ダイヤフラムの種類とは?通し・内・外の違い、構造、選び方など

  • ダイヤフラムって何種類あるの?
  • 通しダイヤフラムって何?
  • 内ダイヤフラムと外ダイヤフラムの違いは?
  • どれを選べばいいの?
  • 角形鋼管柱とH形鋼柱で使い分けがある?
  • 施工で気をつけることは?

上記の様な悩みを解決します。

鉄骨造の柱梁接合部に必ず登場するのが「ダイヤフラム」。柱と梁を強く繋ぐための部材ですが、現場に出てくる名前が「通しダイヤ」「内ダイヤ」「外ダイヤ」と3種類あって、新人さんはまずここで混乱します。実は3つの違いを押さえてしまえば、構造図の柱梁接合部詳細図がすっと読めるようになり、ファブとの打合せでも噛み合うようになります。今回はダイヤフラムの種類を、構造の違い・選び方・施工で気をつけるポイントの3軸で整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

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目次

ダイヤフラムの種類とは?

ダイヤフラムの種類は、結論「通しダイヤフラム・内ダイヤフラム・外ダイヤフラムの3種類」が基本です。

種類 板の位置 主に使う柱形状
通しダイヤフラム 柱の途中を上下に貫通する板 角形鋼管柱・円形鋼管柱
内ダイヤフラム 柱の内部に挟み込む板 角形鋼管柱・大型箱型柱
外ダイヤフラム 柱の外側にフランジ状に張り出した板 角形鋼管柱(中小規模)

→ どれも「柱と梁を繋ぐための板」という役割は同じですが、柱のどこに板を入れるかで名称が変わる、と理解するのが第一歩です。

そもそもダイヤフラムって何のため?

ダイヤフラムは「柱に取り付く梁のフランジから流れてきた力を、柱の反対側の梁フランジへスムーズに伝える」ための板。梁フランジの引張・圧縮を柱を介して反対側に流す、ない場合は柱の壁が局所的に変形し接合部が破壊する、ある場合は板で力を受け止め柱に分散させる、というあたり。

言い換えると、ダイヤフラムは「柱に梁の力を流すための仕切り板」。そして、その板をどこに置くかで「通し」「内」「外」と呼び分ける、というわけです。ダイヤフラム本体の定義はこちらの記事も参考にしてください。

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通しダイヤフラムの構造と特徴

通しダイヤフラムは、角形鋼管柱で最もよく使われる方式です。

構造のイメージ

通しダイヤフラムは、柱を一旦切断し、その間にダイヤフラムの板(プレート)を「サンドイッチ状」に挟み込む方式。柱の上下を切り離す、切り離した間にダイヤフラムプレート(板厚12〜50mm程度)を入れる、ダイヤフラムの板の四方に梁フランジを溶接、板を貫通する形で「柱→板→柱」の縦の力を流す、というあたり。板が「梁のフランジレベル」と完全に一致するので、力のフロー(流れ)が最もスムーズです。

利点・欠点・採用シーン

主な利点は、柱の中で力の流れが一直線になる→構造解析がシンプル、工場での自動溶接が可能→品質が安定、梁フランジとダイヤフラムの板を突合せ溶接で繋げる、中小規模〜超高層まで適用範囲が広い、というあたり。

主な欠点は、板厚が梁フランジ厚 +α 必要(板厚段差をつけるルールあり)、柱を切断・再溶接するので工場でのスケール(精度)管理がシビア、段付きの板加工が必要で材料ロスも出る、というところ。

こんな現場で見かけるのは、一般的なオフィスビル、マンション、倉庫、中規模から超高層まで、というシーン。鉄骨ファブで建物本体の柱を工場製作するときの標準パターン。新人さんがまず覚えるべきはこの「通しダイヤ」です。工場で加工して現場に届くまでの建方の流れは、こちらの記事を参考にしてください。

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内ダイヤフラムの構造と特徴

内ダイヤフラムは、柱の中に板を「閉じ込める」方式。

構造と利点・欠点

構造のイメージは、角形鋼管柱を加工して内部に板を溶接で固定する、柱の外形は連続したままで板が中に入っている状態、梁フランジを柱の外側に溶接→力は柱の壁を介して内ダイヤに伝わる、というかたち。外から見ると柱はストレートでスマートに見えますが、中に補強板が入っていて梁の力を受け止める、というイメージ。

主な利点は、柱の外形が連続するので意匠的にスッキリ、階高方向で柱の段差が出ない、比較的大型断面の柱で採用しやすい、というあたり。

主な欠点は、柱の中に手を入れて溶接するのが難しい(角形鋼管は内部が狭い)、工場での溶接姿勢が無理な体勢になる、製作コストが高くなりやすい、検査(超音波探傷)も難しい、というところ。

採用シーン

こんな現場で見かけるのは、意匠的に柱の外形を変えたくない店舗・ホテル、大断面柱(500mm角以上)の建物、一部の特殊な構造設計、というあたり。通しダイヤより採用頻度はかなり低めです。製作の難易度が上がるので、設計者が「あえて選ぶ」場面に限られます。溶接の基本そのものは、こちらの記事も参考になります。

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外ダイヤフラムの構造と特徴

外ダイヤフラムは、柱の周囲に板を「鍔(つば)」のように張り出す方式。

構造と利点・欠点

構造のイメージは、角形鋼管柱の外周にフランジ状の板を取り付ける、板の上下面に梁フランジを溶接、柱自体は切断しないので柱の連続性が保たれる、というかたち。ダイヤフラムが柱の外側に張り出す「キノコ」のような形になります。

