- 尺モジュールって結局なに?
- 910mmってなんでこんなキリの悪い数字なの?
- 3尺・1間・半間が何mmか毎回分からなくなる
- 909mmと910mmはどっちが正しいの?
- 壁芯910なのに部屋の内寸が910にならないのはなぜ?
- 455ピッチや303ピッチとの関係が知りたい
- メーターモジュールとどっちがいいの?
- 尺は法律で使えないんじゃなかった?
上記の様な悩みを解決します。
尺モジュールは、日本の木造住宅の図面をめくると必ず出てくる基本寸法です。ただ、ネット上の解説はほとんどが「家を建てる人向けのメリット・デメリット比較」で終わっていて、図面のどこにその寸法が効いてくるのか、現場で910をどう使うのかまで書かれているものはほとんどありません。今回は定義・寸法体系・畳や坪との換算・建材規格との対応といった基本を押さえた上で、施工管理目線で「芯寸法から有効幅を出す計算」「455mm・303mmとの入れ子構造」「墨出しでの実利」「リフォーム時の制約」まで踏み込んで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
尺モジュールとは?
尺モジュールとは、結論「910mmを1コマとして間取りを組み立てる設計基準」のことです。読み方は「しゃくモジュール」で、尺貫法の3尺(=半間)を基本寸法に据えた考え方を指します。
日本の木造住宅、特に在来軸組工法はほぼこの尺モジュールで設計されています。平面図の寸法線が910、1820、2730、3640と並んでいたら、それは910mmの倍数、つまり尺モジュールで組まれた図面です。柱の位置、壁の位置、開口の位置がすべてこのグリッドの上に乗ってくるので、図面を読むときも現場で墨を出すときも「910の何倍か」で考えられるようになります。
モジュールという概念そのものはこちらで整理しています。

910mmは「3尺」を丸めた数字
なぜキリが悪いのかというと、910mmが元の数字ではないからです。1尺は正確には1メートルの3.3分の1、つまり約303.03mmです。これを3倍した3尺は909.09mm。実務ではこれを910mmに丸めて使っているだけなんです。
だから910mmという数字自体には意味がなく、「3尺=約909mm」という元の寸法に意味があります。ここを押さえると、後述する909mm表記の図面にも慌てなくなります。
909mm・910mm・900mmの使い分け
現場でややこしいのが、同じ尺モジュールでも設計者によって基準寸法の表記が違う点です。実務で見かけるのは主に次の3パターンです。
- 910mm:もっとも一般的。3尺を切り上げて扱う
- 909mm:3尺の実寸(909.09mm)に近い値をそのまま使う
- 900mm:キリのいい数字に寄せた例。流通建材との対応が悪く、採用は少数
910と909の差は1mmですが、10コマ並べば10mmの差になります。9101mm(910×10+1)で寸法が書かれているような累積のズレは、図面上では小さく見えても、通り芯の墨出しで最後の1コマだけ辻褄が合わなくなる形で顔を出します。
僕としては、図面を受け取った段階で「この図面の1コマは910か909か」を確認する癖をつけておくのが一番安全だと思っています。特に設計事務所が変わったタイミングや、既存図と新規図が混在する改修工事では、ここで一度確認を入れておくだけで後の手戻りが減ります。
尺は計量法では使えない単位
「尺って法律で使えないんじゃなかった?」という疑問は正しくて、計量法では取引・証明に尺貫法の単位を使うことが禁じられています。土地・建物に関する計量については1966年(昭和41年)3月31日までは尺貫法でよいことになっていましたが、それ以降はすべて平方メートルなどのメートル法に統一されました。違反した場合の罰則も計量法に定められています。
つまり契約書・確認申請・登記といった「取引・証明」の場面では、尺で書くことはできません。一方で、現場での会話や社内の段取り、大工さんへの指示といった場面では今も普通に尺が生きています。図面はミリで描き、現場は尺でしゃべる、という二重構造になっているわけです。この使い分けを理解していないと、施主に「なぜ910なんですか」と聞かれたときに答えに詰まります。
尺モジュールの寸法体系|尺・寸・間・畳・坪
尺モジュールを使いこなすうえで避けて通れないのが、尺貫法の単位どうしの関係です。ここが繋がっていないと、大工さんの「3尺で切って」「1間半飛ばして」という指示を毎回頭で変換することになります。
