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既製杭とは?種類、PHC杭、鋼管杭、施工、場所打ちとの違いなど

  • 既製杭ってなに?
  • PHC杭・SC杭・鋼管杭ってどう違うの?
  • 場所打ち杭と何が違う?
  • 打込みと埋込みはどう使い分ける?
  • 先端拡大杭ってどういう杭?
  • 施工管理で何に気をつけたらいい?

上記の様な悩みを解決します。

「既製杭」は鉄骨造のビル・マンション・工場で頻繁に使われる基礎工事の主役で、工場で作って現場に運び込み、地中に埋め込む杭の総称です。場所打ち杭とセットで「杭基礎の二大派閥」になっているので、ここで違いを腹落ちさせておきましょう。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

既製杭とは?

既製杭とは、結論「工場で製造された完成品の杭を、現場に運び込んで地中に設置する杭」のことです。英語では precast pile。

杭基礎には大きく2つの分類があります。

分類 製造場所 主な杭種
既製杭 工場 PHC杭、SC杭、鋼管杭、節杭、先端拡大杭
場所打ち杭 現場 場所打ちコンクリート杭(深礎・アースドリル・リバース)

既製杭は「品質が安定している・工期が短い・小規模建物に向く」のが強みで、場所打ち杭は「大口径が可能・支持層が深い場合に有利」という棲み分けです。

杭基礎全般の話はこちらに書きました。

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杭基礎とは?種類、施工方法、施工管理のポイントまで解説 ・杭基礎ってそもそも何?直接基礎と何が違うの?・杭の種類が多すぎて、違いがよくわからない…・杭工事の施工管理で気をつけるべきポイントは?・杭のトラブルにはどん...

既製杭の主な種類

既製杭にも素材・形状で複数のタイプがあります。

PHC杭(プレストレストコンクリート杭)

PHC杭(Pretensioned spun High strength Concrete)は既製杭の中で最もポピュラー。日本での新築マンション・中規模ビルの大半はPHC杭で支えられています。

PHC杭の特徴

PHC杭の特徴は、JIS A 5373で規定(A種・B種・C種・D種)、高強度コンクリート(80N/mm²以上)、中空円筒形でPC鋼線を引っ張った状態(プレストレス)で固めた杭、杭径300〜1000mm程度で1本長5〜13m、継手で連結して長さ調整できる、というあたり。

PHC杭の最大の強みは圧縮強度の高さで、SD345相当の鉄筋を入れたRC杭よりも遥かに強い圧縮性能を発揮します。

SC杭(鋼管巻きPHC杭)

SC杭(Steel composite Concrete)はPHC杭の外周を鋼管で巻いた合成杭。

SC杭の特徴

SC杭の特徴は、鋼管がPHCの曲げ・せん断に強い殻として働くこと、地震時の水平力に対する靱性(ねばり強さ)が高いこと、杭頭部分にSC杭・中間以下にPHC杭という組み合わせも一般的なこと、高層建物・耐震要求の厳しい建物で採用されること、というあたり。

つまり「PHC+鋼管の良いとこ取り」の杭、というのがSC杭の位置付けです。

鋼管杭

鋼管杭は文字通り鋼管そのものを杭として使用するタイプ。

鋼管杭の特徴

鋼管杭の特徴は、JIS A 5525で規定(外径318.5〜2438.4mm)、引張力に強い(PHCは引張に弱いので有利)、継手は溶接または現場溶接式機械継手、防食塗装または電気防食を併用、大口径化が容易で土木・港湾の用途も多い、というあたり。

PHCに比べて軽くて大口径、そして引張に強いのが鋼管杭の強み。コストは高いですが、傾斜地・地震時引張・大荷重で選ばれます。

節杭・先端拡大杭

節杭は杭の途中に節(こぶ状の出っ張り)を持たせた杭、先端拡大杭は先端だけを大きくした杭です。

節杭・先端拡大杭の特徴

節杭・先端拡大杭の特徴は、同じ杭径でも周面摩擦・支持力が大きい、杭頭の鉛直支持力が向上、杭本数を減らしてコスト圧縮できる、最近の中規模建物で増加傾向(ヒノキタワー、ガンテツパイル等の商品名)、というあたり。

つまり「単純な丸棒より凹凸を作って摩擦を稼ぐ」という発想で性能を上げた進化版の杭、というイメージです。

既製杭の施工方法

既製杭をどうやって地中に入れるか、3つの基本工法を理解しておきましょう。

打込み工法

ハンマーで杭を直接叩いて地中に打ち込む、最も古典的な工法。

打込み工法の特徴

打込み工法の特徴は、油圧ハンマー・蒸気ハンマー・ディーゼルハンマーなどを使う、打撃数(リバウンド量)から支持力を推定、騒音・振動が大きく市街地ではほぼ使えない、杭の打ち止め確認が容易、というあたり。

