- 電験二種って結局どんな資格?
- 三種との違いがいまいち分からない
- 難易度ってどれくらい?三種の何倍?
- 一次試験と二次試験ってどう違う?
- 合格に何時間くらい勉強がいる?
- 試験と認定取得、どっちで取るのが現実的?
- 認定の「実務経験」ってビルメンでもカウントされる?
- 取得後の年収ってどれくらい上がる?
- 30代で取って間に合う?子持ちでも勉強できる?
- 一種まで目指すべき?二種で打ち止めでもいい?
- 受験ルートと認定ルート、合格者の比率は?
上記の様な悩みを解決します。
電験二種(第二種電気主任技術者)は、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の保安監督を担える国家資格で、電気主任技術者の中位資格にあたります。三種からのステップアップ資格として位置づけられていますが、実態は単なる延長線ではなく、合格率の桁が一段下がる難関試験です。今回は定義・三種との違い・難易度や合格率といった基本に加えて、現役の電気施工管理経験者目線で「試験ルートと認定ルートのどっちが現実的か」「働きながらの学習計画の組み立て方」「取得後のキャリアと年収の動き方」「保安法人への独立ルート」まで踏み込んで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
電験二種とは?
電験二種とは、結論「電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の保安監督ができる国家資格」のことです。
正式名称は「第二種電気主任技術者」で、一般財団法人 電気技術者試験センターが実施する国家試験に合格するか、所定の学歴・実務経験を満たして認定取得するかのどちらかで資格が得られます。電気事業法に基づく業務独占資格で、扱える電圧の上限が三種(5万ボルト未満)よりも一段上に広がるため、大規模工場・複数フロアの大型ビル・大手の発電所や変電所といった、より大きな設備の保安監督ができるようになります。
電気主任技術者の3区分と扱える設備範囲は次の通りです。
| 資格 | 扱える設備の範囲 |
|---|---|
| 第一種電気主任技術者(電験一種) | 全ての事業用電気工作物 |
| 第二種電気主任技術者(電験二種) | 電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
| 第三種電気主任技術者(電験三種) | 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く) |
出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 電気主任技術者の資格概要
電気主任技術者そのものの位置づけはこちらが詳しいです。

僕の感覚だと、三種は「受験資格なしで挑戦できる入口」、二種は「現場で実務経験を積んだ人がキャリアを一段引き上げるために取る本気の資格」と区切って捉えると整理しやすいです。電気工事会社で施工管理をやっていた頃、現場に来る保安委託の方が二種持ちで「変電設備の年次点検は二種以上じゃないと選任できないんですよ」と言われたのが、二種を意識した最初の場面でした。三種の知識をベースにしつつ、より深い計算力と論述力が問われる試験になっています。
三種との違い(試験形式・出題深度)
電験二種と三種の違いは、扱える電圧範囲だけでなく、試験形式と求められる知識の深さでも大きく変わります。代表的な5つの差を並べると次のようになります。
- 試験形式:三種はマークシートのみ、二種はマークシート式の一次試験+記述式の二次試験の二段階
- 数学:三種は基礎計算中心、二種は微分積分・ラプラス変換などの高度な数学が必須
- 出題深度:三種は「公式に当てはめて解ける」レベル、二種は「原理を理解して論述できる」レベル
- 受験者層:三種は初学者・初挑戦者が多数、二種は三種合格者・実務経験者が中心
- 試験回数:三種は年2回(上期・下期)、二種は年1回(一次8月/二次11月)
このスペック差を見ても、「三種を取った勢いそのままで二種に滑り込む」というよりは、三種で学んだ内容を本質的に理解し直した上で挑む試験ということが分かります。
