- 技術士の二次試験って、そもそも自分は受けられるの?
- 一次に受かったら、次の年すぐ受けていいんだと思ってた
- 4年とか7年とか、どっちが自分に当てはまるのか分からない
- 筆記って何を何時間書かされるの?枚数のイメージが湧かない
- 合格率9%ってよく見るけど、部門全体の数字でしょ?
- 選択科目、業務に近いのを選べって言われるけど何が違うんだ
- 受験料っていくら?昔の記事だと1万4千円って書いてある
- 口頭試験って東京まで行かないとダメなの?
- 業務経歴票、いつまでに書くの?勉強と並行でいける?
- 7月に筆記終わったけど、11月の発表まで何すればいいんだ
- 現場を回しながら1,000時間って、正直どうやって作る
上記の様な悩みを解決します。
技術士(建設部門)の第二次試験は、建設系の資格の中でも「実務年数を積んだ人だけが受けられる、記述と口述だけの試験」という特殊な立ち位置にあります。ところが調べ始めると、講座の宣伝記事ばかりが並んでいて、受験料が古い金額のまま書かれていたり、合格率が部門合計の一つの数字で止まっていたりして、自分の科目でどれくらい厳しいのかが見えてこないんですよね。今回は受験資格・試験科目・配点・合格基準・日程・受験手数料といった基本を押さえた上で、日本技術士会の統計から拾った選択科目別の合格率、実務経験証明書を仕上げる時期、そして筆記が終わってから合格発表までの空白期間の使い方まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、これから初めて受験する方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
技術士(建設部門)第二次試験とは?
技術士第二次試験とは、結論「技術士補となる資格を持ち、規定の実務経験を積んだ人が、記述式の筆記試験と口頭試験だけで技術士になれるかを判定される試験」のことです。マークシートの科目は一つもありません。
技術士は機械、船舶・海洋、航空・宇宙、電気電子、化学、繊維、金属、資源工学、建設、上下水道、衛生工学、農業、森林、水産、経営工学、情報工学、応用理学、生物工学、環境、原子力・放射線、総合技術監理の21技術部門に分かれています。このうち建設部門はさらに11の選択科目に分かれ、土質及び基礎、鋼構造及びコンクリート、都市及び地方計画、河川・砂防及び海岸・海洋、港湾及び空港、電力土木、道路、鉄道、トンネル、施工計画・施工設備及び積算、建設環境から一つを選んで申し込みます。
規模感を先に押さえておくと、令和7年度の第二次試験は全部門で受験者24,135人・合格者2,752人でしたが、そのうち建設部門が受験者14,094人を占めています。受験者の6割近くが建設部門という、事実上この試験の主戦場です。
- 一次試験(マークシート)に合格して「技術士補となる資格」を得るのが入口
- 二次試験は必須科目Ⅰ・選択科目Ⅱ・選択科目Ⅲの筆記と、後日の口頭試験の二段構え
- 筆記に通らないと口頭に進めないので、実質「筆記が本番」
一次試験の位置づけや技術士補としての立ち回りが曖昧なままだと、受験資格の数え方でつまずきます。入口の整理はこちらが詳しいです。

部門としての難易度や取得後の年収、勉強方法まで含めた全体像は、別記事で通しでまとめています。

受験資格は3ルート、自分がどれかを先に確定させる
ここが最初の関門です。技術士第二次試験は「技術士補となる資格(第一次試験の合格者、あるいはそれと同等と認められる者)」を持っていることが前提で、そのうえで次の三つのうちどれかに当てはまる必要があります。総合技術監理部門以外、つまり建設部門で受ける場合の条件です。
| ルート | 条件 | 起算点 |
|---|---|---|
| ① 技術士補ルート | 技術士補に登録し、技術士補として通算4年を超える期間、技術士を補助した | 技術士補としての登録後 |
| ② 監督者ルート | 技術士補となる資格を有した日から、指導的立場の業務を行う者の監督のもとで当該業務に従事した期間が通算4年を超える | 技術士補となる資格を有した日 |
| ③ 実務経験7年ルート | 科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらの指導業務に従事した期間が通算7年を超える | 資格取得日より前の期間も算入できる |
