1級電気通信工事施工管理技士 工程管理の経験記述例文、結果まで

  • 電気通信の工程管理の例文が見つからない。建築や電気工事の例文だと、通信工事の言葉に置き換えられない
  • 光ケーブルの敷設で工程の課題って、天候くらいしか思いつかない
  • 構内LANの更新は業務を止められない。作業時間が短いことを課題にしていいの?
  • 「課題」って問題点を書くの?それとも目標を書くの?
  • 「対策内容とその結果」の結果には何を書けばいい?数字は要る?
  • 工事概要の「工事の概要」に何を書いておけば、あとの設問とつながるんだろう
  • 同じ工事で安全管理と工程管理を書くと、話がかぶりそう
  • 手元の答案は「とった措置」の昔の形。今の形にどう直せばいい?
  • 二次下請で入った工事だと、発注者名は誰を書くの?
  • 例文を覚えて、本番でそのまま使ってもいいのかな

上記の様な悩みを解決します。

先に要点を書くと、令和6年度の問題1に合わせるなら、工程管理の答案は〔工事概要〕を書いたうえで「工期を遵守するための工程管理上の課題」と「実施した具体的な対策内容とその結果」の2つを書く形です(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。例文を読むときに見てほしいのは、工事概要の⑤に書いた数量や作業の条件が、課題の文と結果の文にもう一度出てくるかどうか。ここがつながっている答案は、⑴と⑵が同じ1本の工事の話として読めます。結果の文は「工期内に完了した」で止めず、遅れた事実も含めて、どの対策でどこに余裕が生まれたかを日付か数量で書く形にしています。

1級電気通信は工程管理の例文そのものが少なく、見つかっても建築や電気工事の例文を言い換えたものが多いので、光ケーブルや構内LANの言葉で最後まで書かれた完成形がなかなか手に入らないんですよね。今回は、令和6年度の設問文と工程管理が出た年度を問題冊子の原本で確かめたうえで、令和6年度の形の例文2本(光ファイバケーブルの架空敷設/稼働中の事務所ビルでの構内LAN更新)と、1本目と同じ工事を令和5年度までの形で書いた例文を並べました。さらに、例文の解説では扱われることの少ない「工事概要の数量が課題と結果までつながっているか」の点検と、同じ工事から安全管理と工程管理を別々の材料で書く分け方まで、例文の中身を使って示します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、建築や電気工事の例文を読んでも自分の通信工事に置き換えられなかった方にも、読み進めやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

令和6年度の設問2が工程管理の例文に求める形:工事概要・課題・対策内容とその結果

令和6年度の問題1は、柱書きの段階で工事の選び方を指定しています。原文は「あなたが経験した電気通信工事のうち,「施工現場における労働者の安全管理」及び「工期を遵守するための工程管理」に特に留意した工事を1つ選び,〔工事概要〕を記述した上で,次の〔設問1〕及び〔設問2〕についての答えを解答欄に記述しなさい。」です(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。安全と工程の両方に気を配った工事を1本選び、その1本で2つの設問を書く組み立てになっています。

工程管理を問うのは〔設問2〕で、文言は「前記の〔工事概要〕に記述した工事の「工期を遵守するための工程管理」に関して,次の⑴,⑵について具体的に記述しなさい。⑴ 工期を遵守するための工程管理上の課題 ⑵ 上記⑴の工程管理上の課題に対し実施した具体的な対策内容とその結果」でした(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。「前記の〔工事概要〕に記述した工事の」と書き出している以上、⑴⑵は工事概要の続きとして読まれる、というのがこの記事の例文の組み立ての出発点です。

「課題」は問題点なのか目標なのか、という迷いには、⑴の語の並びが手がかりになります。「工期を遵守するための」が「課題」に掛かっているので、この記事の例文では、課題の文に「何が起きると工期に間に合わなくなるか」と「だから何を守る必要があったか」の両方を入れる形にそろえました。問題点だけ、目標だけで止めずに、工期に届くまでの道筋を1〜2文で書く。これは問題文の語順からの僕の読み方で、採点の基準として公表されたものではありません。

