- 図面に「シンダーコン t=60」って書いてあるけど、普通のコンクリと何が違うの
- 職長が「シンダー打つよ」って言ってたけど、要は押えコンのこと?
- 「軽量コンクリート」と書いてる記事と「普通コン」と書いてる記事がある。どっちが正しいの
- 厚みは何mmが標準?図面に書いてないときはどうする
- ワイヤーメッシュは入れるの?線径や網目の間隔はどう指定する
- 伸縮目地って何m間隔で入れればいい
- シンダーコン・押えコン・保護コンって、全部同じ意味で使っていいの
- 発注のときレミコン屋に何て言えば通じるの
上記の様な悩みを解決します。
シンダーコンクリートは、屋上防水の押えとして使われるコンクリートの現場での呼び名です。名前の由来まで解説する記事は多いのですが、実際に図面へ「シンダーコン t=60」のように書かれたとき、それを厚み・目地・メッシュ・発注のどの数値に落とし込めばいいのかまでは触れていません。今回は名称の整理・使われ方・押えコンとの関係といった基本を押さえた上で、図面の記載をどう段取りに変換するかまで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、シンダーコンを図面や職長の指示で初めて意識した方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
シンダーコンクリートとは?

シンダーコンクリートとは、結論「屋上などの防水層の上に打つ押えのコンクリートを、現場で呼ぶときの言い方」です。図面に「シンダーコン t=60」と書かれていたら、それは防水層を守るために上から被せるコンクリートの厚さ60mmを指しているのが一般的な読み方になります。
名前の由来は英語の cinder、つまり石炭などの燃えかすです。かつては石炭がらを骨材に使って軽く仕上げたコンクリートがあり、その骨材の名前がそのまま呼び名として残りました。「石炭の燃えかす?今どきそんなもん使ってる現場あるの」と引っかかるのは正しい感覚で、ここが最初のつまずきポイントになります。
大事なのは、由来と、いま自分の現場で実際に打つものが同じとは限らないという点です。国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版では、防水層の保護コンクリートは補強筋を必要としない無筋コンクリートの適用箇所として挙げられており(6.14.1(4)(オ))、そのコンクリートの種類について「コンクリートの種類は、特記による。特記がなければ、普通コンクリートとする。」と定められています(同 6.14.1(2))。特記で軽量と指定されていなければ、打つのは普通コンクリートという扱いになるわけです。
つまり「シンダーコンクリート=必ず軽い骨材が入っている」とは言い切れません。ネット上で軽量コンクリート説と普通コンクリート説が混在しているのは、由来の話と、いま打っている実物の話が混ざっているからです。ここを分けて考えると、記事によって書いてあることが違う理由まで腑に落ちます。
では自分の現場のそれはどちらなのか。確認する場所は次の3つです。
- 特記仕様書:コンクリートの種類(普通か軽量か)と設計基準強度、スランプの指定があるか
- 屋上伏図・防水詳細図:厚さ、勾配、目地の割付け、金網の有無
- 生コン工場から出る配合計画書:実際に使う骨材と配合。ここに軽量骨材が入っていなければ、呼び名は何であれ中身は普通コンクリート
現場目線で言えば、「シンダーコンって何ですか」を人に聞くより、この3枚を開いて突き合わせるほうが早いです。呼び名は現場ごとにブレますが、図面と配合計画書に書いてある内容はブレません。コンクリートそのものの基礎から押さえたい場合は、こちらで整理しています。

