- レンジフードって形が何種類もあるけど、何がどう違うの?
- シロッコファンとプロペラファン、結局どっちが強いの?
- ブーツ型は古いって言われるけど、性能で負けてるってこと?
- 幅は何センチを選べばいいの?サイズって決まってるの?
- 図面に「排気フード」って書いてあるけど、カタログにその言葉が無い
- 施主が勝手に選んできた機種、そのまま付けて確認申請は通るの?
- マンションだと交換できる機種が限られるって本当?
- 給気口が無いと何が起きるの?
上記の様な悩みを解決します。
レンジフードは、コンロで発生した煙と燃焼廃ガスを捕まえて屋外へ出すための装置で、住宅の設備としては珍しく建築基準法が構造まで踏み込んで要求している機器です。ところが検索して出てくる記事はメーカーとリフォーム販売店のものばかりで、内容は形状・ファン・掃除・値段の4点にほぼ固定されています。読者が買う側なら足りますが、図面を見て機種を決めたり承認したりする側だと、いちばん知りたい「この機種で法的に成立するのか」「今のダクトと給気で足りるのか」が一行も書いていないんですよね。今回は形状・ファン・寸法規格・設置タイプといった基本を押さえた上で、販売店の記事では触れられない排気フードとしての扱い、ダクトと給気の納まり、集合住宅で選択肢が狭まる理由まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、設備が専門ではない方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
レンジフードの種類は3つの軸で分かれる
レンジフードの種類とは、結論「形状・ファン・設置方法という3つの軸で分かれるもの」です。カタログの分類も、比較サイトの分類も、突き詰めるとこの3つのどれかを言っています。
つまり「ブーツ型かスリム型か」は形の話、「シロッコかプロペラか」は中身の送風機の話、「壁付けか天井付けか」は建物への付き方の話で、この3つは互いに独立しています。ブーツ型でシロッコファンの壁付け、スリム型でシロッコファンの天井付け、という具合に組み合わせで決まります。ここを分けて考えないと、記事を読んでも情報が混ざって頭に入らないので、まず3軸だと押さえてください。
そして施工管理として重要なのは、実はもう1つ軸があることです。建築基準法の側から見ると、レンジフードは商品名でも形でもなく「排気フードを有する排気筒かどうか」で扱いが変わります。この4つ目の軸だけは、メーカーのカタログを何ページめくっても見出しになっていません。後半でここを詳しく扱います。
ファンの種類|シロッコファン・ターボファン・プロペラファン
ファンの違いは、結論「静圧を出せるかどうか」の違いです。風量の大きさではなく、抵抗に逆らって押し出す力があるかどうか、と捉えると迷いません。
シロッコファンは、細い羽根を円筒状にたくさん並べた遠心送風機です。羽根が多いぶん静圧が高く、ダクトを引き回した先へ押し出せるので、住宅用レンジフードの主流になっています。ターボファンは同じ遠心式でも羽根が後ろ向きに反っていて、同じ風量ならシロッコより効率がよく、運転音を抑えやすいのが特徴です。プロペラファンは扇風機と同じ軸流式で、静圧がほとんど出ません。
| ファン | 方式 | 静圧 | ダクト排気 | 向いている条件 |
|---|---|---|---|---|
| シロッコファン | 遠心(前向き多翼) | 高い | 得意 | ダクトが長い、曲がりが多い |
| ターボファン | 遠心(後向き羽根) | 高い | 得意 | 大風量、静音を求めるとき |
| プロペラファン | 軸流 | 低い | 苦手 | 外壁に直接面している位置 |
ここで現場としてまず見るのは、外壁に直接面しているかどうかです。プロペラファンは壁の穴のすぐ内側で回すことを前提にした機器なので、そこからダクトを何メートルも引くと風量が落ちます。逆にダクトを引く計画なら、選択肢は実質シロッコかターボの二択になります。
- プロペラは外壁直付け専用と考える
- ダクトを引くならシロッコかターボ
- 曲がりが増えるほど静圧に余裕のある機種が要る
- カタログの風量は所定の静圧での値なので、条件が違えば実際は下がる
