- 解体工事業登録って何?どの法律で決まっている話?
- 建設業許可を持っていれば登録はいらない?どの業種の許可なら?
- とび・土工の許可で解体まで請けていいの?
- 500万円って登録の線?それとも許可の線?
- 隣の県の現場は、うちの県の登録のままで足りる?
- 2級建築施工管理技士の自分は技術管理者になれる?
- 資格が無くても実務経験だけで技術管理者になれる?何年?
- 更新の期限と手数料は?
- 無登録で解体したらどうなる?
上記の様な悩みを解決します。
解体工事業登録は、建設リサイクル法第21条にもとづき、解体工事を請け負う営業をする者が、工事をする区域の都道府県知事から受ける登録です。建設業許可のうち土木/建築/解体の3業種のどれかを受けていれば、この登録は要りません。登録だけで請け負えるのは、許可が要らない軽微な工事(500万円未満、建築一式工事は1,500万円未満)の範囲です。登録には技術管理者の選任が要り、有効期間は5年です。
解体工事業登録は、建設業許可を持たない会社が小さな解体を請けるときの入口になる制度ですが、500万円の線の説明が自治体ごとに少しずつ違い、どこまでが条文でどこからが窓口の運用なのかが見えにくいんですよね。今回は登録の対象・許可との分かれ目・申請と更新といった基本を押さえた上で、自治体の窓口案内や申請代行の記事では薄くなりやすい「技術管理者になれる資格の種目・種別の限定」「登録後に許可を取ると登録が効力を失う仕組み」「罰金と過料に分かれた罰則」まで、条文に当たりながら施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、「うちは登録と許可のどっちが要るの?」と聞かれて調べ始めた方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
建設リサイクル法の知事登録:解体工事業登録とは?
解体工事業登録とは、結論、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)が解体を請け負う営業に課している、都道府県知事の登録です。条文の骨格は「解体工事業を営もうとする者」は「当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない」というもので、その主語から「土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者」が括弧書きで外されています(建設リサイクル法 第21条第1項)。
「解体工事業」は、建築物等を除却するための解体工事を請け負う営業で、「その請け負った解体工事を他の者に請け負わせて営むものを含む」とされています(建設リサイクル法 第2条第11項)。受けた解体を下に回すだけの会社も、文面上はこの営業に入ります。登録を受けて営む者が「解体工事業者」です(同条第12項)。
元請か下請かも関係なく、神奈川県の案内は「元請・下請の別にかかわらず、登録は受けなければなりません。」と書いています(神奈川県「解体工事業登録」2026年5月15日更新)。
見落としやすいのは、括弧書きで外れる許可が3業種だけで、とび・土工工事業は入っていない点です。2001年の国土交通省の省令概要では括弧書きが「土木工事業、建築工事業又はとび・土工工事業」でしたが、現行の第21条第1項は「解体工事業」です(国土交通省「解体工事業に係る登録に関する省令」概要/建設リサイクル法 第21条第1項)。
どの工事が登録の対象になるかは、東京都の手引の例示(出典は『建設リサイクル法の解説』)では次のとおりです(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」p.1)。
- 建築物の全部解体・一部解体:登録が必要
- 曳家(修繕・模様替等):登録は不要
- 壁や床版にスリーブを抜くなど、設備工事の附帯工事として行うもの:登録は不要
- 屋根ふき材の交換:登録は不要/屋根版の全部交換(解体+新築):登録が必要
着工前の届出や分別解体は解体工事の流れを扱った記事、石綿はアスベストの種類をまとめた記事に分けています。
登録か建設業許可か:持っている許可と請負金額の2軸で決まる
登録と許可のどちらが要るかは、結論「土木/建築/解体の3業種のどれかの許可を持っているか」と「1件の請負代金が、許可の要らない軽微な工事の範囲に収まるか」の2つで決まります。最初に押さえたいのは、500万円は登録の線ではなく建設業許可の線だということです。
