- インダクタンスってなに?
- リアクタンスとは何が違うの?
- 抵抗との違いって?
- インピーダンスとの違いは?
- 単位はなに?
- 計算方法、求め方、公式を知りたい
- 共振周波数の求め方は?
上記のような悩みを解決します。
インダクタンスって概念が抽象的でよく分かりませんよね。
僕も大学時代は理解するのに困りました。似たような単語もたくさんありますし、なにせ目に見えないですからね。イメージを掴むのが難しい分野だったりします。
この記事ではインダクタンスについて網羅的な情報を解説します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
インダクタンスとは?
インダクタンスとは、結論「コイルに電流を流した時に、その電流とは逆方向に流れる電気の大きさの比例係数のようなもの」です。
まずコイルに電流を流すと、それを妨げるような電気が流れます。イメージとしては慣性力みたいなもので、変化を嫌うように元の状態で留まろうとするんですね。
もう少し細かい話をすると、磁場の変化を嫌うのがコイルです。コイルに電流を流すと、その周りの磁場が変化します。強い電流を流せば流すほど、周りの磁場は大きく変化します。これに対抗するのがインダクタンスです。
逆方向に対して電流を流せば、逆方向に対して磁場の変化が発生します。すると磁場の変化が相殺され、変化を妨げることができるという訳です。
ここで注意すべきは「発生する電圧の大きさ=インダクタンス」ではないということです。インダクタンスは電圧の大きさではなく比例定数のようなもの何です。
『は?』と思う人もいるかもしれません。
まずコイルに電流を流した時に発生する電気の大きさは「誘導起電力」と呼ばれます。インダクタンスではありません。この逆側に電気が流れる現象のことを電磁誘導と呼ぶので、そこで発生する電圧を誘導起電力と呼びます。
ではインダクタンスとは何か。それは誘導起電力を求める際に必要な係数です。
誘導起電力は下記の公式で求められます。
詳しくは下の章で解説しますが、この式からインダクタンスは電気の大きさではないことが理解できると思います。
誘導起電力は電流の変化量と、電流変化に要した時間を使うことにより求められます。ただ、それだけで直接求められる訳ではなく「インダクタンス」という比例定数をかけることによって、やっと誘導起電力を求めることができるんです。
まとめると下記です。
インダクタンスの解説
- コイルに電流を流すと逆側に電気が流れる=電磁誘導
- 電磁誘導で発生する電気の大きさ=誘導起電力
- 誘導起電力を求めるのに必要な比例定数がインダクタンス
インダクタンスとリアクタンスとの違い
インダクタンスとリアクタンスと抵抗の違いは、結論「単位」です。
説明の仕方は様々あるかと思いますが、この記事では単位で違いを解説していきます。他の切り口もありますので、あくまで一例と考えてください。
まずリアクタンスとは、電流と電圧の比のことです。
具体的には下記のような式で求めることができます。
オームの法則と形が似ていますよね。リアクタンスの部分に抵抗を当てはめても成立します。リアクタンスは抵抗と同様に、単位が「Ω」なんです。対してインダクタンスは、誘導起電力を求める際の係数です。単位は「ヘンリー」。そもそもが全然違うものです。
リアクタンスは「リアクション」をイメージすると掴みやすいかもしれません。
リアクションというのは、こちらのアクションに対する反応ですよね。コイルやコンデンサで「遅れがどうの」とか「進みがどうの」とか聞いたことありませんか?
