項目Aはどれを選ぶ?2級建築の経験記述・工程管理の例文3本

  • 令和7年度の形で書いた、工程管理の例文が見たい
  • 項目Aの「材料」「工事用機械」「作業員」って、どれを選べばいい?
  • ②の「主な要因」と「影響を受ける作業内容」って何が違うの?
  • ネットで拾った例文は過去形ばかり。令和7年度の答え方に直せる?
  • 解体・新築・改修、どれを選ぶと書きやすい?

上記の様な悩みを解決します。

2級建築施工管理技士の第二次検定で、問題1の柱書に工程(工事の遅延防止等)が掲げられた年は、令和2・5・7年度の3回です。令和2・5年度は自分が経験した工事で実際に行った対策を書く形でしたが、令和7年度は問題冊子の工事計画(イ.解体/ロ.新築/ハ.改修)から1つ選び、事前に講ずべき対応策を書く形でした。

項目Aは、問題文どおり「あなたの受検種別に係る工種又は作業に関連する」区分を材料・工事用機械・作業員の3つから1つ選び、同一の項目を複数回選んでもかまいません(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。この記事の作例は、材料・機械・作業員を1本ずつにしました。

本記事では、令和7年度の問題冊子の工事計画を題材に、新築×材料、新築×工事用機械、改修×作業員の3本の作例を書き、②の要因と影響を受ける作業、③の事前に講ずべき対応策を9組書き分けています。不可の3条件や工事計画の前提を作例にどう効かせたかも確認できます。

目次

令和7年度の問題1に合わせて作った3本|工事を1つ、項目Aを1つ、①〜③を3組

この記事の例文3本は、令和7年度の2級建築の問題1を題材に、当サイトが作った架空の作例です。実施機関が示した模範解答ではなく、これを書けば合格するという正解でもありません。問題冊子に印刷された工事計画の語だけを使い、問題文の要件を1つずつ埋めるとどういう答案の形になるかを見せるためのものです。

作例を読む前に、令和7年度の問題1が何を書かせるのかを短く確認しておきます。柱書は「建築工事の現場を管理していくうえでの工事の遅延防止等に関するあなたの考えについて,今日までの経験を踏まえ,次の1.及び7ページに示す2.の問いに答えなさい。」です(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。1.では、4ページから6ページの「イ.解体」「ロ.新築」「ハ.改修」から工事を1つ選んで記号を○で囲み、次に項目Aのa.からc.のうち、受検種別に関わるものを1つ選びます。そのうえで「工事の遅延防止を念頭に置いてそれらの手配や配置,施工をする立場として」、項目Bの①から③について「あなたの考えを3つ具体的に記述しなさい。」と求めています(同 p.2)。

項目Bの中身は、①が「工種名又は作業名等」、②が「概要の工事を遅延させる可能性があると考える主な要因と,その要因によって影響を受ける①の具体的な作業内容」、③が「②による遅延を防ぐために有効と考える事前に講ずべき対応策」です(同 p.2)。そして「項目Aは,同一の項目を複数回選んでもよいものとし」「①工種名又は作業名等は同一の記述でもよいが,②及び③はすべて異なる内容を記述するものとする。」と条件が付いています(同 p.2)。

3本の作例は、この要件に次のように当てはめました。

  • 例文1:「ロ.新築」を選び、項目Aは「a.材料(本工事材料,仮設材料)」。3組の①は鉄骨工事、外壁工事、内装工事
  • 例文2:「ロ.新築」を選び、項目Aは「b.工事用機械・器具・設備」。3組の①は地業工事、鉄骨工事、コンクリート工事
  • 例文3:「ハ.改修」を選び、項目Aは「c.作業員(交通誘導警備員は除く)」。3組の①は屋根工事、塗装工事、内装工事
  • 3本とも、1本の中では同じ項目Aを3組すべてで使っている(同一の項目を複数回選んでよい、という条件の範囲)

令和7年度を題材にしたのは、工程(遅延防止)が問題1の主題になった最新の年だからです。問題1の柱書で工程が主題として置かれたのは令和2年度・令和5年度・令和7年度の3回で、それとは別に令和3年度は2.で「「品質低下の防止」及び「工程遅延の防止」について,それぞれ①及び②を具体的に記述しなさい。」と、工程遅延を書く設問がありました(令和3年度 第二次検定問題 p.2)。なお、問題冊子に示された工事から1つを選ぶ形は令和7年度が最初ではなく、令和6年度の問題1ですでに「3ページ,4ページに示す工事概要イ「新築」,ロ「解体」又はハ「改修」の3つの建築工事の中からいずれか1つ選び」という形で出ています(令和6年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。