僕としては、三種を取ってすぐ二種に挑戦するなら、最低でも三種の過去問を全分野解き直して「公式を導出できるレベル」まで自分の知識を底上げしてから着手するのが効率的だと感じます。三種の理論を「ただ覚えて解いた」状態のまま二種理論に入ると、最初の1ヶ月で挫折する確率がかなり上がるなというのが、周りの受験者を見ていての印象です。
電験二種の難易度と合格率
電験二種の難易度は、結論「最終合格率が5〜7%前後の難関試験」です。
例年の合格率は一次試験で25〜35%前後、二次試験で15〜25%前後で推移しています。一次×二次を掛け合わせた最終合格率は単年で見ると5〜7%程度。司法書士や行政書士と比較しても遜色ないレベルの低さで、電気系の国家資格の中ではトップクラスの難関といって良いです。
過去7年の合格率推移(一次・二次)
| 年度 | 一次試験合格率 | 二次試験合格率 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 35.0% | 16.5% |
| 令和6年度 | 28.9% | 18.9% |
| 令和5年度 | 24.5% | 17.7% |
| 令和4年度 | 35.2% | 24.0% |
| 令和3年度 | 25.7% | 17.2% |
| 令和2年度 | 27.2% | 27.9% |
| 令和元年度 | 23.6% | 22.8% |
二次試験は「一次合格年度+翌年」までしか挑戦できないため、二次で2回連続で落ちると一次から振り出しに戻る厳しさがあります。年1回しか試験がないので、この振り出し戻しのインパクトは精神的にもかなり大きいです。
科目別の壁は「理論」が最も高い
一次試験4科目の中で最も合格率が低いのは「理論」科目です。令和7年度の科目別合格率は理論19.2%/電力46.5%/機械28.1%/法規31.4%で、理論だけ突き抜けて低い数字が並んでいます。理論はマークシートとはいえ微分積分やラプラス変換、過渡現象などの高度な数学が必須で、二種を本気で取りに行くなら「数学の学び直し」をどこかで通る覚悟が必要です。
僕の感覚だと、三種の時点で理論が苦手だった人は、二種の理論を解けるようになるまで数学だけに300〜400時間を費やすイメージで計画した方が安全です。逆に三種の理論を「8割以上」で抜けた人は、二種理論の山もまだ越えやすい側にいると思います。理論が抜けると他3科目の計算問題もボディブローのように響くので、最優先で固めるべき科目です。
三種より合格率が「数字上」高くなる理由
電験二種は三種より試験内容は明らかに難しいのに、合格率だけ見ると三種の方が低い(三種は10〜15%程度)という現象があります。これは難易度逆転ではなく、受験者層の違いによるものです。三種は受験資格がなく初学者・初挑戦者が多数を占めるため、母数の中に「受かりにくい層」が大量に混ざります。一方で二種は三種合格者・実務経験者が中心で、母集団のレベルが底上げされた中での20%前後なので、実質的な難易度は明らかに二種の方が上です。
僕としては、合格率の数字だけ見て「あれ、二種って三種より簡単なのか」と勘違いしないことが大事だと思います。受験者層を補正して考えれば、二種の方が一段も二段も難しい試験で、ここを甘く見積もると学習計画ごと狂ってしまうので注意したいポイントです。
電験二種の試験科目とスケジュール
電験二種の試験は、一次試験4科目(マークシート)と二次試験2科目(記述)の二段階構成です。
一次試験は理論・電力・機械・法規の4科目を1日で実施、二次試験はその後の同年11月に電力・管理と機械・制御の2科目を実施するのが基本スケジュールです。一次に全科目合格すると同年の二次試験を受験でき、二次で不合格でも翌年の一次が免除される救済制度があります。
一次試験(4科目・マークシート)
| 科目 | 出題範囲 | 問題数 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 理論 | 電気理論、電子理論、電気計測、電子計測 | A問題4問・B問題3問 | 90分 |
| 電力 | 発電所・変電所の設計と運転、送配電線路、電気材料 | A問題4問・B問題3問 | 90分 |
