墨出しとは?種類、必要工具、注意点などを施工管理が解説

  • 墨出しってなに?
  • どんな種類があるの?
  • 必要な工具って?
  • 注意点は?

上記の様な悩みを解決します。

正確な寸法で施工するには墨出しについて理解しておく必要があります。どの業者においても必須の知識になるので、基礎について理解しておきましょう。

この記事では墨出しとは?といったところから、種類、必要な工具、注意点などについて解説していきます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

墨出しとは?

墨出しとは、結論「目印を付けること」です。

何を施工するにしても、施工する位置は決まっています。他の機器との兼ね合いがあるので、違った場所に置くことはできません。

簡単な話、空調機器が置かれる場所に盤が置いてあったら、空調機器を施工することはできませんよね。設計図や打ち合わせで、機械を置く場所が決まっています。

「なんとなくこの辺かな?」と、ザックリ施工することは許されません。

建物はミリ単位で設計しているので、正確な位置に物を施工する必要があります。そこで登場するのが墨出しという訳です。

例えば、壁から200mmの位置にコンセントを施工するとしましょう。

壁から200mmを目分量でやったら確実にブレますので。「ここにコンセントを置く」という目印が必要になります。この目印を付ける行為が墨出しです。

 

墨出しの種類

墨出しの種類その①陸墨

陸墨は、水平高さを表す墨です。

よく現場で「FL1000」という墨を見かけると思います。これが陸墨でして、地面から1000mmの高さがここですよ!と示す墨です。腰墨、水墨とも呼ばれます。

「地面から測ればよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。

例えばコンセントを床から300mmの位置に施工したいなら、地面から300mmの位置に墨を出して施工すればいいと思いますよね。

結論、違うって話です。

コンクリートの床は仕上げの高さではありません。例えば二十床だとしたら、実際の仕上げはもう少し上になります。

二十床の高さが500mmだとしたら、コンセントは床の中に埋まってしまいます。そんなこんなで陸墨が必要になってきます。

 

墨出しの種類その②親墨(基準墨)

親墨とは、結論「通り芯を表した墨」です。

設計図には通り芯が乗ってますよね。X3通りとか、Y4通りとか。設計図で見れば「盤の位置は通り芯から400mm」とか簡単に理解できます。

ただ、現場に通り芯はありません。

位置は通り芯が基準になっていることが多いので、通り芯から長さを測って施工。。。という流れが基本ですが、現場に行けば通り芯なんて存在しないんです。

れでは施工に困ってしまうので「通り芯はここですよ!」と示してくれる親墨が必要になります。基準墨とも言われたりします。

 

墨出しの種類その③逃げ墨(返り墨)

逃げ墨とは、結論「本来の位置から〇〇mm離れていますよ」という墨です。

先ほどの親墨の話をすると、親墨は通り芯の位置を示します。ただ、通り芯には柱があり、墨を出すことはできません。

通り芯を書くスペースが無いので「通り芯から1000mm左に行ったのがここですよ!」と示す必要があります。これが逃げ墨です。

例えば、通り芯から300mmの位置に盤を置きたいとしましょう。

柱があって通り芯は書けないので、通り芯から左に1000mm離れた逃げ墨を基準に墨出しを行います。通り芯から1000mm離れているのが左だから、逃げ墨から700mm右へ行けばいいという訳です。

 

墨出しの種類その④心墨

心墨とは、結論「部材の中心を表した墨」です。

例えば、型枠があったとしましょう。型枠には当然のことながら目盛りが付いていませんから、中心がどこにあるかは分かりません。

それでは中心から100mm離れたところに釘を打て!と言われてもできませんよね。ここで登場するのが心墨です。

部材の中心に墨を出すことで、その後の施工を効率良く進めることができます。

 

墨出しに必要な工具

墨出しに必要な工具その①エンピツ

簡単な墨出しなら、エンピツを使えば可能です。

ボールペンはあまり書けないので、エンピツの方が良いですよ。たまにヘルメットにペンを刺している人がいると思うのですが、あれは墨出しをするためのエンピツです。

墨出しをするならエンピツがオススメです。

 

墨出しに必要な工具その②墨壺

墨壺は親墨(基準墨)を出す為に使われます。

簡単な墨出しならエンピツを使ってコンクリートなり、柱なりに墨を出せば大丈夫ですが、親墨を出すと思うとエンピツでは大変です。

なにせ通り芯は建物の端から端まであります。エンピツと定規では流石に無理があります(笑)。

墨壺は長い墨を出すのに適しています。中に長い糸がありその糸に墨が付いているので、糸を地面に叩きつけることによって、長い距離の墨を出すことができるんです。

 

墨出しに必要な工具その③レーザー

レーザー墨出し器も親墨を出すために用いれられます。

直線状のレーザーを出すことにより、通り芯の位置を明確に理解できるようにします。通り芯の位置を把握することができれば、その線に向かって墨壺で叩きつければ親墨を出すことができます。

人の目ではなく機械を使っているので、正確な墨出しをすることができます。

 

墨出しに必要な工具その④メジャー

親墨や基準墨など、長い墨を出すことばかりではありません。

ボックスに穴を開ける位置の墨を出すとか、型枠に墨を出すとか、手元で簡単に行えるような墨出しの方が多かったりします。

そんな時にいちいちレーザーを置いてとかやると、普通に時間がかかって仕方ないです。手元で行えるような墨出しはメジャーを使って墨を出します。

 

墨出しをする際の注意点

墨出しは正確さが命

墨出しは正確さが命です。墨出しの位置が間違っていたら、大変なことになります。

例えば、親墨が500mmズレていたとしたら、他の機器も全部500mmズレてしまします。全ての基準となる墨ですので、正確性は必須です。

また、ボックスに穴を開ける墨出しをしたとしましょう。

もし一つ墨出しの位置が間違えていたら、全ての墨を再チェックしなければなりません。全数チェックです。数個だったらいいのですが、数十個数百個とかあったら。。。想像したくもありません。

墨出しでは正確性が超重要ですので、早さよりも正確さを重視しましょう。

 

墨を出したら消さないことが重要

墨を踏みまくると消えます。足元を確認して、なるべく墨を踏まないようにしましょう。

先ほども言ったように、墨出しは正確性が命です。基準となる墨がズレていると、全てがズレてしまうからです。

その為、墨出し屋さんも相当神経を研ぎ澄まして墨出しを行います。頑張って出した墨が消されてしまったら、ブチギレ待った無しです。

 

墨出しに関する情報まとめ

墨出しに関する情報まとめ

  • 墨出しとは:目印を付けること
  • 墨出しの種類:陸墨、親墨、逃げ墨、心墨
  • 墨出しに必要な道具:墨壺、エンピツ、メジャー、レーザー墨出し器
  • 墨出しの注意点:正確にやって、消さないこと

以上が墨出しに関する情報のまとめとなります。

現場に関わるものとして、墨出しの知識は必須です。どんな工事も墨が分からなければ施工できませんので、多くの施工の元になっていると言えるでしょう。

正確に墨出しについて理解を深め、現場で活躍できるようにしましょう!