シンダーコンクリート・押えコンクリート・保護コンクリートの呼び分け
「シンダーコン・押えコン・保護コンって、全部同じ意味で使っていいの」「標準仕様書に載ってないけど正式には何て言うの」という疑問は、実は10年以上前からネット上の質問サイトで繰り返されていて、いまだに一次情報で答えた記事が見当たりません。ここは原本を開いて確かめました。
結論から書くと、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の全文330ページを検索した結果、「シンダー」という文字列は0件でした。同じく名詞としての「押えコンクリート」「押さえコンクリート」も0件で、使われている語は「保護コンクリート」(40件)です。この確認は原本PDFを2026年9月3日時点で全文検索して行っています。仕様書側の正式な言い方は保護コンクリート、と覚えておけば書類で迷いません。
ただし「押え」という語がまったく無いわけではなく、工法名としては登場します。同令和7年版 9.2.5(5)(イ)には「コンクリート押えの場合は、保護コンクリートを上部天端まで確実に充填するように打ち込む。」とあります。つまり押えは工法の呼び方、保護コンクリートは物の呼び方、という整理です。現場で「押えコン」と言うとき、この2つが一緒くたになっているだけで、間違ったことを言っているわけではありません。
使い分けの目安を表にしておきます。
| 言葉 | 立ち位置 | 使う場面 |
|---|---|---|
| シンダーコンクリート | 現場語(由来は石炭がら) | 口頭のやり取り、職長との段取り |
| 押えコン | 現場語。工法名「コンクリート押え」が縮んだもの | 口頭のやり取り |
| 保護コンクリート | 公共建築工事標準仕様書 令和7年版で使われている語 | 施工計画書、品質記録、図面の特記との照合 |
僕の考えでは、この対応さえ頭に入っていれば、職長に「シンダー打つよ」と言われても、施工計画書に「保護コンクリート」と書いても、どちらも成立します。どちらかが誤りだと決めつける必要はありません。押さえるべきは、書類で通用する語がどれかを知っていることだけです。
なお、他の団体が出している仕様書や標準がこれをどう呼んでいるかは、今回は原本を確認できていないため触れません。確認していない出典を根拠にして語を紹介すると、それ自体がまた孫引きの元になってしまいます。
シンダーコンクリートの用途
用途を調べると「屋上防水の押え」と「床レベルの調節」の両方が出てきて、「土間のレベル調整の話と屋上の話が混ざって分からん」となりがちです。この2つはまったく別の場面なので、最初に切り分けます。
1つ目が、屋上・バルコニーなどで防水層の上に打つ保護のコンクリートです。アスファルト防水やシート防水を敷いたあと、その上から被せて防水層を紫外線・熱・歩行・飛来物から守ります。公共建築工事標準仕様書 令和7年版でいえば9章2節の世界で、厚さも目地も金網も、この節に規定があります。図面上は屋上伏図や防水詳細図に出てきます。
2つ目が、土間や床でレベルを調整するために打つコンクリートです。躯体のスラブを打ったあと、仕上げに必要な高さまで上げる目的で使います。こちらは防水層の保護という役割を持たないので、9章2節の規定はそのまま当てはまりません。必要な厚さは「どこまで高さを作りたいか」で決まります。
自分の現場がどちらかを判別する目安は次のとおりです。
- 下に防水層があるか:あれば①屋上の保護、なければ②レベル調整
- 図面のどこに書かれているか:屋上伏図・防水詳細図なら①、土間詳細図・床伏図なら②
- 勾配とドレンが絡むか:絡むなら①
- 伸縮目地の割付けが図示されているか:されていれば①の可能性が高い
正直なところ、この記事にたどり着く読者の多くは①だと思います。図面に「シンダーコン t=60」と書かれる場面の大半が屋上防水の押えだからです。ただ②の使い方も現場では確かに存在するので、自分がどちらの話をしているかを先に確定させてから数値を探すのが安全です。②のようにレベルを調整する目的なら、材料の選択肢はコンクリートだけではありません。セルフレベリング材との使い分けはこちらにまとめています。

