- 躯体工事ってなに?
- どういう流れで進むの
- 各業者はどんな仕事をするの?
- 躯体工事における注意点って?
上記の様な悩みを解決します。
躯体工事は新築工事においてボリュームが大きく、コンクリートというその性質から「やり直しができない」重要な工事です。
間違えると取り返しがつかなくなってしまうので、知識として抑えておきましょう。
この記事では躯体工事とは?といったところから、流れ、各業者の仕事内容、注意点、重要性などについて詳しく解説していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
躯体工事とは?
躯体工事とは、結論「建物の骨組みを作る工事」です。
全体的な話をすると、建物はざっくり「基礎工事→躯体工事→内装工事」の流れで進みます。
工事が始まる前はただの平地ですよね。平地を掘ってコンクリを流しこみ、建物の土台を作るのが基礎工事になります。その後躯体工事で骨組みを作り、内装工事で中身を完成させる感じです。
基本、コンクリートを施工しますので、忘れ物がないようにしなければなりません。
内装工事で何かミスってもなんとかなりますが、躯体工事でミスるとなんとかならないことがあります。コンクリートは固まってしまったら、元に戻せません。
躯体工事の大まかな流れ
躯体工事の流れ
- 鳶が足場組んで
- 鉄筋屋が配筋して
- 大工が型枠を組んで
- サブコンが打込みをして
- コンクリートを打設する
上記のような流れで躯体工事は進みます。(RC造の場合)
S造やSRC造では鉄骨も絡んできますね。あと型枠かデッキかによったりするので一言でまとめられませんが、ざっくりこんな感じです。
「鳶・大工・鉄筋」が躯体業者と呼ばれ、躯体工事をメインで担当します。ちなみに、職長会とかでも会長になったりするのがこの3業者です。(なぜか現場でのヒエラルキーが高い)
自分がどの業者なのかによって、現場に入るタイミングが変わります。
躯体工事に必要な業者
躯体工事に必要な業者①鳶
鳶は足場を組みます。「足場屋」とも呼ばれたりしますね。
足場がなければ他の業者が高いところで作業できませんよね。33階立てのビルだったら、33階の高さまで足場を組んでいかなければなりません。
東京タワーとか、東京スカイツリーとかを作るときは、あの高さまで足場が組まれていたということです。恐ろしい仕事ですね。僕はできる気がしませんよ。
というよりも、足場がちゃんとしてなくて事故が発生してしまったら、十中八九重大な災害になります。安全性が最も求められる仕事です。
躯体工事に必要な業者②大工
大工は型枠を組みます。
躯体工事で建物の骨組みを作る為には、コンクリートを流しこむ型が必要になりますよね。コンクリートを流しこむ型を作るのが大工の仕事です。
例えば、正方形の型があって、そこにコンクリートを流しこめば正方形のコンクリートが完成します。同様に、コンクリートの柱が欲しかったら柱の型が必要になります。
変な形の型を作ると、変な形の柱が完成してしまいます。コンクリートは固まってしまったら変形しませんから大変なことになります。
躯体工事に必要な業者③鉄筋
鉄筋屋はその名の通り、鉄筋を配筋します。
コンクリートで建物の骨組みを作っていくのが躯体工事な訳ですが、コンクリートだけでは強度が足りません。鉄筋を配筋することによって、強度を補強しているイメージです。
軟弱な骨なら外的要因(地震とか)によって、簡単に骨折してしまいます。人なら時間が立てば骨は直りますが、建物の鉄筋が折れたら簡単には戻せません。
鉄筋は一本一本が長いです。
長いものを持ち運ばなければならないので、周囲に気をつけなければなりませんし、搬入も大変です。あとは普通に重そうにも見えます。
躯体工事に必要な業者④コンクリート業者(土工)
コンクリート業者(土工)は、型枠にコンクリートを流し込みます。
それだけ聞くと簡単に聞こえるかもしれませんが、実際の現場ではかなり大変そうです。
まず、コンクリートは重いです。ユニット車からコンクリートを供給する訳ですが、供給するパイプがまあいかついこと。めちゃくちゃ重いので力が必要な作業です。
あとは基本的に鉄筋の上に乗って作業することになるので、足元が不安定になります。加えて雨なんか降ったら足元を滑らせやすくなるので、危険も伴います。
躯体工事に必要な業者⑤墨出し
建築の設計図には、通り芯が表示されていますが、現場に通り芯はありません。通り芯を出さなければならないので、墨出し屋さんが存在します。
墨出し屋さんの出した墨が、全ての基準になります。