例文の中で、〔設問2〕の語をどこで受けているかをまとめると次のとおりです。

  • 「工期を遵守するための」:課題の文の後半に、工期の末日に届くまでの道筋を書く
  • 「課題」:工事概要の⑤に書いた数量や作業の条件のうち、工程をおびやかしたもの1つを名指しする
  • 「対策内容」:前もって打った手を、第一・第二・第三と分けて2〜3個書く
  • 「その結果」:遅れた事実も含めて、工期の末日と比べられる日付か数量で閉じる
  • 「具体的に」:誰が、どの単位(区間・フロア・曜日)で、何をしたかまで書く

工程管理が問題1に入ったのは、令和元年度・令和3年度・令和4年度・令和5年度・令和6年度で、令和2年度と令和7年度には出ていません(1級電気通信工事施工管理技術検定の問題1。令和元・2年度は実地試験、令和3〜7年度は第二次検定)。令和7年度の問題1は「施工計画の立案」と「機器又は装置,材料の品質管理」の組で、どちらも⑵の結びは「その結果」ではなく「その評価」でした(令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。「結果」と「評価」の書き分けは品質管理の経験記述で「その評価」を扱った記事に回し、ここでは令和6年度の「結果」の形で例文を組みます。

令和7年度に工程が出なかったからといって、工程の準備を外してよいとは問題冊子からは言えません。令和元年度から令和7年度まで、第二次検定(令和元・2年度は実地試験)は毎年6問で、問題1〜問題6は全問が必須問題でした(令和元年度〜令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 問題冊子 表紙)。令和5年度までの形で書いた答案が手元に残っている方も多いはずなので、この記事では例文1と同じ工事を例文3として昔の形でも書き、2本を並べると直す場所が見えるようにしてあります。

令和元・3・4・5年度の工程管理の設問は、「上記工事を施工することにあたり「工程管理」上,あなたが特に重要と考えた事項をあげ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。」でした(1級電気通信工事施工管理技術検定の問題1。令和元年度は実地試験、令和3〜5年度は第二次検定)。

何行書けばよいかについては、問題冊子の問題1に字数や行数の指定はありません。令和元〜5年度は「簡潔に記述しなさい」、令和6年度は「具体的に記述しなさい」とあるだけで、解答欄の行数は問題冊子からは確かめられませんでした(令和元年度〜令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 問題1)。この記事の例文は、課題を2〜3文、対策内容と結果を5〜6文にそろえていますが、これは読みやすさのための長さで、基準ではありません。設問文が年度ごとにどう変わってきたかは1級電気通信の工程管理の出題と設問文の移り変わりをまとめた記事で追えます。

例文1:光ファイバケーブルの架空敷設工事(他事業者の移設待ちの区間がある)

1本目は、屋外で光ファイバケーブルを既設の電柱に共架して敷設する工事を題材にした、令和6年度の形の例文です。光ケーブルの工事で工程の課題というと雨や風を思い浮かべがちですが、ここでは「他事業者の設備の移設が済むまで手を付けられない区間」を課題に据え、材料の発注の時期を対策の側に入れました。以下の工事名・発注者名・工事場所・工期・金額・数量はすべて架空で、実在の工事や組織をもとにしたものではありません。

⑴工事名は「〇〇市 地域情報通信基盤 光ファイバケーブル敷設工事」、⑶立場又は役割は「現場代理人として、工程・安全・品質の管理を担当」とします。⑵工事の内容は次のとおりです。

  • ①発注者名:〇〇市
  • ②工事場所:〇〇県〇〇市△△地区
  • ③工期:令和5年6月1日〜令和5年11月30日
  • ④請負概算金額:48,000,000円
  • ⑤工事の概要:既設電柱への共架による光ファイバケーブルの架空敷設 延長12.4km、接続用クロージャの設置36箇所、融着接続と伝送損失の測定、局舎内での成端。延長のうち2.1km(電柱41本)は、他事業者の設備の移設が終わるまで共架できない区間

課題(⑴)

本工事は延長12.4kmのうち2.1km(電柱41本)が、他事業者の設備の移設が終わるまで共架できない区間であり、着工の時点で移設の完了時期が決まっていなかった。この区間の敷設を待ってから36箇所の接続と全区間の測定をまとめて行う段取りのままでは、移設が遅れた日数だけ接続と測定が工期の終わりに押し込まれ、11月30日の工期に間に合わなくなるおそれがあった。そこで、移設待ちの区間を抱えたまま、全区間の接続と測定を工期内に終えることを工程管理上の課題とした。