土間コンクリートそのものの施工の流れを追いたいなら、こちらが近い話です。

シンダーコンクリートの比重と単位体積重量

「比重いくつで拾えばいい」「積算でどの数字なら怒られない」というのが、この記事で一番現実的な悩みだと思います。先に言葉の整理からいきます。比重は水(1.0)との重さの比なので単位を持たない数値ですが、水の密度が1.0t/m³なので、実務では単位体積重量(t/m³)と同じ数値として読み替えて使われます。仕様書で使われている用語はまた別で、「気乾単位容積質量」といいます。
その気乾単位容積質量が、公共建築工事標準仕様書 令和7年版でどう定められているかを見ます。まず「コンクリートの気乾単位容積質量による種類は、普通コンクリート又は軽量コンクリートとし、適用は特記による。」(6.2.1(2))とあり、普通コンクリートは「普通コンクリートの気乾単位容積質量は、2.1t/m3 を超え 2.5t/m3 以下を標準とする。」(同 6.2.3(1))と定められています。軽量コンクリートは表6.10.1で種類ごとに範囲が示され、参考値として1種が1.8〜2.1t/m³、2種が1.4〜1.8t/m³です(同 6.10.2(1) 表6.10.1)。
ここで押さえてほしいのが、シンダーコンクリートあるいは保護コンクリートの比重をピンポイントで定めた一次情報は見当たらないという事実です。令和7年版の中で「比重」という語が出てくるのは2件だけで、いずれもウレタンゴム系防水材の硬化物比重を指しています。ネット上でよく見る「1.5」という数字も、どこの規定から来たのかをたどれませんでした。
ついでに、以前この記事に書いてあった計算を訂正しておきます。仮に普通2.3と軽量側1.5で引き算しても、差は0.8t/m³、つまり1立方メートルあたり800kgです。8000kgではありません。桁がひとつ違うだけで積算も揚重計画も別物になるので、こういう数字こそ自分で電卓を叩き直す価値があります。
では拾い出しでは何を使うか。判断の順番はこうなります。
- 特記仕様書で普通か軽量かを確認する(6.2.1(2)で適用は特記による)
- 普通コンクリートなら2.1t/m³超〜2.5t/m³以下の標準の範囲で、設計図書の値に合わせる
- 軽量コンクリートなら、種類(1種か2種か)と気乾単位容積質量そのものが特記で指定される(同 6.10.2(1))
- 配合計画書が出ていれば、そこに書かれた値を最優先で使う
実務だと、「一般に1.5と言われています」で拾った数量は、根拠を聞かれたときに答えられません。設計図書と配合計画書という、その現場に固有の紙に書かれた値を使う。出典が示せない数値は使わない。この判断そのものが、積算で怒られないための一番の防具になります。比重と密度の違いが気になった方は、こちらで用語を整理しています。

鉄筋が入った場合の数値感を比較したいなら、こちらが判断材料になります。

シンダーコンクリートの強度と発注のしかた
「呼び強度いくつで発注する」「レミコン屋に何て言えば通じるの」という段階に進みます。まず強度の根拠から。
保護コンクリートの調合がどこに紐づくかは、公共建築工事標準仕様書 令和7年版 9.2.2(11)(ウ)(a)に「コンクリートの調合は、6章 14 節[無筋コンクリート]による。」と明記されています。その6章14節は「この節は、捨コンクリート等の補強筋を必要としないコンクリートに適用する。」(6.14.1(1))と始まり、適用箇所は特記によるとしたうえで、特記がなければ当たるものの一つとして「防水層の保護コンクリート」が挙げられています(同 6.14.1(4)(オ))。
肝心の強度は、「設計基準強度(Fc)及びスランプは、特記による。特記がなければ、設計基準強度(Fc)は 18N/mm2 とし、スランプは 15cm 又は 18cm とする。」(同 6.14.1(3))です。骨材については「粗骨材の最大寸法は、コンクリート断面の最小寸法の 1/4 以下とする。ただし、捨コンクリート及び防水層の保護コンクリートの場合は、25mm 以下とする。」(同 6.14.2(1))と定められています。
以前この記事には「強度は8〜14N/mm²」と書いてありましたが、この数値の出どころを一次情報でたどることはできませんでした。上の6.14.1(3)が示すのは、特記がなければFc=18N/mm²です。同じくコンクリート全体の上限側の規定として「コンクリートの設計基準強度(Fc)の値は、普通コンクリートにおいては 36N/mm2 以下、軽量コンクリートにおいては 27N/mm2 以下とし、特記による。」(同 6.2.2(1))もあるので、軽量を指定する場合はこの上限も効いてきます。
そして発注の場面です。ここが競合記事にほぼ書かれていないところなので丁寧に書きます。生コン工場に電話して「シンダーコンをお願いします」と言っても、まず配合を聞き返されます。プラント側が受け取れるのは、JIS A 5308で定められた製品の呼び方だからです。同規格2019年版4.1では「レディーミクストコンクリートの種類は,普通コンクリート,軽量コンクリート,舗装コンクリート及び高強度コンクリートとする。」と定められていて、この4区分のどれかを選ぶところから発注が始まります。
伝えるべき中身は、図面と特記から拾った次の要素です。
- コンクリートの種類(普通か軽量か。特記がなければ普通/令和7年版 6.14.1(2))
- 呼び強度のもとになる設計基準強度(特記がなければFc=18N/mm²/同 6.14.1(3))
- スランプ(特記がなければ15cm又は18cm/同 6.14.1(3))
- 粗骨材の最大寸法(防水層の保護コンクリートなら25mm以下/同 6.14.2(1))
- 数量(厚さ×面積にロスを見込む)
なお、発注書に書く呼び強度と、ここまで見てきた設計基準強度は同じ数字とは限りません。この記事では呼び強度の決め方そのものについて出典を示せる一次情報を確認できなかったので、決め方は断定しません。実務では配合計画書に記載された値を確認するのが確実です。製品の呼び方の読み方は、こちらで詳しく扱っています。