風量そのものの考え方は、部屋の必要換気量の計算と地続きです。厨房は火気があるぶん一般室と考え方が変わるので、基礎の計算から確認しておくと選定の根拠を説明しやすくなります。

形状の種類|ブーツ型・スリム型・フラット型
形状の違いは、結論「煙を溜める空間をどれだけ持っているか」の違いです。見た目の好みの話に見えて、捕集の考え方がそれぞれ違います。
ブーツ型は深型とも呼ばれ、下側が広がった箱形で内部に空間を持っています。立ち上った煙をいったんフードの中に溜めてから吸うので、捕集そのものは素直です。スリム型は前面がフラットな板になっていて、整流板で空気の通り道を絞ることで、少ない開口でも流速を上げて吸う考え方です。フラット型は天井高が取れない場所や吊戸棚の下に納めるための薄型で、内部に溜める空間がほとんどありません。
| 形状 | 別名 | 内部空間 | 捕集の考え方 | よく使われる場面 |
|---|---|---|---|---|
| ブーツ型 | 深型 | 大きい | 溜めてから吸う | 既存住宅、コストを抑えたいとき |
| スリム型 | ノンフィルタ型 | 小さい | 整流板で流速を上げる | 新築、対面キッチン |
| フラット型 | 薄型、平型 | ほぼ無い | 直近で吸う | 天井が低い、吊戸棚の下 |
メーカーによってはマントル型、ファルコン型といった独自の呼び方が出てきますが、これは上の3つの中間形や意匠違いに固有名を付けたもので、まったく別の第4のカテゴリが存在するわけではありません。他社比較の場面で名前が揃わないときは、内部空間と整流板の有無で読み替えると混乱しません。
- ブーツ型は捕集が素直だが内部の清掃面が多い
- スリム型は前面の整流板を外して洗う設計が多い
- フラット型は設置高さの制約から選ばれることが多い
- 形状の違いは必要な設置高さと清掃性に直結する
正直なところ、形状で吸い込み性能に決定的な差が出る場面はそれほど多くありません。僕の感覚だと、実際の効きを左右しているのはフードの形よりも、この後で扱う給気の取り方とダクトの引き回しの方です。
設置タイプと寸法の規格
設置タイプと寸法は、結論「先に建物側で決まっていて、機種はそこに合わせる」ものです。ここを逆にすると納まりません。
設置タイプは、壁に接している面がいくつあるかで整理できます。片側の壁に付ける壁面タイプ、横の壁に寄せる横壁タイプ、どの壁にも接しないアイランドで使う天井タイプの3つが基本です。天井タイプは四方から煙が逃げるので、同じ性能を出そうとすると本体が大きくなります。
寸法は、住宅用のレンジフードでは幅60cm、75cm、90cmの3つが一般的な規格として流通しています。交換の場合、この幅は原則として既存と同じものを選びます。幅を変えると吊戸棚や幕板の見付けが合わなくなり、キッチンの造作にまで工事が波及するためです。
- 設置タイプは建物側のレイアウトで決まる
- 幅は60・75・90cmが一般的な規格
- 交換では幅を変えないのが原則
- 高さ方向は幕板で調整するので天井高の確認が要る
- コンロとの離隔はメーカーの施工説明書で指定される
コンロ上端からフード下端までの距離は、機種ごとにメーカーが施工説明書で指定しています。ここは一般化した数値を覚えるのではなく、採用機種の説明書を必ず当たってください。ガス機器との組み合わせでは警報器の設置位置とも取り合いが出ます。

法令から見た「排気フード」の規定
ここが競合の記事に一行も書かれていないところですが、レンジフードは、結論「建築基準法施行令が構造を指定している設備」です。
建築基準法施行令第二十条の三は、かまど、こんろその他火を使用する設備または器具を設けた室に設ける換気設備について、構造の基準を定めています。同条第二項第一号イ(2)では、排気口は室の天井または天井から下方八十センチメートル以内の高さの位置に設けることとされ、括弧書きで「煙突又は排気フードを有する排気筒を設ける場合には、適当な位置」と読み替えが置かれています。レンジフードはこの「排気フードを有する排気筒」に当たるため、高さの縛りが外れるという構造になっています。
同条にはほかにも、実務でそのまま効いてくる規定が並んでいます。第二項第一号イ(5)は、発熱量が十二キロワットを超える火を使用する設備または器具を設けた室には煙突を設けることとし、ただし書きで排気フードを有する排気筒を設けた場合を除いています。第二項第四号は、排気フードは不燃材料で造ることと定めています。有効換気量については、第二項第一号イ(4)で「国土交通大臣が定める数値以上」とされていて、具体的な数値は告示に委ねられています。