| 単位 | 換算 | メートル法 | 現場での呼び方 |
|---|---|---|---|
| 1分 | 1/10寸 | 約3.03mm | ブ |
| 1寸 | 10分 | 約30.3mm | スン |
| 1尺 | 10寸 | 約303mm | シャク |
| 3尺 | 半間 | 909〜910mm | サンジャク/ハンゲン |
| 1間 | 6尺 | 1818〜1820mm | イッケン |
| 1坪 | 1間×1間 | 約3.31㎡ | ツボ |
覚え方としては「1尺=約303mm」と「1間=6尺=約1820mm」の2つだけ先に頭に入れて、あとはその倍数・約数として組み立てるのが早いです。3尺は1間の半分だから910、1尺5寸は3尺の半分だから455、というふうに、すべて1間からの分割で出てきます。
畳と坪の関係
1坪は1間×1間で、畳2枚分にあたります。「6畳=3坪」という換算がすぐ出てくるのはここからです。
ただ畳のサイズには地域差があって、同じ「6畳」でも面積が変わります。代表的な規格は次の通りです。
- 京間(本間):955×1910mm
- 中京間(三六間):910×1820mm
- 江戸間(五八間):880×1760mm
- 団地間:850×1700mm
尺モジュールの910×1820にぴったり対応しているのは中京間です。関東の江戸間は880×1760で、910グリッドに対して少し小さい。つまり「尺モジュールの家に畳を入れる」といっても、どの規格の畳を入れるかで納まりが変わります。既存和室の改修で畳を新調するときにここを確認せず発注すると、寸法が合わずに作り直しになります。
面積単位の換算はこちらで整理しています。

尺モジュールが910mmになった理由と建材規格との関係
910mmが標準として残った理由は、結論「日本の建材の流通規格が3尺×6尺で固まっているから」です。歴史的な由来としては尺貫法が先ですが、現代に910mmが生き残っている実務上の理由は建材側にあります。
主要建材はほぼ910×1820
代表的な面材のサイズを並べると、対応関係がはっきり見えます。
- 構造用合板:910×1820mm(3尺×6尺、いわゆるサブロク板)
- 石膏ボード:910×1820mmが標準寸法
- 化粧合板・プリント合板:910×1820mm
- 大判サイズ:1220×2440mm(4尺×8尺、シハチ板)
- フローリング:働き幅が303mm系や455mm系で刻まれている製品が多い
石膏ボードの寸法体系はこちらが参考になります。

910mmグリッドで設計しておけば、この910×1820の面材が加工なしでそのまま張れます。逆にグリッドを900mmや1000mmにすると、1枚ごとに10mmや90mmを切り落とすことになります。
歩留まりが費用と工数に効く
建築では、規格寸法をそのまま使えることを「歩留まりが良い」、切り刻んで使うことを「歩留まりが悪い」と言います。尺モジュールの最大の実務メリットは、この歩留まりの良さです。
具体的に何が変わるかというと、材料のロスが減るだけではありません。切る手間が減り、切った端材の処分量が減り、ジョイント位置が910の倍数で揃うので下地の割り付けも読みやすくなります。逆にメーターモジュール用の建材は流通量が少ないぶん、尺モジュール用より割高になる傾向があります。
現場目線で言えば、モジュールの選択は「間取りの話」ではなく「材料と手間の話」です。設計段階でグリッドを1000mmにした結果、現場で全ボードを切ることになった、という構図は避けたいところです。
在来工法そのものの流れはこちらでまとめています。

芯寸法と有効幅|廊下910mmで実際に通れる幅
ここが尺モジュールで一番誤解されやすいところです。結論から言うと、910mmのグリッドで設計された廊下の実際に通れる幅は、およそ780mmになります。
なぜ910にならないかというと、910mmは壁の芯から芯までの距離だからです。壁は厚みを持っているので、両側の壁の厚み分を引いた残りが有効幅になります。
780mmが出てくる計算
在来木造の一般的な仕様で計算してみます。
- 柱:105mm角。芯から柱面までは52.5mm
- 下地・仕上げ:石膏ボード12.5mm+クロス
- 片側の壁厚:52.5+12.5=約65mm
- 両側で:65×2=130mm
- 有効幅:910-130=780mm
これが「廊下910なのに通れる幅は780」と言われる根拠です。壁芯910mm、有効780mm。この2つの数字はセットで覚えておくと、図面を見た瞬間に実寸のイメージが持てます。