対策内容とその結果(⑵)

第一に、敷設区間を移設の要らない10.3kmと移設待ちの2.1kmに分け、移設の要らない区間は敷設・接続・測定を区間ごとに完了させる工程に組み替えた。第二に、移設待ちの区間については、電柱の所有者と他事業者を交えた打合せを週1回設け、電柱ごとの移設の見込みを聞き取って、そのたびに工程表を更新した。第三に、移設待ちの区間に使う光ファイバケーブルとクロージャは着工時に全数を発注して保管し、移設が終わった電柱から順に、翌週には敷設班を入れられる体制を整えた。

その結果、移設待ちの区間の着手は当初の工程表で見込んでいた時期より約3週間遅れたが、その時点で10.3km分の接続と測定は終わっていたため、残る作業は2.1km分の敷設と、その区間の接続・測定だけになった。全区間の測定は11月20日に終わり、11月30日の工期内に引き渡した。

この例文で課題を天候にしなかったのは、雨で止まった日の話は「止まった」以上のことが書きにくく、⑵で自分が打った手の中身が薄くなりやすいからです。天候を課題にしてはいけないという意味ではありません。天候で書くなら、止まった日に何を代わりに進めたかまで書けるかを先に確かめておくと、⑵が埋まります。

ケーブルや機器の納期を課題にしたい場合は、例文1の数字に当てはめてみると置き場所が分かります。仮に移設待ちではなく、クロージャの納入が9月末になる工事だったとすると、⑴に書くのは「納入が9月末」ではなく、「36箇所の接続が10月以降に寄り、11月30日までに全区間の測定が終わらなくなるおそれ」のほうです。⑵には、届くまでの間に敷設をどこまで先に進め、届いてからの接続と測定をどの区間から回したかが入ります。

結果の文に「約3週間」「11月20日」と数字を入れたのは、工事概要の工期(11月30日)と並べて読めるようにするためです。遅れた事実をそのまま書いているのもこの例文の特徴で、遅れはあったが先行して片付けた作業があったので工期に収まった、という書き方なら、うまくいった話を盛っているようには読まれにくいと僕は考えています。数字は自分の工事の記録に残っているものだけを使ってください。

例文2:稼働中の事務所ビルでの構内LAN更新工事(作業できる時間が限られる)

2本目は、業務を止められない建物の中で構内LANを更新する工事の例文です。作業できる時間が短いこと自体を課題にしてよいか迷う方が多い題材なので、「時間が短い」を「切替の回数が足りなくなる」まで言い換えて、工期につなげています。こちらも工事名・発注者名・工事場所・工期・金額・数量はすべて架空で、実在の工事や組織をもとにしたものではありません。二次下請として施工した想定にしてあり、発注者名の欄の扱いはあとの注意書きの節で触れます。

⑴工事名は「△△ビル 構内情報通信網更新工事」、⑶立場又は役割は「二次下請業者の現場代理人として、施工の工程と安全を管理」とします。⑵工事の内容は次のとおりです。

  • ①発注者名:B社(一次下請業者)
  • ②工事場所:東京都〇〇区
  • ③工期:令和6年1月9日〜令和6年3月22日
  • ④請負概算金額:16,500,000円
  • ⑤工事の概要:業務を続けている地上8階建て事務所ビルの構内LAN更新。フロアスイッチ16台の更新、UTPケーブル約880本の敷設替え、無線アクセスポイント40台の設置と調整、既設機器とケーブルの撤去。作業は平日20時〜翌6時と土曜日に限られ、各フロアのネットワークの切替は土曜日のみ

課題(⑴)

本工事は建物の業務を止められないため、作業できる時間が平日の夜間と土曜日に限られ、8フロアの切替はすべて土曜日に行う必要があった。工期中に使える土曜日は10回で、8フロア分を差し引くと予備は2回しかなく、1回の切替がその土曜日の作業時間内に終わらず元の機器に戻すことになれば、そのフロアの切替は翌週以降にずれ込み、3月22日の工期に収まらなくなるおそれがあった。そこで、各フロアの切替を1回の土曜日で終えることを工程管理上の課題とした。