もし墨出し屋さんの出した墨が500mmずれていたら、建物の柱や電気機器、空調機器やトイレなど、全てが500mmずれることになります。他のどの仕事よりも正確さが求められるので、めちゃくちゃ大変です。
躯体工事に必要な業者⑥電気・空調・衛生
- 電気設備
- 空調設備
- 衛生設備
上記3業者は内装工事からが本番ですが、躯体工事でも「仕込み作業」があります。
例えば、コンクリートの柱があったとして、そこにコンセントを付けたいとしましょう。コンクリートが打設される前に配管を仕込んで置かなければ、埋込のコンセントを施工することはできません。
また、ケーブルラックやダクトなど、天井から吊るものにはボルトを天井から垂らす必要があります。天井からボルトを垂らす為には穴が必要ですよね。この穴を施工したりします。(インサートって言います)
建物に電気設備がなければ、照明が付きません。
建物に空調機器がなければ、夏暑いです。
建物に衛生設備がなければ、トイレが無くなります。
躯体工事に必要な業者⑦雑工(多能工)
雑工(多能工)は、いわゆる「なんでも屋さん」です。
- ものを移動したい
- 仮囲いを設置したい
- 場内の清掃
等々、雑務チックな仕事をオールマイティにこなすのが雑工です。専門的な知識は必要ないので舐められがちですが、困った時に助けてくれるいい人達です。
違いとしては、結論「スキル」です。雑工は専門的な知識を必要としない仕事を全体的にやりますが、多能工は専門的な知識を必要とする仕事を全体的にこなすことができます。
足場も組める、型枠も組める、配筋もできるスーパーマンみたいな感じです。
躯体工事の注意点
躯体工事の注意点①型枠爆破
躯体工事において一番注意すべきは、型枠が爆破しないようにすることです。
コンクリート打設の範囲を全体的に少しずつ打設しなければなりません。もし一箇所へ集中的にコンクリートを打設してしまうと、型枠がコンクリートの重さに耐えられず爆破します。
爆破したら大惨事ですよ。型枠からコンクリートが零れ落ち、零れ落ちたコンクリートは無駄になり、作業員さんもコンクリートを移動させなければならない。。。
躯体工事の注意点②適正量の手配
コンクリート打設の際、ユニット車を適正量手配しなければなりません。
どれくらいの量コンクリートが必要なのか?は計算である程度は予想できますが、やはり実際の現場では数字が違ったりします。
手配した量が少なければ、新しいユニック車が来るまで職人さんが暇になってしまいます。(現場監督は99.9%キレられます)
躯体工事の注意点③業者同士のいざこざ
躯体工事では、頻繁にいざこざが発生します。
一流の職人を確保しているゼネコンなら、比較的いざこざは少ないです。協調性を持って工事を進めることが可能になります。
代表的な例を挙げるならば、躯体業者がサブコンに対してマウントを取る現象です。
何故か現場では「躯体業者は偉い」「サブコンは偉くない」みたいな風潮があり、躯体業者とサブコンで揉め事が起こることが多いです。
躯体工事の注意点④打ち込み忘れ
先ほどもちょろっと話には出ましたが、コンクリートが打設される前に「仕込み作業」を行わなければなりません。具体的には下記のようなものが挙げられます。
打込みの種類(一例)
- ボイド
- 貫通枠
- CD管
- インサート
躯体工事はやり直しができない重要な仕事
躯体工事はやり直しがきかない重要な仕事です。
繰り返しになりますが、コンクリートは一度固まってしまうと元に戻せません。コンクリート打設が終了する前に必ず仕事は完了させるようにしましょう。
竣工の日付は決まっていて、後ろに伸ばすことはできません。躯体工事で2ヶ月遅れてしまった場合、内装工事で2ヶ月取り戻さなければならなくなります。
工期の遅延が重なると現場が燃え、人員を導入しなければいけなくなり、お金が儲からなくなります。工期の遅延は利益が下がることに直結しています。
とはいえ、早くやりすぎてミスをしても取り返しがつかないという難しい工事が躯体工事です。
「まだ工事の初期段階」と捉えるのではなく「ここが重要」という意識を持って躯体工事に取り組むのが良きかなと思います。
躯体工事に関する情報まとめ
- 躯体工事とは:建物の骨組みを作る工事
- 躯体工事の流れ:足場→型枠→鉄筋→打ち込み→コン打ち
- 各業者の仕事:上章参照
- 注意点:型枠爆破、コンクリートの量、いざこざ
以上が躯体工事に関する情報のまとめです。
一通り基礎知識は網羅できたと思います。
新築工事は大枠「基礎工事→躯体工事→内装工事」という流れで進みます。躯体工事が終わったら次は内装工事ですので、合わせて知識として抑えておきましょう。
下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。