柱を120角にすると780mmを割る
ここが実務上の落とし穴です。柱を105角ではなく120角にすると、片側の壁厚が60+12.5=72.5mm、両側で145mmになるので、有効幅は910-145=765mmまで落ちます。たかが15mmですが、この15mmが基準に引っかかります。
住宅性能表示制度の高齢者等配慮対策等級では、日常生活空間内の通路の有効幅員を780mm以上(柱等の箇所にあっては750mm以上)とする規定があります。105角なら780mmでちょうど成立しますが、120角にすると765mmになり、780mm以上という条件を満たせません。
さらに上の等級5では通路850mm以上、出入口800mm以上が求められます。910mmの芯寸法では、壁厚を引いた時点で850mmには届きません。等級5を狙うなら、廊下部分だけグリッドを1.5コマ(芯1365mm)にするか、メーターモジュールを選ぶか、という判断が必要になります。
階段を半間で取ると幅はどうなるか
階段室を尺モジュールで組むと、たいてい半間×1間(芯910×1820mm)のスペースに納まります。この場合の有効幅も同じ計算で、柱105角+石膏ボード12.5mmなら約780mmです。
建築基準法施行令23条では、住宅の階段は幅75cm以上、蹴上23cm以下、踏面15cm以上と定められています。有効780mmであれば幅の規定はクリアします。さらに同条3項で、手すり等を設けた場合の階段の幅は、手すり等の出幅が10cmを限度としてないものとみなして算定できるとされているため、出幅100mm以内の手すりを付けても算定上の幅は780mmのままです。
つまり法規上は成立します。ただし実際に体が通る幅は手すりのぶん狭くなるので、「法的にはOKだが、大型家具の搬入は厳しい」というのが尺モジュール階段の実態です。冷蔵庫や洗濯機、大型のソファが2階に上げられるかは、階段幅ではなく踊り場の回り込みで決まることが多いので、そこは平面で確認しておきたいところです。
「尺モジュールはバリアフリーに弱い」の正体
よく言われる「尺モジュールはバリアフリーに向かない」という話は、この芯寸法と有効幅の差から来ています。910-130=780という計算が頭に入っていれば、弱いのではなく「780mmという上限がある」という話だと分かります。
僕の感覚だと、この計算を持っているかどうかで打ち合わせの質がまったく変わります。施主から「もっと廊下を広くできませんか」と言われたときに、「910のグリッドだと有効780が上限なので、広げるにはこの区間だけ1.5コマにする必要があります」と答えられれば、その場で判断できます。逆に「尺モジュールなので狭いんです」だけで返すと、話が止まってしまいます。
455mm・303mmとの入れ子構造|現場での使い方と墨出し
尺モジュールは910mmの1階層だけではなく、それを半分・3分の1にした寸法が下地の世界に降りてきます。この入れ子構造が分かると、現場の寸法がほぼ全部繋がります。
910を割った寸法が下地ピッチになる
- 910mm:柱・壁・開口の基本グリッド(3尺)
- 455mm:910の1/2。間柱、根太、野縁、LGSスタッドの標準ピッチ(1尺5寸)
- 303mm:910の1/3。荷重が大きい箇所の根太・野縁ピッチ、フローリングの働き幅(1尺)
- 227.5mm:910の1/4。狭ピッチが必要な下地に使われる
つまり455も303も、独立した数字ではなく910の約数です。「なんで455なの?」の答えは「910の半分だから」で、さらに遡れば「1間の4分の1だから」になります。
間柱のピッチはこちらで詳しく扱っています。
根太のピッチと役割はこちらが参考になります。
軽天のスタッドピッチも同じ考え方です。

墨出しで910が効く場面
墨出しの実務で910モジュールが効くのは、通り芯からの寸法がすべて910の倍数になる点です。X通り・Y通りを910ピッチで振っておけば、間柱位置も455の倍数、ボードのジョイント位置も910の倍数で、コンベックスを当てる位置が全部予測できます。
実務で効いてくるのは、間柱位置を通り芯から455の倍数で推定できるので下地探しの手間が減ること、ボードのジョイント位置を先に読んで開口や器具との干渉を潰せること、巾木や見切りの継ぎ位置を910の倍数で計画して端材を減らせること、そして電気の配線ルートを間柱の間(455の内側)で先に決められることです。910という1つの数字から、下地・仕上げ・設備の位置がまとめて逆算できるわけです。
