エコケーブルとは?意味、歴史、種類、メリット、デメリットなど

  • エコケーブルって何?
  • エコケーブルはどういう経緯で生まれたの?
  • エコケーブルの種類は?
  • どんな特徴があるの?
  • エコケーブルを作ってるメーカーって?

上記の様な悩みを解決します。

公的な物件の施工となると必ず登場するのが、エコケーブルです。民間ではまちまちですが、公共工事に関わる可能性のある人は是非知識を抑えておきましょう。

この記事ではエコケーブルとは?といったところから、通常ケーブルとの違い、歴史、意味、種類、メリット、デメリット、メーカーなどについて解説していきます。

なるべく専門用語は使わずに分かりやすい表現で記事を執筆していくので、初心者の方にも分かりやすい記事になっているかと思います。

それではいってみましょう!

 

エコケーブルとは?(通常ケーブルとの違い)

エコケーブルとは、その名の通り「エコなケーブル」のことです。

通常のケーブル(CVTなど)では、シース部分(被覆部分)に「塩化ビニル」という化合物が使われています。塩化ビニルが燃えると、塩素ガスやダイオキシンが発生するので、エコではありません。

エコケーブルではシース部分(被覆部分)に「難燃ポリエチレン」という成分が使われています。難燃ポリエチレンが燃えても有害なガスが発生しません。これが「エコ」と呼ばれている所以です。

通常のケーブルは「CVV」とか「CVT」と呼ばれているのに対し、エコ電線は「EM-CEE」とか「EM-CET」と呼ばれたりします。頭に「EM-」と付くわけです。

この「EM」は「エコマテリアル」という意味です。

エコマテリアルの意味

  • エコ:地球環境に良い
  • マテリアル:物質

上記が直訳ですから、「エコケーブル=地球環境に良い物質で出来たケーブル」です。

公共工事ではエコケーブルの使用が必須です。

その他、民間の建物ではエコケーブルの利用は必須ではありません。とはいえ、発注者からしても「エコな建物作ってますよアピール」ができるので、民間の建物でもエコケーブルが活用されることは多々あります。

 

エコケーブルの歴史

1998年の5月に住友電気工業がエコケーブルを開発しました。

同年に行われた「電設工事展」にてエコケーブルが出展され、見事に関西電力の社長賞を受賞することからエコケーブルの歴史がスタートします。

環境配慮型官庁施設計画指針(グリーン庁舎計画指針)が同年1998年に制定されました。要は「公共の物件をエコな建物に変えていこうぜ宣言」のようなものです。

ではどうやってエコな建物にできるか?

そこで白羽の矢が立ったのがエコケーブルという訳です。

これを機にエコケーブルの需要は増加していきます。

2001年8月に「電気設備工事共通仕様書」でエコケーブルが標準になりました。つまり「公共の物件では必ずエコケーブルを使うように!」とのことが決まったんです。

ひと昔前に、エコブームなるものがありましたよね。

その時代のトレンドに上手く乗っかって成長を遂げたのがエコケーブルです。今では電気工事をしている人でエコケーブルを知らない人はいないのではないでしょうか?

 

エコケーブルの種類

低圧電力用

  • EM-CE(CVケーブル)
  • EM-CED(CVDケーブル)
  • EM-CET(CVTケーブル)
  • EM-CEQ(CVQケーブル)
  • EM-EEF(VVFケーブル)

高圧電力用

  • EM-CE(CVケーブル)
  • EM-CET(CVTケーブル)

特別高圧用

  •  EM-CET(CVTケーブル)

制御エーブル

  • EM-CEE(CVVケーブル)
  • EM-CEES(CVVSケーブル)

絶縁電線

  • EM-IE(IV線)

 

エコ電線を利用するメリット

エコケーブルのメリット①燃えた時の煙が少ない

エコケーブルを利用するメリットは、燃えた時の煙が少ないところです。

もし火事が起こってしまった場合、通常のケーブルでは煙が多く発生します。その煙を吸い込めば、建物利用者にとって悪い影響を及ぼすことは明白です。

それに対し、エコケーブルは燃えても煙が少ないので、災害時の建物利用者の安全性を確保することが出来ます。

 

エコケーブルのメリット②有害物質が発生しない

先ほども軽く触れましたが、燃えた時に有害物質が発生しないのもエコケーブルの良さです。建物を立てる側からしても「地球環境に配慮してます感」を出せるので、企業イメージを上げることが出来ます。

企業側のメリットだけでなく、地球環境に良いのも事実なので、多くの人が得をするケーブルとなっています。

 

エコケーブルのメリット③耐熱性

エコケーブルは耐熱性に優れます。

耐熱性に優れることにより何がありがたいかというと、許容電流が大きくなるということです。許容電流が大きくなれば、電線のサイズは小さくなります。電線のサイズが小さくなれば、施工コストが下がります。

やはり、施工するのは利益を出す為なのでコスト面は重要です。

 

エコケーブルのデメリット

エコケーブルのデメリット①白化現象

エコケーブルのデメリットとして、配管の角などに強く擦られると白化現象が起こります。

白化現象が発生すると白い跡が残ってしまうので、見栄えが悪くなってしまいます。施工する側からすれば、電気が通ればないので問題ありませんが、意匠設計の人の顔は引きつります。

白化現象が起こらないよう気をつけて施工しなければならないので、面倒です。

 

エコケーブルのデメリット②価格

他のケーブルと比較すると、エコケーブルは価格が高めです。

見積もりに組み込まれていることなのであまり気にする必要はありませんが、コストを考えると、なるべく使わない方がお得です。具体的には1.5倍以上は高くなります。

本当にエコケーブルが必要なのか?を検討することによって、コストカットに繋げることが出来ます。公共の物件はエコケーブルが必須なので無理ですが、民間ならできるかもしれません。

 

エコケーブルのデメリット③施工性

実際にエコケーブルの被覆を剥いてみると分かりますが、めちゃくちゃ剥きにくいです。力が必要ですし、全然剥けない。力も時間も使うことになります。

また、電線自体も硬くなっているので、曲げるのにも力が必要です。

指示する側は楽ですが、職人側からすると嫌な電線となっています。

 

エコケーブルを作っているメーカーって?

エコケーブルを作っているメーカー

  • 住友日立ケーブル
  • 古河エレコム
  • ミスミ
  • フジクラ
上記のようなメーカーがエコケーブルを製造しています。

各メーカーにおける大きな違いはありません。

自分の会社がどこのメーカーのケーブルを利用しているかを確認し、そのメーカーのエコケーブルを使うようにしていきましょう。

 

エコケーブルに関する情報まとめ

エコケーブルに関する情報まとめ

  • エコケーブルとは:エコなケーブルのこと
  • エコケーブルの意味:エコマテリアル(地球環境に良い物質)
  • エコケーブルの歴史:1998年に住友電気工業が開発し、エコブームに乗って普及
  • エコケーブルのメリット:環境にも人体にも良く、耐熱性もある
  • エコケーブルのデメリット:施工がメンドくさくて、価格も高い
  • エコケーブルを作ってるメーカー:住友日立ケーブル、古河エレコム、ミスミ、フジクラ

上記がエコケーブルに関する情報のまとめです。

一通り基礎知識は網羅できたと思います。

電気工事には様々なケーブルが使われます。IVケーブルやCVケーブル、HPケーブルなどあり、それらのエコバージョンがエコケーブルです。

それぞれの特性について理解しておけば、エコケーブルに対する理解も深まります。合わせて知識として抑えておきましょう。

下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。

それでは!