- 公共工事労務単価って、そもそも何の単価?
- 2026年の改定でいくらになった?何年連続で上がってるの?
- 51職種って何が入ってるの?
- 都道府県で単価が違うのはなぜ?
- この単価をそのまま職人に払えばいいの?法定福利費は入ってる?
- 積算のどこでこの単価を使うの?
- 契約した後に単価が上がったら請負代金は変わる?
- 実勢の人工代と全然違うんだけど
上記の様な悩みを解決します。
公共工事労務単価(正式には公共工事設計労務単価)は、公共工事の予定価格を積算するための単価です。毎年2月に公表され3月から適用されるので、年度末になると必ず話題になります。ただ、ニュースで流れる「全国平均いくら」という数字が加重平均なのか単純平均なのかは、あまり説明されません。単価のなかに何が入っていて何が入っていないのか、契約後に改定されたら請負代金がどうなるのかまで整理した解説も意外に少ないです。
今回は制度の根拠と決まり方から、2026年3月適用の改定値と推移、主要職種と都道府県差までを押さえます。そのうえで、単価に含まれない経費の扱い、積算体系のどこで使うのか、契約後の改定に対応するインフレスライドまで、公表資料をもとに整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
公共工事労務単価とは?
公共工事労務単価とは、結論「国が公共工事の予定価格を積算するために定めた、職種ごと・都道府県ごとの1日8時間あたりの労務単価」のことです。正式名称は公共工事設計労務単価です。
根拠をたどると、公共工事の予定価格は予算決算及び会計令によって、取引の実例価格や需給の状況などを考慮して適正に定めることとされています。これを実際の数字に落とすために、農林水産省と国土交通省の2省が昭和45年から毎年、公共事業労務費調査を実施し、その結果に基づいて設計労務単価を決めています。
調査の枠組みはこうなっています。
- 対象は2省が所管する直轄・補助事業などのうち、1件1,000万円以上で調査時点に施工中の工事
- そこから無作為抽出した工事の現場で、実際に支払われた賃金を調べる
- 集計結果から、47都道府県×51職種の単価を設定する
つまりこの単価は、机上で決めた理論値ではなく、現場で支払われた賃金の実態調査から作られた数字です。だからこそ「実勢と違う」と感じたときは、なぜ違うのかを構造で理解する必要があります(後述します)。
もうひとつ押さえておきたいのが、この単価が公共工事の外にも効くようになったことです。令和6年の改正建設業法により、建設業法第34条第2項に基づいて中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を勧告することになりました。そのなかで、すべての建設工事の請負契約で確保されるべき「通常必要と認められる労務費」の計算の基礎となる水準として、設計労務単価が位置づけられています。公共だけの話ではなく、民間工事や下請取引の基準にもなったということです。
積算の全体像はこちらで整理しています。

公共工事労務単価の2026年改定と推移
2026年(令和8年)3月から適用される単価は、結論「全国全職種の加重平均で25,834円、初めて25,000円を超えた」水準です。「2026年の改定でいくらになった?」への答えはこの数字ですが、ここには注意点があります。
| 項目 | 令和8年3月適用 |
|---|---|
| 全国全職種の加重平均 | 25,834円/日(8時間) |
| 全国全職種の単純平均の伸び率 | 対前年度 +4.5% |
| 主要12職種の加重平均 | 24,095円(+4.2%) |
| 平成24年度比 | 全職種 +94.1%(主要12職種 +93.4%) |
| 連続上昇 | 平成25年度改定から14年連続 |
| 調査規模 | 有効工事件数10,031件、有効標本85,670人(棄却率16.2%) |
