- 安全管理の例文を見たいけど、丸写しはバレる?
- 3段で書く例文を覚えてきた。今の2段にどう直せばいい?
- 無事故の現場で、安全の課題なんて立つの?
- 「交通誘導員の配置のみ」は除くって、誘導員の話は一切書けないの?
- 安全と施工計画が同じ工事で出たら、同じ話を2回書きそう
上記の様な悩みを解決します。
1級土木施工管理技士の第二次検定で、問題1に安全管理が出たのは令和3・4・6年度の3回です。令和3・4年度は「現場状況と技術的課題」「検討した項目と検討理由及び検討内容」「対応処置とその評価」の3段、令和6年度は「技術的課題と検討した項目」「対応処置とその評価」の2段で、3段のまま覚えた例文を欄ごとそのまま当てはめることはできません。どちらの形でも設問文が求めているのは「特に留意した」技術的課題で、事故の有無を尋ねる語は入っていません。本記事の例文3本も、いずれも事故の起きていない現場で課題を立てています。
本記事では、3段の形で1本、2段の形で2本、合わせて3本の架空の例文を書き、各欄に何を置いたか、交通誘導員のただし書きをどう満たしたか、施工計画の設問と材料をどう分けたか、「その評価」をどう書いたかを原本の設問文と並べて確認します。
1級土木の安全管理は3段(令和3・4年度)と2段(令和6年度)で出た|例文はどちらの形で書いたか
令和元年度から令和7年度までの7回で、問題1の管理項目が安全管理だったのは令和3年度・令和4年度・令和6年度の3回です。残りは令和元年度・令和2年度・令和5年度が品質管理、令和7年度が品質管理と環境対策でした(1級土木施工管理技術検定の各問題1。令和元年度・令和2年度は実地試験問題、令和3年度〜令和7年度は第二次検定試験問題)。同じ安全管理でも、令和3・4年度は⑴⑵⑶の3段、令和6年度は⑴⑵の2段で問われています。この記事の例文は、1本目を3段、2本目と3本目を2段で書きました。
令和3・4年度の設問は次の文です。両年度とも一字一句同じでした(令和3年度・令和4年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1 設問2)。
> 〔設問2〕 上記工事の現場状況から特に留意した安全管理に関し,次の事項について解答欄に具体的に記述しなさい。ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。 ⑴ 具体的な現場状況と特に留意した技術的課題 ⑵ 技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容 ⑶ 上記検討の結果,現場で実施した対応処置とその評価
令和6年度は、工事概要のあとに安全管理が設問1として置かれ、形が2段になりました(令和6年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1 設問1)。
> 〔設問1〕 工事概要に記述した工事の「安全管理」に関し,次の事項について解答欄に具体的に記述しなさい。ただし,交通誘導員の配置のみに関する記述は除く。 ⑴ 具体的な現場状況と特に留意した安全管理上の技術的課題と,その課題を解決するために検討した項目 ⑵ ⑴で記述した検討項目の対応処置とその評価
2つの設問文で語がどう入れ替わったかを1語ずつ読み比べる作業は、1級土木の安全管理の設問文を年度順に読み比べた記事で済ませてあるので、この記事では例文の側に絞ります。
令和8年度にどちらの形で、どの管理項目が出るかは公表されていないので、ここで予想はしません。僕なら、練習の本線は直近の安全管理の形である令和6年度の2段に置き、3段で書き溜めた例文は捨てずに材料庫として残します。3段の⑵に書いた検討理由は、2段では独立した欄を失いますが、⑴の課題と検討項目をつなぐ一文として生かせるからです。
1級の設問文は、3段でも2段でも最後の欄で「対応処置とその評価」までを求めています。3本の例文はいずれも評価まで書き切りました。2級の設問文はこの記事の資料に含めていないので、2級との違いには踏み込みません。2級の例文は2級土木の安全管理の経験記述を例文3本で読んだ記事にあります。