建設業法は、建設業を営む者に許可を求めたうえで、ただし書で「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者」を外しています(建設業法 第3条第1項)。その軽微な工事の金額が、施行令では「工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事」です(建設業法施行令 第1条の2第1項)。同じ項の後半にある延べ面積150㎡未満の木造住宅は「建設する工事」についての規定なので、解体の判定には出てきません。
2つの軸を組み合わせると次の表になります。
| 持っている建設業許可 | 請け負う解体の規模 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 土木工事業/建築工事業/解体工事業のいずれか | (登録の要否では金額を見ない) | 解体工事業登録は不要(建設リサイクル法 第21条第1項括弧書き) |
| 上の3業種の許可なし(他業種の許可だけ、または許可なし) | 軽微な工事だけ(500万円未満、建築一式工事は1,500万円未満) | 解体工事業登録(建設リサイクル法 第21条第1項) |
| 上の3業種の許可なし | 軽微な工事に当たらない解体も請け負う | 建設業許可(建設業法 第3条第1項)。解体工事業の許可を受ければ登録は要らない |
表の2行目の読み方で注意したいのが、「登録は500万円未満の解体に限る制度」ではないという点です。建設リサイクル法の第21条にも、解体工事業の定義を置く第2条第11項にも、金額の下限は書かれていません(確認範囲:建設リサイクル法 第21条・第2条)。3業種の許可を持たない会社が解体工事を請け負う営業をするなら、金額が小さくても登録の対象です。そのうえで、登録だけの会社が受けられるのは許可の要らない軽微な工事の範囲まで、というのが2つの法律の重なり方です。
具体的な場面に当てはめてみます。3業種の許可を持たない会社が、建物の一部解体を300万円で請けるなら登録で足ります。同じ会社が専門工事としての解体を600万円で請けるなら、登録だけでは足りず建設業許可が要ります。建築工事業の許可を持つ会社なら、どちらの場合も解体工事業登録の手続きは要りません(ここで言えるのは登録の要否までです)。迷ったときは、まず許可の業種、次に合算後の金額、の順に見ると表のどの行かが決まります。
1,500万円は「建築一式工事」に当たる解体だけの線
1,500万円という数字は、解体工事一般の線ではありません。神奈川県の案内は「請負金額が500万円以上の解体工事(建築一式工事に含まれる解体工事にあっては、請負金額が1,500万円以上)を行うものは、建設業法に基づき建設業許可が必要となります。」と書き分けています(神奈川県「解体工事業登録」2026年5月15日更新)。どの解体が建築一式工事に当たるかについて、国土交通省の資料は「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ土木一式工事や建築一式工事に該当する」としています(国土交通省 建設業課「解体工事業追加に係る制度措置について」建設工事の区分の考え方)。専門工事として壊すだけの解体は、500万円の側で判定することになります。
金額は「1件の合計」で数える
軽微かどうかを判断する金額には、施行令に数え方の決まりがあります。契約書の金額だけを見て判断すると、ここで線を越えていることがあります。
- 同一の建設業を営む者が工事の完成を2以上の契約に分けて請け負う場合は、各契約の請負代金を足した額で判定する。正当な理由にもとづいて分割したときはこの限りでない(建設業法施行令 第1条の2第2項)
- 注文者が材料を出す場合は、その市場価格(又は市場価格及び運送賃)を請負代金に足した額で判定する(同条第3項)
- 「消費税込み」で見ると明記しているのは東京都の手引で、施行令の条文には消費税の文言は無い(東京都都市整備局 手引 令和7年10月改訂 p.1/確認範囲:建設業法施行令 第1条の2)
「2本に分ければ500万円未満」という発想は、同一の建設業を営む者が分割して請け負う場合、第2項の本文で合算されます。ただし書の「正当な理由」が何に当たるかは、条文には例示がありません(確認範囲:建設業法施行令 第1条の2)。