ニュースで「25,834円」と「+4.5%」が並んで出てきますが、この2つは別の指標です。25,834円は職種ごとの労働者数で重みづけした加重平均、+4.5%は単純平均の伸び率です。加重平均の額と単純平均の伸び率を掛け合わせて逆算しても数字は合いません。ここを混同している記事が多いので、社内資料に転記するときは出典の指標名まで確認した方が安全です。
なお令和8年3月適用分では、建築ブロック工が標本数の不足により単価が設定されていません。毎年こうした注記が出るので、特定職種の単価を探して見つからない場合は、まず設定の有無を確認します。
単価の推移と「底値」の位置
全国全職種の加重平均の推移を並べると、この単価の性格が見えてきます。
| 年度 | 全国全職種の加重平均 |
|---|---|
| 平成9年度 | 19,121円(当時のピーク) |
| 平成24年度 | 13,072円(底値) |
| 令和2年度 | 20,214円 |
| 令和5年度 | 22,227円 |
| 令和6年度 | 23,600円 |
| 令和7年度 | 24,852円 |
| 令和8年度 | 25,834円 |
平成9年度の19,121円をピークにいったん下がり、平成24年度の13,072円で底を打ってから14年連続で上がってきた、という形です。底値からはおよそ1.98倍になっています。
上がり続けている理由は、だいたい次のところに集約されます。
- 技能労働者の減少と高齢化による人手不足
- 時間外労働の上限規制適用(2024年4月)に伴う工期・人員の見直し
- 政府の賃上げ方針と、建設業の担い手確保政策
- 資材価格の上昇と連動した処遇改善の要請
僕の感覚だと、この14年連続という数字は「単価が実勢に追いついてきた過程」でもあります。平成24年の13,072円が実勢に対して低すぎた、という反省が制度側にあったからこそ、ここまで連続で引き上げてきた経緯があります。
公共工事労務単価に含まれるもの・含まれないもの
ここが実務でいちばん誤解される部分です。結論「この単価は労働者に支払われる賃金に関する部分だけで、事業主が負担すべき経費は一切入っていない」というのが正解です。「この単価をそのまま職人に払えばいいの?」という問いは、そもそも前提が2つずれています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 含まれるもの | 基本給相当額/基準内手当(その職種の通常の作業条件・作業内容の労働に対する手当)/臨時の給与(賞与等)/実物給与(食事の支給等) |
| 含まれないもの | 時間外・休日・深夜の割増賃金/通常の作業条件・作業内容を超えた労働に対する手当/現場管理費(事業主負担分の法定福利費、研修訓練費等)/一般管理費等の諸経費 |
まず「法定福利費は単価に入ってる?」への答え。労働者負担分の法定福利費相当額は賃金のなかに含まれていますが、事業主が負担すべき分は含まれていません。事業主負担分は積算上、共通仮設費や現場管理費の側に計上されています。
そして単価は所定労働時間内8時間あたりの金額です。時間外・休日・深夜の割増は含まれていないので、積算では別に公表されている割増対象賃金比を使って計算します。
必要経費を加算した参考値が公表されている
国土交通省は、都道府県別の単価表の下段にカッコ書きで参考値を公表しています(建設労働者の雇用に伴い必要な経費の表示・試行)。法定福利費(事業主負担分)・労務管理費・安全管理費・宿舎費などを加算した金額です。実際の比率を見るとおおむね1.48倍前後です。
| 例(北海道) | 設計労務単価 | 必要経費加算後の参考値 |
|---|---|---|
| 普通作業員 | 21,500円 | 31,800円 |
| 特殊作業員 | 26,000円 | 38,400円 |
| 電工 | 29,100円 | 43,000円 |
この参考値が意味することは明確です。設計労務単価が21,500円の普通作業員を1人使うと、事業主が実際に負担するコストは31,800円ということです。だから下請代金を設計労務単価そのままで決めてしまうと、必要経費分がまるごと下請側の負担になります。