手元に令和2年度や令和5年度の形で書かれた例文がある人は、どこまで使えるかも気になるところです。項目Aの3区分は令和2・5・7年度で同じなので(令和2年度 2級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題 p.2/令和5年度 同 第二次検定問題 p.2)、材料・機械・作業員のどこに遅れの芽があるかを探す目の付け方は、旧形式の例文からも拾えます。一方で③は、令和2年度が「②の遅延を防ぐために実際に行った対策」、令和5年度が「②による遅延を防ぐために実際に行った対策」で(令和2年度 実地試験問題 p.2/令和5年度 第二次検定問題 p.2)、自分がやったことの報告でした。令和7年度の「事前に講ずべき対応策」とは向きが違うので、旧形式の③の文章は書き直す前提で見てください。②③の語がどう変わったかの細かい読み比べは、2級建築の工程管理の経験記述で令和7年度の設問を読み解いた記事に任せて、ここでは作例そのものに紙幅を使います。

令和8年度も同じ形で出るかどうかは、この記事で確認した問題冊子からは分かりません。作例は令和7年度の問題文に合わせたものとして読んでください。

例文1|「ロ.新築」×a.材料:鉄骨・外壁パネル・せっこうボードを現場に届ける段取り

1本目は、新築を選び、項目Aの材料で3組を書いた作例です。以下は令和7年度の問題冊子の工事計画を題材に当サイトが作った架空の例で、工事計画に書かれていない仕様・数量・月日は足していません。

題材に使ったのは、「ロ.新築」の工事概要にある次の記載です。構造は「軽量鉄骨構造 地上2階建て」、鉄骨は「工場加工,現場組立て」、外壁は「窯業系サイディングパネル フッ素樹脂塗装品」、居室の壁は「軽量鉄骨下地+せっこうボード+ビニルクロス」、窓は「アルミ製サッシ,複層ガラス共」、屋根は「勾配屋根 野地板+アスファルトルーフィング+ガルバリウム鋼板葺き」とされています(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.5)。工程表では、新築工事は解体工事から切れ目なく11月の前半に始まり、2月の前半に終わる位置に置かれています(同 p.3)。

選んだ工事:ロ.新築/選んだ項目:a.材料

1組目:工場加工の鉄骨

① 鉄骨工事(工場加工した鉄骨の現場組立て)

② 工場で加工した鉄骨が、建方を予定した日までに現場へ届かないことが主な要因と考える。この要因により、①のうち鉄骨の建方が始められなくなる。

③ 工場での加工に入る前に製作図の承認を済ませておき、建方の順序に合わせた部材の搬入順と搬入日を、鉄骨の製作工場と事前に取り決めておく。

2組目:塗装品の外壁パネル

① 外壁工事(窯業系サイディングパネル フッ素樹脂塗装品の張付け)

② パネルの割付と発注数量の確定が遅れ、塗装品のパネルが張付けの予定日までに納入されないことが主な要因と考える。この要因により、①のうち外壁パネルの張付けが始められず、外壁が閉じないまま次の作業を待つことになる。

③ 鉄骨の建方が終わる前に外壁の割付図を作成して承認を受け、張付けの開始日から逆算した発注日と納入日を工程表に書き込んでおく。納入は外壁の面ごとに分けて受け取るよう、事前に納入業者と決めておく。

3組目:居室の壁のせっこうボード

① 内装工事(居室の壁 軽量鉄骨下地+せっこうボード張り)

② せっこうボードの納入時期が、屋根や外壁、窓で建物の外周がふさがる時期より早く、雨を避けて置ける場所が確保できないことが主な要因と考える。この要因により、①のうちボードの受入れを先に延ばすことになり、軽量鉄骨下地の組立てに続くせっこうボード張りの着手が遅れる。