とび・土工の許可では解体工事業の代わりにならない
建設業許可の業種に「解体工事業」が加わったのは平成28年6月1日です。それまで解体はとび・土工工事業に含まれていて、施行日からは解体工事業を営むには解体工事業の許可が必要になりました(国土交通省 北陸地方整備局「建設業法等の改正」/国土交通省 建設業課「解体工事業追加に係る制度措置について」)。施行時点でとび・土工の許可で解体を営んでいた業者には経過措置がありましたが、国土交通省の報道発表は、その期間を「令和元年5月31日までの間に限り」と書いています(国土交通省 報道発表 令和元年5月10日)。
東京都の手引も「令和元年(2019年)6月1日以降は、とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可を受けた者であっても、解体工事を施工することはできません。」と明記しています(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」p.1)。登録の側から見ても、とび・土工工事業は第21条第1項の括弧書きの3業種に入っていません。とび・土工の許可だけを持つ会社が軽微な解体を請ける場合は、条文の文面上、登録の対象側に入ります。
登録したあとに許可を取ると、登録は効力を失う
登録で始めて、仕事が大きくなってから許可を取る流れもあります。この場合、第21条第5項は、解体工事業者の登録を受けた者が「第一項に規定する許可を受けたときは、その登録は、その効力を失う。」としています(建設リサイクル法 第21条第5項)。ここでいう許可は第1項の括弧書きに出てくる許可、つまり土木/建築/解体の3業種の許可に限られます。登録が効力を失うと、知事は登録を抹消します(同法 第28条)。反対に、とび・土工工事業の許可を後から取っても、第5項の「第一項に規定する許可」には当たらないので、文面上は登録は効力を失いません。
手続きとしては、東京都の手引が「解体工事業者の登録を受けた後、建設業法に基づく、土木工事業、建築工事業又は解体工事業の許可を受けた者は、『建設業許可取得通知書』を提出してください。」と案内しています(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」p.4 抹消の届出)。他県の様式名は、それぞれの県の案内で確かめてください。許可の業種や要件の全体像は建設業許可の取り方を整理した記事にまとめています。
登録先は工事をする都道府県ごと:本店のある県だけでは足りない
登録をどこで受けるかは、結論、工事をする都道府県ごとです。条文の言い方は「当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事」で、営業所の場所ではなく、解体工事業を行う区域で決まります(建設リサイクル法 第21条第1項)。
自治体の案内もこの読み方で揃っています。神奈川県は「営業所の有無にかかわらず、複数の都道府県の工事現場で解体工事を行う場合も、それぞれの都道府県知事の登録が必要となります。」と書き(神奈川県「解体工事業登録」2026年5月15日更新)、東京都の手引も「営業所を置いていなくとも、その工事を行う都道府県で、知事の登録が必要」としています(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」p.1)。本店が埼玉でも、東京の現場で解体を請けるなら東京都知事の登録が要る、という整理です。
建設業許可とは決め手が違います。
| 項目 | 解体工事業登録 | 建設業許可 |
|---|---|---|
| 根拠 | 建設リサイクル法 第21条第1項 | 建設業法 第3条第1項 |
| 誰の登録・許可か | 当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事 | 2以上の都道府県に営業所=国土交通大臣/1の都道府県にのみ営業所=その所在地の都道府県知事 |
| 決め手 | 工事をする区域 | 営業所の置き方 |
廃業の届出も「その登録に係る都道府県の区域内において解体工事業を廃止した場合」に、登録をした都道府県知事へ出す書き方で、登録が都道府県単位であることがここにも表れています(建設リサイクル法 第27条第1項第5号)。
技術管理者になれる人:省令第7条の4つのルートと種別の限定