例文1(令和3・4年度の3段)|下水道の開削工事、土留めの中の掘削と横断する埋設物
1本目は、住宅地の下水道管渠を開削で布設する工事を題材にしました。以下は構成を確かめるための架空の例で、特定の工事の実績ではありません。工事名・発注者名・工事場所は伏せ字にし、延長や深さなどの数量もすべて架空の値です。法令の条番号や基準値は入れていません。
〔設問1〕工事概要(令和3・4年度の欄の順)
令和3・4年度の工事概要は「⑴ 工事名 ⑵ 工事の内容 ①発注者名 ②工事場所 ③工期 ④主な工種 ⑤施工量 ⑶ 工事現場における施工管理上のあなたの立場」の順でした(令和3年度・令和4年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1 設問1)。
| 欄 | 記入例(架空) |
|---|---|
| ⑴ 工事名 | ○○市公共下水道 ○○地区管渠布設工事 |
| ⑵① 発注者名 | ○○市 |
| ⑵② 工事場所 | ○○県○○市○○町地内 |
| ⑵③ 工期 | 令和○年○月○日〜令和○年○月○日 |
| ⑵④ 主な工種 | 管渠工(開削工法)、土留め工、舗装復旧工 |
| ⑵⑤ 施工量 | 管渠布設 延長420m、人孔設置 9箇所、舗装復旧 1,300㎡(いずれも架空) |
| ⑶ 立場 | 現場代理人 |
〔設問2〕⑴ 具体的な現場状況と特に留意した技術的課題
> 本工事は、幅員の狭い住宅地内の市道において、開削工法により下水道管渠を布設する工事であった。掘削深さは最大3.4m(架空)で、鋼矢板と切梁で土留めを行い、その内側をバックホウで掘削する計画であった。施工区間には既設の水道管とガス管が掘削断面を横断する箇所が複数あり、台帳図の位置と実際の位置が一致しているかは着工時点で確かめられていなかった。また土留め内は切梁の段間が狭く、バックホウのバケットが切梁や埋設物に近づいた状態で掘削を続ける必要があった。以上の現場状況から、土留め内の機械掘削において、横断する既設埋設物の損傷と切梁への接触による土留めの変状を防ぎ、土留め内で作業する作業員の安全を確保することを技術的課題とした。
⑵ 技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容
> 上記の課題に対し、①横断する埋設物の位置の確定方法、②埋設物の周辺と切梁段間における機械掘削と人力掘削の切替え範囲、の2項目を検討した。①の検討理由は、台帳図の位置のまま機械掘削を進めると、実際の位置がずれていた場合にバケットが直接埋設物に当たるためである。検討内容として、探査機による確認と、埋設物管理者の立会いによる試掘とを比較し、横断箇所ごとに試掘で位置と深さを確定することとした。②の検討理由は、埋設物の直近と切梁の段間ではオペレータから刃先が見えにくく、機械掘削のままでは接触を防ぎきれないためである。検討内容として、試掘で確定した埋設物の周囲と切梁の直下を人力掘削の範囲とし、その範囲を日々の作業計画にどう落とし込むかを検討した。
⑶ 上記検討の結果,現場で実施した対応処置とその評価
> 検討の結果、横断箇所ごとに埋設物管理者の立会いのもとで試掘を行い、確定した位置と深さを土留め壁面と路面の両方に表示した。人力掘削の範囲は日々の作業計画書に図で書き込み、朝礼でオペレータと土工が同じ図を見て範囲を確認してから掘削を始める手順とした。切梁段間の掘削では土留め上部に合図者を置き、バケットと切梁の位置関係を合図で伝えた。この結果、工事期間を通じて埋設物の損傷と切梁への接触は発生しなかった。現地の表示と作業計画書の図を組み合わせたことで、オペレータと土工の間で人力掘削範囲の認識違いがなくなった点は有効であった。一方、人力掘削の範囲が続く区間では日進量が落ち、工程の調整が必要になった。今後の同種工事では、試掘の結果を施工計画の段階で工程に織り込んでおく必要があると考える。