現場の施工管理で受ける人の大半は③に落ち着きます。②は「監督のもとに」という条件があるため、社内に技術士や指導的立場の技術者がいて、その人の下で業務をしていた実態が必要になるからです。逆に③は一次試験に合格する前の実務も通算できるので、一次に受かった年にはすでに7年を超えている、というケースが珍しくありません。
- 大学院の研究経歴がある人は、2年を限度に上の期間を短縮できる
- 短縮は「技術士補となる資格を有した日より前の期間」からも減じられる
- 技術士補の資格を持つ部門とは違う技術部門で受験してもよい
- 総合技術監理部門を受ける場合は、①〜③の期間にさらに3年が必要
僕の感覚だと、ここで一番危ないのは「一次に受かったばかりだから、あと4年待つんだろう」と自己判断して1年空けてしまうパターンです。③は資格取得前の期間を算入できるので、経歴表を作って数えてみたら今年すでに受けられる、という人がかなりいます。年数の数え方は受験申込み案内に細かく書かれているので、申込書配布が始まる3月下旬に必ず現物で確認してください。
試験科目・解答時間・配点と合格基準
第二次試験は筆記と口頭で構成され、筆記は必須科目Ⅰと選択科目Ⅱ・Ⅲに分かれます。総合技術監理部門以外の技術部門の場合、実施大綱で決められている時間と配点は次のとおりです。
| 科目 | 内容 | 解答時間 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 必須科目Ⅰ | 「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力 | 2時間 | 40点満点 |
| 選択科目Ⅱ | 「選択科目」についての専門知識及び応用能力 | 選択科目Ⅲと合わせて3時間30分 | 30点満点 |
| 選択科目Ⅲ | 「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力 | 同上 | 30点満点 |
口頭試験は筆記試験の合格者だけが進める段階で、技術士としての適格性等について口述で行われます。試問時間は20分、試問事項は実務能力と取組姿勢に分かれ、マネジメント・評価が30点満点、コミュニケーション・リーダーシップが30点満点、技術者倫理が20点満点、継続研さんが20点満点です。
合否決定基準は、令和8年度も筆記・口頭ともすべて60%以上でそろっています。ここが意外と誤解されやすいところで、総合点で60%ではありません。
- 筆記は必須科目で60%以上、かつ選択科目(Ⅱ・Ⅲ合わせて)で60%以上の両方が必要
- 口頭はマネジメント・評価、コミュニケーション・リーダーシップ、技術者倫理、継続研さんの4項目すべてで60%以上
- どれか一つが基準未満なら、他が満点近くても不合格になる
- 必須科目Ⅰだけ2時間で独立、選択科目Ⅱ・Ⅲは3時間30分を自分で配分する
時間配分の話を一つだけ足しておくと、選択科目ⅡとⅢが同じ3時間30分の枠に同居している点は、初受験の人がかなり驚くところです。Ⅱで丁寧に書きすぎてⅢの時間が足りなくなる、という失敗が起きやすい構造になっています。配点はⅡ30点・Ⅲ30点で対等なので、どちらかを捨てるという選択が成立しません。
過去問題は日本技術士会のサイトに、必須科目・選択科目とも令和元年度から令和8年度まで年度別・科目別に公開されています。制度が改正された令和元年度以降の8年分がまとまって取れるので、まずここから自分の選択科目の問題文の言い回しに慣れるのが最短距離だと思います。
記述式で経験を書かせる試験という点では、1級土木施工管理技士の経験記述と共通する筋肉を使います。文章の組み立て方はこちらにまとめています。

合格率9.3%の中身|選択科目で6.2%から11.7%まで開く
どの記事にも「建設部門の合格率は約9%」と書かれています。令和7年度の実績は、受験申込者18,299人・受験者14,094人・合格者1,304人で合格率9.3%。全部門合計の11.4%より低く、確かに厳しい部門です。
ただ、この一つの数字だけを見ていると大事な情報が落ちます。日本技術士会が公表している令和7年度の統計を選択科目別にほどくと、同じ建設部門の中で合格率が2倍近く開いています。
