- 換気計算ってどうやるの?
- 必要換気量の公式が知りたい
- 換気回数(n回/h)はどう決めるの?
- 用途別にどれくらい換気が必要?
- 第1種・第2種・第3種ってどう違う?
- 24時間換気で0.5回/hが法定なのはなぜ?
上記の様な悩みを解決します。
「換気計算」は、建築基準法のシックハウス規制(24時間換気)でも、設備設計の容量検討でも繰り返し出てくる基本計算です。必要換気量Q(m³/h)と換気回数n(回/h)の2つを、用途と居室の床面積から導けるようになると、確認申請も設計も一気に楽になります。本記事では、計算式・用途別の目安値・換気方式・実務での留意点までをまとめておきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
換気計算とは?
換気計算とは、結論「居室や設備機器に必要な換気量を、床面積・人数・燃料消費量などから算定する設計計算」のことです。
換気量の単位はm³/h(立方メートル毎時)。1時間あたりに何立方メートルの空気を入れ替えるか、を表します。
換気計算が必要な場面
- 建築基準法第28条の2:シックハウス対策の24時間換気(住宅は0.5回/h以上)
- 建築基準法施行令第20条の2:居室の換気開口部(床面積の1/20以上)
- 建築基準法施行令第20条の3:火を使う室(厨房等)の換気量(理論換気量×40倍など)
- 設備設計:空調・換気設備の容量決定
- ビル管法:特定建築物の空気環境基準(CO₂ 1000ppm以下、CO 6ppm以下)
それぞれ根拠条文・必要量が違うので、「何のための換気計算か」を最初に押さえることが大事です。
24時間換気の細かい話はこちらで整理しています。

必要換気量の公式
換気計算の基本式は3パターン。場面で使い分けます。
床面積ベース(住宅・居室の換気回数)
- $Q = n \cdot V$
- Q:必要換気量 [m³/h]、n:換気回数 [回/h]、V:居室容積 [m³]
例:床面積30m²・天井高2.4mのリビング
- V = 30 × 2.4 = 72m³
- 24時間換気(n=0.5回/h)の場合:Q = 0.5 × 72 = 36m³/h
人数ベース(事務所・店舗・教室)
- $Q = K \cdot N$
- K:1人当たりの必要換気量 [m³/(h·人)]、N:在室人数 [人]
- 一般居室:K = 30 m³/(h·人)(CO₂濃度1000ppmを保つために必要な量)
例:会議室20人
- Q = 30 × 20 = 600m³/h
「1人あたり30m³/h」は、換気設計の最重要数字。試験でも実務でもこれだけは覚えておきます。
火気使用室(厨房・湯沸かし)
- $Q = N \cdot K \cdot Q’$
- N:燃料消費量[kW] × 燃料種ごとの係数、K:定数(種別で40・30・20)
- Q’:煙突・排気フード・換気扇など方式で異なる係数
調理室の場合、コンロ理論廃ガス量×40倍を確保するのが基本。実務ではメーカーの設備フードの計算書で代替するのが普通です。
用途別の必要換気量目安
設計実務でぱっと参照できる早見表を整理します。
居室・滞在空間の換気量目安
| 用途 | 必要換気量の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 住宅居室(24時間換気) | 0.5回/h | 建築基準法第28条の2 |
| 住宅居室(一般用換気) | 床面積の1/20以上の開口部 | 建築基準法第28条 |
| 事務所・会議室 | 30 m³/(h·人) | ビル管法 |
| 学校教室 | 30 m³/(h·人) | 学校環境衛生基準 |
| 商業店舗 | 30 m³/(h·人) | ビル管法 |
| 飲食店(客席) | 30〜40 m³/(h·人) | 同上 |
| 病院 一般病室 | 4〜6回/h | 院内感染対策 |
| 病院 集中治療室・手術室 | 12〜25回/h | 同上 |
火気使用室・特殊用途
| 用途 | 必要換気量の目安 |
|---|---|
| 厨房(フード付き) | 理論排ガス量 × 30倍 |
| 厨房(フードなし) | 理論排ガス量 × 40倍 |
| 湯沸かし室 | 理論排ガス量 × 30〜40倍 |
| 喫煙室(標準) | 0.5 m/s(換気風速) |
| 駐車場 | 14m³/(h·m²)程度 |
| 浴室 | 5回/h |
| トイレ | 5回/h |
CO₂濃度1000ppm基準の根拠
事務所・教室の30m³/(h·人)は、
- 人体からのCO₂発生量:約20L/h・人(座位安静時)
- 室内CO₂濃度を1000ppm以下に保つ必要
から逆算で出ています。「1人あたり30m³/h」を覚えるときは「CO₂を薄めるための量」という背景もセットで押さえておくと記憶に残ります。
換気方式(第1種・第2種・第3種)
機械換気には3つの方式があり、空気の流れ方で呼び分けます。
第1種換気(給排気とも機械)
- 給気・排気とも機械ファンを使う
- 熱交換型にすると、排気の熱を給気に回収できる(70〜90%効率)
- HEAT20 G2以上を狙う住宅では事実上の標準
省エネ住宅と組合せた使い方はこちら。