主な利点は、柱を切断・再溶接しなくてよい→工場製作がシンプル、比較的小規模・低層の建物に向く、通しダイヤより安価になることがある、というあたり。

主な欠点は、柱の外側に板が出るので意匠的に納まりが悪い、大断面・大規模建物では応力集中が起きやすい、仕上げ材との取り合いで干渉しやすい、というところ。

採用シーン

こんな現場で見かけるのは、低層住宅・小規模店舗、鉄骨倉庫の中小規模物件、リフォームでの後付け補強、というあたり。大手ゼネコンの大型物件ではあまり選ばれず、中小規模物件で見かけることが多いタイプ。

通しダイヤフラムとの比較感覚は、現場の柱梁接合部の見え方で覚えると早いです。スカラップなど接合部詳細も合わせて押さえると、ダイヤフラムまわりの理解が立体的になります。

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ダイヤフラムの種類別比較

3種類を一覧で比較すると、選定の判断軸が見えてきます。

項目 通しダイヤ 内ダイヤ 外ダイヤ
板の位置 柱の途中(上下分断) 柱の内部 柱の外側
採用頻度 最多(標準) 少ない 中小規模で多い
工場製作の難易度 普通(標準的) 高い 低い
構造解析のシンプルさ 高い 中 中
意匠的な納まり 板段差が外に出る スッキリ 板が出っ張る
コスト 中 高 低〜中
適用範囲 中規模〜超高層 大断面柱に限定 中小規模
超音波探傷の難度 容易 やや困難 容易

→ 大原則:「迷ったら通しダイヤ」。これが鉄骨設計の現場慣行になっています。

選び方のフローチャート

選び方の判断軸は、建物の規模は?→超高層・大規模なら通しダイヤ一択、柱の外観をスマートに見せたい?→YES→内ダイヤを検討、小規模・低層で安価にしたい?→外ダイヤを検討、特殊条件(耐火被覆との取り合い等)がある?→設計者に相談、という流れ。

設計者が選定しますが、施工管理側もこの判断軸を知っておくと、ファブとの打合せや確認質疑で噛み合いやすくなります。

ダイヤフラム施工で気をつけるポイント

施工管理側で見るべきポイントを整理しておきます。

種類別の確認ポイント

通しダイヤの場合は、板厚は梁フランジ厚+2mm以上が原則(段差ルール)、工場での突合せ溶接の品質(UT検査)、板の表面の段差・平坦度(梁との突合せに影響)、板の入荷時のミルシート確認(SN材か否か)、というあたり。

内ダイヤの場合は、内部溶接の品質(とにかく検査が肝)、溶接後の柱外形の変形量、角形鋼管の閉鎖端をどう加工しているか、工場製作工程をできれば見学する、というところ。

外ダイヤの場合は、板の溶接ビード(連続性・割れ・アンダーカット)、梁フランジと板の取付け精度、板の張り出し量とALC・耐火被覆との干渉確認、仕上げ材の納まり詳細、というあたり。

現場での体験談と共通管理ポイント

僕も電気施工管理時代に、ある中規模オフィスビルの建方を見学したとき、通しダイヤの板段差のところに後付けで電線管を回そうとした業者さんが「ここ、板が出っ張ってるからケーブルラックの曲げ加工が増えますね」と話していたのを覚えています。意匠側の人には目立ちにくい段差ですが、設備側の取り合いではこの数十ミリの段差が結構効いてくる。ダイヤフラムは構造部材だけど、他工種から見れば「外周に出っ張る邪魔者」になり得る、というのが現場の生の感覚でした。

共通する施工管理のキーポイントは、板厚と材質のミルシート照合、工場製品検査での寸法精度確認、超音波探傷(UT)の合格基準(JIS Z 3060)、現場到着後の状態確認(運搬中の損傷チェック)、というあたり。スプライスプレートとの違いも整理しておくと、接合部詳細図がより読み解きやすくなります。

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ダイヤフラムの種類に関する情報まとめ

  • 種類は3つ:通しダイヤフラム・内ダイヤフラム・外ダイヤフラム
  • 通しダイヤ:柱を切断して板を挟み込む方式。標準的で採用頻度が圧倒的に多い
  • 内ダイヤ:柱内部に板を入れる方式。意匠スッキリだが製作難度高め
  • 外ダイヤ:柱外側に板を張り出す方式。中小規模に向く、安価
  • 選び方の基本:迷ったら通しダイヤ。スマートな意匠なら内ダイヤ、安く済ませるなら外ダイヤ
  • 施工管理:板厚・板の段差・溶接品質・UT検査・他工種との取り合いを必ず確認

以上がダイヤフラムの種類に関する情報のまとめです。

3種類の違いを「板を柱のどこに置くか」で整理すると、構造図がぐっと読みやすくなります。施工管理としては、選定そのものは設計者の領域だとしても「いま自分の現場のダイヤフラムは何タイプか」を建方前に把握しておくと、ファブとの段取りや他工種との取り合い調整がスムーズに進みます。一通りダイヤフラムの種類に関する基礎知識は理解できたと思います。

合わせて、柱梁接合部や鉄骨工事まわりの関連記事もチェックしておくと現場での理解が一段上がります。

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