登録を受けるには、技術管理者を置くことが前提になります。結論、技術管理者になれるのは、解体工事業に係る登録等に関する省令第7条の第1号〜第4号のどれかに当たる人で、資格で入る場合は検定の種目と種別まで限定されています。
条文上の位置づけから確認します。解体工事業者は「工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる者で主務省令で定める基準に適合するもの」を技術管理者として選任しなければなりません(建設リサイクル法 第31条)。申請書にもその氏名を書き(同法 第22条第1項第5号)、選任していない者は登録を拒否されます(同法 第24条第1項第8号)。
省令第7条の一覧
基準の中身は省令第7条にまとまっています。条文の言葉に沿って並べると次の表です(解体工事業に係る登録等に関する省令 第7条)。
| 号 | ルート | 条件(省令の文言に沿って) |
|---|---|---|
| 第1号イ | 学歴+実務 | 在学中に土木工学等に関する学科を修め、高校・中等教育学校の卒業後4年以上/大学・高専の卒業後(専門職大学の前期課程修了を含む)2年以上、解体工事に関する実務の経験 |
| 第1号ロ | 実務のみ | 解体工事に関し8年以上の実務の経験 |
| 第1号ハ | 技術検定(第二次検定に限る) | 1級建設機械施工管理/2級建設機械施工管理(種別「第一種」「第二種」)/1級土木施工管理/2級土木施工管理(種別「土木」)/1級建築施工管理/2級建築施工管理(種別「建築」「躯体」) |
| 第1号ニ | 建築士 | 一級建築士/二級建築士の免許 |
| 第1号ホ | 技能検定 | 1級のとび・とび工に合格/2級のとび又はとび工に合格した後、解体工事に関し1年以上の実務の経験 |
| 第1号ヘ | 技術士 | 第二次試験のうち技術部門が建設部門のものに合格 |
| 第2号イ | 学歴+実務+講習 | 土木工学等に関する学科を修め、解体工事に関し高校等の卒業後3年以上/大学等の卒業後1年以上の実務の経験があり、国土交通大臣が実施する講習又は登録講習を受講 |
| 第2号ロ | 実務+講習 | 解体工事に関し7年以上の実務の経験があり、同じ講習を受講 |
| 第3号 | 登録試験 | 国土交通大臣の登録を受けた試験に合格 |
| 第4号 | 大臣の認定 | 前3号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると国土交通大臣が認定 |
土木工学等に関する学科には、省令の括弧書きで農業土木・鉱山土木・森林土木・砂防・治山・緑地・造園に関する学科が含まれ、建築学・都市工学・衛生工学・交通工学に関する学科も並んでいます(同省令 第7条第1号イ)。学歴ルートは在学中にこれらの学科を修めていることが条件なので、卒業しただけでは年数の短縮にはなりません。
施工管理技士で入るなら「第二次検定」と「種別」を確かめる
このテーマで一番取りこぼしが出やすいのが第1号ハです。省令は「技術検定(第二次検定に限る。)」と書いたうえで、2級の3種目にはそれぞれ種別の限定を付けています。2級建設機械施工管理は種別「第一種」又は「第二種」、2級土木施工管理は種別「土木」、2級建築施工管理は種別「建築」又は「躯体」のものに限る、という書き方です(解体工事業に係る登録等に関する省令 第7条第1号ハ)。1級の3種目には種別の限定がありません。東京都の手引は「建設機械施工技士」という呼び方で資格を並べていますが、判定は省令の検定種目・種別・第二次検定の3点で見ます。
ここから読めることは2つあります。1つは、2級の施工管理技士なら誰でもなれるわけではなく、2級建築なら「建築」「躯体」、2級土木なら「土木」以外の種別は文面に挙がっていないこと。もう1つは、第二次検定に限るとされているので、第一次検定だけの合格(技士補)はハの文面に当たらないことです。どちらも省令の文面からの読み取りなので、自分の合格証の種別欄を見れば判断がつきます。個人的には、2級建築施工管理技士を持っている人ほど、まず種別の欄を見てほしいところです。
判断の順番を整理すると、合格証の検定種目と種別、その合格が第二次検定かどうか、資格で当たらなければ解体工事の実務年数と、それを証明してくれる使用者がいるか、年数が1年足りなければ講習、という流れになります。