- 排気フードを有する排気筒に当たるかどうかで基準の読み方が変わる
- 排気フードは不燃材料で造ることと定められている
- 十二キロワットを超える器具では煙突または排気フードを有する排気筒が要る
- 必要な有効換気量は告示に委ねられ、フードの型式によって数値が変わる
一方で、同条第一項第二号には適用が外れる室も定められています。床面積の合計が百平方メートル以内の住宅または住戸に設けられた調理室で、発熱量の合計が十二キロワット以下の器具を設けたものについて、その調理室の床面積の十分の一(〇・八平方メートル未満のときは〇・八平方メートル)以上の有効開口面積を持つ窓その他の開口部を換気上有効に設けたものが該当します。戸建てで窓のある台所なら換気設備の規定が外れる場合がある、というのはここが根拠です。
現場目線で言えば、押さえるべきは「カタログの型番だけでは法的に成立するか判断できない」という一点です。確認申請の図書に記載された換気設備の型式と、施主が選んできた機種の仕様が食い違っていれば、そのまま付けるわけにはいきません。器具の発熱量が変わったときも同じで、コンロを大きくしたのにフードが元のまま、という取り合わせは真っ先に疑うところです。

現場の納まりと建物側の制約|ダクト・給気・共用ダクト
機種が決まってからつまずくのは、結論「排気の出口と、入ってくる空気の入口」です。フード本体より、この2つの方が現場では厄介になります。
ダクトは、住宅用のレンジフードでは呼び径150mmが標準的です。ここで見落とされやすいのが、曲がりの数と長さで圧力損失が増えることです。カタログに載っている風量は決められた静圧のもとでの値なので、天井裏で何度も曲げて長く引けば、同じ機種でも実際の風量は落ちます。梁を避けるために曲がりが増える計画になったら、その時点で機種の余裕を見直した方が早いです。
もう1つが給気です。排気だけを強くしても、同じ量の空気が室内に入ってこなければ風量は出ません。給気が足りない部屋では、ドアが重くなる、玄関ドアが開けにくい、24時間換気の排気側から外気が逆流する、といった形で症状が出ます。同時給気型のレンジフードを選ぶか、別に給気口を設けるかは、機種選定と同時に決める話です。
| 見る場所 | 何が起きるか | 対処の方向 |
|---|---|---|
| ダクト長・曲がり | 圧力損失で風量が落ちる | 経路を短く、機種に余裕を見る |
| 給気の有無 | ドアが重い、逆流、風量不足 | 同時給気型か給気口を設ける |
| 24時間換気との関係 | 系統が干渉して計画換気が崩れる | 全体の給排気バランスで見る |
| 外壁の排気口位置 | 隣地・開口部への排気で苦情 | 位置と向きを計画段階で確認 |
集合住宅では、さらに建物側の制約が乗ります。厨房の排気が共用のダクトに接続されている建物では、系統全体で風量の設計がされているため、1住戸だけ大風量の機種に替えると他住戸に影響します。管理規約や管理組合の指定で機種が限定されていることも珍しくありません。専有部の中の話に見えて、実際は共用部の設備に手を入れる工事になっている、というのがマンションで交換の自由度が低い理由です。


機種を決める順番|新築と交換で見る順が逆になる
選び方は、結論「新築か交換かで見る順番がまるごと変わる」というのが答えです。同じ表を見て選ぶものではありません。
交換の場合は、建物側がすべて決まっています。既存の幅、ダクトの位置と径、電源の位置、吊戸棚の高さ、この4つで候補はかなり絞られます。ここから形状やファンの好みに入るのが順番で、先に機種を決めてしまうと納まらないか、追加の造作工事が発生します。
新築の場合は、逆に法令側から入るのが安全です。器具の発熱量と室の条件から換気設備の要否と必要な有効換気量を確認し、次にダクト経路と給気の取り方を決め、そのうえで形状と清掃性を選ぶ。この順序なら、後から確認申請の内容と食い違うことがありません。
- 交換は既存の幅・ダクト・電源・吊戸棚から逆算する
- 新築は法令と換気量、次に経路、最後に意匠と清掃性
- ダクトが長い計画なら静圧に余裕のある機種を選ぶ