流した電圧や電流が遅れてやってくるので、リアクタンスです。参考までに。
インダクタンスと抵抗とインピーダンスの違い
明確には異なるが、似ているものです
- リアクタンス
- 抵抗
- インピーダンス
まず、リアクタンスと抵抗は似たようなものですので、インダクタンスと抵抗の違いも似たようなものです。抵抗の単位も「Ω」ですから単位が違います。インピーダンスも同様に単位が「Ω」になります。リアクタンスも抵抗もインピーダンスも、根本的にインダクタンスとは全然別物なんですよね。
ただ単語が似ているから混同しやすいってだけです。電気には他にもアドミタンスとかコンダクタンスとかありますから、混同しないように注意しましょう。
ではリアクタンスと抵抗はどう違うのか?インピーダンスとはどう違うのか?といった点に関しては、この記事の趣旨とはズレますからまた別の記事にて解説します。
近々記事を執筆予定ですので、少々お待ちください。
インダクタンスの単位
インダクタンスの単位は、結論「H(ヘンリー)」です。
よくある使われ方としては「mH」ですね。Hだと少し大きめですので、資格などの問題においてはmHが多用されます。
由来としては、概念を定義した人の名前が「ヘンリー」だったからです。割とこの辺は物理あるあるだったりしますね。由来は別に大して重要ではないので、覚えなくていいと思います。
細かい説明をすると、インダクタンスには下記の2種類があります。
インダクタンスの種類
- 自己インダクタンス
- 相互インダクタンス
自己インダクタンスは計算において「L」、相互インダクタンスは計算において「M」という記号で表現されます。どちらも単位はヘンリーですが、計算における表記はまた変わってくるので間違えないようにしましょう。
インダクタンスの計算方法、公式、求め方
自己インダクタンスの場合
自己インダクタンスを求めるには「NΦ=Li」という公式を使います。
ここから変形してL=の式にすれば、自己インダクタンスを求めることができます。ちなみにΦ(ファイ)の部分は、書籍によってはψ(プシー)と表現されていますが意味は一緒です。どちらも正解ですのであまり気にしなくて大丈夫です。
と言われても Lの自己インダクタンス以外は意味不明ですよね。それぞれについて解説します。
NΦ=Li
- N:コイルの巻き数
- Φ:磁束
- i:電流の大きさ
要するに「N(コイルの巻き数)」「Φ(磁束)」が大きければ大きいほどインダクタンスも大きくなり、「i(電流の大きさ)」が大きくなるとインダクタンスは小さくなるという式です。
ちなみに最初の章で挙げた「誘導起電力=インダクタンス×電流の変化量 / 時間」も自己インダクタンスに当てはまります。
相互インダクタンス
相互インダクタンスを求めるには「M=±k√L1L2」という公式を使います。
とはいってもこれまた意味不明だと思いますので、下にそれぞれの記号の説明をのせます。
M=±k√L1L2
- k:結合係数
- L1:自己インダクタンスその1
- L2:自己インダクタンスその2
結合係数とは、あまりイメージはしにくいと思いますが、トランス(変圧器)の一次巻きと二次巻きとの結合の度合いを示す数字です。
トランス(変圧器)は2つのコイルがあります。この2つがいかに結び合わさっているか?という係数が結合係数でして、数字としては0以上1以下という大きさになります。
インダクタンスを用いた共振周波数の求め方
インダクタンスを用いた共振周波数の求め方は「f=1/2π√LC」です。
この公式はLC回路と呼ばれる回路で使われます。LC回路とは、コイルとコンデンサが入っている回路のことでして、抵抗は入っていません。
そもそも共振周波数とは、コイルとコンデンサにかかる電圧が互いに打ち消し合っている時の周波数になります。よく資格の試験だったり、大学の授業なんかで出てきます。
注意点としては、相互インダクタンスではなく自己インダクタンスであることです。
というかほとんどの場合が自己インダクタンスですね。相互インダクタンスが使われることは少ないような印象を受けます。間違えやすい部分ですので、間違えないようにしましょう。
インダクタンスに関する情報まとめ
インダクタンスに関する情報まとめ
- インダクタンスとは:コイルに電流を流した時に、その電流とは逆方向に流れる電気の大きさの比例係数のようなもの
- インダクタンスとリアクタンスとの違い:単位が異なる
- インダクタンスと抵抗との違い:単位が異なる
- インダクタンスとインピーダンスとの違い:単位が異なる
- インダクタンスの単位:Ω
- インダクタンスの計算方法、求め方、公式:NΦ=Li、M=±k√L1L2
- インダクタンスの共振周波数:f=1/2π√LC
以上がインダクタンスに関する情報のまとめです。
似たような単語でいくとコンデンサがあります。インダクタンスと同じくらいよく出てくる部品ですので、必ず抑えておきましょう。
下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。