対策内容とその結果(⑵)

第一に、平日夜間は新しいケーブルを既設のケーブルを生かしたまま並行して敷設し、ラベル付けと導通試験まで済ませておき、土曜日の作業を機器の入替えと接続替えだけに絞った。第二に、切替の直前の平日夜間に、そのフロアに入れるフロアスイッチ2台の設定を試験用の端末につないで確かめ、土曜日は設定済みの機器を据え付けるだけの状態にした。第三に、土曜日の切替では、機器の入替え完了・接続替え完了・疎通確認完了の3つの時刻を節目として決め、節目ごとに進み具合をB社の担当者と確かめ、遅れが分かった時点で次の作業に人を回す手順とした。

その結果、8フロアのうち7フロアは1回の土曜日で切替を終えた。4階は接続替えの途中で既設ケーブルの表示の食い違いが見つかり、接続替え完了の節目に間に合わなかったが、節目で遅れをつかんでいたため、その日は半数の席の切替にとどめて残りを予備の土曜日1回で終えた。予備を1回残して3月9日に全フロアの切替と試験を終え、3月22日の工期内に引き渡した。

令和6年度は、この同じ工事で〔設問1〕の安全管理も書くことになります。〔設問1〕は「施工現場における労働者の安全管理」について、課題と「実施した具体的な対策内容とその結果」を書かせ、「交通誘導員の配置のみに関する記述は除く」というただし書きが付いていました(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。例文2の工事で両方を書くなら、同じ夜間作業のうち、安全の側には「天井内の配線替えで作業員が脚立に乗る」「照明を落としたフロアで作業する」といった人の身体に関わる材料を置き、工程の側は「作業できる時間の長さ」と「土曜日の回数」だけで組む、という分け方ができます。

見分ける目安は、文の中にどの数字が出てくるかです。工程の文に出てくるのは土曜日の回数や節目の時刻、安全の文に出てくるのは作業する人の位置や足場の高さ、と分けておけば、同じ夜の同じフロアを題材にしても2本の答案が重なって見えません。安全側の課題を通信工事の作業から立てる手順は1級電気通信の安全管理の経験記述を扱った記事にあるので、例文2の工事で設問1も書いてみたい方はそちらと並べて使ってください。

同じビルで内装工事など他の工事が進んでいて、その待ちで作業に入れなかった経験を工程の課題にしたい場合も、課題の文に入れるのは「待たされた」ことではなく、「その待ちで土曜日の切替が何回ずれるか」のほうです。

例文3:令和元〜5年度の形(特に重要と考えた事項・措置又は対策を簡潔に)で例文1の工事を書くと

3本目は、令和5年度までの設問の形で、例文1と同じ光ファイバの工事を書いた例です。令和5年度の工程管理の設問は「上記工事を施工することにあたり「工程管理」上,あなたが特に重要と考えた事項をあげ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。」でした(令和5年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。工事概要は例文1と同じ架空のもので、実在の工事をもとにしたものではありません。

特に重要と考えた事項

他事業者の設備の移設が済むまで共架できない区間(2.1km)を抱えたまま、工期内に全区間の接続と測定を終えること。

とった措置又は対策

移設の要らない区間を先に敷設から測定まで完了させ、移設待ちの区間は週1回の打合せで電柱ごとの移設見込みを確かめて工程表に反映した。移設待ちの区間の材料は着工時に発注して保管し、移設が終わった電柱から順に敷設した。

