解体工事とは、建物を壊し、資材を分別して搬出し、更地に戻すまでの工事です。施工管理として着工前に押さえるのは、誰が・いつまでに・どこへ出すかという届出と調査、許可の整理です。ライフラインの撤去や近隣への説明も、着工日から逆算して組みます。建替えで初めて解体から担当する方が、抜けなく段取りを組めるよう順に整理しました。
- 解体工事って、建設業の許可が要るんだっけ?
- 解体工事業の「許可」と「登録」って何が違うの?
- 建設リサイクル法の届出は、発注者が出すの?うちが出すの?
- 80㎡って、どこの床面積で数えればいい?
- アスベストの事前調査、いつから資格者じゃないとダメになった?
- 電気・ガス・水道の撤去は、誰にいつ頼めばいい?
- 近隣への挨拶は、いつ、どこまで回ればいい?
- 解体を協力会社に出すとき、元請として何を見ておけばいい?
上記の様な悩みを解決します。
解体工事は、建物などの工作物を取り壊し、廃材を分別して搬出するまでの工事で、建設業法では29業種の1つ「解体工事業」にあたります。施工管理の側で押さえるのは、着工前の届出(建設リサイクル法は発注者が着手7日前まで)と石綿の事前調査・報告、それにライフラインと近隣の段取りです。
「解体工事」で調べて出てくるページは、解体業者や見積サービスのものが多く、施主向けの費用や業者選びが中心なんですよね。建替えで解体から任された施工管理が知りたいのは「どの書類を、誰が、いつまでに、どこへ出すのか」なのに、そこは法律名が並ぶだけで終わりがちです。今回は定義・流れ・許可といった基本を押さえた上で、届出と調査を「誰が・いつまでに・どこへ」の一覧にし、元請が組む段取りの順番まで、条文に当たりながら整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、解体をこれまで協力会社任せにしてきた方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
解体工事とは?壊して分別し、搬出して更地に戻すまでの工事
解体工事とは、結論「建物などの工作物を取り壊し、出た廃材を分別して現場から運び出すまでの工事」のことです。建設業法の別表第一には29の業種が並んでいて、その最後の行が「解体工事 解体工事業」です(建設業法 別表第一)。国土交通省の業種区分では、建設工事の内容を「工作物の解体を行う工事」としています(国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」H29.11.10改正)。
解体がひとつの業種として独立したのは、平成28年6月1日の施行からです。それまでは、とび・土工工事業の中で扱われていました。国の出先機関の案内では「施行日以降、従来、とび・土工工事業で行っていた工作物解体工事を施工する場合は、解体工事業の許可が必要となります。」と書かれています(国土交通省 北陸地方整備局「建設業法等の改正(平成28年4月、6月、11月施行関係)」)。
建築一式や専門工事に入る解体もある
ややこしいのは、壊す作業がすべて「解体工事」に分類されるわけではない点です。国交省の区分の考え方は次のとおりです。
「それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当する。総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ『土木一式工事』や『建築一式工事』に該当する。」(国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」)
読み方としては、元請が全体を企画・調整しながら建物を壊すなら建築一式工事、ある専門工事でつくったものだけを外すならその専門工事、どちらでもない工作物の解体が解体工事、という整理になります。個人的には、契約書の工事名よりも「誰が全体の調整を担っているか」で見たほうが、区分を取り違えにくいと考えています。
どこまでを解体に含めるかは、契約で先に決める
木造とRC造では、壊し方の組み立てが変わります。木造は手作業で外せる材料が多く、分別しながら崩す段取りを組みやすい構造です。RC造はコンクリートの躯体を重機で砕く工程が中心になり、粉じんと騒音への手当てが段取りの軸になりやすい構造です。
構造よりも揉めやすいのが、撤去範囲の線引きです。見積と契約の段階で、次のものが範囲に入るかを1つずつ確認しておくと、着工後の「それは含んでいない」を防げます。