国土交通省は報道発表で「公共工事設計労務単価には、事業主が負担すべき人件費(必要経費分)は含まれていません。よって、下請代金に必要経費分を計上しない、又は下請代金から値引くことは不当行為です」と明記していて、毎年夏期・冬期に建設業者団体へ通知を出しています。個人的には、この一文を知っているかどうかが、下請代金の交渉で立ち位置を大きく変えると思っています。
元請と下請の役割分担についてはこちらも参考になります。

公共工事労務単価の51職種と都道府県差
単価は47都道府県×51職種で設定されます。そのうち公共工事で広く一般的に従事される12職種が主要12職種として整理され、報道発表でも全国平均が示されます。
| 職種 | 全国平均(令和8年3月適用) | 対前年比 |
|---|---|---|
| 特殊作業員 | 28,111円 | +4.3% |
| 普通作業員 | 23,605円 | +3.0% |
| 軽作業員 | 18,605円 | +2.9% |
| とび工 | 30,780円 | +4.0% |
| 鉄筋工 | 31,267円 | +4.6% |
| 運転手(特殊) | 29,442円 | +4.8% |
| 運転手(一般) | 25,275円 | +2.9% |
| 型わく工 | 31,671円 | +5.0% |
| 大工 | 30,331円 | +3.1% |
| 左官 | 30,508円 | +4.1% |
| 交通誘導警備員A | 18,911円 | +5.8% |
| 交通誘導警備員B | 16,749円 | +6.7% |
注意したいのは、電工と配管工は主要12職種に含まれていないという点です。都道府県別の単価表には載っていますが、国土交通省は全国平均値を公表していません。それにもかかわらず「電工の全国平均は○○円」と出典なしで書いている記事が散見されます。設備・電気の積算で全国平均が必要なら、県別表から自分で集計するしかありません。
都道府県差の見方で注意する3点
- 単価が高い都道府県は職種ごとに入れ替わる。特殊作業員の最高は富山県32,700円で、次が鹿児島県32,000円。東京都は30,700円
- 普通作業員は東京都と石川県が27,000円で並び、最低は鳥取県の18,200円。同じ職種で1.48倍の差がある
- 伸び率も県ごとに違う。全国が+4.5%のとき、長崎県は全51職種平均+6.5%(主要12職種+7.0%)
電工で見ると東京都34,300円が全国1位で、沖縄県23,700円が47位。ここは1.4倍の開きがあります。一方で特殊作業員は東京都が30,700円にとどまり、富山県32,700円や鹿児島県32,000円の方が高いです。職種によって上位の県が入れ替わるので、「都会が高くて地方が安い」という理解では県をまたぐ工事の積算で読み違えます。
公共工事労務単価の積算での使い方
「積算のどこでこの単価を使うの?」への答えは、結論「直接工事費の労務費を出すところ」です。使う式そのものは単純ですが、単価に含まれない経費がどこに乗るのかを知らないと、工事価格の組み立てが理解できません。
土木工事の積算では、直接工事費を工種・種別・細別ごとに材料費・労務費・直接経費の3要素で積み上げます。このうち労務費は、標準歩掛から求めた所要人数に設計労務単価を掛けて算出します。
歩掛の考え方はこちらで詳しく整理しています。

そこから先の積み上げは段階になっています。
- 直接工事費 + 共通仮設費 = 純工事費
- 純工事費 + 現場管理費 = 工事原価
- 工事原価 + 一般管理費等 = 工事価格
- 工事価格 + 消費税相当額 = 予定価格
前章で見た「単価に含まれない経費」は、この共通仮設費と現場管理費の側に計上されています。事業主負担分の法定福利費、労務管理費、安全管理費、研修訓練費、宿舎費などです。だから発注者の予定価格には必要経費が入っているのに、下請代金を設計労務単価そのままで決めると、その経費が誰にも配分されないという構造になります。
