期を守る、漏れなく記入、現場のフォーマットを使う
以上が労働者名簿に関する情報のまとめです。
一通り労働者名簿の基礎情報は網羅できたと思います。
建設業ってやたらと書類が多くて面倒に感じることも多いかもしれませんが、その多くは必ず必要な書類ですので、面倒くさがらずに書きましょう。
また、労働者名簿以外にも現場へ入るのに必要な書類がいくつかあります。下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。
労働者名簿に関連する安全書類の記事リンク