- 上屋(建物本体)と屋根・外装
- 基礎と、その下の杭などの地中部分
- ブロック塀・門扉・カーポートなどの外構
- 庭木・庭石、浄化槽などの付帯物
- 内装だけを撤去して躯体を残す部分
杭まで抜くのか残すのかは、次に建てる建物の基礎計画に響きます。杭の種類や考え方は杭基礎の基本を整理した記事で押さえられます。躯体を残して内側だけ壊す工事はスケルトンリフォームの記事で、壊せる範囲と確認申請の境目を扱っています。
解体工事の流れ:事前調査から完了報告まで
解体工事は、結論「調べる→届け出る→周りを整える→内側から外側へ、上から下へ壊す→運び出して報告する」の順で進みます。着工前の届出や調査が遅れると、重機を入れる日が動きます。
| 段階 | やること | 施工管理が見るところ |
|---|---|---|
| 事前調査 | 設計図書と目視で石綿の有無を調べ、構造と資材の量をつかむ | 調査者の資格、調査結果の報告 |
| 届出・説明 | 発注者への書面説明、建設リサイクル法の届出、石綿の報告 | 着手日から逆算して間に合うか |
| ライフライン・近隣 | 電気・ガス・水道・通信の停止や撤去の依頼、近隣への説明 | 依頼先ごとの段取りの順番 |
| 足場・養生 | 仮設足場を組み、養生シートで囲う | 道路にかかるときの許可 |
| 内装材・設備の撤去 | 内装材や設備を手作業で外し、種類ごとに分ける | 石綿含有建材の扱い、分別の精度 |
| 屋根・上屋の解体 | 屋根材を外してから躯体を壊す | 粉じん・騒音、分別の維持 |
| 基礎・整地 | 基礎を撤去し、埋め戻して整地する | 撤去範囲(杭を含むか) |
| 搬出・完了報告 | 廃棄物を運び出し、再資源化の完了後に発注者へ報告 | マニフェスト、完了報告の書面 |
最後の完了報告は、建設リサイクル法に定めがあります。「対象建設工事の元請業者は、当該工事に係る特定建設資材廃棄物の再資源化等が完了したときは、主務省令で定めるところにより、その旨を当該工事の発注者に書面で報告するとともに、当該再資源化等の実施状況に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。」(建設リサイクル法 第18条第1項)。報告するのは元請業者、相手は発注者、形は書面です。発注者の承諾があれば、書面に代えて電子的な方法で通知することもできる旨の規定もあります(同条第3項)。
分別解体は「混ざると分けられなくなるもの」から外す
分別解体の順番は、組み方の一例として次のようなものがあります。僕はこの順で考えると抜けが少ないと考えています。崩してからでは分けにくくなる内側の材料を、先に外すという発想です。
- 内装材や建築設備など、建物の内側にあるものを外す
- 屋根ふき材を外す
- 上屋の躯体を解体する
- 基礎を解体する
手壊しと機械解体は、どちらか一方を選ぶというより、この順番の中で「手で外す工程」と「重機で崩す工程」を組み合わせるものだと僕は捉えています。内側の材料を手で外しきらないうちに重機を入れると、木くずとコンクリート塊が混ざって、後の分別と処分で手間が跳ね返ってきます。
工期が動く原因は着工前にもある
工期が動く原因は、着工前にあることもあります。石綿の調査で想定外の含有建材が見つかって除去の手順を組み直す、届出が着手日に間に合わない、ライフラインの撤去待ちで重機を入れられない、といった具合です。
建設リサイクル法には、都道府県知事が分別解体等の計画を基準に合わないと認めたとき、「その届出を受理した日から七日以内に限り」計画の変更などを命じられる旨の規定があります(建設リサイクル法 第10条第3項)。届出を期限ぎりぎりに出すと、着手直前に計画を直す事態も起こりえるので、期限より前倒しで出してもらう段取りにしておくと安心です。品質・工程・安全などの管理全体の考え方は五大管理の記事で確認できます。
着工前に要る届出・調査・許可は「誰が・いつまでに・どこへ」で整理する
着工前の手続きは、結論「建設リサイクル法の届出は発注者」「石綿の報告は大気汚染防止法では元請業者、石綿障害予防規則では事業者」「道路の許可は、道路で工事・作業をする者(道路交通法)や、道路に物件を設けて継続して使う者(道路法)」と、出す人が手続きごとに違います。まず全体を一覧にします。