資格が無い場合は、第1号ロの「解体工事に関し八年以上」が実務だけで入るルートです。注意したいのは、年数が「解体工事に関し」と限定されていることで、施工管理の経験年数をそのまま数える書き方にはなっていません。講習を受ければ、第2号で年数が短くなります。高校等の指定学科卒なら4年が3年に、大学等の指定学科卒なら2年が1年に、学歴を問わないルートなら8年が7年になります(同省令 第7条第1号イ・ロ/第2号イ・ロ)。
登録試験と登録講習の中身
第3号の登録試験が何を指すかは、省令には書かれていません。東京都の手引では、登録試験として解体工事施工技士の試験が挙げられていて、「『国土交通大臣の登録を受けた試験に合格した者』には、下記の2団体が実施する解体工事施工技士の試験に合格した者が該当する(省令第7条第3号)。」とあります(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」p.2 注8)。2団体のうち株式会社日本解体工事技術協会は平成20年12月31日に登録試験の事務を廃止していて、国土交通省の一覧(平成29年3月31日更新)に載っている実施機関は公益社団法人全国解体工事業団体連合会です。同じ一覧には、協会が発行した合格証明書は引き続き有効とも書かれています(国土交通省「建設リサイクル法における登録試験の実施機関一覧」)。
第2号の講習についても、東京都の手引は「解体工事施工技術講習会」が該当すると書き(同手引 p.2 注7)、国土交通省の一覧(平成29年3月31日更新)の実施機関は全国解体工事業団体連合会です(国土交通省「建設リサイクル法における登録講習の実施機関一覧」)。ひとつ混同しやすいのが、建設業法の側にある「登録解体工事講習」です。国土交通省の両一覧は、平成28年6月1日施行の建設業法等の改正法に規定された登録解体工事講習とは別のものだと注記しています。技術管理者の講習・試験と、建設業許可の技術者向けの講習・試験は別の制度として読み分けてください。第4号の大臣認定については、条文は「前三号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有するもの」と認定した者とだけ書いていて、個別の基準は省令の本文にはありません(確認範囲:同省令 第7条)。試験の受験資格や合格率は解体工事施工技士の記事で扱っています。
職務と、申請で出す証明書類
技術管理者の仕事は条文で決まっています。解体工事業者は、請け負った解体工事を施工するときは、技術管理者に「当該解体工事の施工に従事する他の者の監督」をさせなければなりません。ただし、技術管理者以外の者がその解体工事に従事しない場合は、この限りでないとされています(建設リサイクル法 第32条)。
申請のときは、選任した技術管理者が第7条の基準に合うことを証する書面を添えます(同省令 第4条第1項第2号)。実務の経験で証明する場合は、別記様式第三号による使用者の証明書などが求められます(同省令 第4条第4項)。東京都の手引では、技術管理者の住民票の原本に加えて、資格で証明するなら資格者証等の写し(原本提示)、講習の受講者は受講修了証の写し(原本提示)、学歴を使うなら卒業証書の写し(原本提示)又は卒業証明書の原本、実務経験なら実務経験証明書と整理されています。解体工事施工技士の場合は、合格証明書・資格者証又は登録証が例に挙がっています(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」別表)。施工管理技士の資格が建設業許可の側でどう使えるかは施工管理技士と許可業種の対応をまとめた記事が判断材料になります。
申請書類・手数料・更新:法令の期限と東京都の受付を分けて見る
申請の中身は、結論、法律が決める記載事項・添付書類と、都道府県が決める書類名・手数料・受付方法の2層です。
申請書に書く事項は、商号・名称又は氏名及び住所/営業所の名称及び所在地/法人の役員の氏名/未成年者の法定代理人の氏名及び住所/技術管理者の氏名の5つです(建設リサイクル法 第22条第1項)。これに誓約書と主務省令で定める書類(技術管理者の基準適合を証する書面・調書・法人の登記事項証明書など)を添えます(同条第2項/解体工事業に係る登録等に関する省令 第4条第1項)。
東京都の手引では、新規・更新の申請書類が次のように並んでいます(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」別表)。
- 解体工事登録申請書(別記様式第1号)
- 誓約書(別記様式第2号)