| 機械 | 電気機器、パワエレ、電動機応用、照明、電熱、自動制御、メカトロニクス | A問題4問・B問題3問 | 90分 |
| 法規 | 電気法規(保安関係)、電気施設管理 | A問題4問・B問題3問 | 65分 |
A問題は1問完結型、B問題は1テーマで複数設問という構成で、各科目100点満点。合格基準は科目ごとに概ね60点以上ですが、年度によって変動するため過去問演習では「60点ライン」を目標に置きつつ最終的には70点近くまで詰める意識が安全です。
二次試験(2科目・記述式)
| 科目 | 出題範囲 | 問題数 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 電力・管理 | 発電所・変電所の設計と運転、送配電、電気施設管理 | 6題中4題を選択 | 120分 |
| 機械・制御 | 電気機器、パワエレ、自動制御、メカトロニクス | 4題中2題を選択 | 60分 |
二次試験は記述式で、計算過程と論述の両方を答案用紙に書く必要があります。問題選択の自由度が高いのが特徴で、最初の5〜10分でどの問題を解くかを慎重に選ぶのが時間配分のコツです。難しそうな問題に着手して30分経過後に「これは無理だ」と諦めると致命的なタイムロスになるので、解ける問題から選ぶを徹底します。
試験スケジュール(年1回・固定)
電験二種は年1回実施です。例年の標準スケジュールは次の通りです。
- 申込期間:5月中旬〜6月上旬
- 一次試験:8月下旬の日曜
- 一次合格発表:9月下旬
- 二次試験:11月中旬の日曜
- 二次合格発表:翌年1月下旬
僕の感覚だと、年1回しかチャンスがない試験は「試験日から逆算した1年計画」を最初に紙に書いて壁に貼るのが効果的です。三種は年2回で半年単位の修正が効きますが、二種は「今年落ちる=丸1年無駄になる」感覚があるので、家族とのスケジュール調整を早めに固める方がストレスが少ないです。
科目合格留保制度(一次試験のみ)
電験二種の一次試験には、合格科目を翌年・翌々年に持ち越せる「科目合格留保制度」があります。1回目で全4科目合格できなくても、3年以内に4科目すべて合格すれば二次試験への進路が開けます。働きながら受験する人にとっては事実上の標準ルートで、無理に1年で全科目を狙わず、難関の理論を翌年に回すなどの戦略が立てやすくなります。
ただし二次試験には科目別合格制度はありません。電力・管理と機械・制御は同じ年に両方合格する必要があります。「二次の片方落ち」はゼロからの再挑戦になるので、二次対策は同時並行で進めるのが鉄則です。
電験二種の勉強時間と勉強方法
電験二種の合格に必要な勉強時間は、結論「実務経験あり・三種合格済みで600〜800時間、初学者・数学苦手で1,000〜1,500時間」が目安です。
三種を「ギリギリ合格」した人と「余裕で合格」した人とでは、追加で必要な時間がかなり変わります。下記の表は、自分の現在地と目標までの距離を把握するためのざっくり目安です。
| 受験者のレベル | 必要な勉強時間(目安) |
|---|---|
| 理数系が苦手・三種ギリギリ合格 | 1,000〜1,500時間 |
| 三種合格・実務経験あり・標準対策 | 600〜800時間 |
| 三種を余裕合格・実務経験豊富 | 400〜600時間 |
学習の優先順位(理論→機械→電力→法規)
一次4科目の中での優先順位は、結論「理論を最優先、次に機械、その後で電力と法規」です。
理論は他3科目の土台になる科目で、ここを最初に詰めておくと機械・電力の計算問題も連動して解けるようになります。法規は最後に詰め込み型で対応しても間に合うので、序盤に時間をかけ過ぎないのがコツです。
下記は、僕が実際に見てきた合格者が共通して通っているステップです。
- ステップ1:電験三種レベルの理論を完全に解き直して土台を作る(100〜200時間)
- ステップ2:数学の学び直し(微積・ラプラス変換・ベクトル)を本1冊分やる(100〜200時間)
- ステップ3:二種理論の過去問10年分を3周する(150〜200時間)
- ステップ4:機械→電力→法規の順で各科目を仕上げる(200〜300時間)