この例文では、⑴の最後の一文に危険の相手(埋設物と切梁)と守る対象(土留め内の作業員)を両方入れ、⑵で挙げた2つの項目をそのまま⑶の処置の順番に使いました。⑵は項目ごとに「検討理由は〜ためである」「検討内容として〜」と書き出しをそろえ、理由と内容が1つの文に溶けないようにしています。
検討理由と検討内容を分けるのが難しいと感じたら、理由は「なぜその項目を検討しないと課題が解けないのか」、内容は「何と何を比べて、何を決めたのか」と置き換えると切り分けやすくなります。例文の①でいえば、理由は台帳図と実際のずれ、内容は探査機と試掘の比較です。どちらも⑴の現場状況に書いた条件(位置が確かめられていない、刃先が見えにくい)から出てくるので、⑴に書いていない条件を⑵の理由に持ち込まないことが、欄どうしをつなぐ要になります。
項目の数について、設問文は個数を書いていません。この例文は2項目にしましたが、項目を増やすほど⑶の処置と評価も増え、1つあたりが薄くなります。⑴の「現場状況」も、工事概要に書いた工事名や工種の繰り返しではなく、その工事のどこに危なさが生まれていたか(住宅地の狭い市道、横断する埋設物、狭い切梁段間)を書く欄として使いました。
この3段の例文を令和6年度の2段に直すと、2段の⑴の末尾は次のようになります。書き換えた後の文も、同じく架空の例です。
> 以上の現場状況から、土留め内の機械掘削において、横断する既設埋設物の損傷と切梁への接触による土留めの変状を防ぎ、土留め内で作業する作業員の安全を確保することを安全管理上の技術的課題とした。埋設物の位置が台帳図のままでは確かめられず、埋設物の直近と切梁の段間ではオペレータから刃先が見えにくかったことから、①横断する埋設物の位置の確定方法、②埋設物の周辺と切梁段間における機械掘削と人力掘削の切替え範囲、の2項目を検討した。
3段の⑵で項目ごとに1文ずつ立てていた理由は、2項目の直前の「〜ことから、」の一節にまとまりました。探査機と試掘を比べたくだりは⑴には残さず、試掘をどう行ったかは2段の⑵の処置の文で書く形になります。
⑶には、切梁段間の掘削で合図者を置いた一文が入っています。これはバックホウのオペレータに刃先の位置を伝える役で、通行する車や歩行者を誘導する交通誘導員とは別の話として書きました。安全の答案で人を配置する処置を書くときは、その人が誰に何を伝える役なのかまで書いておくと、配置だけの記述に見えにくくなります。
なお、令和3・4年度の⑴は「技術的課題」、令和6年度の⑴は「安全管理上の技術的課題」と書かれていました(令和3年度・令和4年度・令和6年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)。例文1の課題文は安全の相手と守る対象を書き込んであるので、2段に移すときも語を足す必要はほとんどありません。
例文2(令和6年度の2段)|供用中の道路に接した拡幅工事、重機と通行車両を離す
2本目は、車が走っている県道の片側を広げる道路改良工事です。題材として交通誘導員が出てきやすい工事を、あえて選びました。これも構成を確かめるための架空の例で、伏せ字と架空の数量で組んでいます。
〔工事概要〕(令和6年度の欄の順)
令和6年度の工事概要は「⑴ 工事名 ⑵ 工事現場における施工管理上のあなたの立場 ⑶ 工事の内容 ①発注者名 ②工事場所 ③工期 ④主な工種 ⑤施工量」で、立場と工事の内容の順番が令和3・4年度と入れ替わっています。リード文は「あなたが経験した土木工事に関し,次の事項について解答欄に明確に記述しなさい。」でした(令和6年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1 工事概要)。
| 欄 | 記入例(架空) |
|---|---|
| ⑴ 工事名 | 県道○○線 道路改良工事 |
| ⑵ 立場 | 工事主任 |
| ⑶① 発注者名 | ○○県○○土木事務所 |
| ⑶② 工事場所 | ○○県○○郡○○町地内 |
| ⑶③ 工期 | 令和○年○月○日〜令和○年○月○日 |
| ⑶④ 主な工種 | 道路土工、側溝工、路盤工、舗装工 |