自社の労務費単価をどう組み立てるか、設計労務単価との違いという観点はこちらが参考になります。


公共工事労務単価が契約後に改定されたときの対応
年度末に契約した工事だと必ず問題になるのが、この論点です。結論「契約後に単価が上がった場合、インフレスライド条項または特例措置で契約金額を変更する道がある」というのが答えで、ここに触れている解説はほとんど見当たりません。
制度は3つを区別して理解します。
- インフレスライド:賃金水準や物価水準の変動により請負代金額が不適当になった場合に契約金額を変更する仕組み。公共工事の請負契約約款の第25条第6項が根拠
- 特例措置:新単価の適用開始日以降に契約する工事のうち、旧単価で予定価格を積算した契約について、新単価に基づく契約金額へ変更するための協議を発注者から行う仕組み
- 単品スライド:特定の工事材料の価格変動に対応する仕組みで、労務単価は対象外
たとえば令和8年3月から新単価が適用される場合を考えます。令和8年2月28日以前に契約した工事で、令和8年3月1日に工期の始期が到来しているものはインフレスライドの対象です。始期が到来していないものは、インフレスライドに準じた取扱いを受けるという整理がされています。
ここで実務上重要なのが、適用開始日が発注者ごとに違うという点です。国の直轄工事は令和8年3月からですが、都道府県や市町村は自治体ごとに適用日を設定します。3月1日を適用日としている県もあります。同じ月に国と自治体の工事を並行して受けている場合、単価の切り替わり日が違うことになります。
現場目線で言えば、年度末の契約は「どの単価で積算された予定価格か」を最初に確認しておくのが鉄則です。旧単価で積算された契約なら特例措置の協議対象になり得ますが、発注者が声をかけてくるのを待っているだけだと年度をまたいで機を逃します。
入札と予定価格の関係はこちらで整理しています。

公共工事労務単価と実勢単価・賃上げ政策の関係
最後に「実勢の人工代と全然違うんだけど」という感覚に答えます。結論「概念が違うので一致しないのが正常。ただし政策側は両者を近づけようとしている」というのが今の状況です。
設計労務単価は、歩掛方式で労務費を算定するための標準的な賃金水準の基準単価です。一方、実勢の常用単価(人工代)は、会社ごとの賃金規定、地域の相場、職人の経験とスキル、繁忙度で決まります。前者は積算用の基準、後者は取引価格なので、そもそも同じ数字になる理由がありません。
そのうえで、乖離の方向には理由があります。設計労務単価に必要経費が入っていないことを知らずに、この単価をそのまま常用単価の上限として交渉に使う元請がいると、下請側は必要経費分を自腹で吸収することになります。この構造が「設計労務単価は上がっているのに手取りが増えない」という現場の実感を生みます。
政策側で動いている4つの仕組み
- 労務費に関する基準:中央建設業審議会が勧告する基準で、通常必要と認められる労務費を著しく下回る見積りや契約締結を禁止。違反した建設業者には指導・監督、違反した発注者には勧告・公表がある
- 賃上げ実施企業への総合評価加点:令和8年4月1日以降に公告される国土交通省直轄の工事・業務で、加点割合は3%
- CCUSのレベル別年収の目安:設計労務単価が賃金として支払われた場合の年収を能力評価レベル別に算出し、標準値と目標値を示している
- 標準値を下回る事業者への重点確認:労務費のダンピングの恐れがないかを確認する運用
CCUSのレベル別年収は令和8年4月改定の全国値が示されています。レベル1が標準値395万円・目標値535万円以上、レベル2が444万円・599万円以上、レベル3が472万円・664万円以上、レベル4が572万円・754万円以上という水準です。職種別の目安も併せて示されていて、たとえば普通作業員のレベル1は標準値350万円・目標値473万円以上です。法的拘束力はありませんが、標準値を下回っていると重点確認の対象になり得るという設計です。