最後に「軽量1種・2種はこれに関係あるの」への回答です。以前この記事には「1種の方が比較的強度が強い傾向」と書いてありましたが、これは規定に基づく説明ではありません。令和7年版の表6.10.1が示す1種・2種の違いは、細骨材の種類と気乾単位容積質量の範囲です(粗骨材はどちらも人工軽量粗骨材で同じです)。1種は細骨材に砕砂・高炉スラグ細骨材・砂などを使い1.8〜2.1t/m³、2種は細骨材に人工軽量細骨材を使い1.4〜1.8t/m³という区分になっています(この質量の範囲は表6.10.1で「(参考)」と断られている値です)。JIS A 5308:2019の表2も同様に骨材の組み合わせで軽量1種・2種を分けています。強度で分けているのではなく、何を骨材に使い、結果として単位容積質量がどの帯に入るかで分けている、という理解が正確です。
ちなみにJIS A 5308:2019の4.1では、必要に応じて生産者と協議のうえ指定することができる事項として「k) 軽量コンクリートの場合は,軽量コンクリートの単位容積質量」が挙がっています。軽量を選ぶなら、単位容積質量は勝手に決まるものではなく、こちらから指定できる数値だということです。
シンダーコンクリートの厚み
「厚みは何mmが標準?図面に書いてないときはどうする」への回答です。ここは順番が大事で、まず特記を見る、それから仕様書の既定値、という順になります。
公共建築工事標準仕様書 令和7年版 9.2.5(4)(イ)には「保護コンクリートの厚さは、特記による。特記がなければ、こて仕上げの場合は 80mm 以上とし、床タイル張り等の仕上げの場合は 60mm 以上とする。保護コンクリートは、所定の勾配に仕上げる。」とあります。ここで見落としてはいけないのが、数値が仕上げの種類とセットになっている点です。80mmと60mmという2つの値があるのは、上に何を載せるかで変わるからで、仕上げを確認せずに数字だけ持ち出すと外れます。
図面に「t=60」と書いてあれば、それが特記なのでその値が優先されます。上のルールが効くのは、あくまで特記が無いときです。こて仕上げにする場合の工法についても、同 9.2.5(4)(ウ)で「こて仕上げの場合は 15 章4節[床コンクリート直均し仕上げ]により、その工法は 15.4.3[工法](1)の(ア)から(ウ)まで及び(2)による。」と、参照先が指定されています。
一方、前の章で分けた②のレベル調整として打つ場合は、これらの規定の対象ではありません。この場合の厚さは、仕上げ面の設計高さと下地の実測レベルの差で決まります。設計図を確認し、必要な高さを拾うところから始めます。

