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鉄筋の強度とは?SD規格、降伏点、引張強さ、使い分けなど

  • 鉄筋の強度ってどうやって決まる?
  • SD295・SD345・SD390って何が違うの?
  • 降伏点と引張強さはどれくらい?
  • 高強度鉄筋を使うメリットは?
  • 設計でどう選ぶの?
  • 現場で見分け方は?

上記の様な悩みを解決します。

「鉄筋の強度」は、配筋工事を扱う施工管理ならSD295A・SD345・SD390といった規格名は耳にしているはず。でも「結局どれくらい強いの?」「使い分けはどう決まるの?」を整理して説明できる人は意外と少ない。強度を上げると鉄筋本数が減らせて納まりが良くなるメリットがある一方、剛性(ヤング率E)は強度を上げても変わらないので、たわみ対策にはならないという落とし穴も。規格の数値・使い分け・高強度品の罠まで、施工管理の現場視点で整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

鉄筋の強度とは?

鉄筋の強度とは、結論「鉄筋が引張・圧縮を受けたときに降伏(永久変形)・破断する応力」のことです。

英語では strength of reinforcing bars。鉄筋(rebar、reinforcing bar)はRC(鉄筋コンクリート)造の引張側を担う重要な材料で、強度はSD○○○という規格名で表されます。

強度の2つの指標

指標 何を表す 単位
降伏点(σy) 弾性限界、これを超えると永久変形 N/mm²
引張強さ(σu) 完全に破断する応力 N/mm²

→ 設計では降伏点を基準に許容応力度を設定します(降伏点÷安全率)。引張強さは破断までの余裕を見るための参考値。

JIS G 3112 異形棒鋼の強度規格

日本の鉄筋はJIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)で規定。

規格 降伏点(N/mm²) 引張強さ(N/mm²) 主な用途
SR235 235以上 380〜520 丸鋼(ほぼ使わない)
SD295A/B 295以上 440以上 一般RC造の主筋・あばら筋
SD345 345〜440 490以上 中規模建築の主筋
SD390 390〜510 560以上 高強度RC造の主筋
SD490 490〜625 620以上 超高層・特殊建築

SD = Steel Deformed(異形棒鋼)、後ろの数字が降伏点(N/mm²)を表します。「SD345=降伏点345N/mm²の異形鉄筋」と覚えるだけでOK。

ヤング率Eは規格に関わらず一定

ここが重要な落とし穴。SD295A/B/345/390/490のいずれもヤング率E≈2.05×10⁵ N/mm²(鋼材共通)、つまり強度は規格で変わるが剛性は変わらない、「高強度鉄筋を使えばたわみが減る」は誤り(剛性が変わらないから)、という関係。

→ ヤング率に関する詳細は別記事を参照。

ヤング率についてはこちらの記事も参考にしてください。

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鉄筋の規格と強度の数値

代表的なSD規格について、数値と特徴を詳しく見ていきます。

①SD295A・SD295B(一般用)

最も多く使われる標準鉄筋。降伏点は295N/mm²以上、引張強さは440N/mm²以上、用途は一般住宅・小〜中規模ビルの主筋・あばら筋・スターラップ、特徴は入手性が良くコストが安い、AとBの違いはAが降伏点上限なし・Bが上限あり(=高強度すぎてはいけない)、というあたり。

「特に指定がなければSD295」が日本の標準。RC造のRC梁・RC柱・スラブの主筋はSD295で間に合うケースが多い。

②SD345(中規模建築の主流)

主筋・上端筋など強度の必要な部位で使う。降伏点は345〜440N/mm²、引張強さは490N/mm²以上、用途は中規模ビル(5〜15階程度)の主筋、特徴はSD295より約17%強度高、というあたり。

→ 「ちょっと大きめの建物で使われている標準的な高強度鉄筋」というポジション。

③SD390(高層建築・大スパンRC造)

高強度品の主流。降伏点は390〜510N/mm²、引張強さは560N/mm²以上、用途は高層RC造・大スパン部材、特徴はSD295比で約32%強度高、というあたり。