| 手続き | 誰が | いつまでに | どこへ | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 分別解体等の計画などの書面説明 | 発注者から直接請け負おうとする建設業を営む者 | 請け負おうとするとき | 発注者 | 建設リサイクル法 第12条第1項 |
| 対象建設工事の事前届出 | 発注者又は自主施工者 | 工事に着手する日の7日前まで | 都道府県知事 | 建設リサイクル法 第10条第1項 |
| 届け出られた事項の告知 | 対象建設工事受注者 | 下請に出そうとするとき | 下請の建設業を営む者 | 建設リサイクル法 第12条第3項 |
| 石綿の事前調査結果の報告 | 元請業者又は自主施工者 | 調査後、遅滞なく | 都道府県知事 | 大気汚染防止法 第18条の15第6項 |
| 石綿の事前調査結果の報告 | 事業者 | 工事の前にあらかじめ(電子) | 所轄労働基準監督署長 | 石綿障害予防規則 第4条の2 |
| 届出対象特定工事の届出 | 発注者又は自主施工者 | 作業開始の日の14日前まで | 都道府県知事 | 大気汚染防止法 第18条の17第1項 |
| 道路使用許可 | 道路で工事・作業をしようとする者又はその請負人 | 行為の前(許可制) | 所轄警察署長 | 道路交通法 第77条第1項 |
| 道路占用許可 | 道路に工作物・物件・施設を設けて継続して使おうとする者 | 設ける前(許可制) | 道路管理者 | 道路法 第32条第1項 |
建設リサイクル法の届出は発注者が出す
いちばん取り違えやすいのが、建設リサイクル法の届出者です。条文は「対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の七日前までに、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。」です(建設リサイクル法 第10条第1項)。元請業者ではなく、発注者が出す手続きです。
では元請が何もしないかというと、そうではありません。発注者から直接請け負おうとする建設業を営む者は、届出事項のうち少なくとも第10条第1項第1号から第5号までの事項を書面にして、発注者に説明しなければなりません(建設リサイクル法 第12条第1項)。解体する建築物等の構造、工事着手の時期と工程の概要、分別解体等の計画、建設資材の量の見込みといった届出の中身は、元請の説明がもとになるわけです。さらに下請に出すときは、届け出られた事項を下請に告げる義務もあります(同条第3項)。
80㎡は「解体する部分」の床面積の合計
届出の対象になるかは、規模の基準で決まります。建築物の解体は「当該建築物(当該解体工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が八十平方メートルであるもの」が基準で(建設リサイクル法施行令 第2条第1項第1号)、この基準以上の工事が対象建設工事です(建設リサイクル法 第9条第1項)。建物全体の延べ面積ではなく、解体する部分の床面積を合計して見ます。
建築物以外の工作物の解体は、請負代金の額が500万円の基準で判定します(同施行令 第2条第1項第4号)。また「解体工事又は新築工事等を同一の者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で請け負ったものとみなして、前項に規定する基準を適用する。」とされていて、正当な理由に基づいて分割した場合を除き、契約を分けても一の契約とみなされます(同施行令 第2条第2項)。
加えて、都道府県は条例で、政令の基準に代えて適用する規模の基準を定められる旨の規定があります(建設リサイクル法 第9条第4項)。現場の所在地の条例も確認しておくのが安全です。
道路の許可は、作業内容を示して事前に相談する
道路に車両や重機を止める、足場や仮囲いが道路にかかる、といった場面では道路の許可が絡みます。道路交通法は「道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人」に所轄警察署長の許可を求めていて(道路交通法 第77条第1項)、道路法は道路に工作物・物件・施設を設けて継続して使う場合に道路管理者の許可を求めています(道路法 第32条第1項)。
ただ、解体の足場・仮囲い・車両の待機がどちらの許可に当たるかは、今回確認した条文の範囲では言い切れません。僕は、作業の内容と期間を示して所轄の警察署と道路管理者の両方に事前に相談するのが確実だと考えています。着工前に確認しておきたいのは、次の4点です。