| ⑶⑤ 施工量 | 施工延長380m、掘削2,100㎥、舗装2,600㎡(いずれも架空) |
〔設問1〕⑴ 具体的な現場状況と特に留意した安全管理上の技術的課題と,その課題を解決するために検討した項目
> 本工事は、供用中の2車線の県道の片側を拡幅する工事であり、既設側溝の撤去と路床の掘削を、通行車線に接した作業帯の中でバックホウにより行った。作業は昼間の片側交互通行で行ったが、通行車両には大型車が多く、作業帯と通行車線の間に余裕のある幅を確保できない区間が続いた。このため、バックホウの旋回時に車体後部や作業装置が作業帯の外へ出て、通行車両と接触するおそれがあった。以上から、通行車線に接した作業帯での重機作業と通行車両との接触を防ぐことを安全管理上の技術的課題とした。この課題に対し、①使用する重機の機種と据付けの向き、②作業帯の区画と旋回範囲の表示、③大型車が接近したときの作業の止め方、の3項目を検討した。
〔設問1〕⑵ ⑴で記述した検討項目の対応処置とその評価
> ①については、車体後部の張出しが小さい後方超小旋回型のバックホウを選定し、作業装置を通行車線と反対側に向けて据え付けることを基本とした。②については、作業帯の境界を連続したバリケードで区画し、バックホウの旋回範囲を路面に表示して、作業員は旋回範囲の外から作業を補助する配置とした。③については、大型車の接近を把握した交通誘導員が無線でオペレータに伝え、オペレータは車両が通過するまで旋回を止めて作業装置を下ろす手順を作業手順書に定め、毎朝の朝礼で確認した。これらの処置により、工事期間中に通行車両との接触は発生しなかった。評価として、①の機種選定で車体側の張出しを抑え、②の区画で作業帯の境界を目に見える形にしたことで、③の停止手順に頼る場面は当初の想定より少なくなった。一方、無線の連絡は作業帯が長くなる区間で伝わりにくいことがあったため、区間を分けて連絡の中継役を置くことを次の工事での課題とした。
この例文では、⑴の末尾で3つの検討項目を先に宣言し、⑵をその番号どおりに①②③で書き進めました。令和6年度の⑵は「⑴で記述した検討項目の」と始まるので、⑴に無い項目を⑵で急に持ち出さないよう、番号で縛っておくと読み手も追いやすくなります。
交通誘導員は③に1回だけ出てきます。この例文で接触を防ぐ主役に置いたのは①の機種と据付けの向き、②の作業帯の区画で、誘導員は③の中で「オペレータに止めどきを伝える役」として登場させました。ただし書きの「のみ」をどう読むかはただし書きを含めて安全管理の設問文を読んだ記事に任せ、ここでは例文の側で確かめます。
例文2から誘導員の出てくる③を抜くと、⑴の末尾は「①使用する重機の機種と据付けの向き、②作業帯の区画と旋回範囲の表示、の2項目を検討した。」となり、⑵は次のようになります。これも架空の例です。
> ①については、車体後部の張出しが小さい後方超小旋回型のバックホウを選定し、作業装置を通行車線と反対側に向けて据え付けることを基本とした。②については、作業帯の境界を連続したバリケードで区画し、バックホウの旋回範囲を路面に表示して、作業員は旋回範囲の外から作業を補助する配置とした。これらの処置により、工事期間中に通行車両との接触は発生しなかった。評価として、①で車体側の張出しを抑え、②で作業帯の境界を目に見える形にしたことで、旋回時に車体や作業装置が作業帯の外へ出るおそれそのものを小さくできた点が有効であった。
⑴で立てた課題は「旋回時に作業帯の外へ出て通行車両と接触するおそれ」で、この版でも①②の処置と評価だけで課題に答えが返っています。元の例文の③は、その上に重ねた手立てという位置づけです。
題材の選び方にも触れておきます。重機と作業員の接触、土留めの崩れ、墜落など、安全の題材の候補はいくつも浮かびます。どれを選ぶかは、自分が書いた工事概要の工事場所と主な工種から、危なさが最も具体的に説明できるものにするのが素直です。例文2で重機と通行車両を選んだのは、工事名から県道の工事と分かり、⑴に書いたとおり供用中の車線に接して作業する条件があり、主な工種に道路土工と側溝工があるからで、工事概要の欄と⑴の現場状況がそのまま一本の線でつながります。