④SD490(超高層・特殊建築)

最高クラスの強度。降伏点は490〜625N/mm²、引張強さは620N/mm²以上、用途は超高層RC造・原発建築・特殊大規模建築、特徴はSD295比で約66%強度高、というあたり。

規格別の数値早見表

規格 降伏点(N/mm²) 長期許容応力度(N/mm²) 短期許容応力度(N/mm²)
SD295A/B 295 195 295
SD345 345 215 345
SD390 390 215* 390
SD490 490 215* 490

補足:SD390・SD490の長期許容応力度は215N/mm²で打ち止め(設計強度上限)。これは高強度すぎるとひび割れ幅が広がる懸念*から、長期側は抑えてあるため。

→ つまり「高強度鉄筋でも長期は215まで」という制限があり、長期荷重支配の部材にはSD390/490を使ってもメリットが小さい

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強度を上げるとどうなる?(設計上のメリット・デメリット)

「高強度鉄筋を使えば良いことばかり」ではないので、設計上のトレードオフを整理します。

①メリット:配筋量を減らせる

同じ引張力Tを受け持つのに必要な鉄筋量(断面積At)は:

At = T / σ_allow

SD295(σ_allow=195)で必要量100%、SD345(σ_allow=215)で必要量91%、SD390(σ_allow=215)で必要量91%(長期は215頭打ち)、という関係。

→ 短期(地震時)ではSD345以上で配筋量が10〜30%減らせる。これにより、梁・柱の納まりが良くなる(本数減で空きスペース確保)、コンクリートの充填性が向上、配筋工事の手間・コストが下がる、というメリットが出ます。

→ 高強度品は単価が高いが、本数減のメリットが上回ることが多い

②デメリット:剛性は変わらない

ここが落とし穴。強度はSD295→SD490で1.66倍にアップ、でもヤング率Eは変わらない(2.05×10⁵で同じ)、→たわみδは改善しない、という関係。

→ 「高強度鉄筋でたわみを減らせる」は誤解。たわみを減らしたいなら梁せいを大きくする(=Iを増やす)のが正攻法。

③デメリット:ひび割れが広がる

高強度鉄筋ほど降伏前の伸びが大きいため、コンクリートにひび割れが入りやすい。SD295で降伏前ひずみε≈0.0014、SD490で降伏前ひずみε≈0.0024(約1.7倍)、→同じ荷重でひび幅が大きくなる、という関係。

→ 設計でひび割れ幅を抑えたい部材(地下室・水槽・外壁面)ではSD295の方が有利な場合も。

④デメリット:溶接性・加工性

高強度鋼ほど炭素当量が高くなり、加工が難しくなる。SD295は常温加工OKでガス圧接も標準、SD490は冷間加工で制限ありで加熱が必要なことも、→現場での圧接・曲げ加工で熟練度が要求される、という違い。

⑤コストの比較感

規格 単価指数(SD295比)
SD295A/B 1.0
SD345 1.05
SD390 1.10
SD490 1.20〜1.30

→ 高強度品は5〜30%程度高い。ただし配筋量が減ればコスト全体としては安くなることも多い。

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用途別の強度選定(設計の考え方)

実務での使い分けパターンを整理します。

①一般住宅・小規模ビル

一般住宅・小規模ビルは、主筋がSD295A/B、あばら筋・スターラップもSD295A/B、というシンプル構成。

→ 高強度品を使うメリットがコストに見合わないので、全部SD295でOK。施工管理者として「特殊な指示がなければSD295」と覚える。

②中規模ビル(5〜15階)

