- 換気計算って必要換気量と換気回数、どっちを出せばいいの?
- 式が記事ごとにバラバラで、どれが正解か分からない
- 「20×床面積÷占有面積」の20って何の数字?
- 0.5回/h と 0.3回/h、どっちを使う場面か毎回迷う
- 結局この部屋、換気扇を何台つければいいの?
- 必要換気量と有効換気量って何が違う?
- 火気使用室(厨房)の換気計算が別物すぎて手が止まる
- 24時間換気つけたのに「換気されてる気がしない」と言われた
- 確認申請で換気計算書、どこを見られてハネられる?
- 施主に「電気代が上がるから24時間換気を止めていい?」と聞かれて答えに詰まる
上記の様な悩みを解決します。
換気計算は、施工管理が確認申請や機器選定の場面で必ず通る計算です。「式に数字を入れるだけ」と思われがちですが、必要換気量と換気回数の使い分け、居室と非居室の違い、火気使用室の別式まで押さえないと、計算は合っていても確認申請で是正指導が来たり、施主から「換気されている気がしない」とクレームが入ったりします。
今回は換気計算の定義・必要換気量の計算方法・24時間換気・用途別の目安といった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で「計算結果から機器を何台選ぶか」「給排気口をどこに付けるか」「確認申請でハネられるポイント」「施主への説明の仕方」まで、現場で実際にハマる部分を網羅的に整理しました。
なるべく分かりやすい表現でまとめていくので、設備が専門でない方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
換気計算とは?
換気計算とは、結論「居室や設備に必要な換気量を、床面積・人数・天井高・燃料消費量などから算定する設計計算」のことです。
目的は大きく2つあります。1つは建築基準法に適合させるため(確認申請で求められる)、もう1つは室内の空気環境を実際に良好に保つため(シックハウス・CO2・におい対策)です。施工管理の立場では、この2つを同時に満たす換気設備を計画・施工し、検査で確認するところまでが仕事になります。
換気計算が記事ごとにバラバラに見えるのは、計算の「目的」が複数あるからです。具体的には次の3系統が混ざっています。
| 計算の系統 | 何を求めるか | 主な根拠 |
|---|---|---|
| シックハウス換気(24時間換気) | ホルムアルデヒド対策の有効換気量 | 建基法28条の2・施行令20条の8 |
| 一般換気(居室・非居室) | 在室者やにおい・熱の処理に必要な換気量 | 建築設備設計基準・占有面積 |
| 火気使用室の換気 | 燃焼に伴う廃ガス処理の換気量 | 建基法28条3項・施行令20条の3 |
僕の感覚だと、換気計算でつまずく人のほとんどは「どの系統の計算をしているのか」が頭の中で整理されていないだけです。記事をいくつ読んでも式が噛み合わないのは、別の目的の式を並べて比べているから。まず「自分は今どの系統の換気量を出そうとしているのか」を決めてから式を選ぶと、一気に見通しが良くなります。
24時間換気そのものの基礎はこちらが詳しいです。

換気量と換気回数の違い
換気量と換気回数は混同されがちですが、単位も意味も違います。ここを最初に押さえておくと、後の計算式がすべて整理できます。
| 用語 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| 換気量(風量) | 1時間に入れ替える空気の体積 | ㎥/h |
| 換気回数 | 部屋の容積の何倍の空気を1時間で入れ替えるか | 回/h |
| 部屋の容積 | 床面積 × 天井高 | ㎥ |
両者は次の式で行き来できます。
換気回数(回/h)= 換気量(㎥/h)÷ 部屋の容積(㎥)
換気量(㎥/h)= 換気回数(回/h)× 部屋の容積(㎥)
例えば容積100㎥の部屋に1時間あたり200㎥の空気を入れると、換気回数は2回/hです。この部屋の空気を1時間で2回入れ替えている、という意味になります。