例文3(令和6年度の2段+設問2 施工計画)|河川護岸工事、安全の材料と施工計画の材料を分ける
3本目は、河川の護岸を施工する工事で、令和6年度と同じく安全管理(設問1)と施工計画(設問2)を1つの工事から書いた例です。令和6年度の柱書は「あなたが経験した土木工事を1つ選び,工事概要を具体的に記述したうえで,次の〔設問1〕,〔設問2〕に答えなさい。」で、2つの設問は同じ工事から書くことになります(令和6年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)。これも架空の例で、伏せ字と架空の数量で組んでいます。
〔工事概要〕
| 欄 | 記入例(架空) |
|---|---|
| ⑴ 工事名 | ○○川 護岸整備工事 |
| ⑵ 立場 | 現場代理人 |
| ⑶① 発注者名 | ○○県○○土木事務所 |
| ⑶② 工事場所 | ○○県○○市○○地先 |
| ⑶③ 工期 | 令和○年○月○日〜令和○年○月○日 |
| ⑶④ 主な工種 | 護岸工(ブロック張り)、根固め工、床掘り、基礎工 |
| ⑶⑤ 施工量 | 護岸延長260m、ブロック張り1,800㎡、根固めブロック320個(いずれも架空) |
〔設問1〕⑴ 具体的な現場状況と特に留意した安全管理上の技術的課題と,その課題を解決するために検討した項目
> 本工事は、河道内に仮締切を設け、低水路側の法面にブロック張りの護岸を施工する工事であった。床掘りと基礎工は仮締切の内側で、平常時の水面より低い位置での作業となった。上流域で降雨があると、現場の天候に関係なく河川の水位が上がる条件であり、また作業員が河道内から堤防上へ上がる経路は仮設階段の1箇所だけであった。以上から、施工中の水位上昇時に、仮締切の内側で作業する作業員と重機を遅れなく退避させることを安全管理上の技術的課題とし、その解決に向けて①水位上昇を現場で把握する方法と作業中止の判断の段階、②作業員と重機の退避経路の確保、の2項目を検討した。
〔設問1〕⑵ ⑴で記述した検討項目の対応処置とその評価
> ①については、上流の水位観測所の情報を定時に確認するとともに、仮締切の内外に量水標を設け、作業中止と退避開始の水位を段階的に定めて職長と共有した。確認の担当者を毎日指名し、確認した時刻と水位を記録に残した。②については、仮設階段を上下流の2箇所に増設し、重機は毎日の作業終了時に堤防上の退避場所へ上げる運用とした。退避の手順は月に1回、作業を止めて全員で実際に経路を歩いて確かめた。この結果、工期中に作業中止の水位に達した日が複数あったが、いずれも定めた段階で作業を止め、作業員と重機の退避を終えてから水位が上がった。評価として、量水標と記録を組み合わせたことで、中止の判断が担当者の経験に左右されなくなった点が有効であった。この確認記録の様式と退避の手順は、当社の河川工事の作業手順書に取り入れた。
〔設問2〕⑴ 施工計画立案に先立ち行った現場の事前調査で判明した施工上の課題
> 施工計画の立案に先立つ現場の事前調査で、作業ヤードに予定していた高水敷のうち資材の仮置きに使える範囲が当初の想定より狭く、護岸ブロックを工区の全延長分まとめて仮置きできないことが判明した。また、資材を搬入する堤防上の道路は幅員が狭く、大型車どうしのすれ違いができなかった。このため、仮置きの制約の中でブロック据付けを途切れさせない資材の搬入と仮置きの計画が施工上の課題となった。
〔設問2〕⑵ ⑴で記述した課題について施工計画の作成にあたり反映した対応処置とその評価
> 施工計画の作成にあたり、施工区間を上下流の3工区に分け、ブロックの搬入を工区ごとの据付け数量に合わせた分割搬入とし、仮置きは据付け中の工区の背後に限った。搬入車両は堤防上の道路ですれ違いが起きないよう片方向の運行とし、搬入日と時間帯を工程表に明記した。評価として、仮置き場所の不足で据付けが止まる日は生じず、仮置きを据付け箇所の背後に限ったことで場内の小運搬も減った。