- 登録申請者の調書(別記様式第4号)
- 技術管理者の資格等を証明する書類(住民票の原本と資格者証等の写しなど)
- 申請者の身分等を証明する書類(法人は履歴事項全部証明書と役員全員の住民票、個人事業主は本人の住民票)
- 役員等氏名一覧表と、状況に応じた書類(営業所の確認資料)
住民票・履歴事項全部証明書・卒業証明書等は発行後3か月以内の原本で、住民票は個人番号・住民票コードの記載がないものです(同手引 別表)。
手数料と提出方法(東京都の場合)
東京都の手引では、新規が45,000円、更新が26,000円で、変更届・廃業届等は手数料がかかりません。取り下げても還付されません(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」p.6)。他県の金額は各県の案内で確かめてください。
提出方法は、東京都の手引では新規の登録申請が「電子可(郵送不可)」とされ、更新・変更・廃業などは郵送と電子のどちらも使えます。電子はLoGoフォーム(令和6年12月3日から)です。更新の申請で有効期間の満了日まで30日を確保できないものは、来庁して窓口で出すしかありません(同手引 p.5〜6)。
有効期間5年と、更新の締切
登録は5年ごとに更新を受けなければ、期間の経過で効力を失います(建設リサイクル法 第21条第2項)。法令上の更新の締切は「登録の有効期間満了の日の三十日前まで」です(解体工事業に係る登録等に関する省令 第2条)。これとは別に、東京都は「有効期間が満了する日の2か月前から30日前までに更新の手続をする必要があります。」と受付の開始を決めています(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」p.4)。締切は法令、受付の開始は東京都の運用です。
更新の申請をしたのに、満了日までに処分が出ない場合は、処分が出るまで従前の登録がなお効力を持ちます(建設リサイクル法 第21条第3項)。反対に、更新を受けずに期間が過ぎた登録は効力を失い、知事が抹消します(同法 第21条第2項・第28条)。
登録後に守ること:変更届・標識・帳簿・廃業届
登録後の義務は、結論、届出2つ(変更・廃業等)と掲示・記録2つ(標識・帳簿)です。
まず変更届です。申請書の記載事項(第22条第1項各号)に変更があったときは、その日から30日以内に都道府県知事に届け出なければなりません(建設リサイクル法 第25条第1項)。記載事項には技術管理者の氏名が入っているので、技術管理者が替わったときもこの届出の対象です。
次に標識と帳簿です。
| 項目 | 標識(法第33条・省令第8条) | 帳簿(法第34条・省令第9条) |
|---|---|---|
| 置く場所 | 営業所/解体工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所 | 営業所ごとに備え、解体工事ごとに作成 |
| 書くこと | 商号・名称又は氏名/登録番号/法人の代表者の氏名/登録年月日/技術管理者の氏名 | 注文者の氏名又は名称及び住所/施工場所/着工年月日及び竣工年月日/工事請負金額/技術管理者の氏名 |
| 様式 | 別記様式第七号 | 別記様式第八号(電子計算機のファイル等への記録で代えられる) |
| 添付・保存 | ― | 建設業法第19条第1項・第2項の書面又はその写しを添付。各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間保存 |
表の出典は建設リサイクル法 第33条・第34条と解体工事業に係る登録等に関する省令 第8条・第9条です。現場に掲げる標識の技術管理者の氏名について、東京都の手引は「当該現場に置かれる技術管理者の氏名とする」と備考で書いています(東京都都市整備局「解体工事業者登録申請等の手引(令和7年10月改訂)」p.7)。
最後に廃業等の届出です。次の場合は、その日から30日以内に、決められた人が知事に届け出なければなりません(建設リサイクル法 第27条第1項)。
- 死亡した場合:相続人
- 法人が合併により消滅した場合:その法人を代表する役員であった者
- 法人が破産手続開始の決定により解散した場合:破産管財人
- 法人が合併・破産手続開始の決定以外の理由で解散した場合:清算人
- 登録した都道府県の区域内で解体工事業を廃止した場合:解体工事業者であった個人、又は法人を代表する役員