- 解体する部分の床面積の合計が80㎡以上か(工作物は請負代金の額が500万円以上か)
- 発注者が着手7日前までに届け出られるよう、書面説明を済ませたか
- 石綿の事前調査結果を、都道府県知事と労働基準監督署長の両方へ報告する段取りか
- 道路にかかる作業があるか、警察署と道路管理者に相談したか
アスベストの事前調査は、有資格者が着工前に調べて報告する
アスベスト(石綿)の事前調査は、結論「大気汚染防止法では元請業者が調べて結果を都道府県知事へ報告し、石綿障害予防規則では事業者が所轄労働基準監督署長へ報告する。あわせて現場に掲示する」ものです。建築物の調査は、令和5年10月1日以降に着工する工事から有資格者が行う必要があります。
大気汚染防止法は、解体等工事の元請業者に、設計図書などの書面と目視による調査を行い、その内容を書面で発注者に説明することを求めています(大気汚染防止法 第18条の15第1項)。結果は「遅滞なく、環境省令で定めるところにより、当該調査の結果を都道府県知事に報告しなければならない。」とされ(同条第6項)、現場では「公衆に見やすいように掲示しなければならない。」とされています(同条第5項)。発注者の側にも、調査費用を適正に負担するなどして調査に協力する義務があります(同条第2項)。
報告の対象は、建築物の解体なら解体作業の対象となる床面積の合計が80㎡以上、建築物の改修なら請負代金の合計額が100万円以上、工作物(環境大臣が定める工作物に限る)の解体・改修なら請負代金の合計額が100万円以上の工事です(大気汚染防止法施行規則 第16条の11第1項)。環境省は「請負代金の合計額は、材料費も含めた作業全体の請負代金の額をいい、事前調査の費用は含みませんが、消費税を含みます。」と説明しています(環境省「石綿事前調査結果の報告について」)。
制度が段階的に厳しくなってきたので、時系列で押さえると混乱しません。
- 令和4年4月1日:事前調査結果の報告が始まった。環境省の発表は「令和4年4月1日から、建築物等の解体・改修工事を行う施工業者は、大気汚染防止法に基づき当該工事における石綿含有建材の有無の事前調査結果を都道府県等に報告することが義務づけられます。」(環境省 報道発表資料)
- 令和5年10月1日:建築物は有資格者による調査が必要になった。「令和5年10月1日以降着工の工事から、建築物の解体等の作業を行うときは、「建築物石綿含有建材調査者」、又は令和5年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者による事前調査を行う必要があります。」(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト)
- 令和8年1月:工作物にも資格者の調査が及んだ。厚労省の案内は「工作物は令和8年(2026年)1月から必要になります」としています(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「工事の元請業者のみなさまへ」)。ただし工作物は、厚生労働大臣が定める工作物以外では塗料などの除去等の作業に係る調査に限る旨のただし書があります(石綿障害予防規則 第3条第4項)
報告は原則として電子システム「石綿事前調査結果報告システム」から行い、環境省の案内では、1回の操作で都道府県等と労働基準監督署の両方へ報告できる仕組みです(環境省 報道発表資料)。調査の記録は、石綿障害予防規則では調査終了日から3年間(石綿障害予防規則 第3条第7項)、大気汚染防止法施行規則では解体等工事が終了した日から3年間の保存です(大気汚染防止法施行規則 第16条の8第1項)。
どの建材に石綿が使われてきたかはアスベストの種類と含有建材をまとめた記事が役に立ちます。断熱材との見分けで迷ったらロックウール・グラスウールとアスベストの違いを、作業員側の教育は石綿の特別教育の記事を見てください。
ライフラインの撤去と近隣への説明は、着工日から逆算する
ライフラインと近隣の段取りは、結論「着工日を先に決め、そこから逆算して依頼と説明の順番を組む」のがコツです。どちらも相手のある手続きなので、こちらの都合だけでは日程が決まりません。
ライフラインは事業者ごとに依頼する