通り芯の読み方と墨出しの基本はこちらで整理しています。

正直なところ、この入れ子構造を体で覚えているかどうかが、木造の現場での段取りの速さを左右します。455と303が910の約数だと分かっていれば、図面に書かれていないピッチも推定できるようになります。
尺モジュールとメーターモジュールの違いと選び方
メーターモジュールは1000mmを1コマとする設計基準で、尺モジュールの910mmに対して1コマあたり90mm広くなります。違いを整理すると次のようになります。
| 比較項目 | 尺モジュール | メーターモジュール |
|---|---|---|
| 1コマの芯寸法 | 910mm(3尺) | 1000mm |
| 廊下の有効幅(柱105角・PB12.5想定) | 約780mm | 約870mm |
| 建材の適合 | 910×1820の流通材がそのまま使える | 専用サイズが必要で割高になりやすい |
| 同じ間取りの床面積 | 小さくなる | 1コマ90mmぶん大きくなる |
| 採用の多さ | 日本の木造住宅の主流 | 一部のハウスメーカーが標準採用 |
| 和室・畳との相性 | 中京間910×1820と一致 | 畳を別注する必要が出やすい |
数字で言うと、廊下の有効幅は780mmと870mmで90mmの差です。90mmというと小さく感じますが、手すりを1本付けると有効幅は50mm前後削られるので、この差は体感としては大きく出ます。
選び方の判断軸
どちらが正解という話ではなく、優先するものが違うだけです。判断するときは次の順で考えると整理しやすいです。
- 高齢者等配慮対策等級5や車椅子対応を明確に狙うか(狙うならメーター寄り)
- 和室・畳・造作を尺で組む予定があるか(あるなら尺)
- 建物全体の面積とコストにどこまで余裕があるか(1コマ広げると総面積が増える)
- 既存建物の改修か新築か(改修なら既存グリッドに従う)
リフォームでは既存グリッドが制約になる
改修の現場で意識しておきたいのは、既存が910グリッドの家に1000モジュール前提の設備を入れようとすると納まらないケースがあることです。たとえばユニットバスは0.75坪・1坪・1.25坪といった尺モジュール前提のサイズ展開が主流なので、既存の910グリッドにはそのまま入りますが、逆にメーターモジュール前提の大型サイズを910の躯体に入れようとすると、柱や間仕切りを触る話になります。
つまりリフォームでは「どちらを選ぶか」ではなく「既存が何モジュールか」を先に確定させるのが実務の入口です。既存図がない物件では、柱の位置を実測して910か1000かを判定してから計画に入ることになります。
尺モジュールに関する情報まとめ
- 尺モジュールとは:910mmを1コマとして間取りを組み立てる設計基準。日本の木造住宅の主流
- 910mmの正体:1尺は約303mm、その3倍の3尺=909.09mmを910mmに丸めた数字
- 表記のゆれ:910mmが一般的だが909mmを使う設計者もいる。図面ごとに確認する
- 単位の関係:1尺=約303mm、3尺(半間)=910mm、1間=6尺=約1820mm、1坪=1間×1間=約3.31㎡=畳2枚
- 畳の規格:中京間910×1820が尺モジュールに対応。江戸間880×1760など地域差がある
- 建材との対応:構造用合板・石膏ボードなどの主要面材が910×1820。歩留まりが良い
- 芯寸法と有効幅:壁芯910mmに対し、柱105角+PB12.5なら有効幅は約780mm
- 柱120角の場合:有効幅は約765mmに落ち、性能表示の780mm以上を満たせなくなる
- 下地ピッチ:455mmは910の1/2、303mmは1/3。間柱・根太・野縁・スタッドはこの系列
- メーターモジュールとの差:1コマ90mm、廊下有効幅で780mmと870mmの差
- 計量法上の扱い:取引・証明に尺は使えない。図面はミリ、現場の会話は尺という二重構造
以上が尺モジュールに関する情報のまとめです。
一通り尺モジュールの基礎知識は理解できたと思います。この寸法体系で一番実務に効くのは、「910は芯寸法であって有効寸法ではない」という一点です。ここを押さえておくだけで、図面を見た瞬間に実際に通れる幅・置ける家具のサイズ・入る設備のサイズが読めるようになります。現場目線で言えば、910・455・303が全部1間からの分割だと理解した時点で、木造の寸法はほぼ怖くなくなるはずです。
尺モジュールに関するよくある質問
Q1:3尺は909mmですか910mmですか?