CCUSの仕組みと総合評価での扱いはこちらで整理しています。


時間単価に換算してみると水準感がつかみやすいです。全国全職種の加重平均25,834円を8時間で割ると約3,229円、普通作業員23,605円なら約2,951円です。この数字を見て「うちの常用単価は妥当か」を考えると、必要経費が入っていないという前提が改めて重要になってきます。
公共工事労務単価に関する情報まとめ
- 定義:公共工事の予定価格を積算するための、47都道府県×51職種・1日8時間あたりの単価。正式名称は公共工事設計労務単価
- 根拠:予算決算及び会計令に基づき、農林水産省と国土交通省が昭和45年から毎年実施する公共事業労務費調査の結果で決定。毎年2月公表・3月適用
- 位置づけの拡大:令和6年の改正建設業法で、中央建設業審議会が勧告する「労務費に関する基準」における労務費算定の基礎水準になった。公共・民間・下請取引を問わない
- 2026年(令和8年3月適用):全国全職種の加重平均25,834円で初の25,000円超。単純平均の伸び率は+4.5%、平成25年度改定から14年連続の上昇
- 指標の区別:25,834円は加重平均、+4.5%は単純平均の伸び率。別の指標なので掛け合わせて逆算しても合わない
- 主要12職種:加重平均24,095円(+4.2%)。平成24年度比は全職種+94.1%
- 推移:平成9年度19,121円がピーク、平成24年度13,072円が底値。底値から約1.98倍
- 含まれるもの:基本給相当額、基準内手当、臨時の給与(賞与等)、実物給与
- 含まれないもの:時間外・休日・深夜の割増賃金、通常の作業条件を超えた労働への手当、事業主負担分の法定福利費や研修訓練費などの現場管理費、一般管理費等
- 必要経費加算の参考値:単価表の下段にカッコ書きで公表され、比率はおおむね1.48倍前後。北海道の普通作業員なら21,500円に対し31,800円
- 国交省の明言:下請代金に必要経費分を計上しない、または下請代金から値引くことは不当行為
- 8時間・所定内:割増賃金は別に公表される割増対象賃金比で計算する
- 職種の注意:電工と配管工は主要12職種に含まれず、全国平均値は公表されていない。県別表から集計する必要がある
- 都道府県差:高い県は職種ごとに入れ替わる。特殊作業員の最高は富山県32,700円(東京都は30,700円)、普通作業員は東京都・石川県27,000円と鳥取県18,200円で1.48倍差
- 積算での使い方:労務費=標準歩掛による所要人数×設計労務単価。直接工事費+共通仮設費=純工事費、+現場管理費=工事原価、+一般管理費等=工事価格
- 契約後の改定:インフレスライド(約款第25条第6項)、旧単価で積算した契約に対する特例措置。単品スライドは工事材料が対象で労務単価は対象外
- 適用日:国は3月からだが自治体は個別に設定。年度末の契約は「どの単価で積算された予定価格か」を先に確認する
- 実勢との乖離:設計労務単価は積算用の基準単価、常用単価は取引価格。一致しないのが正常だが、必要経費を無視した交渉が乖離の実感を生む
- 政策側:労務費に関する基準による著しく低い見積りの禁止、賃上げ実施企業への総合評価加点3%(令和8年4月1日以降公告)、CCUSのレベル別・職種別に示される年収の標準値と目標値
以上が公共工事労務単価に関する情報のまとめです。
公共工事労務単価は「毎年上がっているニュースの数字」として消費されがちですが、実務で効くのは金額そのものより構造です。単価には事業主負担の経費が入っていないこと、必要経費加算後の参考値が公表されていること、契約後の改定にはインフレスライドと特例措置があること。この3つを押さえておけば、予定価格の読み方から下請代金の交渉、年度末の契約変更協議まで、自分で筋の通った話ができるようになります。
公共工事労務単価に関するよくある質問
Q1:2026年の公共工事労務単価はいくらですか?