- 給気の取り方を機種選定と同時に決める
- 集合住宅は管理規約と共用ダクトの制約を先に確認する
清掃性は最後に見る項目ですが、住んでからの満足度にはいちばん効きます。整流板を外して洗える構造か、フィルターが要るのか要らないのか、ファンそのものを外せるのか。実務だと、引き渡し後に問い合わせが来るのはほとんどこの掃除まわりなので、施主への説明にはここを厚めに含めておくと後が楽になります。

レンジフードの種類に関する情報まとめ
- レンジフードの種類とは:形状・ファン・設置方法の3軸で分かれ、法令上は排気フードかどうかという4つ目の軸がある
- ファンの種類:静圧を出せるシロッコとターボ、外壁直付け前提のプロペラ
- 形状の種類:溜めて吸うブーツ型、整流板で流速を上げるスリム型、薄いフラット型
- 設置タイプと寸法:壁面・横壁・天井の3タイプ、幅は60・75・90cmが一般的な規格
- 法令上の扱い:施行令第二十条の三が構造を規定。排気フードは不燃材料、十二キロワット超は煙突または排気フードを有する排気筒
- 適用除外:百平方メートル以内の住戸の調理室で十二キロワット以下、床面積の十分の一以上の開口部があるとき
- 現場の納まり:ダクトの曲がりによる圧力損失と、給気を取れているかが実際の風量を決める
- 選び方:交換は建物側から逆算、新築は法令と換気量から順に決める
以上がレンジフードの種類に関する情報のまとめです。
レンジフードは、形を選ぶ機器ではなく、器具の発熱量と室の条件から必要な換気量が決まり、それを満たす経路を作れるかどうかで決まる設備です。だから機種選定を頼まれたら、カタログを開く前に、確認申請の換気設備の記載とコンロの発熱量、ダクトの経路、給気の取り方の4つを先に確認してください。この順番を守るだけで、付けてから吸わない、規約で止まる、審査で指摘されるという3つのトラブルはほぼ避けられます。個人的には、施主の希望を聞くのはこの4つを潰したあとで十分だと思っています。
レンジフードの種類に関するよくある質問
Q1:シロッコファンとターボファンはどちらが良いですか?
どちらもダクト排気に対応できる遠心送風機で、優劣というより設計思想の違いです。シロッコファンは細い羽根を多数並べた形で、住宅用レンジフードでは最も多く採用されています。ターボファンは羽根が後ろ向きに反った形で、同じ風量なら効率がよく、運転音を抑えやすい方向の設計です。ダクトが長い、曲がりが多いといった条件では、どちらを選ぶにしても静圧に余裕のある機種を見てください。
Q2:ブーツ型は古い機種ということですか?
古いという意味ではありません。ブーツ型は内部に空間を持って煙をいったん溜めてから吸う構造で、捕集の考え方としては素直です。新築でスリム型が選ばれることが多いのは意匠性と清掃性の理由が大きく、性能で置き換えられたわけではありません。交換の場面では、既存の幕板や吊戸棚との納まりからブーツ型を継続する方が工事が軽く済むこともあります。
Q3:レンジフードと換気扇は違うものですか?
一般には、フードを持たず壁の開口に直接取り付ける軸流ファンを換気扇、フードで煙を捕まえてダクトへ送る機器をレンジフードと呼び分けています。建築基準法施行令第二十条の三の読み方でも、排気フードを有する排気筒を設けるかどうかで基準の当てはめが変わるので、この区別は言葉の綾ではなく実務上の区別です。
Q4:マンションでレンジフードを自由に交換できないのはなぜですか?
厨房排気が共用のダクトに接続されている建物では、系統全体で風量が設計されているためです。1住戸だけ大風量の機種に替えると他住戸の排気に影響します。管理規約や管理組合の指定で機種や風量が限定されている場合もあるので、専有部の工事に見えても、事前に管理側へ確認するのが先になります。
Q5:レンジフードを付けたのに吸いが悪いのはなぜですか?
多いのは給気の不足とダクトの圧力損失です。排気した分と同じ量の空気が室内に入ってこなければ風量は出ませんし、天井裏で何度も曲げて長く引いたダクトは抵抗になります。ドアが重い、玄関が開けにくいといった症状が同時に出ているなら、給気側を疑ってください。機種の能力不足より、この2つが原因であることの方が多いです。
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