突貫工事とは?建築の専門家が徹底解説する

  • 突貫工事ってなに?
  • どんな問題点があるの?
  • なぜ突貫工事が発生してしまうの?

上記の様な悩みを解決します。

近年では少なくなってきた突貫工事ですが、今でも行われている現場はあるのが事実です。突貫工事で作った建物と通常の工期で作った建物では、できた建物に違いが発生します。

突貫工事の性質や背景などを理解することにより、建物を買う側も作る側も有益な情報として糧にできます。

なるべく専門用語は使わずに記事を編集していくので、初心者の方にも分かりやすい記事になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

突貫工事とは?

突貫工事とは、結論「短い工期で一気に建物を完成させる工事のこと」です。

簡単なイメージ、本来は1年間くらいは必要な工事を半年で仕上げたりします。

普通の工事においては、8時から17時を目安に職人さんが作業を行います。ただ突貫工事の場合、そうは行きません。工期に間に合わせる為に大量の人員を投下し、24時間稼働で建物を作り上げます。

今よりも昔、バブルの時代にはよく行われていたみたいです。

働き方休み方改革の影響もあり、現在ではあまり見かけません。

どこからが短い工期か?という明確な指標はなく、めちゃくちゃ忙しい現場だったら「突貫工事」と読んでいる人もいます。その辺の定義は人によって曖昧です。

通常の工期でもやはり竣工直前とかは忙しくなったりします。夜通し働いたりすることもありますから、通常工期の工事だったとしても、スポット的に突貫工事になったりすることもありますね。

この記事ではそのような突貫工事ではなく、最初から無茶な工期で設定されている突貫工事について解説していきます。

 

突貫工事の問題点

その①安全面での問題

突貫工事では、とにかく急いで工事が進められます。

急いで工事を進めると起こりやすいのが事故です。突貫工事においては安全的な問題が発生しやすくなります。

工期に余裕があれば時間的な余裕があるので、安全面にも力を入れることは可能です。ただ突貫工事においては時間的な余裕が無いので、安全に関する仕事は後回しにされたりします。

例えば、足場に安全ネットが張られていなかったとしましょう。

通常の工事ならば安全パトロールなどで指摘が挙がり、安全ネットが張られます。作業員さんの安全は確保される訳です。

ただ突貫工事になれば、早く施工することに気を取られてしまいますので、安全ネットなんて後回しになります。昨今では突貫工事があまりみられなくなっていますが、それは安全面に問題があるからでしょうね。

昔は割と安全に関して緩かったんですよ。「東京タワーを施工した鳶は安全帯を付けてなかった」という話もあるくらいですからね。

ただ今は安全面が重要視されています。なるべく事故が起こらないように施工しなければなりません。突貫工事は事故が発生しやすいので、近年、突貫工事の現場は少なくなっています。

 

その②品質面での問題

突貫工事で仕上げた建物には品質面での問題も発生しやすいです。

説明するまでもありませんが、適切な工期で仕上げた建物と短期間で一気に仕上げた建物では品質レベルが全然違います。

簡単な話、15分で急いで作り上げたガンプラと1日かけて丁寧に作り上げたガンプラ、どちらの方が完成度は高くなるでしょうか?なんて聞くまでもありませんよね。

当然のことながら「必要最低限の品質」は保証されます。

建物を立てるとなると建築基準法に適した建物でなければなりませんし、安全性を確保するために消防法的にも適合している必要があります。建物を竣工するには消防検査が必要であり、消防検査を通らなければ竣工できません。よって最低限の品質は担保されます。

ただ、最低限以外の部分にはあまり期待はできません。

 

その③金銭面での問題

突貫工事になると、金銭面の問題も発生します。

まずはイニシャルコストですが、普通の工事と比較すると高額になりがちです。アルバイトとかでもそうですが、夜10時以降に仕事をする場合、昼よりも高い給料を払う必要があります。

突貫工事では夜間も職人さんが働きますから、その分の人件費が高くなります。イニシャルコストが高くなるのも突貫工事の特徴です。

また、ランニングコストも高くなりがちなのが突貫工事になります。

品質の話とも繋がってきますが、一気に建物を作っているので問題が発生しやすいです。例えば、漏水の問題が発生したとしたら、対処するのにもお金がかかります。

加えて、建物が劣化してきたら改修工事が必要になる訳ですが、新築時の作り方が悪いと改修工事にかかる必要も高くなってきます。

イニシャルコスト、ランニングコスト、どちらをとっても突貫工事は高くつきがちですね。

 

なぜ突貫工事が起こってしまうのか?

突貫工事の唯一のメリットは、建物が早くに竣工することです。

例えば、オフィスビルが2ヵ月早く竣工すれば、オーナーは2ヵ月早く客にオフィスを貸し付けることができる訳です。もし家賃の合計が500万だとして、2ヵ月早ければ1000万儲かりますよね。

不動産のオーナーからしたら、建物は早くできることに越したことはありません。

建物が早くできるなら、それだけ多くお金を儲けることができるからです。

どの建物でもオーナーは施工会社に対して、なるべく早く建物を作るよう指示します。これの究極系が突貫工事なんです。

とは言っても、突貫工事で作り上げた建物の品質が良いとは考えにくいですし、イニシャルコストやランニングコストを考えたら経済的ではありません。

お客様からしたら建物の品質は悪い。オーナーは改修工事に金がかかる。施工会社は短い後期で竣工しなければならない。

三方悪し。これが突貫工事の現状です。

 

突貫工事に関する情報まとめ

突貫工事に関する情報まとめ

  • 突貫工事とは:短い工期で一気に建物を完成させる工事のこと
  • 突貫工事の問題点:安全面、品質面、金銭面
  • 突貫工事が起こる理由:不動産オーナーの利益

以上が突貫工事に関する情報のまとめです。

個人的には突貫工事で作った建物なんて、絶対に買いたく無いですね。

マンションを購入するなんて、人生に一度か二度、あるかないかくらいですよね。一気に仕上げて問題がありそうな建物なんて買いたくないです。マンションを購入する際は施工に要した時間も確認する必要がありそうです。

施工会社としても突貫工事はなるべく受注しないようにしましょう。社員が疲弊して、下手したら会社を辞めてしまいますからね。