電気・ガス・水道・通信は、停止や引込みの撤去をそれぞれの事業者に依頼する必要があります。依頼先がばらばらで事業者ごとに依頼が要り、撤去の立会いが要る場合もあるので、着工日から逆算して早めに一覧化しておくのが安全です。どの事業者にいつ依頼するかは地域や契約で変わるため、発注者から検針票や契約情報を早い段階で受け取っておくと話が進みます。
水道だけは扱いが少し違います。解体中の散水に使うため、現場によっては止めずに残し、工事の終わりに撤去する判断をすることがあります。止める・残すを事前に決めておかないと、散水用の水の手配で慌てることになります。
近隣への説明は、伝える項目を先にそろえる
近隣説明で伝える中身は、あらかじめ項目を決めておくと抜けが出ません。
- 工期と、作業をする曜日・時間帯
- 工事車両や重機の出入りと、停める場所
- 騒音・振動への対策
- 粉じんの飛散を抑える対策(散水・養生)
- 工事中の連絡先と責任者
説明に回る範囲や時期を決める法令の定めは、今回確認した資料には出てきません。だからこそ、どこまで回るかは発注者と相談して決め、説明した先を記録に残しておくのが実務の守りになると、僕は考えています。石綿の調査結果は現場に掲示する義務があるので、説明の内容と掲示の内容をそろえておくと、問い合わせにも答えやすくなります。改修を含む案件の段取り全般はリフォームの施工管理の記事もあわせて読むと流れがつかめます。
解体を請け負えるのは誰か:建設業許可と解体工事業登録
解体を請け負える立場は、結論「建設業法施行令第1条の2の軽微な工事に当たらない解体は建設業許可が要る」「許可を受けずに軽微な解体だけを営むなら、解体工事業の登録が要る(土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可業者を除く)」の2本立てです。
建設業法は「建設業を営もうとする者は、(中略)許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。」としています(建設業法 第3条第1項)。この軽微な工事について、現行の施行令の条文は「工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。」です(建設業法施行令 第1条の2第1項)。令和7年2月1日に建設業の金額要件の見直しがありましたが、現行の施行令第1条の2の条文は500万円(建築一式工事は1,500万円)のままです。
契約を分けても金額はまとめて見られます。「同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。」とされ、正当な理由があって分割した場合だけが例外です(建設業法施行令 第1条の2第2項)。
許可が無い業者は「解体工事業の登録」が要る
許可を持たずに軽微な解体を営む業者にも、別の網がかかっています。建設リサイクル法の条文は「解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。」です(建設リサイクル法 第21条第1項)。土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可業者は登録が要らず、それ以外は都道府県知事の登録が必要で、登録は5年ごとの更新です(同条第2項)。
また、解体工事業者は、工事現場で解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる「技術管理者」を選任しなければなりません(建設リサイクル法 第31条第1項)。
元請として協力会社に確認すること
解体を協力会社に出すとき、元請として書類で確かめておきたいのは次の5つです。
- 請け負わせる金額と区分に合った建設業許可(解体工事業など)を持っているか
- 許可が無い場合、工事場所の都道府県で解体工事業の登録を受けているか
- 登録で請け負う業者なら、技術管理者を誰にしているか
- 石綿の事前調査を行う人が、必要な資格を持っているか
- 廃棄物の収集運搬・処分の委託先と、マニフェストの流れが決まっているか
許可の種類や取り方は建設業許可の記事で整理しています。下請に出す金額が大きい案件で、一般と特定のどちらの許可が要るかを確かめたいときは特定建設業の線引きを扱った記事が判断材料になります。
※以下はPR(アフィリエイト広告)を含みます。
【PR】解体の段取りの次は、施工管理技士の受験を考える方へ
