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裏あて金とは?役割、サイズ、規格、種類、メーカー、施工方法など

  • 裏あて金ってなに?
  • 何のために付けるの?
  • セラミックタブと何が違う?
  • サイズや規格は?
  • 取り付け方ってどうやるの?
  • 施工管理として何を確認すればいい?

上記の様な悩みを解決します。

裏あて金は鉄骨工事の溶接で「完全溶け込み溶接」を行う際にほぼ必ず使われる部材。図面に「裏あて金 PL-9×25」と書かれていても、初めての施工管理者だとピンと来ないですよね。実は鉄骨建方の品質を左右する「縁の下の力持ち」です。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

裏あて金とは?

裏あて金とは、結論「鉄骨の溶接で開先(かいさき)の裏側に当てる鋼製の板」のことです。

身近な例で言うと、料理で焦げないようにフライパンの下に敷く受け皿のようなイメージ。鉄骨の梁を柱に溶接するとき、開先(V字に削った溝)の裏側に「金属が溶け落ちないように受け止める板」を当てておくのが裏あて金の役割。

業界では「裏当て金」「裏当て」「裏あて」などと表記され、どれも同じものを指します。英語では Backing Strip。図面ではPL-9×25(厚9mm×幅25mm)のように板厚×幅で指示されることが多い。

施工管理視点で押さえるべきポイントは、完全溶け込み溶接(K開先・V開先)に使用される、本体鉄骨と同じ材質グレードを使うのが原則、開先精度・隙間(ルートギャップ)で施工品質が決まる、取り付け後は基本的にそのまま残す(撤去しない)、というあたり。

「ただの当て板」と思いがちですが、溶接欠陥の有無を左右する重要部材。図面に「裏あて金 必要」と書かれている場所で省略すると、超音波探傷検査(UT)で不合格になることが多いんですね。

裏あて金の役割(なぜ必要か)

裏あて金がないと何が困るのか、溶接の物理から整理します。

1. 溶融金属の溶け落ちを防ぐ

完全溶け込み溶接では、母材を端から端まで溶かして一体化させます。下から支える部材がないと、溶けた金属が裏側に落ちて穴が開く「溶け落ち(バーンスルー)」が発生。これを防ぐのが第一の役割。

2. 安定したルート(裏波)を作る

裏あて金があると、溶接の最初のパス(ルートパス)が安定して、裏側に綺麗な溶接波形が出ます。裏あてなしで完全溶け込みを取ろうとすると、「ルートポロシティ(気孔)」「融合不良」などの欠陥が発生しやすい。

3. 溶接姿勢の自由度を上げる

下向き溶接はもちろん、横向き・上向き溶接でも裏あてがあれば施工可能になります。鉄骨建方では現場溶接で柱・梁を縦向きや上向きで溶接するシーンが多いので、裏あての存在が現実的に欠かせない。

4. 溶接品質の安定化

経験の浅い溶接工でも、裏あてがあれば「ある程度安定した品質の溶接ができる」という実用的な側面も大きい。裏あてなしでの完全溶け込みは、ベテラン溶接工でも難易度が高い作業です。

裏あて金がない部位では「セラミックタブ」「裏波溶接(バックシール)」で代替する場合もありますが、コスト・施工性の観点で裏あて金が選ばれることが多いのが実情。

鉄骨工事の関連知識は下記も参考に。

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裏あて金の主な種類

裏あて金は「材質」と「形状」で種類分けできます。

1. 鋼製裏あて金(最も一般的)

SS400・SM400・SN400などの構造用鋼板を細長く切り出した部材。本体鉄骨と同じ規格・グレードを使うのが鉄則。建築鉄骨ではSN材(建築構造用圧延鋼材)を使うことが多い。

2. セラミックタブ(裏あて金の代替)

陶磁器系の耐熱材で作られた裏当て材。鋼製と違って溶接後に簡単に取り外せるのが特徴。橋梁工事・原子力施設など、裏あて金を製品に残せない箇所で使われる。

3. 銅製裏あて金

熱伝導が高く溶融金属が固着しないため、溶接後に外して再利用できる。サブマージアーク溶接など特殊用途で使う。一般建築ではあまり見ない。

4. 形状による分類

形状 特徴 用途
平板(フラットバー)型 一般的な裏あて金 直線溶接全般
裏当て管(パイプ型) 円筒状の鋼管 鋼管・丸鋼の周方向溶接
L字型 コーナー部用 角部の裏あて
特殊形状 各部位専用に切削 ダイヤフラム周り等

鋼製裏あて金とセラミックタブの違い

項目 鋼製裏あて金 セラミックタブ
施工後の処理 そのまま残す 取り外す
コスト 安い 高い(消耗品)
裏波の品質 安定 非常に良好
再利用 不可(残置) 不可(破断する)
主な用途 一般建築鉄骨 橋梁・原子力・露出仕上げ

選定の基本は「裏あてを残せる位置か」。露出仕上げで裏あて金が見えてしまう場所はセラミックタブが選ばれることが多いです。

裏あて金の規格・サイズ

裏あて金の規格は、JIS Z 3001(溶接用語)で定義されており、寸法はJASS 6(鉄骨工事標準仕様書)で目安が示されています。

標準的なサイズ

板厚(t) 幅(W) 適用される溶接
6mm 19mm 板厚9mm以下の溶接
9mm 25mm 板厚9〜25mmの溶接(最頻出)
12mm 32mm 板厚25〜40mmの溶接
16mm 40mm 板厚40mm超の溶接