- ステップ5:二次試験対策(記述・計算の両方)を一次合格後すぐに開始(150〜200時間)
ステップ5の二次対策は「一次合格してから着手する」ではなく「一次の勉強と並行して進める」のが二種合格者の共通項です。一次が9月末に合格発表 → 二次が11月中旬では2ヶ月弱しか残らず、ゼロから二次対策を始めても間に合わないからです。
二次試験の記述対策は「答案を書く」練習が必須
二次試験は記述式なので、知識だけあっても答案にまとめる訓練がないと点数につながりません。具体的には次のような対策が効きます。
- 過去問は必ず「実際の答案用紙サイズ」で書く(解答スペース感覚を身につける)
- 計算過程を残す癖をつける(過程点が出る)
- 論述問題は「結論→根拠→具体例」の3段構成で書く
- 字の汚さよりも「論理の通り方」を見られるので、丁寧さより構造を優先
- 時間配分の練習を本番形式で月1回は必ずやる
僕としては、二次の記述って「うまく書く」よりも「採点者に拾ってもらえる書き方」を意識するのが大事だと感じます。答案を採点する人は1日に何百枚も見るので、字の綺麗さよりも「結論を最初に書いてくれている/計算式の番号が振ってある/単位を書いてくれている」みたいな構造的な丁寧さが点数に直結する印象です。
参考書・通信講座の選び方
参考書はジャンル別に役割が違うので、1冊に絞らず複数併用が前提です。
- 数学対策:完全マスター電験二種受験テキスト 電気数学(オーム社)
- 一次試験:これだけ理論/これだけ電力/これだけ機械/これだけ法規(電気書院)
- 二次試験:電験第2種 二次試験 これだけシリーズ(電気書院)
- 過去問:完全攻略 電験二種 一次試験/二次試験(電気書院)
独学が難しいと感じる場合は、SAT・アガルート・TACなどの通信講座を併用するのが一般的です。費用は5〜15万円程度かかりますが、二次の記述添削が付くタイプの講座はコスパが高いと感じます。市販の問題集だけで二次対策をするとどうしても「自分の答案が正解かどうか」の判定が甘くなりがちなので、添削サービスの有無が独学/講座の分岐点になることが多い印象です。
電験二種の認定取得(実務経験ルート)
電験二種は試験合格以外に、結論「学歴+実務経験で認定取得するルート」があります。
経済産業省の調査では、電気保安業界従事者の電験二種取得者のうち約55%が認定取得、約45%が試験合格で、実は認定取得の方が多数派です。試験ルートしか頭になかった人は、ここで一度立ち止まって認定ルートが自分に当てはまるか確認する価値があります。
認定取得の3つの条件パターン
認定取得は、下記いずれかの条件を満たすと申請できます。
| 前提条件 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 第三種電気主任技術者の免状取得者 | 5年以上 |
| 認定校の大学卒業者 | 3年以上 |
| 認定校の短大・高専卒業者 | 5年以上 |
参考:一般財団法人 電気技術者試験センター 電気主任技術者の資格取得フロー
「実務経験」はどの業務でもカウントされる訳ではなく、電気主任技術者の選任を受けた事業場で、電気工作物の工事・維持・運用に関わった経歴である必要があります。ビルメンテナンスや工場の電気保安部門での経験はカウントされやすいですが、施工管理として現場に入っていただけだとカウントされないケースがあるので、自分の経歴で認定が通るかは事前に管轄の産業保安監督部に相談するのが確実です。
認定取得の流れと「面接」の実態
認定取得は「条件を満たして書類を出せば自動的に資格が出る」ものではなく、産業保安監督部での厳しい面接審査が待っています。
- 必要書類:実務経歴証明書、卒業証明書、戸籍抄本など
- 提出先:勤務地を管轄する産業保安監督部
- 審査期間:約6ヶ月
- 面接:技術的な質問が広範囲から飛んでくる(「変圧器の保護リレーは何を使っていたか」「絶縁抵抗測定の手順は」など)
- 不合格の場合:再申請まで一定期間置く必要あり