③ せっこうボードの納入日を、屋根葺きとアルミ製サッシの取付けが終わった後に設定し、住戸ごとに分けて納入する日と、屋内での仮置き場所を事前に決めておく。

例文1で工事計画から借りた語と、3組の分け方

3組の①は、どれも「ロ.新築」の工事概要に印刷された語から取っています。鉄骨の「工場加工,現場組立て」、外壁の「窯業系サイディングパネル フッ素樹脂塗装品」、居室の壁の「せっこうボード」です(令和7年度 第二次検定問題 p.5)。工事概要に無い部材の寸法や本数は、1つも書いていません。

3組の②は、同じ材料の話でも遅れの起き場所を変えています。1組目は工場から現場へ届くまで、2組目は発注の前の割付と数量の確定、3組目は現場に届いたあとの置き場です。材料が遅れると聞くと納期の話だけを3回書きがちですが、材料が現場で使えるようになるまでには、決める・作る・運ぶ・置くという段階があり、そのどこで止まるかを1組ずつ違えると、②も③も自然に別の中身になります。

資材の納期遅れを材料の区分で書いてよいか、という疑問への答えもここにあります。項目Aのa.は「材料(本工事材料,仮設材料)」で(同 p.2)、1組目のように「届かない」ことを要因に置くのは材料の手配の話そのものです。ただ、問題文は「手配や配置,施工をする立場として」と書いているので(同 p.2)、③は業者任せの「納期を守ってもらう」ではなく、自分が事前に何を決めておくかの形で書いています。

1組目の③の「工場での加工に入る前に製作図の承認を済ませておき」は、建方の日から見ると、鉄骨が工場で加工され始めるよりさらに手前の時点に打つ手です。続く搬入順と搬入日の取り決めも、最初の部材が工場を出る前に済ませる手として書いています。作例の③がどれも「事前に」や「〜の前に」「〜の後に」で打つ時点を書き込んでいるのは、令和7年度の③が「事前に講ずべき対応策」を求めているからです(同 p.2)。

例文2|「ロ.新築」×b.工事用機械・器具・設備:杭の施工機・揚重機・ポンプ車の手配と配置

2本目も新築を選び、項目Aを工事用機械・器具・設備にした作例です。これも令和7年度の工事計画を題材にした架空の例です。

題材にした記載は、地業の「羽根付き鋼管杭 4.0m×4本」、基礎の「鉄筋コンクリート独立基礎」、2階床の型枠の「床版用デッキプレート」、コンクリートの「普通コンクリート」です(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.5)。配置図では、工事用車両出入口は北側の「市道 5m」の側にあり、その南正面が新築の位置です(同 p.3)。工程表では解体工事が10月の後半に行われ、新築工事は解体の直後から始まります(同 p.3)。

揚重機やポンプ車といった機械そのものは、工事計画には書かれていません。工事計画には「作業には一般的な手法を用いることを前提とした無理のない工期を設定している。」とあるので(同 p.3)、作例ではこの前提から、この規模の工事で一般的に使う機械を置いて書き、名前までにとどめて、能力や台数の数字は書いていません。

選んだ工事:ロ.新築/選んだ項目:b.工事用機械・器具・設備

1組目:杭の施工機

① 地業工事(羽根付き鋼管杭の施工)

② 解体工事の完了と杭の施工の着手が切れ目なく続くため、解体で使った重機の搬出と、杭の施工機の搬入が同じ工事用車両出入口で重なることが主な要因と考える。この要因により、①のうち杭の施工機の据付けと、4本の杭の施工が予定した日に始められなくなる。

③ 解体業者と杭の施工業者を交えて、解体重機の搬出日と杭の施工機の搬入日を事前に決めておく。あわせて、基礎解体後の整地が終わったことを確かめる日を、杭の施工機の搬入より前に工程表へ入れておく。

2組目:鉄骨の建方に使う揚重機

① 鉄骨工事(鉄骨の建方)

② 建方に使う揚重機を据え付ける位置と、鉄骨を積んだ車両を止める位置が、敷地の中で同時に確保できないことが主な要因と考える。閑静な住宅街の中の工事で、車両を市道に止めたまま荷下ろしを続ける前提は置きにくい。この要因により、①のうち鉄骨の吊込みと組立てが、車両を入れ替えるたびに止まる。