サイズ選定の基本原則

サイズ選定の基本原則は、板厚(t)が母材板厚の1/3〜1/2程度、幅(W)が開先ルート寸法の3倍以上、長さ(L)が溶接全長+50mm以上(端部処理用)、というあたり。

これはあくまで目安で、設計図書(特記仕様書・鉄骨詳細図)に必ず指定があります。設計図と異なるサイズで現場手配すると、鉄骨製作工場での組立精度に影響するので要注意。

材質の指定

材質の指定は、本体鉄骨と同等またはそれ以上のグレードを使う、一般建築鉄骨はSN400BまたはSS400、高層・耐震性能要求が高い建物はSN490B以上、塗装の相性にも注意(亜鉛メッキ材を使う際は塗料との適合性確認)、というのが基本ライン。

裏あて金の施工方法

裏あて金の取り付けは、鉄骨製作工場(ファブ)で行うか、現場で建方時に行うかで手順が違います。

1. 工場での取り付け(柱・梁ユニット製作時)

工場での取り付けは、開先加工後に裏あて金を仮置き、タック溶接(仮付け溶接)で固定、開先精度・隙間・直角度をチェック、製品検査(受入検査)でNDT確認、という流れ。

2. 現場での取り付け(建方時の現場溶接)

現場での取り付けは、柱の建方完了後に裏あて金を仮置き、隙間(ルートギャップ)が指定値(一般に4〜7mm)に収まることを確認、タック溶接で固定(規定長さ・規定本数)、本溶接へ移行、という流れ。

3. 取り付け時の重要寸法

取り付け時の重要寸法は、ルートギャップ(裏あて金との隙間)が4〜7mm程度、裏あて金端部の出代が母材から外側に5〜10mm、タック溶接の長さが50mm以下(長すぎると本溶接で割れる)、というあたり。

4. 本溶接の開始

本溶接の開始時は、裏あて金の両端に「エンドタブ(エンドピース)」を付ける(始端・終端の溶接欠陥を逃すため)、第1パス(ルートパス)は低電流で裏波がしっかり出るように、第2パス以降は所定の電流で多層溶接、という手順。

5. 検査

検査は、外観検査(目視)、超音波探傷検査(UT)として完全溶け込み部は必須、必要に応じてマクロ試験・放射線透過試験(RT)、という構成。

施工管理として最も大事なのは「ルートギャップが規定値に入っているか」のチェック。ここが大きすぎると溶け落ち、小さすぎると融合不良が起きます。

裏あて金に関する注意点

施工管理として裏あて金まわりで気をつけるべきポイント。

1. 材質指定の確認

設計図に「裏あて金材質:SN490B」などの指定がある場合、SS400で代用すると不合格。鉄骨ファブから入る部材リストで材質を必ず確認します。

2. ルートギャップの管理

ルートギャップが大きすぎると溶け落ち・気孔欠陥、小さすぎると融合不良が起きる。規定値(一般に4〜7mm)から外れる場合は仮溶接で再調整するか、設計者・元請けに相談します。

3. エンドタブの併用

裏あて金と一緒に「エンドタブ(始端・終端の捨て材)」を必ず使うのがJASS 6の規定。エンドタブで溶接の始端・終端の欠陥を「捨て」、本溶接部分の品質を確保します。「エンドタブ無しで端部から溶接開始」はNG

4. 残置後の腐食対策

裏あて金は基本的にそのまま残すので、塗装・防錆処理は本体と同等にする必要があります。建方後の塗装工程で裏あて金部の塗り残しが起きやすいので、検査時に重点チェック。

5. UT検査での合否判定

裏あて金がある溶接部は超音波探傷検査(UT)が必須。UTで「裏あて金との境界に未溶着あり」と判定されると、斫り取り→再溶接になります。これを避けるため、ルートパスでの裏波形成が決定的に重要です。

6. セラミックタブを使うべきケース

下記の場面では裏あて金ではなくセラミックタブを選ぶ判断が必要。露出仕上げで裏あて金が見える箇所、塗装・耐火被覆の干渉で裏あて金が邪魔になる箇所、特殊な溶接姿勢で鋼製裏あての固定が困難な箇所、というあたり。

設計図書に「裏あて金 不可」「セラミックタブ使用」と注記されている場合は、必ずその指定通りに施工します。

裏あて金に関する情報まとめ

  • 裏あて金とは:完全溶け込み溶接の裏側に当てる鋼製の板
  • 役割:溶け落ち防止、裏波形成、施工性向上、品質安定化
  • 主な種類:鋼製(最頻出)、セラミックタブ、銅製、L字型・パイプ型
  • 規格・サイズ:板厚6/9/12/16mm、母材板厚の1/3〜1/2、設計図に指定あり
  • 材質:本体鉄骨と同等以上(SS400、SN400B、SN490B等)
  • 施工方法:開先加工→裏あて金タック溶接→ルートギャップ確認→本溶接
  • 注意点:材質指定、ルートギャップ管理、エンドタブ併用、UT検査、塗装範囲
  • 残置 or 撤去:鋼製は基本残す、セラミックタブは外す

以上が裏あて金に関する情報のまとめです。

裏あて金は「ただの当て板」と軽く見られがちですが、完全溶け込み溶接の品質を左右する縁の下の力持ち。図面に「裏あて金」と書かれている場所では、サイズ・材質・ルートギャップ・エンドタブの4点を着工前に必ずチェックする習慣をつけると、UT検査での手戻りが大きく減ります。鉄骨建方の現場では「裏あての段取りで品質が決まる」と言われるくらいの重要部材ですよ。

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