僕としては、現場では「換気量=機器のカタログに載っている風量」「換気回数=法令や基準で要求される基準値」と覚えておくと迷いません。法令は換気回数で基準を示し、機器は風量で性能を示すので、その間を換算でつなぐのが換気計算だという捉え方が一番実用的だと感じています。
換気回数の基準値や用途別の数値はこちらにまとめています。

必要換気量の3つの計算方法
必要換気量の計算方法は、部屋の用途や目的によって主に3通りあります。同じ部屋でも目的が違えば使う式が変わるので、まず「どの方法を使うべき部屋か」を判断します。
| 計算方法 | 計算式 | 向いている部屋 |
|---|---|---|
| ①占有面積から | 20 × 床面積 ÷ 1人あたりの占有面積 | 事務所・店舗・飲食店など在室者が主の居室 |
| ②換気回数から | 必要換気回数 × 部屋の容積(床面積×天井高) | トイレ・浴室・倉庫など非居室・水回り |
| ③床面積あたりの換気量から | 床面積あたりの換気量 × 床面積 | 設計基準の参考値がある室 |
①占有面積から計算する
最もよく使う方法です。建築基準法では、成人男性が静かに座っている状態を想定した1人あたりの必要換気量を「20㎥/h・人」と定めています。この20を使い、部屋に何人いるかを占有面積から逆算して必要換気量を出します。
必要換気量(㎥/h)= 20 × 居室の床面積(㎡)÷ 1人あたりの占有面積(㎡/人)
例えば、床面積100㎡を事務所(占有面積5㎡/人)として使う場合は、20×100÷5=400㎥/h が必要換気量です。これは「100÷5=20人いる前提で、1人20㎥/hだから400㎥/h」という意味になります。
②必要換気回数から計算する
トイレ・浴室・倉庫など、在室者よりも「におい・湿気・熱」の処理が主目的の非居室で使います。
必要換気量(㎥/h)= 必要換気回数(回/h)× 部屋の容積(㎥)
例えば6畳(約10㎡)・天井高2.4mの倉庫(必要換気回数5回/h)なら、5×(10×2.4)=120㎥/h です。
③床面積あたりの換気量から計算する
設計基準(HASS等)に床面積あたりの換気量の参考値がある室で使います。
必要換気量(㎥/h)= 床面積あたりの換気量(㎥/㎡・h)× 床面積(㎡)
僕の考えでは、3つの方法は「どれが正しいか」ではなく「部屋の性格で選ぶもの」です。人が長時間いる居室は①、水回り・倉庫は②、基準値が整備された室は③、という棲み分けを最初に決めてしまえば、計算自体は単純な掛け算でしかありません。迷ったら「この部屋は人が問題か、におい・湿気が問題か」を考えると、①と②のどちらかは自然に決まります。
必要換気量の考え方をもう少し深掘りした記事はこちらです。

24時間換気の換気計算(0.5回/0.3回)
2003年の建築基準法改正で、すべての新築建築物に24時間換気(機械換気設備)の設置が義務化されました。これはシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの発散対策です。高気密・高断熱化で自然換気が効きにくくなったことが背景にあります。
24時間換気で満たすべき有効換気量は、次の式(施行令20条の8、Vr=nAh)で計算します。
有効換気量 Vr(㎥/h)= n × A × h
ここで n は換気回数の基準値、A は居室の床面積、h は天井高です。換気回数 n は用途で次のように分かれます。
| 居室の種類 | 換気回数 n |
|---|---|
| 住宅等の居室(住宅の居室・寝室・寄宿舎の寝室等) | 0.5回/h |
| その他の居室(事務所・店舗等) | 0.3回/h |
天井高2.9m以上の緩和
天井が高い居室は同じ換気回数でも空気量が多くなるため、天井高に応じて換気回数の緩和があります。
| 天井高 CH | 換気回数 |
|---|---|
| 2.9m ≦ CH < 3.9m | 0.4回/h |
| 3.9m ≦ CH < 5.8m | 0.3回/h |
| 5.8m ≦ CH < 11.5m | 0.2回/h |
| 11.5m ≦ CH | 0.1回/h |
