液状化判定とは?方法、FL値、PL値、計算手順、対策との関係など

  • 液状化判定ってそもそも何?
  • FL値とPL値って何が違うの?
  • 計算ってどうやるの?自分で計算する必要ある?
  • 標準貫入試験のN値だけで判定できる?
  • 判定後どうやって対策に繋げればいいの?
  • ハザードマップとの違いは?

上記の様な悩みを解決します。

液状化判定は、建物を建てる前に「この地盤は地震時に液状化するか/しないか」を数値で評価する作業です。判定をスキップして対策を打たないと、3.11以降の浦安などのように「家がそのまま傾く」事態を招くため、施工管理として地盤調査の段階で必ず押さえておきたい知識ですね。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

液状化判定とは?

液状化判定とは、結論「地震動を受けた地盤がどの程度の液状化を起こす可能性があるかを、地盤調査データから定量的に評価する作業」のことです。

液状化そのものは「地下水位の高い砂質地盤が地震動で液体のように振る舞う現象」で、地震時に建物の沈下・傾斜・基礎の浮上などを引き起こします。これを建設前に予測して対策の要否を決めるのが液状化判定、というわけです。

液状化判定が必要になる場面

  • 戸建て住宅の地盤調査時
  • マンション・ビルの構造設計時
  • インフラ施設(橋梁・港湾)の耐震設計
  • 地盤改良工法の選定前
  • 既存建物の耐震診断

液状化判定の結果は、その後の液状化対策(地盤改良・杭基礎の選定など)にダイレクトに繋がるので、判定→対策の流れで施工計画が立っていきます。

液状化対策の具体的な工法は別記事にまとめているので、本記事は「判定」、対策の詳細は別記事、と棲み分けて読んでもらうとスムーズです。対策側のリンクは後段の「液状化判定後の対策との関係」セクションで貼っています。

なぜ液状化判定が必要なのか

ハザードマップで「液状化リスクあり」となっていれば終わり、ではなく、なぜ個別判定が必要なのか整理しておきましょう。

評価方法 範囲 精度 用途
ハザードマップ 広域(数百m単位) 概略 用地選定・大まかなリスク判断
液状化判定(FL/PL) 個別敷地(深さ別) 詳細 設計・対策工法の選定

ハザードマップは便利だけど解像度が粗く、「同じ町内でも液状化する敷地としない敷地が混在する」ケースが珍しくありません。

なので個別敷地ごとの地盤調査+液状化判定を実施して、その敷地の液状化リスクを定量評価する必要があるんですね。

液状化判定の主な方法

液状化判定にはいくつかの方法がありますが、実務でよく使われるのは「FL法」と「PL法」の2つです。これらは国土交通省告示や日本建築学会の指針で定められた標準的な手法です。

液状化判定の主な方法

  • FL法:深さごとの液状化危険度を評価
  • PL法:敷地全体の液状化指数を評価
  • 微動探査法:簡易な地盤特性把握
  • 詳細解析(FLIP等):大規模構造物の動的解析

施工管理として現場で使うのはほぼFL法・PL法の2つです。それ以外は構造設計者の領域になります。

FL法(液状化抵抗率による判定)

FL法は「深さ1mごとの地層について液状化するかどうか」を判定する方法。FL値(Liquefaction Resistance Factor=液状化抵抗率)を計算し、

  • FL ≧ 1.0 → 液状化しない
  • FL < 1.0 → 液状化する可能性あり

と判定します。要は「地盤の抵抗力」を「地震が与える力」で割った比率で、1を下回れば負けると。

PL法(液状化指数による判定)

PL法は、FL値を地表からの深さごとに重み付けして合算した「PL値(Liquefaction Potential Index)」で敷地全体を判定する方法。

PL値 液状化リスク
0 危険度なし
0 < PL ≦ 5 危険度低い
5 < PL ≦ 15 危険度高い
15 < PL 危険度極めて高い

PL値が15を超えると、3.11時の浦安レベルの大規模液状化が発生するリスクが高い、という目安です。

FL値の計算手順

実務でメインになるFL値の計算フローを書いておきます。

FL値の計算ステップ

  1. 標準貫入試験でN値を取得
  2. 地下水位の確認
  3. 試料の細粒分含有率Fcの測定
  4. 地震動の評価(最大加速度・マグニチュード)
  5. 動的せん断応力比Lの算出
  6. 液状化抵抗比Rの算出
  7. FL = R / L で算出

標準貫入試験で得る情報

液状化判定の出発点はあくまで標準貫入試験(SPT)で取得するN値と土質サンプルです。N値そのものの解説はこちら。

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液状化判定では、N値だけでなく試料の細粒分含有率(Fc)平均粒径(D50)も必要になるため、土質試験まで含めた地盤調査を依頼する必要があります。