材料の手配で必要になるのは面積です。数量は「必要厚さ×面積」で出るので、広い範囲に打つならその分だけ多くの生コンが要ります。打設当日に材料が足りない事態を避けるため、ロスを見込んで手配するのが通例です。屋上の場合は勾配がついているぶん平均厚さが場所によって変わるので、最小厚さだけで拾うと足りなくなる点に注意してください。
屋上に打つときの層の重なりと溶接金網
屋上で実際に打つときに施工管理が指摘されやすいのが、層の順番と溶接金網です。順に見ていきます。
まず「防水層の上に直接打つのか」という疑問から片づけます。防水層と保護コンクリートのあいだには絶縁用シートが入ります。下から順に並べると、防水層 → 絶縁用シート → 保護コンクリート、という重なりで、溶接金網はいちばん上の保護コンクリートの中に埋まる形になります。公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 9.2.5(3)(イ)が「ポリエチレンフィルムは、防水層の施工完了後、重ね幅 100mm 程度で敷き並べ、接着テープ、シール材等で要所を固定する。」としているとおり、絶縁用シートは防水層が終わってから敷く順番です。その敷き方は同 9.2.5(3)(ア)が「絶縁用シートは、立上り面等に 30mm 程度張り上げる。」と定めています。溶接金網の敷込みと保護コンクリートの打込みは同 9.2.5(4)「平場の保護コンクリートは、次による。」の配下にまとめられており、成形伸縮目地材の建込みは同 9.2.5(6)(イ)が定めています。ただし各層の厚さや材料は「特記による」が前置きに付くものが多いので、順番は上のとおりに固定で、中身は図面の防水詳細図と特記仕様書で確認する、という読み方になります。
続いて溶接金網の仕様です。同 9.2.2(11)(ウ)(b)には「保護コンクリート内に敷設する溶接金網は、JIS G 3551 (溶接金網及び鉄筋格子) に基づき、鉄線の径6mm、網目寸法 100mm とする。」とあります。ワイヤーメッシュを何で指定すればいいのかという疑問には、この規格番号・線径・網目の3点で答えられます。図面に「ワイヤーメッシュ」としか書かれていなくても、この規定を根拠に仕様を確認しにいけます。
次に重ねです。同 9.2.5(4)(ア)に「保護コンクリートに敷込む溶接金網の重ねは、1節半以上、かつ、150mm 以上とする。」と定められています。網目が100mmですから、1節半は150mmになり、結果として150mm以上を確保する形になります。ここは検査で実際に見られるところなので、敷き込みの段階で写真を残しておくと後が楽です。
かぶり厚さについては、はっきり書いておきます。令和7年版の9章2節には、保護コンクリート内の溶接金網のかぶり厚さの数値規定が見当たりません。5章にあるかぶり厚さの表は構造部分の種類ごとの表で、防水層の保護コンクリートはそこに掲げられていないためです。つまり「規定を調べれば何mmと出てくる」類の数字ではないので、特記仕様書と施工要領で確認するのが筋になります。ここを一般論の数値で埋めてしまうと、根拠を聞かれたときに答えられません。
立上り部については、別に規定があります。同 9.2.5(5)は「立上り部は次により、保護工法は特記による。」としたうえで、そのうちコンクリート押えとする場合について同 9.2.5(5)(イ)が「コンクリート押えの場合は、保護コンクリートを上部天端まで確実に充填するように打ち込む。」としています。ここは平場ではなく立上り部の規定なので、読むときに取り違えないところです。屋内側の話になりますが、同 9.2.5(4)(エ)には「屋内防水密着工法で、保護コンクリートに配管を行う場合等は、防水工事完了後、全面に厚さ 15mm 程度の保護モルタル塗りを行う。」、同 9.2.5(5)(ウ)には「屋内等でモルタル押えの場合は、防水層に間隔 200mm 程度にとんぼ付けし、メタルラスを取り付けた後、モルタルを厚さ 30mm 程度に塗る。」という規定もあります。押えの方法はコンクリートだけではない、ということです。
「絶縁シートは何を使うのか」については、材料も敷き方も規定があります。同 9.2.2(10)は「絶縁用シートに使用する材料は、特記による。特記がなければ、屋根保護防水密着工法又は屋根保護防水絶縁工法の場合はポリエチレンフィルム厚さ 0.15mm 以上のもの又はポリプロピレン、ポリエチレン等を平織りしたフラットヤーンクロス (70g/㎡程度)とし、屋根保護防水密着断熱工法又は屋根保護防水絶縁断熱工法の場合はポリプロピレン、ポリエチレン等を平織りしたフラットヤーンクロス (70g/㎡程度) とする。」としています。敷き方も定められていて、同 9.2.5(3)(ア)が「絶縁用シートは、立上り面等に 30mm 程度張り上げる。」、同 9.2.5(3)(イ)が「ポリエチレンフィルムは、防水層の施工完了後、重ね幅 100mm 程度で敷き並べ、接着テープ、シール材等で要所を固定する。必要に応じて、強風時のはく離、浮揚防止のため、重ね部分等の要所をモルタルで押さえる。」としています。屋上は風が当たるところなので、後半のモルタル押えは打設前に段取りとして効いてきます。まず図面の特記を見て、書かれていなければこの規定に当たる、という順番になります。
アスファルト防水そのものの工程は、別の記事で工法ごとに追っています。