解体を含む建替えの段取りを任されるようになったら、施工管理技士の受験を考える時期かもしれません。受験対策講座を使うという選択肢もあります。
- 解体から担当する案件が増え、知識を資格という形にしておきたい
- 法規や届出の決まりを、順を追って整理し直したい
- 現場の合間に、自分のペースで受験準備を始めたい
分別解体と廃棄物:特定建設資材とマニフェスト
分別解体と廃棄物は、結論「特定建設資材の4品目を現場で分け、元請がマニフェストで行き先まで追う」と押さえておけば外しません。
建設リサイクル法の特定建設資材は「一 コンクリート/二 コンクリート及び鉄から成る建設資材/三 木材/四 アスファルト・コンクリート」の4品目です(建設リサイクル法施行令 第1条)。対象建設工事の受注者(下請負人を含む)又は自主施工者は、正当な理由がある場合を除き分別解体等をしなければなりません(建設リサイクル法 第9条第1項)。コンクリート塊は砕いて再生材に回る流れがあり、その使われ方は再生骨材の記事で詳しく扱っています。
マニフェストは誰が交付し、何年残すか
マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、産業廃棄物の運搬や処分を他人に委託するとき、引渡しと同時に受託者へ交付する書類です(廃棄物処理法 第12条の3第1項)。建設工事が数次の請負で行われる場合、廃棄物処理法の適用では「元請業者」を事業者とする規定があり(廃棄物処理法 第21条の3第1項)、交付するのは元請の側です。
保存期間は、管理票交付者が保存する管理票の写しについて「法第十二条の三第二項の環境省令で定める期間は、五年とする。」と定められています(廃棄物処理法施行規則 第8条の21の2)。運搬や処分を受託した側の保存は別の規定です(廃棄物処理法 第12条の3第9項・第10項)。交付者は、管理票に関する報告書を作成して都道府県知事に提出する義務も負います(同条第7項)。
費用は何で変わるか
費用の相場額はこの記事では出しませんが、何で変わるかは整理できます。
- 構造(木造・鉄骨造・RC造)と、それに合わせた壊し方
- 解体する部分の規模
- 立地(重機が入れるか、搬出経路、道路の許可の要否)
- 廃棄物の量と種類、分別の手間
- 石綿含有建材の有無と、除去が必要かどうか
見積を比べるときは、総額よりも、この5つのどれがどう見込まれているかを見ると差の理由が分かります。個人的には、石綿の調査結果が出る前の見積は「除去費が入っていない前提の数字」として扱うのが無難だと考えています。
解体工事に関する情報まとめ
- 解体工事とは:工作物を取り壊し、分別して搬出するまでの工事。建設業法29業種の1つ「解体工事業」で、平成28年6月1日の施行で独立した
- 解体工事の流れ:事前調査→届出・説明→ライフライン・近隣→足場・養生→内側から外側、上から下へ解体→搬出と完了報告。完了報告は元請が発注者へ書面で行う
- 着工前の届出・調査・許可:建設リサイクル法の届出は発注者が着手7日前までに都道府県知事へ。80㎡は解体する部分の床面積の合計で見る
- アスベストの事前調査:大気汚染防止法では元請業者が都道府県知事へ、石綿障害予防規則では事業者が所轄労働基準監督署長へ報告。建築物は令和5年10月1日着工から有資格者の調査が必要
- ライフラインと近隣:事業者ごとの依頼と近隣説明の項目を、着工日から逆算してそろえる
- 請け負える業者:軽微な工事に当たらない解体は建設業許可、許可を受けずに軽微な解体だけを営むなら都道府県知事の解体工事業の登録
- 分別解体と廃棄物:特定建設資材は4品目。マニフェストは元請が交付し、交付者の写しは5年保存
以上が解体工事に関する情報のまとめです。
解体工事は、壊す技術よりも「着工前に誰が何を出すか」を取り違えないことで、工期と信用が守られる工事です。まず建設リサイクル法の届出が発注者の手続きであること、石綿の報告は大気汚染防止法では元請業者が都道府県知事へ、石綿障害予防規則では事業者が所轄労働基準監督署長へ出すこと、この2点を案件の最初の打合せで発注者と共有しておく。そのうえでライフラインの依頼と近隣説明を着工日から逆算して並べれば、解体を初めて任された現場でも段取りで後手に回ることはないはずだと、僕は考えています。
石綿の含有建材を先に頭に入れておくならアスベストの種類の記事、協力会社の許可を確かめるなら建設業許可の記事から読むと、次の段取りにつながります。