僕の感覚だと、認定取得の面接で1番きついのは「実務で本当に主任技術者業務をやっていたのか」を1時間以上にわたって細かく深掘りされる点です。実務経歴書に書いた業務、全部自分の言葉で説明できるかがカギで、保安委託の方とお話ししたときも「面接対策に半年かけた」と話されていました。試験ルートが「過去問1,000時間」だとしたら、認定ルートは「面接対策+実務経歴の言語化に300〜500時間」というイメージです。
試験ルートと認定ルートの判断軸
どっちで取るかは、結論「実務経験5年以上の有無」と「年単位の学習時間の確保可否」で決まります。
- 認定ルートが向いている人:電気主任技術者の選任事業場で実務経験5年以上、年単位の学習時間が確保できない、面接対策には時間を割ける
- 試験ルートが向いている人:実務経験が浅い/別業界からのキャリアチェンジ、学習時間を月60時間以上確保できる、勉強自体が苦にならない
電気の年次点検業務などの実務経験を積みたい場合の理解はこちらも参考になります。

僕としては、認定取得の方が一見ラクに見えますが、「勤務先の電気主任技術者からの実務経歴証明をもらえる関係性」が前提になるので、上司との関係や転職タイミングで詰みやすい欠点もあります。試験ルートは時間さえかければ自分の努力で完結する点で読みやすい、というのが正直なところです。
電験二種を取得するメリットとキャリアパス
電験二種を取得するメリットは、結論「年収レンジが600〜800万円台に上がり、ビルメン・保安法人・大規模再エネへのキャリアチェンジ動線が開く」ことです。
三種だけだと現場の主任技術者レベルで止まりがちな年収が、二種を持つと選任される設備規模が一段上がり、月給ベースで5〜10万円のアップ事例が多いです。さらに保安法人での外部委託契約や独立開業まで視野に入ってきます。
業界別の年収レンジ目安
| 業界・職種 | 二種保有者の年収目安 |
|---|---|
| ビルメンテナンス(自社物件管理) | 500〜700万円 |
| 大規模工場の保安担当 | 600〜800万円 |
| 電気保安法人(外部委託契約) | 600〜900万円 |
| 大手再エネ事業者(発電所保安) | 700〜1,000万円 |
| 独立・保安法人運営 | 800〜1,500万円(受託件数次第) |
これらは求人情報を見続けてきた肌感覚での目安です。地方/首都圏、設備規模、経験年数によってかなりブレるので、転職前には複数のエージェント経由で具体的なオファーを取って比較するのが正攻法です。
主任技術者の制度全体はこちらが参考になります。

取得後の3つのキャリアパス
電験二種を活かすキャリアパスは、結論「①社内昇格/②保安法人への転職/③独立開業」の3パターンに集約されます。
- ①社内昇格:現職のビルメン・工場保安・電力会社で選任の主任技術者にステップアップ。年収UPは中程度(50〜100万円)だが、安定性が高い
- ②保安法人への転職:電気保安法人で外部委託契約の主任技術者として活動。年収UPが大きい(100〜200万円)が、複数事業場の掛け持ちで責任が重い
- ③独立開業:5年以上の二種実務経験を積んで自分で保安法人を立ち上げる。最大1,500万円超も可能だが営業力と人脈が必須
僕としては、二種を取ったタイミングで「①の社内昇格で安定」を取るか「②の転職で年収UP」を取るかは、家族構成と現勤務先の安定度で判断軸を変えるのが現実的だと感じます。子供が小さいうちは①で安定を維持して、子供の独立タイミングで③に踏み切る、というロードマップを描いている人もよく見かけます。
二種以上の独占業務「保安監督」
電験二種以上を持つ最大のメリットは、結論「電圧17万ボルト未満の大規模事業場で保安監督業務を独占的に担える」ことです。
電気事業法に基づく業務独占資格なので、対象設備の保安監督は二種以上の主任技術者でなければ実施できません。三種ではそもそも選任すらできない大規模工場・大型ビル・データセンター・大規模再エネ施設で選任されるためには二種が必須です。需要側から見ても、2045年に向けて大規模再エネ設備の増加で二種保有者の需要は拡大が見込まれており、有資格者数が逼迫している現状を踏まえると、取得することの将来性は高い水準にあります。
電気施工管理から電気主任技術者・保安法人へのキャリアチェンジを考えている方は、現場感のある求人比較ができるエージェントに相談すると判断が早まります。
電験二種に関するよくある質問(FAQ)