③ 揚重機の据付け位置、鉄骨搬入車両の停車位置、吊込みを行う範囲を施工計画図に書き込んで事前に決め、その据付け位置から建物全体に吊荷が届く揚重機を選んでおく。

3組目:コンクリートポンプ車

① コンクリート工事(独立基礎と2階床のコンクリート打込み)

② 打込みの予定日が天候で延びるたびに、コンクリートポンプ車の手配を取り直すことになり、次の打込み日がすぐに決まらないことが主な要因と考える。この要因により、①のうち独立基礎と、デッキプレート上の2階床のコンクリート打込みが後ろへずれる。

③ 打込み日ごとに予備日を事前に決めておき、ポンプ車の手配先と生コンクリートの工場に、予備日を含めた日程をあらかじめ伝えておく。

例文2で配置図と工程表から読んだこと

例文2の1組目と2組目は、工事概要の文字だけでなく、配置図と工程表から要因を拾っています。1組目は、工程表で解体から新築が切れ目なく続いていることと(令和7年度 第二次検定問題 p.3)、「イ.解体」の工事概要に「基礎解体後の掘削底面は整地まで行う」とあること(同 p.4)の組み合わせです。2組目は、工事計画の「閑静な住宅街に位置する敷地内において」という前提と(同 p.3)、配置図の工事用車両出入口の位置から立てています。

3組目は天候を出発点にしていますが、②の前半で主語に置いたのはポンプ車の手配です。主語を手配にしたので、③も空模様への備えではなく、手配を取り直す手間そのものを先に消す手になり、打込み日ごとの予備日をポンプ車の手配先と生コンクリートの工場へ前もって伝えておく、という形に決まりました。新築工事は11月の前半から2月の前半まで続くので(同 p.3)、打込みの時期が冬に重なることは工程表からも読めます。

3組の③は、日程の調整(1組目)、位置の決定(2組目)、予備日の確保(3組目)と、事前に打つ手の種類をずらしています。どれも「〜しておく」の形で終わり、「実際に行った」という過去の報告の形は使っていません。

例文3|「ハ.改修」×c.作業員:屋根・外壁・内装の職種を新築と取り合わない段取り

3本目は改修を選び、項目Aを作業員にした作例です。これも令和7年度の工事計画を題材にした架空の例です。

「ハ.改修」の工事概要には、屋根が「既存スレート板葺きのうえガルバリウム鋼板カバー工法」、外壁が「サイディングパネル面 既存塗膜除去のうえフッ素樹脂塗料塗替え」と「コンクリート打放し面 立上り腰壁既存塗膜除去のうえアクリルシリコン樹脂クリア塗料塗替え」、外廊下・鉄骨階段が「鉄部既存塗膜除去のうえ錆止め塗料+合成樹脂調合ペイント塗替え」、居室・水回りの壁天井が「ビニルクロス張替え」、水回り床が「クッションフロア張替え」、建具が「既存木製扉及び既存木製引戸 すべて取替え」と書かれています(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.6)。工程表では、改修工事は12月の中ほどごろに始まり、2月の前半、新築工事と同じ位置で終わります(同 p.3)。つまり、改修の期間はまるごと新築と並行しています。

選んだ工事:ハ.改修/選んだ項目:c.作業員

1組目:屋根のカバー工法

① 屋根工事(既存スレート板葺きのうえガルバリウム鋼板カバー工法)

② 改修の屋根工事の時期が新築のガルバリウム鋼板葺きと重なり、板金工を両方の工事に同時に確保できないことが主な要因と考える。この要因により、①のうち既存スレートの上に新しい屋根材を葺く作業に人が入れず、着手が遅れる。

③ 新築と改修の屋根工事の時期を工程表の上で前後にずらし、同じ板金業者が新築の屋根葺きから改修のカバー工法へ続けて入れる日程を、事前に取り決めておく。

2組目:外壁と鉄部の塗替え

① 塗装工事(サイディングパネル面とコンクリート打放し面の塗替え)

② 外壁の塗替えと、外廊下・鉄骨階段の鉄部の塗替えが同じ時期に集中し、塗装工の人数が足りなくなることが主な要因と考える。この要因により、①のうち既存塗膜を除去したあとのフッ素樹脂塗料の塗替えが、外壁の面ごとに途中で止まる。