令和8年3月から適用される全国全職種の加重平均は25,834円/日(8時間)で、初めて25,000円を超えました。単純平均の伸び率は対前年度+4.5%、平成25年度改定から14年連続の上昇です。主要12職種の加重平均は24,095円(+4.2%)で、平成24年度と比べると全職種で+94.1%になっています。なお25,834円は加重平均、+4.5%は単純平均の伸び率という別の指標なので、資料に転記するときは指標名まで書き分けるのが安全です。
Q2:この単価をそのまま職人さんに支払えばいいのですか?
いいえ。設計労務単価は労働者に支払われる賃金に関する部分だけで、事業主が負担すべき法定福利費、労務管理費、安全管理費、研修訓練費などは含まれていません。国土交通省は必要経費を加算した参考値を単価表の下段にカッコ書きで公表しており、比率はおおむね1.48倍前後です。北海道の普通作業員なら21,500円に対して参考値は31,800円です。国交省は「下請代金に必要経費分を計上しない、又は下請代金から値引くことは不当行為」と明記しています。
Q3:法定福利費は単価に含まれていますか?
労働者が負担する分に相当する額は賃金のなかに含まれていますが、事業主が負担すべき分は含まれていません。事業主負担分は積算上、共通仮設費や現場管理費の側に計上される設計になっています。だから下請取引では標準見積書などで法定福利費を内訳明示して別途請求するのが正しい流れになります。設計労務単価と同額で下請代金を決めると、事業主負担分が下請側の丸損になります。
Q4:電工や配管工の全国平均単価はどこで確認できますか?
国土交通省は公表していません。電工と配管工は主要12職種に含まれていません。報道発表で全国平均が示されるのは、特殊作業員・普通作業員・軽作業員・とび工・鉄筋工・運転手(特殊)・運転手(一般)・型わく工・大工・左官・交通誘導警備員A・同Bの12職種です。電工と配管工は都道府県別の単価表には掲載されているので、全国平均が必要な場合は県別表から自分で集計することになります。出典なしで「電工の全国平均は○○円」と書いている記事は根拠が確認できないので鵜呑みにしない方がいいです。
Q5:都道府県で単価が違うのはなぜですか?高いのは東京ですか?
公共事業労務費調査が都道府県ごとに実施され、その地域で実際に支払われた賃金をもとに単価が設定されるためです。そして高い県は職種ごとに入れ替わります。令和8年3月適用でいうと、特殊作業員の最高は東京都ではなく富山県の32,700円で、東京都は30,700円です。普通作業員は東京都と石川県が27,000円で並び、最低は鳥取県の18,200円。電工は東京都34,300円が1位で沖縄県23,700円が47位です。「都会が高い」という理解では県をまたぐ積算で読み違えます。
Q6:契約した後に労務単価が改定されたら、請負代金は変わりますか?
変わる道があります。ひとつはインフレスライドで、賃金水準や物価水準の変動により請負代金額が不適当になった場合に契約金額を変更する仕組みです(公共工事の請負契約約款第25条第6項)。もうひとつは特例措置で、新単価の適用開始日以降に契約する工事のうち旧単価で予定価格を積算したものについて、発注者から新単価に基づく契約金額への変更協議を行う仕組みです。なお単品スライドは工事材料の価格変動が対象で、労務単価は対象外です。適用日は自治体ごとに違うので、年度末の契約はどの単価で積算された予定価格かを先に確認してください。
Q7:設計労務単価と実勢の人工代が合わないのは何が原因ですか?
概念が違うためです。設計労務単価は歩掛方式で労務費を算定するための標準的な賃金水準の基準単価で、実勢の常用単価は会社ごとの賃金規定や地域相場、職人のスキル、繁忙度で決まる取引価格です。一致しないのが正常です。ただし乖離の実感が強くなる原因のひとつは、設計労務単価に事業主負担の必要経費が入っていないことを踏まえずに、この単価を常用単価の上限として交渉に使うケースです。令和6年の改正建設業法で「労務費に関する基準」が整備され、通常必要と認められる労務費を著しく下回る見積りや契約締結は禁止されています。
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