正確には909.09mmで、実務ではこれを910mmに丸めて使うのが一般的です。1尺は1メートルの3.3分の1、つまり約303.03mmなので、3倍すると909.09mmになります。だから910mmという数字自体に意味はなく、「3尺=約909mm」という元の寸法に意味があります。設計者によっては909mmをそのまま使う場合もあり、まれに900mmを採用する例もあります。910と909の差は1mmですが、10コマ並べば10mmの差になるので、扱いを混ぜないことが大事です。
Q2:図面が909mmで描かれていたらどう扱えばいいですか?
その図面の基準寸法は909mmとして通します。910と909を途中で混ぜるのが一番危険で、通り芯の墨出しで最後の1コマだけ辻褄が合わなくなる形で顔を出します。実務としては、図面を受け取った段階で「この図面の1コマは910か909か」を確認して、社内と職人さんに共有しておくのが安全です。特に設計事務所が変わったタイミングや、既存図と新規図が混在する改修工事では、着手前に一度確認を入れておくだけで後の手戻りが減ります。
Q3:廊下910mmなのに通れる幅が780mmになるのはなぜですか?
910mmが壁の芯から芯までの距離だからです。壁には厚みがあるので、両側の壁厚を引いた残りが有効幅になります。在来木造で柱105角なら芯から柱面まで52.5mm、そこに石膏ボード12.5mmが乗って片側約65mm、両側で130mm。910から130を引いて約780mmです。この計算を持っていると、図面を見た瞬間に実際に通れる幅や置ける家具のサイズが読めます。柱を120角にすると片側72.5mm、両側145mmになるので、有効幅は約765mmまで落ちます。
Q4:455mmと303mmはどこから出てきた数字ですか?
どちらも910mmの約数です。455mmは910の2分の1(1尺5寸)、303mmは910の3分の1(1尺)にあたります。さらに遡れば1間1820mmの4分の1と6分の1です。間柱・根太・野縁・軽天のスタッドといった下地のピッチがこの系列で決まっているのは、すべて1間からの分割になっているからです。つまり「なんで455なの」の答えは「910の半分だから」で、独立した数字を覚える必要はありません。図面に書かれていないピッチも、この関係から推定できるようになります。
Q5:尺は法律で使えないのに、現場で使っていて問題ないんですか?
問題ありません。計量法で禁止されているのは取引・証明に尺貫法の単位を使うことです。土地・建物に関する計量は1966年(昭和41年)3月31日までは尺貫法でよいことになっていましたが、それ以降は平方メートルなどのメートル法に統一されました。つまり契約書・確認申請・登記といった場面では尺で書けません。一方で現場の会話や社内の段取り、大工さんへの指示は取引・証明にあたらないので自由です。図面はミリで描き、現場は尺でしゃべる、という二重構造になっているわけです。
Q6:尺モジュールの家に畳を入れるとき、どの規格を選べばいいですか?
910×1820mmの中京間(三六間)が910グリッドに一致します。畳の代表的な規格は京間955×1910mm、中京間910×1820mm、江戸間880×1760mm、団地間850×1700mmで、同じ「6畳」でも面積が変わります。関東で一般的な江戸間は880×1760mmなので、910グリッドに対して少し小さくなります。既存和室の改修で畳を新調するときにここを確認せず発注すると、寸法が合わずに作り直しになるので、現地で実測してから発注するのが確実です。
Q7:尺モジュールはバリアフリーに向かないというのは本当ですか?
「向かない」より「780mmという上限がある」と理解するのが正確です。住宅性能表示制度の高齢者等配慮対策等級では、日常生活空間内の通路の有効幅員を780mm以上(柱等の箇所は750mm以上)とする規定があり、柱105角の尺モジュールならちょうど成立します。ただし等級5では通路850mm以上が求められるため、910の芯寸法では届きません。等級5を狙うなら通路部分だけグリッドを1.5コマ(芯1365mm)にするか、メーターモジュールを選ぶという判断になります。
Q8:墨出しで910モジュールが役に立つのはどんな場面ですか?
通り芯からの寸法がすべて910の倍数になるので、位置の予測が効く場面すべてです。間柱位置は通り芯から455の倍数、ボードのジョイント位置は910の倍数なので、下地探しをする前に当たりが付けられます。巾木や見切りの継ぎ位置を910の倍数で計画すれば端材が減り、電気の配線ルートも間柱の間(455の内側)で先に決められます。910という1つの数字から下地・仕上げ・設備の位置がまとめて逆算できるのが、このモジュールの実務的な強みです。
平面計画の考え方はこちらから入ると流れが繋がります。

図面上の寸法表記のルールはこちらで整理しています。