③ 外壁面と鉄部の塗替えの順番と、それぞれに入る塗装工の人数を塗装業者と事前に決め、面ごとの作業日を工程表に割り付けておく。

3組目:内装の張替えと建具の取替え

① 内装工事(居室・水回りのビニルクロス張替え、水回りのクッションフロア張替え、木製扉・引戸の取替え)

② 同じ住戸に、クロスや水回りの床を張り替える内装工と、建具を取り替える職種が同じ日に入り、作業場所が重なって互いに手待ちが出ることが主な要因と考える。この要因により、①のうち住戸ごとのクロス張替えと水回りの床の張替えが、建具の取替えを待って進められなくなる。

③ 住戸ごとに、建具の取替え、壁天井のクロス張替え、水回りの床の張替えの順に職種を送る作業順と日割りを事前に決め、職種ごとの入る日を一覧にして各業者に渡しておく。

例文3が新築との並行を要因の中心に置いた理由

改修を選ぶと、この年度の工事計画ならではの材料が1つ手に入ります。工事計画は「既存共同住宅の内外装改修工事を並行して行う計画」と書いていて(令和7年度 第二次検定問題 p.3)、工程表でも改修の全期間が新築と重なっています(同 p.3)。1組目はこの並行を、同じ職種を2つの工事で取り合う要因として使いました。2組目と3組目は、改修工事の中だけで職種が集中する場面、住戸の中で職種が重なる場面と、重なりの範囲を狭めていく形で書き分けています。

改修の工事概要には「既存住宅設備清掃程度」という行もありますが(同 p.6)、例文3では使っていません。問題文が「選んだ工事が「イ.解体」の場合を除き,建築設備工事に関する内容」を不可としているためで(同 p.2)、改修を選んだ答案では設備に関わる話を①〜③のどこにも入れない方が安全です。

作業員の区分で書くときに、もう1つ気をつけたい語があります。項目Aのc.は「作業員(交通誘導警備員は除く)」です(同 p.2)。閑静な住宅街の敷地で車両の出入りがあると、出入口での誘導の人手を要因にしたくなりますが、その人手はこの区分から外されています。例文3の3組は、どれも工事概要に書かれた仕上げや塗替えを行う職種の話に絞りました。

作例の9組の①を工種で振り分けると、建物の基礎と骨組みをつくる組が例文2の3組と例文1の1組目(地業・鉄骨・コンクリート)、建物の外まわりと室内に手を入れる組が例文1の2・3組目と例文3の3組(外壁・内装・屋根・塗装)です。自分の受検種別で書ける工種が前者に多いなら新築の例文2が、後者に多いなら例文1の2・3組目と改修の例文3が、自分の答案に近い形になります。どちらにも無い工種で受ける場合は、同じ工事概要の別の行から①を取り直してください。

②の「要因」と「影響を受ける作業」を、9組でどう書き分けたか

②の問いは、前半の「主な要因」と、後半の「その要因によって影響を受ける①の具体的な作業内容」でできています(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.2)。作例の9組を、この前半と後半に分けて並べると次のようになります。

組 要因(遅れを引き起こす側) 影響を受ける作業(①の中の作業)
例文1-1 工場加工の鉄骨が建方の日に届かない 鉄骨の建方
例文1-2 割付と発注数量の確定が遅れる 外壁パネルの張付け
例文1-3 ボードを雨から守って置く場所が無い 軽量鉄骨下地に続くせっこうボード張り
例文2-1 解体重機の搬出と杭の施工機の搬入が出入口で重なる 杭の施工機の据付けと杭の施工
例文2-2 揚重機と搬入車両の位置が同時に取れない 鉄骨の吊込みと組立て
例文2-3 天候による延期のたびにポンプ車の手配を取り直す 独立基礎と2階床の打込み
例文3-1 新築と改修で板金工を取り合う カバー工法の屋根葺き
例文3-2 外壁と鉄部の塗替えが同時期に集中する 外壁の塗替え
例文3-3 同じ住戸に複数の職種が同じ日に入る クロスと水回りの床の張替え

表の右の列は、どの行も左の列の①の中に収まる作業名になっています。②の後半は「①の具体的な作業内容」なので、①に鉄骨工事と書いた組で、外壁の張付けが止まる話を後半に置くと、①と②の後半が別の工種を指してしまいます。書いたあとに、②の後半の作業名が①の工種の中の作業かどうかを確かめると、このずれはすぐに見つかります。

