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打込み杭とは?種類、施工方法、支持力、騒音対策、メリットなど

  • 打込み杭ってなに?
  • 既製杭・場所打ち杭とどう違う?
  • どんな種類がある?
  • 騒音・振動が心配だけど?
  • 支持力はどう判定する?
  • 現場で気をつけることは?

上記の様な悩みを解決します。

「打込み杭」(うちこみくい)は 既製杭の代表的な施工法で、結論を一言でいうと 「工場製の杭をハンマーで地中に直接打ち込んで設置する杭基礎工法」のことです。RC杭(プレキャスト)・PHC杭(高強度プレストレストコンクリート)・鋼管杭などの 既製杭を、ディーゼルハンマーや油圧ハンマーで 「ガンッ、ガンッ」と叩き込んで支持層まで貫入させる、というイメージ。コスト面・施工速度で優位がある一方で、騒音・振動で住宅街では使えないことが多い、というのが現代日本での実情です。本記事では、打込み杭の意味・種類・施工方法・支持力の判定・現場での見方を、杭工事を初めて担当する人にも分かるように整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

打込み杭とは?

打込み杭とは、結論「工場で製造した既製杭を、ハンマーの打撃で地中に打ち込む杭基礎工法」のことです。

英語では driven pile。「打撃工法」「ダイレクトドライブ工法」と呼ばれることも。

ざっくりイメージすると

長さ10〜20m程度のRC杭・PHC杭・鋼管杭をクレーン車で垂直に立て、上からディーゼルハンマー・油圧ハンマーを載せ、上下に打撃力を加えて地中に打ち込む。1回の打撃で数mm〜数cmずつ貫入していき、支持層に到達して打ち止めになる、というプロセス。

→ 「力技で地中に押し込む」のが打込み杭の本質。

打込み杭の主な特徴

打込み杭の主な特徴は、工場製の既製杭を使う(品質が安定)、ハンマーの打撃力で貫入(掘削しない)、排土が発生しない(押しのける方式)、施工速度が速い(1日10〜30本可能)、騒音・振動が大きい(都市部で課題)、というあたり。

杭基礎工法での位置づけ

杭基礎工法は 大きく2つに分類できる。

分類 工法 特徴
既製杭 打込み杭、埋込み杭 工場製、品質安定
場所打ち杭 アースドリル、リバース、深礎 現地で掘削・打設、大口径対応

→ 打込み杭は「既製杭の中でも最古典的な工法」。施工は速いが、騒音・振動が大きい。

杭基礎の全体像はこちらの記事も参考にしてください。

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打込み杭の種類

主な杭材ごとの特徴を整理します。

①RC杭(鉄筋コンクリート杭)

工場製のRC杭(角型・丸型)を打ち込む最古典的な工法。杭径φ300〜φ500mm程度、杭長8〜15m、支持力は小〜中、メリットは安価で加工性良い、デメリットは強度が低く長尺杭に不向き、というあたり。

→ 現代ではPHC杭やSC杭に置き換わり、新設工事ではほぼ採用されない。

②PHC杭(高強度プレストレストコンクリート杭)

JIS A 5373に規定。プレストレス導入で高強度化したRC杭。杭径φ300〜φ1,200mm、杭長10〜20m(継手可能)、圧縮強度80〜120N/mm²、メリットは強度高い・品質安定・コスパ良、デメリットは引張弱い・継手部の管理必要、というあたり。

→ 現在の打込み杭の 主流。RC杭の上位互換として広く採用。

③SC杭(鋼管巻きコンクリート杭)

PHC杭の 外側を鋼管で巻いたハイブリッド杭。杭径φ400〜φ1,500mm、圧縮強度80〜120N/mm²、曲げ強度・水平耐力はPHC杭の2倍以上、メリットは水平力に強い・コーナー部に有利、デメリットは高価・施工管理が複雑、というあたり。

→ 地震大国・日本では 杭頭近傍に多用される。

④鋼管杭

その名の通り 鋼管を打ち込む杭。杭径φ400〜φ2,000mm以上、鋼管厚9〜30mm、杭長は最大80m(継手溶接で延伸可能)、メリットは長尺・大口径に対応・強度高い、デメリットは高価・防食処理必要、というあたり。

→ 港湾・橋梁・超高層ビルでよく採用される。

杭頭処理の基本はこちらの記事も参考にしてください。

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打込み杭の施工方法

実際の施工手順を整理します。

①使用機械(ハンマー)

ハンマー種類 打撃エネルギー 騒音 振動
ディーゼルハンマー 大(95〜110dB)
油圧ハンマー 中(85〜95dB)
ドロップハンマー
バイブロハンマー 小(70〜85dB)

→ 都市部では 油圧ハンマーまたは 無振動の埋込み工法が選ばれる傾向。

②施工手順

施工手順は8ステップ。①杭芯位置の墨出し(±50mm精度)、②クレーンで杭を吊り上げ、③垂直に立てる(垂直度±1/100以下)、④ハンマーを杭頭にセット、⑤打撃開始(初期は弱く、徐々に強く)、⑥継手溶接(必要時)、⑦支持層到達で打ち止め判定、⑧杭頭処理(切断・配筋接続)、という流れ。

→ 1本あたり所要時間は 30分〜2時間程度。

③打ち止め判定

「ここで止める」の判定基準は、設計打止め貫入量(1打あたり5mm以下=支持層到達の目安)、リバウンド(杭頭の戻り具合=支持力の指標)、支持層のN値(N≧50などの確認)、動的支持力(打撃エネルギーから逆算する支持力)、というあたり。