動的せん断応力比 L

L値は「地震がその地盤に対して与えるせん断応力の比」。地震動の大きさ(最大加速度)、深さ、上載荷重などから算出します。

国交省告示では中地震・大地震で最大水平加速度が定められていて、戸建て住宅では中地震150gal、大地震350gal が標準的な計算条件です。

液状化抵抗比 R

R値は「その地盤がどれくらい液状化に対して抵抗できるかの比」。N値・有効上載圧・細粒分含有率などから経験式で求めます。

R値の計算式は道路橋示方書や建築基礎構造設計指針で定められているもので、ここを手計算するのは現実的じゃないので、専用の判定ソフトに数値を入力するのが一般的です。

液状化判定後の対策との関係

判定で「液状化リスクあり」と出たら、次に対策を検討するステップに進みます。

判定結果に応じた対策方針

  • FL ≧ 1.0:対策不要
  • 0.9 ≦ FL < 1.0:注意、軽微な対策検討
  • FL < 0.9:対策必須(地盤改良 or 杭基礎)

主な液状化対策の選択肢

判定で対策が必要となった場合、以下のような工法から建物規模・地盤条件に応じて選びます。

対策工法 概要 適用建物
表層改良 表層の砂質土をセメント系で固化 戸建て住宅
柱状改良 杭状にセメント系で改良 戸建て〜小規模ビル
杭基礎 液状化層を貫通して支持層に到達 中高層ビル
ドレーン工法 水抜き穴で過剰間隙水圧を逃がす 大規模インフラ
締固め工法 砂を密実化して液状化抵抗UP 港湾・埋立地

各工法の詳細な解説は別記事にまとめています。

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ボイリングとの関係

液状化と類似した現象に「ボイリング」がありますが、ボイリングは局所的な噴砂、液状化は広域的な地盤の流動化、と現象規模が違います。施工管理としては両方押さえておきたい用語です。

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液状化判定で施工管理が注意すべきポイント

判定結果を読み解くときに引っかかりやすいポイントをまとめます。

液状化判定の運用上の注意点

  • 地下水位の季節変動を考慮しないと判定がブレる
  • 戸建て住宅は中地震動でも判定する必要あり
  • 細粒分含有率を測らずN値だけで判定は不正確
  • ハザードマップ「無し」でも個別敷地は要判定
  • 判定結果と建物形状で対策範囲を決める
  • 既存擁壁・隣地との取合いも要確認

地下水位の取扱い

液状化は地下水位より深い砂層で起こるので、地下水位が低いほど液状化リスクは低いという傾向があります。しかし地下水位は季節や降雨で変動するため、年最高水位で判定するのが安全側です。

地盤調査時に渇水期で水位が低かったから「液状化しない」と判定したら、雨季に水位が上がってアウト、というケースがあるので、水位データの取り方には注意が必要ですね。

戸建て住宅での運用

戸建て住宅の液状化判定は、住宅性能表示制度や長期優良住宅では推奨項目に上がっています。スウェーデン式サウンディング(SS試験/SWS試験)だけだとN値の精度が荒く、液状化判定の精度が落ちるので、追加で標準貫入試験を入れる現場が増えています。

3.11以降、施主側からも「液状化大丈夫ですか?」と聞かれる機会が増えたので、施工管理として「判定はやってます/対策はこの工法を選びました」と説明できる準備をしておくと信頼が違います。

僕も電気の施工管理時代、たまたま河川改修地に建つマンションの現場に入ったとき、最初の地盤調査で液状化判定NGが出て、当初設計の直接基礎から杭基礎に変更されて工期が3週間延びた、という経験があります。判定タイミングが早ければ早いほど、計画変更の柔軟性が高まる、と痛感しました。

液状化判定に関する情報まとめ

  • 液状化判定とは:地盤調査データから液状化発生リスクを定量評価する作業
  • 必要な理由:ハザードマップは粗い、敷地ごとに個別判定が必要
  • 主な方法:FL法(深さごと)、PL法(敷地全体)、その他は専門解析
  • FL法の判定:FL≧1.0で液状化しない、FL<1.0でリスクあり
  • PL法の判定:PL≦5で低、5〜15で高、15超で極めて高い
  • 計算の元データ:標準貫入試験のN値、細粒分含有率、地下水位、地震動
  • 対策との連携:判定→改良工法・基礎形式の選定→施工計画
  • 注意点:地下水位の季節変動、N値だけでの判定は不正確、戸建ても要判定

以上が液状化判定に関する情報まとめです。

一通り液状化判定の基礎知識は理解できたかなと思います。「FLは深さごとの抵抗率、PLは敷地全体の指数。両方をセットで読む」この基本さえ押さえておけば、地盤調査報告書を渡されたときに数値の意味が分かるようになります。

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