左の列は、どれも「なぜ遅れるか」の出発点で、右の列は「どこが止まるか」の着地点です。要因の欄に「鉄骨建方が遅れる」と書いてしまうと、それは止まった結果であって、要因にはなっていません。9組の左の列には、止まった作業の名前が1つも入っていないことを見てください。

左の列にはもう1つ揃えてあることがあります。例文1の3行はどれも材料が主語、例文2の3行はどれも機械が主語、例文3の3行はどれも職種や人数が主語です。項目Aで選んだ区分は、②の前半の主語として表に出てきます。材料を選んだのに、要因の欄が「揚重機の位置が取れない」になっていたら、それは項目Aのb.の話です。答案を書き終えたら、②の前半の主語が、○で囲んだ項目Aの記号と同じ区分になっているかを1組ずつ見ておくと、区分と中身の食い違いを本番の答案用紙の上で直せます。

①の工種名は3組で同じにしてもかまいません。問題文には「①工種名又は作業名等は同一の記述でもよいが,②及び③はすべて異なる内容を記述するものとする。」とあります(同 p.2)。作例ではわかりやすさのために3組とも①を変えましたが、たとえば例文3を3組とも内装工事で書くこともできます。その場合は、左の列の要因を3組で違えることになり、クロス張替えの職種の手配、水回りの床材の張替えの職種の手配、建具取替えとの重なり、のように要因の側で書き分ける必要が出てきます。①を揃えるほど、②③を違える工夫は要因の側に寄っていきます。

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  • ②の「主な要因」と「影響を受ける作業内容」を1組でどう書けばいいか分からない
  • 2.の「工程短縮の方法」と③の対応策が同じ内容になってしまわないか不安
  • 手元にある「実際に行った対策」の形の例文が、今の設問にそのまま使えるか分からない

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居住者不在・閑静な住宅街・不可の3条件は、9組のどこに効いているか

作例の9組は、書き始める前に工事計画の前提と、問題文の不可の条件に照らしてから要因を選んでいます。令和7年度の工事計画は、次の一文で始まります。

> 下の配置図に示す閑静な住宅街に位置する敷地内において,既存住宅を解体したスペースに既存の共同住宅と同じ平面プランの共同住宅を新築するとともに,既存共同住宅の内外装改修工事を並行して行う計画であり,敷地境界には四周に既存囲障の敷地内側に仮囲いを設けるものとする。設計図書の不備はなく,工事は下の工程表のとおりとし,作業には一般的な手法を用いることを前提とした無理のない工期を設定している。なお,工事期間中は,敷地内建物すべてにおいて居住者不在とする。

>

> 出典:令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.3

この一文があったことで、作例のどの②がどう決まったかを並べると次のとおりです。

  • 閑静な住宅街:例文2-2の②は、搬入車両を市道に止めたまま荷下ろしを続ける形が置けないので、揚重機と車両の敷地内の位置が同時に取れないことを要因にした
  • 並行して行う計画:例文3-1の②に、新築と改修で板金工を取り合う形を置いた
  • 設計図書の不備はなく:例文1-2の②は、図面の直しではなく、割付と発注数量の確定の遅れを要因にした
  • 一般的な手法を用いる:例文2の機械は工事計画に無いので、揚重機・ポンプ車という名前だけで置き、能力や台数は書かなかった
  • 居住者不在:例文3-3の住戸内の重なりは、在宅日の調整ではなく職種の順送りとして②③を書けた

前提の一文そのものを答案の要因選びにどう読むかは、令和7年度の工程の設問を読み解いた記事で扱っているので、ここでは作例の側で起きたことだけを残しました。

仮設の扱いにも触れておきます。問題文には「イ.からハ.の3つの工事に共通して必要な仮設に関する内容は,選んだどの工事で記述してもよいものとする。」とあり(令和7年度 第二次検定問題 p.2)、項目Aのa.にも「仮設材料」が入っています(同 p.2)。作例では使いませんでしたが、工程表では仮囲いの設置が10月の前半、撤去が2月の後半に置かれ、撤去の時期は新築側の敷地内整備工事の終わりと重なっています(同 p.3)。新築を選んだ場合、工事範囲には「共同住宅の新築工事及び敷地内整備工事」が入り(同 p.5)、敷地内には駐輪場「コンクリート舗装 12台 既製品屋根共」や構内のインターロッキング舗装も含まれるので(同 p.5)、終盤の仮囲い撤去と敷地内整備の取り合いは、9組とは別の材料として使えます。