シート防水の場合の考え方は、こちらで扱っています。

シンダーコンクリートの伸縮目地の割付け
「伸縮目地って何m間隔で入れればいい」「目地の深さは全厚を切るの?防水層を傷めない?」という2つの疑問に答えます。どちらも規定で答えが出ます。
割付けの寸法は、公共建築工事標準仕様書 令和7年版 9.2.5(6)(ア)に「平場の保護コンクリートは、伸縮目地を設ける。伸縮目地の割付けは、周辺の立上り部の仕上り面から 600mm 程度とし、中間部は縦横間隔 3,000mm 程度とする。また、伸縮目地は、排水溝を含めて、立上りの仕上り面に達するものとする。」と定められています。周辺は600mm程度、中間は縦横3,000mm程度。ここが読者の探している数字だと思います。
深さの疑問には、同じ条文の後半が答えになっています。「立上りの仕上り面に達するものとする」とあるとおり、目地は保護コンクリートを貫いて立上りまで通します。加えて同 9.2.2(11)(ア)(a)では目地材の仕様として「キャップ幅は 25mm、本体はキャップ幅の 80%以上、保護コンクリートの上面から下面にまで達するよう高さの調節が可能なもので、キャップ側面に付着層又はアンカーを備えた製品とする。」と定められています。上面から下面まで達する製品を使う、という前提です。
ここで誤解が解けるはずです。目地は「打ったコンクリートを後から切って作る」ものではありません。同 9.2.5(6)(イ)に「伸縮目地に用いる材料は成形伸縮目地材とし、目地材の製造所の仕様により所定の高さに設置し、保護コンクリートを打ち込む。」とあるとおり、成形された目地材を先に建て込んでから、その間に保護コンクリートを打ちます。カッターを入れて防水層を傷めるのではないか、という心配は、この段取りを知れば解消します。
立上り部の保護工法をコンクリート押えとする場合は、この割付けが立上り部にも効いてきます。同 9.2.5(5)(イ)は「コンクリート押えの場合は、保護コンクリートを上部天端まで確実に充填するように打ち込む。また、平場の保護コンクリートの伸縮目地の位置には、7節により、ひび割れ誘発目地を設け、シーリングを行う。」としています。平場の伸縮目地の位置に合わせて、立上り部の側にひび割れ誘発目地を設けてシーリングする、という関係です。
上にタイルを張る場合は、ここで用語が変わります。同 11.2.6(2)(ケ)は「防水層の保護コンクリート等の上にタイルを張る場合は、9.2.5[保護層等の施工](6)による伸縮目地に合わせて、タイルの伸縮調整目地を設ける。」としています。タイル側の目地位置は「伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地の位置は、特記による。特記がなければ、表 11.1.1 による。」と定められており(同 11.1.3(1))、その表11.1.1の注に「防水層の保護コンクリートの場合は、3m 程度とし、11.2.6 (2)(ケ)による。」とあります。保護コンクリート側は伸縮目地、タイル側は伸縮調整目地。名前が違うので、書類に書くときは混ぜないほうが安全です。
段取りとして押さえる順番はこうなります。なお並び自体は仕様書が施工順序として定めたものではなく、各行の規定を現場の段取りに並べ直した整理です。括弧内は、その行の根拠になる条番号を示しています。
- 目地割付図を先に作る(周辺600mm程度、中間3,000mm程度/9.2.5(6)(ア))
- 排水溝とドレンの位置を割付けに反映させる(目地は排水溝を含めて立上りの仕上り面に達する/9.2.5(6)(ア))
- 成形伸縮目地材を所定の高さに建て込む(9.2.5(6)(イ))
- 溶接金網を敷き込み、重ねを確認する(9.2.5(4)(ア))
- 保護コンクリートを打ち込み、所定の勾配に仕上げる(9.2.5(4)(イ))
- タイル仕上げがある場合は、タイル側の伸縮調整目地を同じ位置に合わせる(11.2.6(2)(ケ))
僕の整理では、この6ステップの順番さえ守れば、屋上の押えで大きく外すことはありません。逆に、目地割付図を後回しにして打設日から逆算すると、たいてい割付けが破綻します。
ひび割れ・浮き・目地の飛び出しをどう見るか
「屋上のシンダーコンがひび割れてると指摘された。これって不具合なの」という悩みは、改修工事の記事を読むと「劣化しています、工事が必要です」に着地しがちです。新築で打つ側の視点から整理し直します。
そもそも屋上の保護コンクリートは、伸縮目地を設けることが規定されています(公共建築工事標準仕様書 令和7年版 9.2.5(6)(ア))。日射と外気温で伸び縮みする前提があり、その動きを一箇所に集めて逃がすために目地を入れる設計になっている、ということです。何も動かない前提で作られているものではありません。
だから見るべきは「ひび割れているかどうか」ではなく、「逃がすはずの動きが、想定した場所で逃げているか」です。目地の割付けが規定どおりに入っているか、目地材が上面から下面まで達しているか(同 9.2.2(11)(ア)(a))、排水溝を含めて立上りまで達しているか。この3点が守られていない現場では、動きが目地以外の場所に出ます。
一方で、ひび割れの幅が何mmまでなら許容されるのかという問いには、この記事では数値で答えません。今回確認した範囲でその許容値を定めた規定にたどり着いていないためです。数値で線を引きたくなる気持ちは分かりますが、根拠の無い数字を持ち出して「問題ない」と言い切るのは、施工管理としては一番やってはいけない部類の判断だと考えています。是正が必要かどうかは、設計図書の記載と監理者との協議で決めるものです。
目地が飛び出して見えるという指摘についても、同じ考え方で臨みます。目地材は保護コンクリートの上面から下面まで達し、高さの調節が可能な製品と定められています(同 9.2.2(11)(ア)(a))。所定の高さに設置されていたか、打込み時に浮き上がっていないかを、施工記録と写真で遡る。原因を段取りの側から確認するほうが、劣化かどうかの水掛け論より早く片づきます。
自分としては、この章で一番言いたいのは「打つ前に押さえておけば、後から見る側に回らずに済む」ということです。目地割付図、金網の重ね、厚さと仕上げの種類、勾配。この4点を打設前に確定させておけば、あとから指摘を受けたときにも、何が想定内で何が想定外かを自分の言葉で説明できます。
屋上の押えひとつでも、規定を辿って根拠を持って答えられる人と、ネットの数字をそのまま持ってくる人では、現場での信頼のされ方がまるで違ってきます。そうやって積み上げた知識は、次の職場でも評価される材料になります。年収・拘束時間・職種のどれを変えたいかで選ぶ形にまとめているので、いま置かれている環境を考え直したくなったときの材料にしてみてください。

