セルフレベリング材とは?厚みや種類、施工の流れなどを解説

セルフレベリング材とは

セルフレベリング材とは、結論「材料を流し込むだけで勝手に水平になってくれる材料のこと」です。

『いやいやそもそもレベルってなんやねん』という人もいると思うので解説しておくと、レベルとは「高さ」のことです。『最初から高さって言えや』という意見は受け付けておりません。

レベリングとは高さ調整をすることで、セルフレベリングは「セルフ(自分で)」高さを調整するという意味合いになります。

基本的にレベリングの工事は、ざっくり下記のような流れで進んでいきます。

レベリング工事の流れ(ざっくり)

  • レベルを測る
  • レベルを見て材料を流し込む
  • 適切なレベルになるように慣らす

セルフレベリング材の場合は、勝手にレベルを調節してくれるので慣らす必要がないんですよね。ただ流し込むだけ。超簡単です。

慣らすのは左官屋さんの仕事ですが、左官屋さんが不要になる分、経済的です。

また、普通の材料を使う時に比べて、スピーディーな施工が可能です。

スピーディーな施工が可能なら、一日にこなせる現場が増えますから売上に直結します。顧客としても比較的安めの値段で発注できるので、皆が幸せになれます。

セルフレベリング材は不陸調整が必要になった時などに使われます。

不陸とは「コンクリート面がデコボコになっている状態のこと」でして、不陸調整とは「コンクリートのデコボコを平らに直す作業」です。

デコボコを平らにするというのはつまり、全体のレベルを調整するということですから、セルフレベリング材の出番という訳ですね。

 

セルフレベリング材の種類

セメント系セルフレベリング材

セメント系のセルフレベリング材は、セメントを原料としたセルフレベリング材になります。

モルタルと成分はよく似ていて、簡単な話コンクリートのようなものです。

そもそも床はコンクリートで出来ていますから、補修する際の原料にコンクリート(セメント)を選ぶのは当然の発想かなと思います。

原料が同じなら見栄えとしても違和感無く馴染みます。

セメント系のセルフレベリング材を利用するメリットは、耐水性があることです。

建物の用途によっても異なりますが、ある程度どんな用途でも床が水に晒されることはあります。水に耐えられれば長期間働いてくれますから、ランニングコストも下がります。

デメリットとしては「厚みがないこと」が挙げられます。

簡単な工事ならいいのですが、いかついレベリング工事には向きません。セメント系のセルフレベリング材には厚みがありませんから、簡単なデコボコしか直すことが出来ません。

 

石膏系セルフレベリング材

石膏系セルフレベリング材は、石膏が原料のセルフレベリング材です。

石膏はチョークの原料になってる奴ですね。石膏ボードなんかとも原料は似ていて、硫酸カルシウムと呼ばれる素材が使われています。

セメント系のセルフレベリング材と比較すると、ひび割れの危険性が少ないです。

床にひび割れが入っていると、相当見た目が悪いですからね。もともと躯体ちっくな仕上げの建物ならいいかもしれませんが、そうでなかったら目立って外観を損ねます。

ただ耐水性が無いというデメリットもあります。

水に晒される危険性が少ない場所ならいいのですが、調理場など、水が飛び散る頻度が高ければ石膏系のセルフレベリング材は向きません。

 

セルフレベリング材の厚み(最大)

セルフレベリング材の厚みは、結論「2mm〜50mm」です。

もちろんメーカーや使用される場所によっても異なりますので、一概には言えません。ざっくり言った場合の数字です。

2mm〜50mmとは言いましたが、必要な分だけ使えばいいんですよ。

要はデコボコが消えればいい訳ですからね。10mmでデコボコが消えてくれるなら、わざわざ20mmのものとかを使う必要はありません。

注意点としては、セルフレベリング材が余らないよう注意が必要です。

レベリング工事専門の業者だったら、別の現場で使うことがあるかと思いますので、多少は注文しすぎても問題はありません。

ただ専門の業者ではない業者がセルフレベリング材を注文するとしたら、別の現場でセルフレベリング材が必要になる可能性は少ないです。

なるべく余りが無いように発注しましょう。

 

セルフレベリング工法(SL工法)とは?