不可の条件は3つです。「選んだ工事を行ううえで必要としない工種及び作業に関する内容」「品質が低下するような変更に関する内容」「選んだ工事が「イ.解体」の場合を除き,建築設備工事に関する内容」は記述が不可とされています(同 p.2)。作例では、1つ目に対しては9組の①をすべて工事概要の行にたどれる工種に限り、3つ目に対しては例文3で設備の行を使わないようにしました。2つ目の品質については、③に工程を省く・材料を置き換えるといった手を入れていません。遅れを防ぐ手が、品質を落とす変更にすり替わっていないかという点は、工程の設問で特に紛れやすいところです。品質低下の防止がどう問われてきたかは、2級建築の品質管理の経験記述を扱った記事で年度ごとに整理しています。

工事計画に書いていない仕様を想定してよいか、という迷いについては、作例では想定を足さずに書けるところまでで止めました。部材の寸法や台数、日付を自分で作ると、問題冊子に無い前提を答案の中に持ち込むことになります。問題文が「不可」と書いている3条件にそのまま当たるわけではありませんが、足さなくても9組が書けた以上、足す理由は見当たりません。

2.の工程短縮の方法は、作例の③と別の手を選ぶ

問題1の2.は、選んだ工事から離れて書く問いです。「2.あなたの受検種別及び1.で選んだ工事に係わらず,工期を守るため,あなたが作業工程の短縮に有効と考える合理的な方法や手段と,それらの方法や手段を用いることによって,作業工程の短縮以外に得られる工事への良い影響を2つ具体的に記述しなさい。ただし,合理的な方法や手段が同一のもの,1.の③と同じ内容及び建築設備工事に関する内容の記述は不可とする。」とされています(令和7年度 2級建築施工管理技術検定 第二次検定問題 p.7)。

作例を下敷きに1.を書いた場合、その例文の3つの③は同じ答案の2.には回せません。例文1は製作図の承認と搬入日の取り決め、割付図からの発注日の逆算と面ごとの納入、外周がふさがった後へのボードの納入日の設定。例文2は解体重機の搬出日と杭の施工機の搬入日の取り決め、揚重機と車両の位置の施工計画図への書込み、打込みの予備日の事前連絡。例文3は新築と改修の屋根工事の時期ずらし、塗装の順番と人数の割付け、住戸ごとの職種の順送りです。選んだ例文の3つが、2.の不可の条件の「1.の③と同じ内容」に当たります(同 p.7)。2.の問いが年度でどう変わってきたかは、先ほどの令和7年度の設問を読み解いた記事で扱っています。

作例3本の要因を、工事計画のどこから拾ったか

  • 例文1(新築×材料):「ロ.新築」の工事概要の鉄骨「工場加工,現場組立て」、外壁「窯業系サイディングパネル フッ素樹脂塗装品」、居室の壁「せっこうボード」の3行と、屋根と窓の行(ボードを雨から守って置ける時期の目安として)
  • 例文2(新築×機械):工程表で解体から新築が切れ目なく続く並びと「イ.解体」の整地の行(1組目)、「閑静な住宅街」の前提と配置図の工事用車両出入口(2組目)、工程表で新築が11月から2月にかかる位置(3組目)
  • 例文3(改修×作業員):工事計画の「並行して行う計画」と工程表の改修期間(1組目)、「ハ.改修」の外壁と外廊下・鉄骨階段の塗替えの行(2組目)、クロスと水回りの床の張替え、建具の取替えの行(3組目)

以上が作例3本の要因の拾い元です。9組に共通する作り方は、①を工事概要の行から取る、②の後半を①の中の作業に限る、③に打つ時点を書き込む、の3点に絞られます。

作例を作らなかった「イ.解体」は、3つの工事のうち、①〜③に建築設備工事の話を置いてよい唯一の工事です(令和7年度 第二次検定問題 p.2)。令和6年度から問題1の作りがどう変わったのかを通して確かめたいときは、2級建築の経験記述の形式が変わった経緯をまとめた記事が役に立ちます。

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