例えば住宅の居室で床面積20㎡・天井高2.4mなら、Vr=0.5×20×2.4=24㎥/h。この24㎥/h以上を出せる換気扇を選べば、24時間換気の要件を満たします。
正直なところ、現場で混乱しやすいのは「住宅等の居室=0.5、その他=0.3」の線引きです。事務所やクリニックは「その他の居室」で0.3になりますが、用途が複合している建物だと部屋ごとに判定が変わるので、確認申請前に室名と用途を1つずつ突き合わせておくのが安全です。後から「この部屋は住宅扱いだった」となると、機器の風量が足りず是正になります。
用途別の換気量・換気回数の目安
実務では、用途別の占有面積と換気回数の目安を手元に持っておくと計算が速くなります。代表的な数値を一覧にまとめます。
1人あたりの占有面積(占有面積方式で使用)
| 建物・室の区分 | 1人あたり占有面積 |
|---|---|
| 事務所(事務室) | 5㎡ |
| レストラン・飲食店・喫茶店 | 3㎡ |
| 店舗・マーケット | 3㎡ |
| キャバレー・ビヤホール | 2㎡ |
| 旅館・ホテル | 10㎡ |
| 集会場・公会堂 | 0.5〜1㎡ |
非居室の換気回数の目安(換気回数方式で使用)
| 室名 | 換気回数(回/h) |
|---|---|
| トイレ・洗面所 | 5〜15 |
| ロッカー室・更衣室 | 5 |
| 書庫・倉庫・物品庫 | 5 |
| シャワー室・浴室・脱衣室 | 5 |
| コピー室・印刷室・暗室 | 10 |
| 配膳室 | 8 |
| 厨芥置場(生ごみ置場) | 15 |
個人的には、この表は「丸暗記」ではなく「数字の大小の理由」で覚えると応用が効くと思います。におい・湿気・有害物質が出る室ほど換気回数が大きい(厨芥置場15、トイレ5〜15)、人が静かに過ごす室ほど小さい、という関係です。理由とセットで頭に入れておくと、表に載っていない室でも「これは厨芥置場に近いから10前後かな」と当たりがつけられます。
火気使用室(厨房)の換気計算
ガスコンロや給湯器など、火を使う部屋(火気使用室)は、シックハウス換気とは別に専用の換気計算が必要です。ここは競合記事でも手薄になりやすく、実務でつまずく人が多いポイントです。
火気使用室の必要換気量は、燃焼に伴う廃ガスを処理するために、次の式(建基法施行令20条の3)で求めます。
必要換気量 V(㎥/h)= N × K × Q
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| N | 換気方式による定数(排気フードの形状で30〜40等) |
| K | 燃料の単位燃焼量あたりの理論廃ガス量(㎥/kWh等、燃料で決まる) |
| Q | 火を使う器具の燃料消費量(kW または kg/h) |
ポイントは、排気フードの形状によって定数Nが変わることです。フードがしっかり燃焼器具を覆っているほど効率よく廃ガスを捕集できるので、必要換気量を小さくできます。逆にフードが無い、または不適切だと、同じ器具でも大きな換気量が必要になります。
| 排気の方式 | 定数Nの傾向 |
|---|---|
| 排気フードⅡ型(しっかり覆う) | 小さい(効率が良い) |
| 排気フードⅠ型 | 中間 |
| フードなし(換気扇直結等) | 大きい(効率が悪い) |
実務だと、火気使用室の計算は「式を覚える」より「フードの形でNが変わる」という構造を理解しておくのが大事です。住宅のキッチンでレンジフードを変更したり、テナントの飲食店で厨房レイアウトを変えたりすると、ここの計算がやり直しになります。意匠変更の連絡が来たら、火気使用室の換気計算に影響が出ないかをまず確認する癖をつけておくと、後戻りが減ります。
必要換気量から換気機器を選ぶ手順
計算で必要換気量が出ても、それだけでは現場は動きません。「では換気扇を何台、どの機種で付けるか」まで落とし込んで初めて施工に入れます。ここが計算記事と実務の一番のギャップです。
機器選定の基本手順
- 室ごとに必要換気量(㎥/h)を確定する
- 必要換気量を満たす機器の「有効換気量」を確認する
- ダクト長・曲がりによる圧力損失を見込む
- 機種・台数・設置位置を決める
- 風量バランス(給気と排気)を確認する