手元にある昔の形の答案を令和6年度の形に直したい方は、この例文3を例文1と並べてみると、足す場所が見えてきます。違いは次の4点です。

  • 前半の欄の語:「特に重要と考えた事項」は名詞で締めても通るが、令和6年度の「工期を遵守するための工程管理上の課題」では、何が工期をおびやかしたか(移設が遅れた日数だけ、接続と測定が工期の終わりに押し込まれる)を文の中に入れる必要が出る。例文1の課題の2文目がそこに当たる
  • 後半の欄の語:「とった措置又は対策」が「実施した具体的な対策内容とその結果」になり、結果を書く場所が増えた。例文3には約3週間の遅れと11月20日の測定完了が無く、例文1ではそれが最後の段落になっている
  • 書き方の指示:「簡潔に」が「具体的に」になった。例文3は対策を2文に畳んだが、例文1では第一〜第三に分け、打合せの頻度や発注の時期まで書いた
  • 工事の選び方:令和4・5年度の柱書きは「代表的な工事を1つ選び」で、令和6年度は安全管理と工程管理に「特に留意した工事」を選ぶ形になった。工程だけで選んだ工事は、令和6年度の形では安全の材料が足りなくなることがある

この4点の比べ方の出典は、令和4・5年度と令和6年度の問題1です(令和4・5・6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。例文3を例文1の形に直すなら、例文3に例文1の最後の段落(約3週間の遅れと11月20日の測定完了)を足し、次に課題の2文目(接続と測定が工期の終わりに押し込まれるおそれ)を足し、最後に対策を第一〜第三に分けます。

例文を覚えて本番で使ってよいかについては、例文そのものを写す使い方はおすすめしません。問題1の注意書きには毎年、あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となる、という一文があり(令和元年度〜令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 問題1)、この記事の3本はすべて架空の工事だからです。文章ではなく、工事概要の条件から課題を立て、対策を分け、結果を工期と並べるという骨組みのほうを持ち帰ってください。

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  • 例文は架空の工事なので、答案は自分の工事で組み直す必要がある
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工事概要の数量と条件は、課題と結果までつながっているか:例文3本の点検

工事概要の「工事の概要」に何を書けばあとの設問とつながるのか、という疑問への答えは、書いた数量や条件が⑴と⑵で使われているかを数えてみるとはっきりします。令和6年度の〔設問2〕は「前記の〔工事概要〕に記述した工事の」で始まるので(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)、工事概要と⑴⑵は別々の欄でも、同じ工事の説明として読まれます。3本の例文を、この目で点検した結果が次のとおりです。

  • 例文1:⑤の「延長12.4km」「2.1km(電柱41本)」「36箇所」が課題の文に、「2.1km」「10.3km」と③の「11月30日」が結果の文に出てくる。結果の「残る作業は2.1km分の敷設と、その区間の接続・測定だけ」は、対策の第一(区間ごとに完了させる組み替え)に対応している
  • 例文2:⑤の「地上8階建て」「平日20時〜翌6時と土曜日」「切替は土曜日のみ」が、課題の文では「8フロア」「平日の夜間と土曜日」「8フロアの切替はすべて土曜日」の形で出てきて、「8フロアのうち7フロア」「予備の土曜日」と③の「3月22日」が結果の文に出てくる。4階の件は、対策の第三(節目の時刻の確認)が効いた箇所として書かれている
  • 例文3:事項の文に「2.1km」は出てくるが、旧形式には結果の欄が無いため、工期との関係は答案の中で閉じていない。令和6年度の形で出すなら、例文1の最後の段落にあたる結果を足す必要がある

比べるために、つながっていない答案の見本を1つ作りました。工事概要は例文1と同じ架空のものです。課題は「梅雨の時期に着工するため、雨天による作業中止で工程が遅れないようにすることを課題とした。」、対策内容とその結果は「工程会議を毎週開いて進み具合を確認した。その結果、工期内に無事完了した。」という形です。

この見本は文として間違ってはいませんが、⑤に書いた「12.4km」も「36箇所」も課題の文に出てこず、雨で止まると工期の終わりに何が押し込まれるのかが書かれていません。結果も「工期内に完了した」だけで、毎週の工程会議のどこが効いたのかが読み取れない。工事概要を差し替えても、そのまま別の工事の答案として通ってしまう文になっています。