電験二種を検討する人から特に多い疑問を、現役施工管理目線で整理しました。
Q. 電験二種は電験三種からどれくらい難しい?
合格率の数字だけ見ると三種より高い年もありますが、受験者層を補正して考えれば二種の方が一段も二段も難しいです。三種は受験資格なしで初学者も多数受験するため母集団のレベルが分散しているのに対し、二種は三種合格者中心の集団で20%前後の合格率です。学習時間でも、三種が約1,000時間に対し二種は追加で600〜1,000時間が目安なので、体感としては「三種を取ったあと、もう1回三種以上を取り直す感覚」と思っておくと心構えが整います。
Q. 認定取得と試験合格、どっちが現実的?
電気主任技術者の選任事業場で5年以上の実務経験があるなら認定取得の方が現実的、そうでないなら試験ルート一択です。経済産業省の調査では認定取得者が55%と多数派ですが、認定取得は産業保安監督部での面接審査が厳しく、対策に300〜500時間かかります。試験ルートは時間さえかければ自分の努力で完結するので、勤務先との関係や面接対策が苦手な人にはむしろ試験の方がストレスが少ないです。
Q. 何年計画で取るのが現実的?
働きながら家族との時間も確保しながら取るなら、3〜4年計画が現実的です。1年目で一次理論+法規、2年目で一次機械+電力(科目合格留保制度を活用)、3年目で二次試験突破、というイメージです。1〜2年での合格を狙う人もいますが、月100時間以上の勉強時間を1年継続できる体制が必要で、家庭がある人は無理が出やすいです。焦らず3年で取ると腹を括った方が結果的に最短合格しやすい、というのが実感です。
Q. 二種を取った後、年収はどれくらい上がる?
現職維持で年収50〜100万円アップ、保安法人への転職で100〜200万円アップ、独立開業で200〜500万円アップが目安です。これは資格手当の上乗せだけでなく、選任できる設備規模が上がることで担当できる業務そのものが変わるためです。ただし転職市場では「二種保有+実務経験5年以上」のセットで評価されることが多いので、二種だけ取って即年収倍増、ではない点には注意が必要です。
Q. 一種まで目指すべき?
最終ゴールが「電力会社・大手電機メーカーで超大型設備の保安監督」「全ての事業用電気工作物を扱えるキャリア」「保安法人での独立で大手案件を受託」のいずれかなら一種まで目指す価値があります。それ以外の大半のケースでは、二種で十分に年収・キャリアの選択肢が広がるので、二種で打ち止めにして実務経験を厚くする方が時間対効果は高いです。一種は受験者数が極めて少なく、合格者も少数の超難関なので、戦略的に挑む人だけが踏むべきステージという位置づけだと思います。
電験二種に関する情報まとめ
- 電験二種とは:電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の保安監督ができる国家資格
- 三種との違い:扱える電圧範囲が一段上、試験形式は二段階(一次マーク+二次記述)、必要な数学レベルが高度
- 難易度・合格率:一次25〜35%/二次15〜25%/最終5〜7%、司法書士並みの難関
- 試験科目:一次4科目(理論・電力・機械・法規)+二次2科目(電力管理・機械制御)、年1回実施
- 勉強時間:三種合格者で600〜800時間、初学者なら1,000〜1,500時間
- 認定取得:実務経験5年(三種保有)/3年(認定校大卒)/5年(認定校短大・高専卒)で取得可、合格者の約55%が認定ルート
- メリット:年収レンジが600〜800万円台に上昇、ビルメン・保安法人・大規模再エネへのキャリアパスが開く
以上が電験二種に関する情報のまとめです。
一通り電験二種の基礎知識は理解できたと思います。三種からのステップアップ資格として位置づけられがちですが、実態は「もう1度三種以上を取り直す」レベルの難関で、試験ルートでも認定ルートでも数百時間規模の覚悟が必要な資格です。一方で取得後のキャリアの伸びしろは大きいので、長期計画で腰を据えて取りに行く価値は十分にあると思います。
主任技術者の制度全体や、電気主任技術者の他資格についても、合わせて理解しておくとキャリア設計がしやすくなります。