必要換気量と有効換気量の違い
ここで重要なのが、カタログの風量がそのまま現場で出るわけではない、という点です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 必要換気量 | 法令・基準で求められる、満たすべき換気量 |
| 機器の定格風量 | 機器単体・無負荷時の能力 |
| 有効換気量 | ダクトの圧力損失を加味した、実際に得られる換気量 |
ダクトが長い、曲がりが多い、ガラリの開口が小さいといった条件があると、圧力損失で実際の風量はカタログ値より落ちます。必要換気量ギリギリの機種を選ぶと、施工後の実測で足りなくなることがあるので、ある程度の余裕を見て選定するのが基本です。
僕の整理では、機器選定は「必要換気量=最低ライン」と捉え、ダクト経路の厳しさに応じて1ランク上の機種や台数増を検討するのが安全側です。計算上ピッタリの機種を選んで、竣工時の風量測定で不適合になり、ダクト改修で大ごとになるケースは避けたい。最初の選定段階で圧損を織り込んでおくのが、結果的に一番早くて安いです。
給排気口の配置とショートサーキット
「計算も機器も合っているのに、施主から『換気されている気がしない』と言われる」。この原因の多くは、給気口と排気口の位置関係にあります。
ショートサーキットとは、給気口から入った新鮮空気が部屋全体を巡らずに、すぐ近くの排気口へ抜けてしまう現象です。これが起きると、計算上は必要換気量を満たしていても、部屋の奥のよどんだ空気が入れ替わりません。
ショートサーキットを防ぐ配置の原則
- 給気口と排気口は対角線上に離して配置する
- 人がいる場所(居住域)を空気が通る経路にする
- 給気口は外気を取り込みやすい位置、排気口はにおい・湿気の発生源近くに置く
- 1部屋に給気だけ・排気だけにならないよう、空気の入口と出口を意識する
現場目線で言えば、換気計算が得意な人ほど「数字が合えばOK」になりがちで、気流の通り道まで頭が回っていないことがあります。施主が体感するのは数字ではなく「空気が動いているか」です。図面段階で給気口から排気口までの空気の流れを矢印で1本引いてみて、その線が居住域を通っているかを確認するだけで、竣工後のクレームはかなり減らせます。
第1種〜第3種の方式ごとの給排気の考え方は、第三種換気の記事も参考になります。

確認申請で是正されやすいポイント
換気計算書は確認申請で必ずチェックされる書類です。計算自体は合っていても、書類の作り方や前提の取り方で是正指導が来ることがあります。先回りして潰しておきたいポイントを整理します。
| 是正されやすい点 | 内容 |
|---|---|
| 室用途の判定ミス | 「住宅等の居室(0.5)」と「その他(0.3)」の取り違え |
| 換気経路の扱い漏れ | 廊下・階段・浴室を経由する場合、全体を居室とみなす計算が必要 |
| 天井高緩和の適用誤り | 緩和は2.9m以上から、室ごとに天井高を確認 |
| 火気使用室の計算漏れ | シックハウス換気だけ出して火気使用室の式を忘れる |
| 有効換気量の根拠不足 | 機器のカタログ値・型番の添付がない |
| 給気経路の不備 | 排気だけ計画して給気口(自然給気口)が無い |
換気計算書に並べる項目
- 室名・用途・床面積・天井高・容積
- 適用する計算方法と換気回数(または占有面積)
- 必要換気量
- 採用機器の型番と有効換気量
- 給気・排気の方式(第1〜3種)
僕の感覚だと、是正の大半は「計算間違い」ではなく「前提の整理不足」です。室用途の判定、換気経路の取り方、火気使用室の有無、この3点を計算前にチェックリストで潰しておけば、確認申請でのやり取りは大きく減ります。計算書はエクセルで室ごとに1行ずつ並べる形にしておくと、審査側も追いやすく、是正のラリーが起きにくいです。
第1種・第2種・第3種換気と計算の関係
換気方式は給気と排気のどちらを機械で行うかで3種類に分かれます。換気計算の「必要換気量」自体は方式が変わっても同じですが、それをどう実現するか(機器構成)が変わります。