| 選択科目 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 鋼構造及びコンクリート | 2,947 | 184 | 6.2% |
| 土質及び基礎 | 1,143 | 74 | 6.5% |
| 電力土木 | 132 | 12 | 9.1% |
| 河川、砂防及び海岸・海洋 | 2,189 | 223 | 10.2% |
| 港湾及び空港 | 448 | 46 | 10.3% |
| 道路 | 2,444 | 252 | 10.3% |
| 建設環境 | 714 | 74 | 10.4% |
| 都市及び地方計画 | 1,168 | 124 | 10.6% |
| 施工計画、施工設備及び積算 | 1,912 | 203 | 10.6% |
| 鉄道 | 491 | 53 | 10.8% |
| トンネル | 506 | 59 | 11.7% |
最も低い鋼構造及びコンクリートが6.2%、最も高いトンネルが11.7%。1.9倍の差です。受験者数が最多の鋼構造及びコンクリートと、次に多い道路で4ポイント以上違うというのは、部門合計の9.3%からは絶対に見えません。
ここで気をつけたいのは、この差を「楽な科目を選べばいい」と読まないことです。口頭試験では実務経験証明書に書いた業務について問われるので、自分の実務と離れた科目を選ぶと、筆記に通っても口頭で説明が持ちません。個人的には、この表は科目を乗り換えるための材料ではなく、自分の科目の厳しさを正しく見積もって勉強量を決めるための材料だと考えています。施工管理から素直に受けやすい施工計画、施工設備及び積算は10.6%で、部門平均より上に位置しています。
年度で数ポイント動く数字なので、受験年度の統計は必ず自分で日本技術士会の統計情報から拾い直してください。単年の合格率で科目を判断すると、たまたま難問が出た年の数字に振り回されます。
令和8年度の日程と受験手数料20,500円
日程は年度ごとに公表されます。令和8年度(2026年度)の実施案内で公表された日程は次のとおりです。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 受験申込書等の配布 | 令和8年3月24日(火)〜4月15日(水) |
| 受験申込受付(郵送) | 令和8年4月1日(水)〜4月15日(水)※消印有効 |
| 受験申込受付(WEB) | 令和8年4月1日(水)9:00〜4月14日(火)17:00 |
| 筆記試験日 | 令和8年7月20日(月・祝)※総合技術監理部門の必須科目のみ7月19日(日) |
| 受験票の発送 | 令和8年6月下旬 |
| 筆記試験合格発表 | 令和8年11月上旬 |
| 口頭試験 | 令和8年12月上旬〜令和9年1月中旬のうち通知された日 |
| 口頭試験合格発表 | 令和9年3月中旬 |
受験手数料は1技術部門につき20,500円(非課税)です。ここは検索して出てくる解説記事で古い金額のまま止まっているものが多いので、金額を根拠に予算を立てるなら公式の実施案内を見てください。
見落とされがちなのが試験地です。筆記試験は北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の12か所で実施されますが、口頭試験の試験地は東京都だけです。地方在住なら、12月上旬から翌1月中旬のどこかで平日1日を東京で空ける前提になります。しかも具体的な日は事前通知で決まるので、現場の工程を先に押さえておく発想が要ります。
申込から最終合格発表まで約1年かかる試験だという点も、意識しておく価値があります。4月に申し込み、7月に書き、11月に筆記の結果を知り、年末年始に口頭を受け、翌年3月に決まる。工事1件分より長いスパンです。
実務経験証明書は「勉強を始める前」に仕上がっている必要がある
第二次試験でつまずく人が多いのが、この順序の問題です。実務経験証明書(業務経歴と業務内容の詳細)は、受験申込みのときに提出します。つまり4月中旬までに完成させておく必要があり、7月の筆記に向けた勉強を始める時点では、もう紙は出し終わっているということです。