現代の市街地では騒音規制法・振動規制法でほぼ使えないので、新築の打込み工法はかなり限定的になっています。

埋込み工法(プレボーリング工法)

掘削機で先に穴を開け、根固め液(セメントミルク等)を注入してから杭を建て込む工法。

埋込み工法の特徴

埋込み工法の特徴は、先掘り径=杭径+少々(30〜50mmオーバーサイズ)、セメントミルクを孔底に注入してから杭を建て込み、騒音・振動が小さい、杭周面摩擦が打込みより小さい(根固め液で補う)、「セメントミルク工法」「ハイブリッド工法」など多数のバリエーション、というあたり。

現代の都市部の新築・改築の主流は、この埋込み工法。各杭メーカーが独自の工法名をつけて競っているので、施工計画書を読むときは工法名と諸元を必ず照合します。

中堀り工法

杭の中空部から掘削しながら杭を沈設する工法。

中堀り工法の特徴

中堀り工法の特徴は、杭中空内のオーガーで掘りつつ杭が沈む、排土量が少ない、大口径杭で採用されることが多い、セメントミルク併用で先端支持力を確保、というあたり。

特に鋼管杭の大口径で多く採用されます。

地盤改良工法との違いはこちら。

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場所打ち杭との違い

「既製杭と場所打ち杭はどう使い分ける?」というのは設計の基本論点。

項目 既製杭 場所打ち杭
製造場所 工場 現場
杭径の上限 1000〜1500mm程度 3000mm超も可能
杭長の上限 継手で30m程度まで 60m以上も可能
支持層の深さ 〜30m程度 制限なし
品質 工場製造で安定 現場施工次第
工期 短い 長い
コスト 安い(中規模) 高い(小〜中規模では割高)
騒音・振動 埋込みなら小 小(杭打ちより静か)
適する建物 戸建〜中規模ビル 高層ビル・大型建物

つまり「規模が大きく支持層が深い→場所打ち、規模が中以下→既製杭」という棲み分けが基本。境界はマンションでいうと5〜10階建てあたり。

施工管理での注意点

既製杭の施工管理で押さえるべきチェックポイントを5つ。

既製杭の施工管理ポイント

施工管理ポイントは、杭の搬入受入れ検査(JISマーク、製造番号、寸法、外観の傷)、建込み時の鉛直精度(施工誤差は杭径の1%以内、最大75mm程度)、支持層到達の確認(オーガー電流値・押込み力・打止め時のリバウンド量)、根固め液の品質(セメントミルクの一軸圧縮強度、配合確認)、杭頭処理(杭頭の余盛りハツリ、主筋曝露長さ、芯ズレ補正)、というあたり。

特に2つ目の鉛直精度は注意。建込み時に杭が傾くと、後の柱主筋の取付・柱位置の墨出しが全てズレるので、初期建込み精度の確認が重要です。

既製杭で起きがちなトラブル

現場で実際に起こる失敗パターンを5つ。

既製杭のあるある失敗

あるある失敗としては、支持層を捉え損ねる(地盤調査が甘く、想定支持層が現場では薄かった)、杭頭の芯ズレ過大(建込み時の鉛直精度を許容値超過、ベースプレートに干渉)、継手部の溶接不良(鋼管杭の現場溶接でブローホール・アンダーカット)、杭周辺地盤の変動(打込み式で隣接構造物に振動損傷)、根固め液の強度不足(セメントミルクの配合・養生不良で先端支持力低下)、というあたり。

特に1つ目の「支持層を捉え損ねる」は地中の話で発覚しにくいです。杭打ち中のオーガー電流値や押込み力のチャートを毎本記録して、ボーリング柱状図と照合する習慣をつけると、想定外の地層変動を早期発見できます。

既製杭に関する情報まとめ

  • 既製杭とは:工場で製造して現場に搬入する完成品の杭
  • 主な種類:PHC杭(最一般)/SC杭(高層用)/鋼管杭(大口径)/節杭・先端拡大杭
  • 施工方法:打込み(市街地は不可)/埋込み(最一般)/中堀り(大口径)
  • 場所打ちとの違い:規模が中以下なら既製杭、大規模・支持層深いなら場所打ち
  • 施工管理ポイント:搬入受入検査、鉛直精度、支持層到達、根固め液品質、杭頭処理
  • 頻発トラブル:支持層未到達、芯ズレ、溶接不良、根固め液強度不足

以上が既製杭に関する情報のまとめです。

一通り既製杭の基礎知識は理解できたと思います。「PHC=最一般、SC=高層・耐震、鋼管杭=大口径」と「埋込み工法が主流」を押さえれば、設計図の杭リストを読んでも杭種ごとの意図が見えるようになります。

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