シンダーコンクリートに関する情報まとめ

- シンダーコンクリートとは:屋上などで防水層の上に打つ押えのコンクリートの現場での呼び名。由来は石炭がらだが、いま打つものが軽量とは限らない
- 呼び分け:公共建築工事標準仕様書 令和7年版に「シンダー」も名詞の「押えコンクリート」も無く、使われている語は「保護コンクリート」
- 用途:屋上防水の保護と、土間・床のレベル調整の2つ。防水層の有無と図面の種類で切り分ける
- 比重・単位体積重量:普通は2.1t/m³超〜2.5t/m³以下が標準、軽量1種1.8〜2.1、2種1.4〜1.8(軽量側は参考値)。拾い出しは設計図書と配合計画書の値を使う
- 強度と発注:特記がなければFc=18N/mm²、スランプ15cm又は18cm、粗骨材25mm以下。プラントにはJISの製品の呼び方で伝える
- 厚み:特記が最優先。特記がなければこて仕上げ80mm以上、床タイル張り等の仕上げ60mm以上
- 層の重なりと溶接金網:下から防水層→絶縁用シート→保護コンクリート。溶接金網は保護コンクリートの中に敷き込む。金網はJIS G 3551、径6mm、網目100mm、重ねは1節半以上かつ150mm以上。かぶりの数値規定は9章2節に見当たらない
- 伸縮目地:周辺600mm程度、中間は縦横3,000mm程度。成形目地材を先に建て込んでから打つ
- ひび割れ・浮き:目地で動きを逃がす設計。許容値を数値で断定せず、設計図書と監理者の判断で決める
以上がシンダーコンクリートに関する情報のまとめです。
シンダーコンクリートは、名前の由来を知って終わりにできる用語ではなく、厚さ・目地・金網・発注という4つの数値に落とし込んで初めて段取りになるものです。今回いちばん伝えたかったのは、出てきた数字の一つひとつに「どの仕様書の何条から来たのか」を付けて持つと、根拠を聞かれても答えられるし、間違った数字が回ってきたときに気づけるということでした。まずは自分の現場の特記仕様書と配合計画書を開いて、この記事の数値と突き合わせてみてください。
コンクリートの仲間であるセメント・モルタルとの違いを整理しておくと、材料の話全体が見通しよくなります。

単位体積重量を使った重量の出し方は、こちらにまとめています。