同じ雨の題材で直すと、課題は「本工事は延長12.4kmの架空敷設を6月から始める工程であり、梅雨の時期に雨で敷設を止める日が続くと、36箇所の接続と全区間の測定が工期の終わりに寄り、11月30日までに終わらなくなるおそれがあった。そこで、雨で敷設を止めた日も工程を前に進めることを課題とした。」となります。対策と結果は「雨で敷設を止める日は、局舎内の成端と、敷設済みの区間の接続に振り替える段取りを着工前に決め、振り替え用の作業班と材料を先に手配した。その結果、6月と7月に敷設を止めた日はあったが、その日も成端と接続を進めていたため、接続と測定が工期の終わりに寄ることはなく、11月30日の工期内に引き渡した。」という形です。見本と比べると、数量と日付が工事概要から持ち込まれ、結果が対策のどこに対応するかが文の中で分かるようになっています。

結果の書き方で迷ったら、「工期内に完了した」という事実に、「どの対策のおかげで、どこで余裕が生まれたか」を1文足すところまでを目安にしてください。遅れがあったなら、それも書いてかまいません。採点で何が評価されるかは公表されていないので断定はできませんが、工事概要と結果の数字がかみ合っている答案のほうが、読み手が確かめやすいのは確かです。

撤去のみ・二次下請・失格の注意書きを、例文3本はどう満たしたか

令和6年度の問題1の〔注意〕は「工事名が工事以外でも,電気通信設備の据付調整が含まれている場合は,経験した工事として認められます。ただし,撤去のみの工事は除きます。なお,あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となります。」でした(令和6年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 第二次検定 問題1)。撤去のみの工事を除く一文は令和2年度から令和7年度まで毎年あり、令和元年度の注意書きにはありません。令和元年度は、据付調整の一文のあとに「ただし,あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となります。」が続くだけで、撤去の除外はありませんでした(1級電気通信工事施工管理技術検定の問題1。令和元・2年度は実地試験、令和3〜7年度は第二次検定)。

撤去の作業を含む工事なら書けないのか、という点は、例文2で確かめられます。例文2の工事の概要には「既設機器とケーブルの撤去」が入っていますが、フロアスイッチの更新、ケーブルの敷設替え、無線アクセスポイントの設置と調整もあり、撤去だけの工事ではありません。問題文が除いているのは「撤去のみの工事」なので、撤去が一部に入っていること自体は、この一文には当たらないと読めます。

二次下請で入った工事の発注者名は、工事概要の〔注意〕に「あなたの所属会社が二次下請業者の場合は,発注者名は一次下請業者名となります。」とあり、この文は令和元年度から令和7年度まで同じでした(令和元年度〜令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 問題1)。例文2で発注者名を「B社(一次下請業者)」とし、ビルの所有者や元請の名前を書かなかったのはこのためです。例文1は自分の会社が〇〇市から直接受けた想定なので、発注者名は〇〇市になります。同じ〔注意〕には、所属が発注機関の場合の発注者名は所属機関名となる、という一文もあります(同 問題1)。

失格の一文については、例文3の節でも触れたとおり、架空の工事名や数量を本番に写す使い方は避けてください。令和6年度の〔注意〕の書き出しにある「電気通信設備の据付調整が含まれている場合は」という条件は、自分の工事を選ぶときの確かめどころになります。例文1なら成端と測定、例文2ならスイッチの設定と無線アクセスポイントの調整が、それぞれの工事の据付調整の部分にあたる、というのが僕の整理です。

自分の通信工事で、例文の骨組みに書き直す手順

例文を自分の工事に置き換えるとき、建築や電気工事の例文の言葉を通信の言葉に入れ替えていくやり方は、うまくいかないことが多いと思います。題材の順番が逆だからです。この記事の例文は、工事概要の条件→工期をおびやかした要因→前もって打った手→結果、の順で組んでいます。自分の工事でも、この順に手元の記録から材料を拾っていくほうが早く書けます。使う記録は次のあたりです。

  • 当初の工程表と、途中で変えた工程表
  • 施工計画書
  • 材料や機器の発注記録と納品の記録
  • 発注者や他業者との打合せ記録
  • 作業日報と試験・測定の記録

手順1:工程表の当初と実績を並べ、余裕が削られた場所を1つ決める

当初の工程表と、途中で変えた工程表を並べ、工期に対する余裕が一番削られた作業を1つ選びます。ここで選んだ作業が、例文1の「移設待ちの区間」、例文2の「土曜日の切替」にあたります。出来事を3つも4つも並べるより、1か所に絞ったほうが⑴から⑵までが一本の線になります。