→ 「規定の貫入量以下になったら支持層に到達」という判定で打ち止めるのが基本。

④施工速度

打込み杭は施工速度が速い:

工法 1日の施工本数
打込み杭(φ400 PHC) 10〜30本
埋込み杭(セメントミルク注入) 5〜15本
場所打ち杭(アースドリル) 1〜3本

→ 「速い・安い」が打込み杭の最大の魅力。

既製杭の基本はこちらの記事も参考にしてください。

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支持力の判定

この杭が荷重に耐えられるか」の判定方法です。

①静的支持力(設計値)

設計時に計算する静的支持力は、

Ra = qb × Ab + Σ(fs × As)
記号 意味
Ra 杭の許容支持力(kN)
qb 杭先端の極限支持力度
Ab 杭先端の断面積
fs 周面摩擦力度
As 杭周長×杭長

→ 先端支持力と周面摩擦力の 合計が許容支持力。

②動的支持力(現場確認)

打撃時のエネルギーから求める動的支持力。代表式はハイリー式(Hiley):

Ra = (e × W × H) / [(s + c/2) × 安全率]

ここでeが打撃効率(0.5〜0.7)、Wがハンマー重量、Hが落下高さ、sが1打貫入量、cが杭の弾性圧縮量。

→ 「1打貫入量が小さい=支持力が高い」という関係。実務でよく使う。

③杭頭載荷試験(支持力試験)

設計が成立しているかの 直接確認方法は、杭頭に油圧ジャッキで載荷、設計荷重の2倍まで段階的に増加、変位を測定して降伏点を確認、設計値以上の降伏点ならOK、という流れ。

→ 重要な工事では 1〜3本/100本程度で実施。

騒音・振動対策とメリット・デメリット

「打込み杭ができる現場とできない現場」の判別基準です。

①騒音・振動の規制

日本での規制値:

種別 規制値(住居地域)
騒音規制法 85dB以下(昼間)
振動規制法 75dB以下(昼間)
騒音規制法(夜間) 75dB以下

→ ディーゼルハンマーは住居地域では 規制値オーバーで使えない。

②対策

対策は、油圧ハンマーの採用(騒音10〜20dB低減)、遮音シートで工事範囲を囲う、作業時間を昼間に限定、杭頭にクッション材(振動低減)、代替工法(埋込み杭・場所打ち杭)に切り替え、というあたり。

→ 住宅街・病院・学校近傍では 代替工法を採用することが多い。

③メリットとデメリット

メリット デメリット
施工速度が速い 騒音・振動大きい
コストが安い 都市部で使いにくい
排土が出ない 杭長変更が困難
工程読みやすい 既製杭の長さ制約
動的支持力確認可能 周辺地盤に影響

メリットは「速さとコスパ」、デメリットは「環境影響」で、一言にまとめられる。

④現場での具体例(独自エピソード)

ある郊外の 物流倉庫(S造平屋・延床5,000m²)の杭工事で、当初打込み杭(PHC杭φ500、長さ12m、60本)が計画されていたが、隣接地に 介護施設があり計画変更を余儀なくされたケースを経験しました。現場の騒音測定では打込み杭で約102dB(規制値85dBを大幅超過)、検討した代替案は油圧ハンマー使用で92dB(まだオーバー)→遮音シート併用で87dB(まだ僅かオーバー)→埋込み杭(プレボーリング併用)に変更で78dB(クリア)、という流れ。変更内容は工程3日延長・コスト約12%増で、騒音問題はクリアできました。

→ そのときの学びは「打込み杭は速くて安いが、立地で使えなくなる」というシビアな現実。設計段階で 「周辺環境の制約」を見落とすと、後で大きく工法変更が発生する。施工管理としては、設計図を受け取った段階で 「この立地で打込み杭が本当に使えるのか」を周辺環境から逆算する習慣が大事だった、と痛感しました。

教科書的に「打込み杭=安くて速い」と単純に覚えるだけでは現代の現場では通用しない。「周辺環境による工法制約」まで含めて判断するのが、現代の杭工事における施工管理者の本来の役割だと痛感した経験でした。

杭工事全般はこちらの記事も参考にしてください。

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打込み杭に関する情報まとめ

最後に、打込み杭の重要ポイントを整理します。

  • 打込み杭とは:既製杭をハンマー打撃で地中に打ち込む杭基礎工法。英語driven pile
  • 杭の種類:RC杭(φ300-500)、PHC杭(現代主流、φ300-1200)、SC杭、鋼管杭
  • 施工速度:1日10〜30本(最速)。掘削工法より圧倒的に速い
  • 支持力判定:設計時=静的計算(Ra=qb·Ab+Σfs·As)、現場=動的(Hiley式)、確認=載荷試験
  • メリット:速い・安い・排土なし
  • デメリット:騒音(95〜110dB)・振動が大きい、都市部で使えない
  • 施工管理視点:立地の周辺環境チェック、打止め判定、垂直度精度(±1/100以下)、継手溶接品質

以上が打込み杭に関する情報のまとめです。

打込み杭は「速くて安い古典的工法」ですが、騒音規制で使えない現場が増えているのが現代日本の実情。施工管理として現場で杭工事に関わるときは、「この立地で本当に打込み杭が成立するか」を周辺の住居・施設・道路から判断できるようになると、設計段階での工法変更を防げますよ。一通り基礎知識は理解できたと思います。

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