中規模ビルは、主筋がSD345(主要部材は強度が要るため)、せん断補強筋はSD295A/B(あばら筋は本数で勝負)、という組合せ。

主筋だけ強度UP、せん断補強筋は標準という組合せが多い。

③高層RC造(20階以上)・大スパン

高層RC造・大スパンは、主筋がSD390 or SD490、せん断補強筋はSD295A/B(または高強度せん断補強筋USD685など)、というラインナップ。

→ 主筋は超高強度、せん断補強筋は標準〜高強度を選択。

④地下室・水槽・外壁部材

地下室・水槽・外壁部材は、主筋がSD295A/Bを選ぶケース多い、理由はひび割れ幅を抑えたい(防水性確保)から、という選定軸。

→ 「強度の話だけでなく、ひび割れの観点で低強度品を選ぶ」というのも設計の知恵。

⑤せん断補強筋(あばら筋・帯筋)の特殊規格

通常のSD規格以外に高強度せん断補強筋(USD685、SBPDなど)もある。用途は高層柱の帯筋(短期で大荷重)、強度は降伏点600〜900N/mm²、効果は配筋ピッチを密にしなくて済む(コンクリート充填性UP)、というあたり。

→ 帯筋・スターラップで「USD685」の表記が出てきたら、強度を取った代わりに配筋ピッチが密な部材だと判断できる。

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施工管理での着眼点(現場での見分け方)

実際の現場で鉄筋の強度を確認する手順を4つ。

①ロールマーク(刻印)で見分ける

鉄筋の表面には製造者・規格・径を表すロールマークが圧延時に刻印されています。規格マークは数字や色帯で表示(SD345は1本線、SD390は2本線、SD490は3本線など)、メーカー記号は「N」「Y」「JFE」などのシンボル、径はD10・D13・D16…の径表示、というあたり。

→ 現場到着した鉄筋をロールマークで規格確認。図面と一致していなければNG。色帯で見分けるのが最も簡単(鉄筋商社が現場到着前に色塗りを施すこともある)。

②ミルシート(検査証明書)で確認

鉄筋の発注時にはミルシート(製造証明書)が付いてきます。化学成分(C、Si、Mn、P、S)、機械的性質(降伏点、引張強さ、伸び)、ロット番号と現物との照合、というのが主な確認項目。

→ ミルシートを見て「設計図のSD規格を満たしているか」を確認。降伏点が規格下限を下回っていればNG。

ミルシートの詳細はこちらの記事も参考にしてください。

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③定尺長さと切断の管理

定尺は5.5m、6m、7mなどメーカー・規格で異なる。切断後の端部は継手位置の規定を必ず確認、切断方法はガス切断・グラインダ切断、切断後の損傷として過熱で材質劣化しないよう注意、というあたり。

④継手・定着の確認

鉄筋強度は継手部・定着部で発揮されてこそ意味があります。重ね継手長さは設計図通り(SD345は40d、SD390は45dなど)、ガス圧接継手はJIS A 5009/A 5008に基づく品質確認、機械式継手はメーカー仕様書通りの施工、というあたり。

→ 「鉄筋本体は規格品でも、継手・定着が不十分だと強度を発揮できない」のが鉄則。

鉄筋の定着はこちらの記事も参考にしてください。

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鉄筋の強度に関する情報まとめ

最後に、鉄筋の強度の重要ポイントを整理します。

  • 規格:JIS G 3112、SD295/345/390/490など(数字=降伏点N/mm²)
  • 降伏点:設計の基準、許容応力度=降伏点÷安全率
  • ヤング率:規格に関わらず鋼材共通(2.05×10⁵)
  • メリット:強度UPで配筋量を10〜30%減らせる、納まりが良くなる
  • デメリット:剛性は変わらない、ひび割れが広がる、加工性が落ちる、コストが高い
  • 使い分け:一般=SD295、中規模=SD345、高層=SD390/490、ひび割れ重視=SD295
  • 現場確認:ロールマーク・ミルシート・継手品質の3点

以上が鉄筋の強度に関する情報のまとめです。

鉄筋の強度は「配筋量とひび割れと加工性のトレードオフ」で選ばれる指標で、「高強度=正解」とは限らないのが面白いところ。施工管理として、ロールマークと色帯で規格を即判別できるようになると、配筋検査のスピードが上がります。「強度UP=配筋量減」「強度UP≠剛性UP」の2つの感覚を持っておけば、設計図を読むときにも違和感センサーが働くようになりますよ。一通り鉄筋の強度の基礎知識は理解できたと思います。

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