これらに当たると登録は効力を失います(同条第2項)。知事は解体工事業者登録簿を一般の閲覧に供しなければならないとされています(同法 第26条)。
無登録で解体したら:拘禁刑・罰金と過料を書き分ける
罰則は、結論、無登録営業が「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」、変更届と技術管理者の義務違反が罰金、標識・帳簿・廃業等の届出が罰金ではなく過料、の3段です。
| 建設リサイクル法 | 当たる行為 | 罰則 |
|---|---|---|
| 第48条 | 登録を受けないで解体工事業を営んだ/不正の手段で登録(更新を含む)を受けた/事業停止命令に違反して営んだ | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 第50条第2号 | 変更の届出をしない・虚偽の届出をした | 30万円以下の罰金 |
| 第51条第3号 | 技術管理者を選任しなかった | 20万円以下の罰金 |
| 第53条 | 廃業等の届出を怠った/標識を掲げない/帳簿を備えない・記載しない・虚偽の記載をした・保存しなかった | 10万円以下の過料 |
第48条の刑は、現行の条文では「拘禁刑」と書かれています。さらに第52条の両罰規定により、法人の代表者や従業者などが業務に関して第48条から第51条までの違反をしたときは、行為者に加えて法人や事業主にも各本条の罰金刑が科されます(建設リサイクル法 第52条)。第53条の過料は両罰規定の範囲に入っていません。
登録の取消しと、取り直せない2年
罰則とは別に、知事による処分もあります。不正の手段で登録を受けたとき、第24条第1項第2号又は第4号から第9号の拒否事由に当たることになったとき、変更の届出をしない・虚偽の届出をしたときは、知事は登録を取り消すか、6月以内の期間を定めて事業の全部又は一部の停止を命ずることができます(建設リサイクル法 第35条第1項)。
取り消されたあとが重いところで、取消しの処分のあった日から2年を経過しない者は登録を拒否されます(同法 第24条第1項第1号)。この法律又はこの法律に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられた者も、執行を終わった日などから2年を経過しないと登録を受けられません(同項第4号)。
解体工事業登録に関する情報まとめ
- 登録とは:建設リサイクル法第21条の都道府県知事の登録。元請・下請を問わない
- 許可との分かれ目:土木/建築/解体の3業種いずれかの許可があれば登録不要。500万円は許可の線で、登録後に3業種の許可を取ると登録は効力を失う
- 登録先:営業所の有無にかかわらず、工事をする都道府県ごとに知事の登録
- 技術管理者:省令第7条の4ルート。2級施工管理技士は第二次検定と種別の限定つき、実務だけなら解体工事に関し8年(講習で7年)
- 申請・更新と登録後の義務:有効期間5年、法令の締切は満了日の30日前まで。変更・廃業等は30日以内、帳簿は閉鎖後5年間保存
- 罰則:無登録営業は1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、標識・帳簿・廃業等の届出は10万円以下の過料
以上が解体工事業登録に関する情報のまとめです。
迷ったら、最初に見るのは金額ではなく手元の許可の業種欄で、その次が1件ごとの合算後の金額です。技術管理者は合格証の種別欄と、解体工事の実務年数を証明できるかで決まるので、申請の準備はそこから始めるのが近道だと、僕は考えています。
Q1:とび・土工の許可だけで解体を請け負えますか?
東京都の手引は、令和元年6月1日以降はとび・土工・コンクリート工事業の許可では解体工事を施工できないと明記しています。登録の面でも、とび・土工工事業は第21条第1項の括弧書きの3業種に入っていないので、条文の文面上は解体工事業登録の対象です。
Q2:隣の県の現場は、自社の県の登録で足りますか?
足りません。登録は工事をする区域の都道府県知事から受けるもので、神奈川県・東京都の案内も、営業所の有無にかかわらず都道府県ごとに必要だとしています。
Q3:2級建築施工管理技士は技術管理者になれますか?
種別「建築」又は「躯体」の第二次検定に合格していれば当たります(省令第7条第1号ハ)。それ以外の種別や第一次検定だけの合格は文面に当たりません。