この例文では、設問1を「施工中に水位が上がったとき、人と重機をどう逃がすか」、設問2を「着工前に分かった仮置きと搬入の制約を、計画にどう織り込んだか」として、同じ工事の中から別々の場面を取りました。どちらも河川の工事らしい話ですが、題材の場所も相手も処置の置き場も重なっていません。
令和6年度の設問2には「ただし,設問1と同一内容の解答は不可とする。」と書かれています(令和6年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1 設問2)。どこまで似ていれば同一内容になるのかは問題冊子に書かれていないので、例文3では次の4つがすべて違うように材料を選びました。
- 時点:設問1は施工中、設問2は施工計画の立案に先立つ事前調査
- 場所:設問1は仮締切の内側、設問2は高水敷の仮置き場と堤防上の搬入路
- 相手:設問1は作業員と重機、設問2は護岸ブロックと搬入車両
- 処置の置き場:設問1は当日の判断と退避の手順、設問2は工区割りと工程表
河川工事の出水の話は、安全と施工計画のどちらにも書けてしまう題材です。例文3で出水を設問1に置いたのは、「施工中に水位が上がったときの退避」という、作業が進む中で打った手の話にしたからです。仮に水位の話を設問2の事前調査の側へ回すなら、設問1には同じ工事の中から別の危険を立て直すことになります。例文3の材料で組み直すと、設問1⑴の課題の部分はたとえば次のような文になります。これも架空の例です。
> 本工事では、勾配のある低水路側の法面上で、重機で吊り込んだ護岸ブロックを作業員が手元で誘い込んで据え付けており、据付け箇所の下段でも別の作業員が作業する場面があった。以上から、法面上の吊り込み作業において、吊り荷と作業員の接触と、足元の不安定な法面での転倒を防ぐことを安全管理上の技術的課題とした。
施工計画側の設問の読み方は1級土木の施工計画の設問を原本から読んだ記事で詳しく扱っています。
令和6年度は安全管理が設問1に置かれ、その欄が無記載等だった場合の扱いが表紙の注意書きに書かれています。注意書きの読み方は採点の対象になる条件を年度ごとに並べた記事に譲りますが、例文3で設問1を設問2より厚く書いたのは、この並びを意識したからです。
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【PR】どちらの形式で書くか決まった先に、受験対策講座という選択肢もある
3段と2段のどちらで書くか分かっても、自分の工事の話に置き換える段階でまた迷いが出ます。独学サポート事務局の受験対策講座という選択肢もあります。講座の対応範囲は公式ページで確認してください。
- 試験までの残り期間で、経験記述と記述問題の両方を仕上げられるか不安がある
- 独学で使う教材や進め方を、ひとりで決めきれていない
- 書いた下書きを、ひとりで仕上げていくことに心細さがある
「その評価」の1文を3本でどう書いたか|無事故だけで終わらせない
3本の課題は、どれも事故が起きたことからではなく、起こさないために特に留意した条件(横断する埋設物、通行車線との近さ、上流の降雨で上がる水位)から立てたもので、無事故の現場でも課題は立ちます。そのうえで差が出るのが、最後の評価の欄です。
評価の欄は、3段でも2段でも最後に来ます。令和3・4年度は「⑶ 上記検討の結果,現場で実施した対応処置とその評価」、令和6年度は「⑵ ⑴で記述した検討項目の対応処置とその評価」です(令和3年度・令和4年度・令和6年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)。どちらも「その評価」と書かれていて、「その」は直前の対応処置を受けていると読めます。そう読むなら、評価の欄で書くのは工事全体の出来ではなく、自分が打った処置がどう効いたか、ということになります。
そのうえで、評価の中身は3本とも違う角度から書き分けました。
- 例文1(下水道):効いた点(認識違いが無くなった)と、処置の代わりに生じた負担(日進量の低下)を並べ、次の同種工事では試掘の結果を計画段階で工程に織り込む、と申し送った