第2種換気(給気機械・排気自然)
- 給気だけ機械で押し込む。室内が陽圧になる
- クリーンルーム・無菌室・OPE室で使う(汚染空気を入れない)
- 戸建住宅ではほぼ採用されない
第3種換気(給気自然・排気機械)
- 排気だけ機械で吸い出す。室内が陰圧になる
- 給気口(自然吸気口)から外気を引き込む
- コスト最安・国内住宅で最も多い方式
- 寒い外気がそのまま入る欠点があり、HEAT20的には不利
方式比較表
| 区分 | 給気 | 排気 | 室内圧 | コスト | 用途例 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1種 | 機械 | 機械 | 任意 | 高 | 高断熱住宅、ビル |
| 第2種 | 機械 | 自然 | 陽圧 | 中 | クリーンルーム |
| 第3種 | 自然 | 機械 | 陰圧 | 低 | 一般住宅、共同住宅 |
「気密住宅の前提なら第1種熱交換、コスト最優先なら第3種」が現代住宅のおおまかな分かれ道です。
必要換気量Qの算定詳細はこちらでも整理しています。

設計実務での留意点
確認申請・設備設計でつまずきやすいポイントを整理します。
24時間換気の床面積算入
- シックハウス規制の0.5回/hは、居室の床面積で計算する
- 廊下・階段・ホールも、居室と一体的に換気する場合は床面積に含める
- 納戸・押入れ・トイレ・浴室は床面積算入対象外
開口部のサイズと換気量
- 採光と異なり、換気は開口の見付面積(実際に開けられる面積)で算定
- 引違い窓は片側半分のみが「開く」面積としてカウント
- 採光と換気の両方を満たす窓設計が必要(採光は1/7、換気は1/20)
採光側の話はこちら。

換気経路の確保
- 給気口と排気口の位置をきちんと離す
- ショートサーキット(給気がそのまま排気に抜ける)を避ける
- 寝室・リビングへの給気、トイレ・浴室・キッチンからの排気が基本パターン
熱交換型換気の損失と暖房負荷
- 第3種換気では、外気がそのまま入るため、寒冷期は暖房負荷が5〜10%増える
- HEAT20 G2を狙うなら、第1種熱交換にすることで暖房負荷を追加で20〜30%削減できる
- 換気は「省エネと空気質を両立させるレバー」になる
ビル管法の3規定
特定建築物(延床3,000m²超の事務所・百貨店等)では、
- CO₂:1,000ppm以下
- CO:6ppm以下
- 浮遊粉じん:0.15mg/m³以下、相対湿度40〜70%、気温18〜28℃
を維持できる換気量が必要。実測値で違反すると是正命令が出るので、設計時に余裕を見ておくのが普通です。
試験対策のコツ(建築士試験)
- 必要換気量の3パターン(床面積×n、人数×30、火気×40倍)を暗記
- 換気回数の数字(住宅0.5、教室30、トイレ5回など)を覚える
- 第1〜3種の図解(圧力方向・用途)を区別する
- 採光(1/7)と換気開口(1/20)を混同しないこと
換気計算に関する情報まとめ
- 換気計算とは:居室・設備に必要な換気量Q[m³/h]を、床面積・人数・燃料消費量で算定する設計計算
- 公式:Q = n·V(床面積ベース)、Q = K·N(人数ベース)、Q = N·K·Q’(火気使用室)
- 基本数字:1人あたり30m³/h(CO₂濃度1000ppm)、住宅0.5回/h(24時間換気)
- 用途別目安:事務所・教室30m³/h・人、病室4〜6回/h、手術室12〜25回/h、トイレ5回/h
- 火気室:理論排ガス量×30〜40倍
- 3つの方式:第1種(機械給排気)、第2種(給気機械・陽圧)、第3種(排気機械・陰圧)
- 省エネとの両立:熱交換型第1種で暖房負荷を20〜30%削減
- 採光(1/7)と換気開口(1/20)を混同しない
以上が換気計算に関する情報のまとめです。
換気計算は数式そのものより「何のための換気か(シックハウス/空気質/火気/設備容量)」を最初に決めれば、自動的に使うべき公式が選べる構造になっています。住宅・事務所・厨房・病院、用途ごとの数字を一つずつ表で押さえておくと、確認申請でも設備設計でも判断が早くなるかなと思います。試験では1人あたり30m³/h、住宅0.5回/h、火気40倍の3つを軸に覚えておけば、ほぼ全パターンに対応できます。
合わせて読みたい関連記事を貼っておきます。




