- 安全パトロールってなに?
- 他のパトロールとはどう違うの?
- チェックリスト(点検表)を見てみたい
- 指摘事項の具体例って?
- 意義はあるの?
上記の様な悩みを解決します。
建設業には様々なパトロールや会議がありますが、今回は安全パトロールについて、指摘事項例などの具体例を挙げながら説明していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
安全パトロールとは
安全パトロールとは、「現場の安全を守る為に各業者の安全担当が集って現場をパトロールすること」です。
建物はただ建設すればいいという訳ではなく「安全・環境・品質」という3つの面が優れた状態で建設される必要があります。
勿論、安全パトロールでも気付けば品質や環境に対する指摘はあります。あくまで「安全に重点を置いた」パトロールという訳です。
建設業において、事故が発生してからでは遅いんです。
各業者の安全担当が集まってパトロールし、「ここは危ないから改善しようね」と指摘事項を出すことによって、事前に災害が発生するのを防ぎます。
安全パトロールは下記のような流れで進みます。
安全パトロールの流れ
- 各業者の安全担当が集まる
- 元請けからのパトロール内容の説明
- パトロールで危険箇所を探す
- 会議室に集まって報告会
- 危険箇所と是正方法の話し合い
- 危険箇所を是正する
安全パトロールのチェックリスト(点検表)
厚生労働省のHPに安全パトロールのチェックリスト(点検表)が乗っていたので、引用させていただきます。ここでは「環境パトロール」と書かれていますが、内容は安全パトロールそのものです。
まず大前提として、工事の進捗によって安全パトロールのチェック項目は異なります。
躯体工事ならば足場や型枠や鉄筋に対する指摘が上がり、内装工事ならLGSやボード屋に対する指摘が上がります。工事内容によって指摘事項は変わりますので、あくまで一例と考えてください。
- 使用前に点検しているか?
- 正しいやり方で作業を進めているか?
- 適切な表示がなされているか?
- 整理・整頓・清潔・清掃がなされているか?
これといった決まりはなく、危険なポイントがあったら指摘が挙がります。監督者としては常日頃から「危険なポイントはないか?」を考えて現場を進めていく必要があります。
安全パトロールの指摘事項例
安全パトロールの指摘事項例①安全通路
現場では適切な安全通路を確保しなければなりません。
これが意外と大変でして、現場にはものが溢れるんですよ。躯体工事で言うなら、鳶はあちこちに足場を置き、大工はあちこちに型枠を置き、鉄筋はあちこちに鉄筋を置きます。
例えば、安全通路内に鉄筋屋のモノが置いてあって通れない。。。とか。
安全通路を確保できなければ、関係ない業者が立ち入る際、危険なエリアへ入ってしまう可能性があります。事故の原因なので取り除く必要があります。
安全パトロールの指摘事項例②電工ドラム
電工ドラムを使用する際、必ずケーブルを全部引き出した状態で使う必要があります。
理由としては火災の防止です。大まかな流れとしては下記になります。
電工ドラムが燃える原理
- 電工ドラムにケーブルが巻きついた状態で電気が流れる
- ケーブルには抵抗があるので熱が発生する
- 巻きついた状態だと熱がこもる
- 電工ドラムが燃える
どれだけ近い距離だとしても、ケーブルを全部引き出す必要があります。
電気工事をやっている人なら常識ですが、電気工事をやってない人は知らない人が多いです。躯体業者などが電工ドラムを使う時は、知らない場合もあり、安全パトロールで指摘に挙がります。
安全パトロールの指摘事項例③段差箇所の足場
建物ができる段階では、段差箇所が多く発生します。
例えば、足場と躯体部分に段差があるとしたら、乗り移る際に転倒してしまう可能性がありますよね。安全を考えると、ステップキューブの様な適切な足場を挟むことが必要です。
安全パトロールに意義はあるのか?
「そもそも安全パトロールに意義はあるの?形骸化してるんじゃないの?」そう思う方も多いかもしれません。正直、新人の頃は僕も思っていました。
結論、安全パトロールに意義はあります。
安全パトロールが無かった場合について想像しましょう。
まず大前提として、安全に時間を使えば、工事の進みは遅くなります。簡単な話、安全設備を作る時間を工事に当てた方が工事は進みますからね。
安全設備に時間を使わない方が工事は早く進む
- 安全通路を確保せずに工事を進めた方が早い
- 電工ドラムは全部引き出さずに工事を進めた方が早い
- ステップキューブを置かずに工事を進めた方が早い
確かに工事は早く進みます。
よって安全パトロールが無ければ、安全面は後回しにされてしまうんです。後回し後回しになって、安全設備が整ってない状態で工事を行い、事故が発生します。
安全パトロールがあることで、半ば強制的に安全設備に時間を使うことができるんです。
安全パトロールが必要か?必要じゃないか?という話なら、間違いなく「必要」になります。意義があるか?意義がないか?という話なら、間違いなく「意義がある」です。
安全パトロールに関する情報のまとめ
安全パトロールに関する情報のまとめ
- 安全パトロールとは:現場の安全を守る為に、各業者の安全担当が集って現場をパトロールすること
- 他のパトロールとの違い:安全に重点を置いている点
- チェックリスト(点検表):上図参照
- 指摘事項の具体例:安全通路、電工ドラム、段差
- 意義はあるか:大いに意義はある
以上が安全パトロールに関する情報のまとめです。
安全パトロールの基礎知識は一通り網羅できたと思います。
「安全パトロールでどこを指摘すべきか?」「安全パトロール前にどこを是正した方がいいのか?」はある程度経験則によるものが多かったりします。
『前の現場ではこうだったから、多分この現場でもこうだろう』といった格好です。経験を積まないと分からない部分も多いですので、新人の方は難しいかもしれません。
ただ逆に言えば、経験を積みさえすれば、ある程度なんとかなります。
安全パトロールに関する仕事を振られたら、そこまで気負わずに、ただ適当にやりすぎる訳でもない様にしましょう。
また、似た様な概念で「安全衛生協議会」というものもあります。
詳しい情報を記した記事のリンクを貼っておくので、良かったら読んでみてください。