- 例文2(道路):3つの処置のうちどれが接触を防ぐのに効いたかを分けて書き、①②が効いたことで③に頼る場面が減った、と処置どうしの関係まで書いた
- 例文3(河川):判断が担当者の経験に左右されなくなったことを効き目とし、記録の様式と退避の手順を会社の作業手順書に取り入れた、と処置のその後を書いた
例文1と例文2には「〜は発生しなかった」、例文3には「退避を終えてから水位が上がった」という結果の一文を入れています。ただ、それは評価の入口に置いただけで、評価の本体はそのあとの文です。「無事故で終わった」の一言だけだと、どの処置が効いて無事故になったのかが読み手に伝わらず、⑵や⑶で書いた処置と評価がつながりません。例文1の「認識違いがなくなった」、例文2の「③の停止手順に頼る場面は当初の想定より少なくなった」、例文3の「中止の判断が担当者の経験に左右されなくなった」は、どれも処置を打つ前と後で何が変わったかを書いた文です。
3段と2段では、評価が何に結び付くかの書き方も少し違います。令和3・4年度の⑶は「上記検討の結果,現場で実施した対応処置とその評価」なので、例文1は⑵で検討したことの結果として⑶を書き、評価も検討全体を受ける形でまとめました。令和6年度の⑵は「⑴で記述した検討項目の対応処置とその評価」なので、例文2と例文3は⑴で番号を振った項目ごとに処置を書き、評価でもどの項目の処置が効いたかを名指ししています。2段で書くときは、評価の文の中に⑴の項目番号か項目名が出てくるかを見ると、欄どうしのつながりを確かめやすくなります。
評価に何を書けばよいか迷ったら、自分の処置について「打つ前は何が起きそうだったか」「打った後は何が変わったか」「やってみて足りなかったことは何か」の3つを書き出してみると、材料がそろいます。3つ目の足りなかったことは、例文1と例文2のように評価の最後に置くと、処置を自分で点検した跡として読めます。僕は、評価の欄は成功の報告より、処置を自分の目で測り直した記録として書く方が、1級の答案らしくなると考えています。
例文の数字と工種を自分の工事に置き換えるとき、工事概要と食い違わせない
例文3本は架空の工事なので、そのまま答案に写すことはできません。令和3・4年度の問題1には「〔注意〕 あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となります。」と書かれ(令和3年度・令和4年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)、令和6年度は柱書の中に「なお,あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となります。」と入りました(令和6年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)。例文の言い回しを入れ替えても、書いてある工事が自分の経験でなければ、この一文の対象から外れることはありません。例文から借りてよいのは、欄の組み立て方と文の順番までです。
丸写しを避けるつもりで語尾や言い回しだけを変えても、例文の骨組みにある現場状況(狭い市道と横断する埋設物、大型車の多い県道、上流の降雨で上がる水位)は残ります。現場状況が自分の工事と違えば、そこから出てくる課題も処置も評価も自分の工事と合わなくなるので、言い回しの問題ではなく中身の問題として直す必要があります。
置き換えで最も起きやすいのは、例文の数字や条件が残ったまま、工事概要の欄と話が合わなくなることです。例文の数字(深さ3.4m、延長380m、3工区など)は架空の値なので、自分の工事の数字に全部差し替えます。そのうえで、同じ事実が工事概要と設問の両方に出てくる箇所を、1つずつ突き合わせます。
- 工事名と工事場所:⑴の現場状況に書いた周辺の条件(住宅地、供用中の道路、河道内)が、工事名と工事場所から読み取れる工事と矛盾しないか
- 工期:現場状況に書いた時期(出水の多い時期、交通量の多い時間帯など)が、工期の中に収まっているか