| 方式 | 給気 | 排気 | 室内圧 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 第1種 | 機械 | 機械 | 調整可能 | 住宅全般・熱交換換気・きれいに保ちたい室 |
| 第2種 | 機械 | 自然 | 正圧 | クリーンルーム・手術室(汚染空気を入れたくない) |
| 第3種 | 自然 | 機械 | 負圧 | トイレ・浴室・住宅(におい・湿気を外に出す) |
計算との関係で言えば、必要換気量を「給気側で確保するのか、排気側で確保するのか」が方式で変わります。第3種なら排気ファンの風量で必要換気量を満たし、給気は自然給気口で受ける。第1種なら給排気両方の機械風量で設計する、という具合です。
僕の考えでは、方式選定は「その室で何を一番嫌うか」で決めると分かりやすいです。汚染空気を入れたくない室は第2種(正圧)、におい・湿気を出したい室は第3種(負圧)、温度を保ちつつしっかり換気したい住宅は第1種(熱交換)、という対応が基本になります。
施主から「24時間換気を止めたい」と言われたら
実務でよく出るのが、施主や入居者からの「電気代がもったいないから24時間換気を止めていい?」「冬は寒いから切りたい」という相談です。施工管理として根拠を持って答えられるようにしておきたい場面です。
結論から言えば、24時間換気は建築基準法で義務化された設備なので、原則として止めることは想定されていません。止めると、高気密の室内にホルムアルデヒドやCO2、湿気がたまり、シックハウスや結露・カビの原因になります。
施主に伝えたい3つのポイント
- 24時間換気は法令で義務化された設備で、常時運転が前提であること
- 止めると結露・カビ・シックハウスのリスクが上がること
- 電気代が気になる場合は、熱交換型(第1種)への更新で冷暖房負荷を下げられること
僕としては、ここで「ダメです」とだけ返すより、なぜ必要かと代替案までセットで伝えるのが施工管理の腕だと考えています。寒さや電気代という施主の不満は本物なので、止める方向ではなく「熱交換換気にすれば寒さも電気代も和らぐ」という前向きな提案に変換できると、信頼につながります。結露やカビの相談はこのあと必ず出てくるので、換気とセットで押さえておくと話が早いです。
内部結露の仕組みと対策はこちらが参考になります。

換気計算に関する情報まとめ
- 換気計算とは、必要な換気量を床面積・人数・天井高・燃料消費量から算定する設計計算
- 計算には3系統(シックハウス換気・一般換気・火気使用室)があり、まずどれかを決める
- 換気量(㎥/h)と換気回数(回/h)は容積で換算できる、法令は回数・機器は風量で表す
- 必要換気量の計算は①占有面積②換気回数③床面積あたりの3方法、部屋の性格で選ぶ
- 24時間換気は Vr=nAh、住宅等の居室0.5・その他0.3、天井高2.9m以上で緩和あり
- 用途別の占有面積・換気回数は数字の大小の理由(におい・湿気・人)で覚える
- 火気使用室は V=N×K×Q、排気フードの形状で定数Nが変わる
- 計算後は機器選定へ、必要換気量と有効換気量(圧損込み)の差に注意して余裕を見る
- 給気口と排気口は対角に離す、ショートサーキットを防ぐと体感の換気が変わる
- 確認申請の是正は計算間違いより前提整理不足、室用途・換気経路・火気使用室を先に潰す
- 第1〜3種は必要換気量を給気側・排気側どちらで確保するかの違い
- 24時間換気は義務設備、止めずに熱交換換気への更新を提案するのが現実解
以上が換気計算に関する情報のまとめです。
換気計算は「式に数字を入れる」だけの作業に見えて、実は計算→機器選定→施工→検査→施主説明まで一本でつながっている仕事です。計算の系統を整理し、必要換気量を機器の台数まで落とし込み、給排気口の納まりと確認申請の前提を押さえる。ここまでできると、確認申請で詰まらず、竣工後の風量測定も通り、施主からの「換気されている気がしない」というクレームも起きにくくなります。計算が得意な人ほど、その先の現場運用まで意識を伸ばすと差がつくはずです。
換気計算に関するよくある質問
Q1:必要換気量と換気回数、どちらを計算すればいいですか?