セルフレベリング工法とは、結論「セルフレベリング材を流して、床スラブを平らにする工法」です。SL工法とも呼ばれたりしますね。

躯体工事において、コンクリート打設がうまくいかず、微妙に床が曲がったりすることがあります。型枠がコンクリートの重さに耐えられず、変形するからです。

端と端でレベルが違っていたら困りますよね。

見栄えの問題もありますし、利用者の快適さにも影響します。本当に数ミリの施工誤差とかなら誰も気になりませんが、大きなレベル差になってくると問題です。

簡単な話、傾いている建物とか気持ち悪いですよね。

そこで登場するのがセルフレベリング工法です。

セルフレベリング工法を使うことで、床を平らにすることができます。

メリットとしては先ほども軽く話しましたが「慣らす必要がない」ということでして、左官屋さんが不要になることです。業者が一社分不要になるので、施工にかかるお金が減ります。

また、早く施工することができるのもメリットです。

例えば、新築工事だったら、多くの業者が部屋を出入りします。

もしかしたらセルフレベリング材が乾く前に間違えて入ってしまう人がいるかもしれません。となると足跡が付いてしまうのでやり直しです。

セルフレベリング材が固まるまでは、その部屋に入ることはできません。となると他の業者の工事が進みませんし、工事も効率的に進めることができません。

セルフレベリング工法はスピーディーに施工が完了するので、現場全体としてもメリットの大きいやり方です。

 

セルフレベリングの施工方法

セルフレベリングの施工①下準備

セルフレベリングの施工ではまず、下準備から始まります。

具体的には、プライマーという「塗装を行う際、最初に塗るもの」を塗ったり、レベルを直すところの下地を清掃したりします。

下地にゴミが溜まっているとレベリング材を流した時、中に埋まってしまいますからね。

あと現場に電動工具を持ち込む際は届出が必要だったりします。

セルフレベリング工法では、ディスクグライダーという工具を使ったりします。コンクリートを研磨する工具ですね。

下準備では必要な工具を現場に持ち込んだり、下地を整えたりと、工事を行う前段階の準備を全て終わらせましょう。

 

セルフレベリングの施工②材料を流し込む

下準備ができたら、セルフレベリング材を流し込みましょう。

基本的にセルフレベリングは素材と素材の混ぜ合わせでできています。必要な素材を混ぜ合わせて、セルフレベリングを流します。

注意点としては、気温が低すぎる場合は暖めることです。

「可使時間」という言葉を使いますが、素材を混ぜ合わせてからの使用時間が短くなってしまいます。多くのメーカーのものでは気温が5°以下だと可使時間が短くなってしまいます。(3°のものもありますね)

あとは、直射日光が当たる場所にセルフレベリング材を流し込む場合は養生が必要になります。

 

セルフレベリングの施工③養生

セルフレベリング材を流し込んだら、養生をしましょう。

流し込んだ直後はセルフレベリング材が固まっていません。もし誰かに踏まれたりしたら、足跡が残ってしまします。

また、風でセルフレベリング材が変形する可能性もあるので、窓も閉めます。

養生後、時間が経ったら換気を行いましょう。

 

セルフレベリングの施工④仕上げ

最後はセルフレベリング材の仕上げを行います。

ディスクグライダーという工具でコンクリートを研磨したり、スプレーを吹いて仕上げを綺麗にしたりです。お客様に引き渡すので、綺麗な状態にしましょう。

また、下記の場合は直しが必要です。

直しが必要な場合

  • 気泡が入ってしまっている
  • ひび割れの場所がある
  • 不陸が発生してしまっている

 

セルフレベリングに関する情報まとめ

セルフレベリング材に関する情報のまとめ

  • セルフレベリング材とは:材料を流し込むだけで勝手に水平になってくれる材料のこと
  • セルフレベリング材の種類:セメント系、石膏系
  • セルフレベリング材の厚み:2mm〜50mm
  • セルフレベリング工法とは:セルフレベリング材を流して、床スラブを平らにする工法
  • セルフレベリングの流れ:下準備→材料を流し込む→養生→仕上げ

以上がセルフレベリング材に関する情報のまとめとなります。

セルフレベリング材は基本的に「やり直し工事」の側面が大きいです。最初っからちゃんとレベルが合っていたりすれば、必要の無い工事になります。

とはいえ、現場でイレギュラーが発生しないなんてことはほぼ100%ありません。

多くの業者、多くの人はセルフレベリング材を使うタイミングがあると思います。

何度も読み直して記憶に定着するようにしましょう。