【タイトル】: 支点・力点・作用点とは?意味、見分け方、てこの原理、現場の例など
【カテゴリ】: 建築の技術知識
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- 支点・力点・作用点ってどう違うの?
- 簡単に見分ける方法はある?
- てこの種類って何種類あるの?
- 公式は?
- 現場でも使う?
- 構造力学の「支点」と同じ意味?
上記の様な悩みを解決します。
支点・力点・作用点はてこの3要素で、物理の基本中の基本ですが、構造力学や現場の道具を理解する上でも必須の前提知識です。建築の試験対策や、現場でなぜそれだけの力で物が動くのか、という理屈を腹落ちさせるために、押さえておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
支点・力点・作用点とは?
支点・力点・作用点とは、結論「てこを使うときの3つの位置を表す用語」のことです。
| 要素 | 意味 | 英語 |
|---|---|---|
| 支点(してん) | てこを支える・回転の中心になる点 | fulcrum |
| 力点(りきてん) | 人が力を加える点 | effort |
| 作用点(さようてん) | 物に対して力が作用する点(重い物がある場所) | load |
この3つが棒(てこ)の上にあるとき、人は「力点」に小さい力を加えて、「作用点」にある重い物を「支点」を中心に持ち上げる、という仕組みになります。中学理科の代表トピックですが、建築・施工管理でも構造力学・現場の道具・改修工事のこじり作業に出てくる、息の長い知識です。
なお、構造力学に出てくる「支点」(ピン支点・ローラー支点・固定支点)は、てこの支点と意味が近いですが、文脈が違います。
| 文脈 | 支点の意味 |
|---|---|
| てこ(小学・中学理科) | てこを回転させる中心となる固定点 |
| 構造力学(梁・橋) | 部材を支える境界条件(ピン・ローラー・固定) |
両者は「動かない・回転中心になる」という性質が共通しているだけで、違う対象を指しています。会話で混乱しないよう、文脈で読み分ける感覚を持っておくと安全ですね。
3要素の見分け方
問題文を読んで「どこが支点・力点・作用点か分からない」となるパターンが多いので、見分け方のシンプルな手順を整理しておきます。
| ステップ | 見るところ |
|---|---|
| ①支点を先に決める | てこ全体が「どこを中心にぐるっと回るか」を見つける |
| ②力点を見つける | 人が手を添えて力を入れている場所 |
| ③残りが作用点 | 動かそうとしている荷物・反応する相手 |
身近な例で当てはめてみます。
ハサミを使う場面
| 要素 | 位置 |
|---|---|
| 支点 | ハサミの中央のネジ(軸) |
| 力点 | 指を入れる持ち手 |
| 作用点 | 紙を切る刃の先 |
バールで釘を抜く場面
| 要素 | 位置 |
|---|---|
| 支点 | バールの曲がりを材木に当てた点 |
| 力点 | バールの柄を握った手 |
| 作用点 | 釘の頭にひっかけたツメ |
栓抜きで瓶を開ける場面
| 要素 | 位置 |
|---|---|
| 支点 | 栓抜きの先端が瓶のフチに当たる点 |
| 力点 | 持ち手側 |
| 作用点 | 王冠に引っかかる凹み |
「支点はどこだろう?」をまず固定すると、3つの関係が一気に見える、というのがコツです。
てこの3種類
てこは、3要素の並び順によって3種類に分類されます。試験で出題されるのもこの分類で、現場の道具がどの種類かを判別できると応用が効きます。
| 種類 | 並び順 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|---|
| 第1種てこ | 力点—支点—作用点 | 支点が真ん中。力の向きが反転する | バール、ハサミ、釘抜き |
| 第2種てこ | 支点—作用点—力点 | 作用点が真ん中。小さい力で大きな荷重を動かせる | 一輪車、栓抜き |
| 第3種てこ | 支点—力点—作用点 | 力点が真ん中。力は損するがスピードを稼げる | ピンセット、トング、人の腕 |
第1種てこ(バール・ハサミ)
支点が真ん中にあり、力点と作用点が反対側にあるパターン。力の向きが逆転するのが特徴で、下に押すと反対側が上に上がります。バールで釘を抜く、ハサミで紙を切る、釘抜きで釘を抜く、といった「テコの代表例」がほぼこの第1種です。
第2種てこ(一輪車・栓抜き)
支点を端に置き、作用点を真ん中、力点を反対の端に置くパターン。力点と支点の距離を作用点と支点の距離より長くできるので、必ず楽になる(人間の力を増幅できる)構造です。一輪車で土を運ぶときに、ハンドルを少し上げるだけで荷台の重い土を浮かすことができるのは、この原理ですね。