部屋の性格で決めます。人が長時間いる居室(事務所・店舗など)は占有面積から必要換気量を出す方法、トイレ・浴室・倉庫など非居室は換気回数から必要換気量を出す方法が基本です。法令は換気回数で基準を示し、機器は風量(換気量)で能力を示すので、最終的には両方を換算でつなぐことになります。まず「この部屋は人が問題か、におい・湿気が問題か」を判断すると、使う式が自然に決まります。
Q2:式の中の「20」は何の数字ですか?
建築基準法で定められた、成人男性1人あたりの必要換気量「20㎥/h・人」です。静かに座っている状態を想定した値で、占有面積方式(必要換気量=20×床面積÷占有面積)の基準になっています。なお女性は約90%、子どもは約50%程度とされますが、計算上は安全側でこの20を使うのが一般的です。
Q3:24時間換気の0.5回/hと0.3回/hはどう使い分けますか?
住宅等の居室(住宅の居室・寝室・寄宿舎の寝室など)は0.5回/h、それ以外のその他の居室(事務所・店舗など)は0.3回/hを使います。複合用途の建物では部屋ごとに判定が変わるので、室名と用途を1つずつ突き合わせるのが安全です。さらに天井高2.9m以上の居室は、高さに応じて換気回数が緩和されます。
Q4:必要換気量と有効換気量は何が違うのですか?
必要換気量は「法令・基準で満たすべき換気量」、有効換気量は「ダクトの圧力損失を加味して実際に得られる換気量」です。機器のカタログ風量はあくまで機器単体の能力で、ダクトが長い・曲がりが多いと実際の風量は落ちます。必要換気量ギリギリの機種を選ぶと竣工時の実測で足りなくなることがあるため、圧損を見込んで余裕のある選定をするのが基本です。
Q5:火気使用室の換気計算は普通の換気計算と違うのですか?
違います。ガスコンロや給湯器などの火気使用室は、燃焼の廃ガスを処理するために V=N×K×Q という専用式で計算します。Nは排気方式(フード形状)による定数、Kは燃料の理論廃ガス量、Qは燃料消費量です。シックハウス換気(24時間換気)とは別に必要なので、計算漏れに注意してください。レンジフードや厨房レイアウトを変更すると再計算になります。
Q6:計算は合っているのに「換気されていない」と言われるのはなぜ?
給気口と排気口の位置が近すぎて、入った空気がすぐ排気されるショートサーキットが起きている可能性が高いです。計算上の換気量を満たしていても、空気が部屋の奥まで巡らなければ体感の換気は悪くなります。給気口と排気口を対角線上に離し、人がいる居住域を空気が通る経路にすることで改善できます。図面段階で空気の流れを矢印で確認しておくと防げます。
Q7:確認申請で換気計算がハネられやすいのはどこですか?
計算間違いよりも前提の整理不足が原因のことが多いです。住宅等の居室(0.5)とその他の居室(0.3)の判定ミス、廊下・浴室を経由する換気経路の扱い漏れ、火気使用室の計算漏れ、採用機器の有効換気量の根拠不足などが典型です。室ごとに用途・床面積・天井高・必要換気量・採用機器を1行ずつエクセルで並べておくと、審査側も追いやすく是正が減ります。
Q8:施主に24時間換気を止めたいと相談されたら何と答えればいいですか?
24時間換気は建築基準法で義務化された設備で、常時運転が前提だと伝えます。止めると高気密の室内にホルムアルデヒドや湿気がたまり、シックハウスや結露・カビの原因になります。ただし「電気代・寒さが気になる」という不満は本物なので、頭ごなしに否定せず、熱交換型(第1種換気)への更新で冷暖房負荷を抑えられる、という代替案をセットで提案すると施主に納得してもらいやすいです。
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