そして口頭試験では、この提出済みの書類に書いた業務が試問の土台になります。4月に書いた文章を、8か月後の12月〜1月に自分の口で説明する。ここが繋がっていない受験計画は、筆記に通ってから慌てることになります。
- 業務経歴は、受験資格の年数を満たすことを証明する部分。日付と立場に矛盾がないかを先に確認する
- 業務内容の詳細は、口頭試験で深掘りされる前提で選ぶ。書きやすい業務ではなく、説明できる業務を選ぶ
- 選択科目と業務内容がずれていると、口頭で「なぜこの科目なのか」から入られる
- 会社の証明印が必要な様式なので、社内の承認に要する日数を逆算して3月中に着手する
実務だと、3月下旬に申込書様式が公開されてから書き始めて、4月15日の締切に間に合わせるのは相当きついです。年明けの段階で「どの業務で出すか」を決めて、経歴の年数だけでも数えておく。それだけで4月の慌ただしさが変わります。
筆記が終わってから合格発表までの3か月半をどう使うか
令和8年度の筆記試験は7月20日に終わり、合格発表は11月上旬です。この3か月半は、受験した本人にとっては何も起きない期間に見えます。ただ、口頭試験の通知が来るのは11月で、試験は最短で12月上旬。発表を待ってから準備を始めると、実質1か月しかありません。
- 筆記直後のうちに、自分が何を書いたかを復元して残しておく(記憶が薄れると口頭で自分の答案と食い違う)
- 提出した実務経験証明書のコピーを読み返し、深掘りされそうな論点を洗い出す
- 技術者倫理と継続研さんは知識で答える部分があるので、発表前でも仕込める
- 落ちていた場合に備えて、選択科目Ⅲの書き方をこの時期に立て直しておく
不合格だった場合も、次の申込みは翌年4月です。8月から翌年4月までの8か月は、実は一年で一番まとまった準備時間が取れる期間になります。逆に言えば、11月の発表を待って動き出すと、この8か月のうち3か月半を捨てることになります。
僕の感覚だと、この試験で二度三度と足踏みする人と一発で抜ける人の差は、勉強時間の総量よりも「空白期間を空白にしなかったか」に出ています。現場を回しながら受ける試験なので、まとまった時間は自分で作らないと現れません。
技術士(建設部門)第二次試験に関する情報まとめ
- 第二次試験とは:技術士補となる資格と実務経験を前提に、記述式の筆記と口頭試験だけで判定される試験。建設部門は11の選択科目から一つを選ぶ
- 受験資格:技術士補として4年超、監督下で4年超、実務7年超の3ルート。大学院の研究経歴は2年を限度に短縮でき、施工管理の多くは7年ルートに該当する
- 試験科目と配点:必須科目Ⅰが2時間40点、選択科目Ⅱ・Ⅲが合わせて3時間30分で各30点、口頭試験は20分で4項目100点
- 合格基準:筆記は必須科目と選択科目それぞれで60%以上、口頭は4項目すべてで60%以上。総合点方式ではない
- 合格率:令和7年度の建設部門は9.3%。選択科目別では鋼構造及びコンクリート6.2%からトンネル11.7%まで1.9倍開く
- 日程と手数料:令和8年度は4月に申込、7月20日に筆記、11月上旬に筆記発表、12月上旬〜翌1月中旬に口頭、令和9年3月中旬に最終発表。受験手数料は20,500円で口頭試験の試験地は東京都のみ
- 実務経験証明書:申込時に提出するため4月中旬までに完成が必要で、その内容が年末の口頭試験の土台になる
- 空白期間:筆記後から発表までの3か月半に復元答案と口頭準備を進めておくと、11月以降が別物になる
以上が技術士(建設部門)第二次試験に関する情報のまとめです。
この試験は、知識の量で殴るタイプの資格試験とは性質が違います。年数を満たしているかを紙で示し、選んだ科目の土俵で論を立て、最後に自分の言葉で説明する。だから準備の順番が成否を分けます。まずは経歴の年数を数えて自分がどのルートで受けられるかを確定させ、次に出す業務を決め、そのうえで選択科目の過去問に入る。この順で組めば、1年がかりの長い試験でも足を止めずに回せるはずです。
技術士まで取ると社内での立ち位置も市場での評価も変わります。資格と年収の関係を実額ベースで見ておきたい場合は、あわせて読むならこちらです。

資格を取ったあとに環境そのものを動かすかどうかで迷っている人向けに、状況別の選び方はこちらで整理しています。