第3種てこ(ピンセット・トング)
支点が端にあり、力点が真ん中、作用点が反対の端にあるパターン。第2種とは逆で、力点と支点の距離が短くなるため、力は損する(増幅されない)一方、作用点の動く距離が大きくなるので「素早く動かせる」「細かく動かせる」のがメリット。ピンセットや人間の腕(肘が支点、二頭筋が力点、手のひらの荷物が作用点)が代表例です。
てこの原理と公式
てこには「つり合いの式」があります。理科の定番公式ですが、建築の構造力学でもそのまま使われる基本式です。
てこのつり合いの式
力点の力 × 力点と支点の距離 = 作用点の力 × 作用点と支点の距離
記号にすると、F1 × L1 = F2 × L2 という形。これを「モーメントのつり合い」と呼びます。
簡単な計算例
長さ2mの棒の片端に重さ100kgの物を置き、反対の端に手を置いて、支点を「重い物から50cm」の位置に取った場合。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 作用点と支点の距離 L2 | 0.5 m |
| 力点と支点の距離 L1 | 1.5 m |
| 作用点にかかる力 F2 | 100 kgf |
| 力点に必要な力 F1 | F1 × 1.5 = 100 × 0.5 → F1 = 33.3 kgf |
つまり、本来100kgf必要なところを、てこを使うだけで33kgfで済む、という計算になります。「力点を支点から遠くに取る」ほど少ない力で済む、というのがてこの本質ですね。
これは構造力学で言うところの「モーメント=力×距離」の式そのもの。曲げモーメント・せん断力・反力の計算で使うのと同じ理屈で動いている、と理解しておくと、構造の世界に踏み込みやすくなります。

建築・現場での実例
建築・施工管理の現場でも、てこの原理は意外といたる所で活躍しています。意識せず使っている道具・作業がほとんどなので、普段の動きを「これ第何種だろう?」と眺めてみると、原理の理解が進みます。
バールでの解体・釘抜き
リフォーム・解体工事で出番が多いバール。釘抜きでは、バールの曲がり部分を材木にあて(支点)、柄に手で力を加える(力点)、爪で釘の頭を引き上げる(作用点)。第1種てこです。長いバールほど少ない力で釘が抜けるのは、L1(力点と支点の距離)を稼げるから。
パイプレンチ・モンキーレンチでのボルト緩め
固着したナットを緩めるとき、レンチの柄を長くするほど少ない力で済みます。ナットを支点、レンチの噛み込み部分が作用点、握る位置が力点。これも第1種てこ的な働き方をしています。
台車・一輪車での荷物運搬
一輪車(ねこ車)は典型的な第2種てこ。前輪を支点、荷台が作用点、ハンドル位置が力点。重いコンクリートやセメントを運べるのは、この原理あってこそ。
型枠の建て込み・調整
型枠工事で、わずかにズレた型枠を「こじって」位置を直す作業も、近くの固定物を支点にしててこの原理で動かすことが多いです。「コンパネをいきなり力で押すと割れるが、近くに当て木を入れて梃子で動かすと簡単に動く」というのは現場のあるある。
コンクリート振動機(バイブレータ)の操作
バイブレータを差し込んで動かすときの腕の動きは、肘を支点(第3種てこ)にした動作。力点(二頭筋)が真ん中、作用点(手元のヘッド)が先端で、力では損する代わりに細かい操作ができる仕組みになっています。
重量物の据付・微調整
設備の機器据付で、ジャッキで持ち上げる前の最後の数cmはバール+当て木で「こじる」作業がよくあります。あれは現場版の第1種てこの活用例。施工管理として、重量物の動かし方を職人さんと相談する場面で「支点はどこに取るか」「当て木を厚くしてL1を稼げないか」という言葉が出ると、話が早く進みますね。
支点・力点・作用点に関する情報まとめ
- 支点・力点・作用点:てこの3要素。支点は回転中心、力点は人が力を加える点、作用点は物が反応する点
- 見分け方:支点を先に決め、次に力点(人の手)、残りが作用点
- てこの3種類:第1種(支点が真ん中)/第2種(作用点が真ん中)/第3種(力点が真ん中)
- 公式:F1×L1=F2×L2(モーメントのつり合い、構造力学のモーメント式と同じ)
- 現場の例:バール、レンチ、一輪車、型枠こじり、機器据付の微調整
以上が支点・力点・作用点に関する情報のまとめです。
理科の教科書の話に見えて、実は施工現場の道具と作業のあちこちに息づいているのが、てこの3要素ですね。「どこが支点で、どこに力を入れたら一番楽か」を意識して動くだけで、現場の作業負担も安全性もぐっと変わります。構造力学の入り口としてのモーメントの感覚も、ここから入ると体に馴染みやすいですよ。