- 主な工種:検討項目と処置に出てくる作業(掘削、側溝撤去、床掘り)が、主な工種の欄に書いた工種から外れていないか
- 施工量:現場状況に書いた規模や数量が、施工量の欄の数字と別の工事を指していないか
- 立場:処置を実施した主体として書いた内容が、立場の欄に書いた自分の役割でできる範囲に収まっているか
発注者名に誰の名前を入れるかは、工事概要に付いた〔注意〕が決めています。令和3・4年度は「「経験した土木工事」は,あなたが工事請負者の技術者の場合は,あなたの所属会社が受注した工事内容について記述してください。従って,あなたの所属会社が二次下請業者の場合は,発注者名は一次下請業者名となります。なお,あなたの所属が発注機関の場合の発注者名は,所属機関名となります。」でした(令和3年度・令和4年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)。令和6年度は「従って」が「例えば」に替わり、「例えば,あなたの所属会社が二次下請業者の場合は,発注者名は一次下請業者名となります。」と書かれています(令和6年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題 問題1)。例文ではどれも発注者を伏せ字にしましたが、自分の答案では、所属会社が受注した相手をこの注意書きに沿って書きます。元請の工事でなくても、所属会社が受注した範囲の工事内容で書く、という前提です。どの立場なら書けるのか、立場の欄をどう埋めるのかといった形式の話は、安全管理の設問文と注意書きを読んだ記事の側に任せます。
3本のうちどれを自分の工事に寄せるかは、工種の近さよりも、危なさの出どころで選ぶと失敗が少なくなります。埋設物や土留めのように、地中や構造物の中に危なさがある工事なら例文1、通行する車や歩行者との境目に危なさがある工事なら例文2、水位や天候のように工事の外から来る変化に危なさがある工事なら例文3が、骨組みとして使いやすいはずです。借りるのは骨組みだけで、現場状況と処置と評価の中身は、自分の工事で実際にあったことで書き直します。
3段と2段で書いた1級土木の安全管理の例文3本を振り返る
- 出題の形:安全管理は令和3・4・6年度の3回。令和3・4年度は⑴⑵⑶の3段、令和6年度は⑴⑵の2段で、「検討理由及び検討内容」の語は令和6年度の設問文に無い
- 例文1(3段・下水道):検討理由は「なぜその項目が要るか」、検討内容は「何を比べて何を決めたか」で切り分け、2段に書き換えると理由は⑴の項目の直前の一節に収まる
- 例文2(2段・道路):誘導員は③の中で役割付きで1回だけ出し、③を抜いた版でも①②の機種・据付けと作業帯の区画で課題と処置が閉じる
- 例文3(2段・河川):設問1は施工中の退避、設問2は事前調査で判明した仮置きと搬入の制約とし、時点・場所・相手・処置の置き場を分けた。水位を設問2へ回すなら設問1は法面上の吊り込みに差し替える
- その評価:「その」は対応処置を受けると読め、3本とも処置で何が変わったかを書き、例文1と例文2は足りなかったことも評価の最後に置いた
- 置き換え:経験していない工事は失格と明記されている。数字は全部差し替え、工事概要の各欄と設問の記述を突き合わせる
同じ現場の話を3段と2段の両方で書いてみて、いちばん手応えが違ったのは評価の書き先でした。3段の例文1は、⑵の検討全体を受けて評価をまとめても形になります。2段では、⑴の末尾で番号を振った項目の名前が評価の文に出てこないと、評価がどの処置の話なのか読み手に伝わりません。2段の形では⑴の最後の一文が、課題だけでなく評価の宛先まで先に決めている、というのが3本を書き比べて僕が得たいちばんの実感です。
安全管理が問題1全体のどこに位置するのかを見直したい方は、工事概要から各設問までを通して解説した1級土木の経験記述の記事を開くと、欄どうしのつながりが一続きで追えます。
)・PR表記は司令塔が枠直前に置く/出典は段落内/禁句0
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