例文1で区間を10.3kmと2.1kmに分けたのは、ネットワーク工程表でいえば、移設待ちの作業を残りの接続・測定の経路から切り離したことにあたります。問題3は令和元年度から令和7年度まで毎年ネットワーク工程表の問題で、⑴は毎年「所要工期は,何日か。」、⑵は令和6年度が「作業Gのトータルフロートは,何日か。」、令和7年度が「作業Fのフリーフロートは,何日か。」でした(令和元年度〜令和7年度 1級電気通信工事施工管理技術検定 問題3)。自分の工事でも、手順1で選んだ作業をどの流れから切り離したのかを1文で言えるか確かめておくと、手順4の対策の第一が書きやすくなります。

手順2:その作業の手前にあった条件を、工事概要の⑤に書き込む

手順1で選んだ作業の手前にあった条件(移設待ちの延長、作業できる時間帯、切替の回数など)を、工事概要の⑤に数量や時間で書き込みます。⑤を先に書いてから課題を考えるのではなく、課題の材料を⑤に置いておく、という順番です。

手順3:課題の文を「条件→放っておくと工期に何が起きるか→何を守るか」で書く

⑤に書いた条件をもう一度出し、そのままにすると工期の末日に何が押し込まれるかを書き、最後に守る目標を1文で置きます。例文1・2とも、課題の段落はこの3段でできています。

手順4:施工計画書・発注記録・打合せ記録から、前もって打った手を2〜3個拾う

対策は、当日の頑張りよりも、前もって決めた段取りのほうが書きやすく、読み手にも伝わります。区間の分け方、発注の時期、打合せの頻度、節目の時刻の決め方など、記録に残っているものを第一・第二・第三として並べます。

手順5:作業日報と測定の記録から、結果の日付と数量を拾う

最後に、作業日報や試験・測定の記録から、終わった日付と数量を拾い、工事概要の③工期と並べて書きます。遅れた日数が残っていれば、それも書いたうえで、どの対策があったから工期に収まったのかを1文で示します。記録に無い数字は足さないでください。

1級電気通信工事施工管理技士 工程管理の例文と課題の立て方に関する情報まとめ

  • 令和6年度の形:〔工事概要〕の後に「工期を遵守するための工程管理上の課題」と「実施した具体的な対策内容とその結果」を具体的に書く。工程管理は令和元・3・4・5・6年度に出題され、令和2・7年度は出ていない
  • 例文1(光ファイバ):他事業者の移設待ちの区間を課題にし、区間を分けて先行完了、週1回の打合せ、材料の先行発注で工期内に収めた
  • 例文2(構内LAN):作業時間の制約を「土曜日の切替回数」まで言い換えて課題にし、安全の設問とは人の身体に関わる材料と回数・時刻の材料で分けた
  • 例文3(令和元〜5年度の形):事項と措置又は対策を簡潔に書く形。令和6年度の形へは、結果→課題の工期への道筋→対策の具体化の順に足す
  • つながりの点検:工事概要の数量と工期が、課題と結果の文にもう一度出てくるかを数える。出てこない答案は別の工事でも通ってしまう
  • 注意書き:撤去のみの工事は令和2〜7年度で除外、経験した工事でなければ失格、二次下請なら発注者名は一次下請業者名
  • 書き直す手順:工程表で余裕が削られた作業を1つ決め、その条件を工事概要に書き、課題→対策→結果を記録から拾って組む

以上が1級電気通信工事施工管理技士の工程管理の例文と課題の立て方に関する情報のまとめです。

例文は、読んで納得したところで終わらせるより、自分の工事で1本組み直して初めて役に立ちます。書き上げた答案の⑤に並べた数量と③の工期に線を引き、⑴と⑵の文に同じ数字が何回出てくるかを数えてみてください。1回も出てこない数字があれば、⑤から外すか、課題か結果の文で使う。0回の数字が無くなった答案は、令和6年度の形でも昔の形でも、1本の工事の話として読めるはずです。

設問文の変わり方を年度ごとに確かめたい方は1級電気通信の工程管理の経験記述の記事へ、同じ工事で安全管理の側を組み立てたい方は安全管理の経験記述の記事へ進んでください。

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