- 捨てコンクリートの規格ってどう決まってる?
- 呼び強度Fc18って必須?
- 配合はどんな感じ?
- 厚みの規定は?
- JASS5にはどう書かれてる?
- 構造体のコンクリートと何が違う?
上記の様な悩みを解決します。
「捨てコンクリート」は基礎工事の最初に登場するコンクリートで、現場では単に「捨てコン」と呼ばれることが多い部材です。役割としては「地面を平らにして、墨出しと配筋作業の足場をつくる」というシンプルなものですが、規格・強度・配合・厚みなどには明確な目安があり、これを無視すると配筋検査でやり直しになったり、本体コンクリの品質に悪影響が出たりします。今回は捨てコンクリートを「規格」の切り口から、強度・配合・厚みの技術的な側面まで整理してみます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
捨てコンクリートの規格とは?
捨てコンクリートの規格は、結論「JASS 5(鉄筋コンクリート工事標準仕様書)や各社の標準仕様書で目安が定められ、一般に呼び強度18N/mm²前後、厚み5〜10cm程度の貧調合コンクリート」を使うのが標準的な扱いです。
法的に厳密な規定はない部分もありますが、業界標準としてはJASS 5の規定が事実上のスタンダードになっています。
→ ざっくり、「強度を抑えた下地用のコンクリート規格」が捨てコンの規格、というイメージです。
役割と呼び名
捨てコンの役割は、砕石・割栗石を均した上に薄く打つ、墨出し(基礎の位置決め)の下地になる、鉄筋・型枠を組む足場になる、本体コンクリの下に「平らな受け面」をつくる、というあたり。構造体としての強度は期待せず、作業性と寸法精度を確保するための下地、というのが捨てコンの位置づけ。
「捨て」という呼び名は、構造的に役立てない=「捨てる」コンクリートに由来します。英語では「blinding concrete(ブラインディング・コンクリート)」または「lean concrete(リーン・コンクリート)」と呼ばれ、諸外国でも「貧調合コンクリート」「下地コンクリート」「均しコンクリート」など色々な呼び名があります。「役に立たないから捨て」ではなく、「構造計算上、強度算入しないコンクリート」というのが正確な意味です。
捨てコンの目的・必要性そのものや、打ち方・養生は別記事に整理しています。

基礎工事全体の流れはこちらの記事も参考にしてください。

捨てコンの呼び強度(Fc)の規格
最も気になるのが「呼び強度(Fc)はいくつにすべきか」というポイント。
標準的な呼び強度
標準的な呼び強度の目安は次の通り。
| 仕様 | 呼び強度 |
|---|---|
| 一般的な捨てコン | Fc 18 N/mm²(呼び18) |
| ある程度耐久性を期待 | Fc 21 N/mm² |
| 簡易的な均し | Fc 15 N/mm²(呼び15)も場合により可 |
| 海外案件・特殊用途 | Fc 8〜15 N/mm² の貧配合 |
JASS 5では「捨てコンクリートの呼び強度は18N/mm²以上」が一般的な目安として示されており、これを基準にする現場が大多数です。
呼び強度の意味とFc18の理由
呼び強度の意味は、呼び強度がJIS A 5308で規定される生コンの設計基準強度、設計基準強度Fcが構造設計で使う数値、単位がN/mm²(メガパスカルMPaと同じ値)、18 N/mm² =約180 kgf/cm²(旧単位)、というあたり。構造体コンクリート(Fc 24〜60 N/mm²)と比べると、捨てコンは強度を落とした「貧調合」であることが分かります。
なぜFc 18かというと、寸法精度(平坦度)が確保できる最低限の強度、養生1〜2日で歩行可能、セメント量を抑えてコストダウン、構造耐力に算入しないので強度を上げる意味が薄い、というあたり。「強度より使いやすさ重視のFc 18」というのが業界の合意。呼び強度・コンクリートの基礎はこちらの記事も参考にしてください。

捨てコンの配合の規格
具体的な配合についても見ておきます。
標準的な配合
JASS 5に基づく標準的な配合(呼び強度18の例)は次の通り。
| 項目 | 標準値 |
|---|---|
| 呼び強度 | 18 N/mm² |
| スランプ | 15〜18 cm |
| 粗骨材最大寸法 | 20mm または 25mm |
| 水セメント比(W/C) | 約 60〜65 % |
| セメント量 | 約 270〜290 kg/m³ |
| 空気量 | 4.5 ± 1.5 % |
強度を抑えるためにセメント量は少なめ、水セメント比は高め、というのが特徴。
呼び方とバリエーション
JIS A 5308の表記法に従うと、捨てコンクリートは「普通18-18-20N」と書きます。普通がコンクリート種別(普通骨材)、18が呼び強度N/mm²、18がスランプcm、20が粗骨材最大寸法mm、Nがセメントの種類(普通ポルトランドセメント)、というあたり。生コン発注書にこのまま書ける形です。
呼び強度のバリエーションは、普通15-15-20Nが簡易的な均し(駐車場土間など)、普通18-18-20Nが一般的な捨てコン、普通21-18-20Nが構造耐力を一部期待する場合、というかたち。同じ「捨てコン」でも、要求性能で呼び強度を変えるパターンがあります。
現場での配合変更は、生コン工場での配合は「呼び強度ベースの計画調合」、現場で水を加えて練り直す(加水)のは禁止、スランプ調整は工場側で再調整、というあたり。捨てコンだからといってルールが緩いわけではなく、JIS A 5308ベースの管理が必要です。
捨てコンの厚みの規格
厚みについてもJASS 5や各社の標準仕様書で示されています。
標準的な厚み
標準的な厚みは次の通り。
| 部位 | 標準厚み |
|---|---|
| 一般的な独立基礎 | 50mm(5cm) |
| ベタ基礎 | 50〜60mm |
| 地中梁・布基礎 | 50〜100mm |
| 大型基礎・特殊条件 | 100mm以上 |
ほとんどの一般建築で50mm(5cm)が標準。「捨てコン厚 50」と図面に書かれていたらコレ。
厚みの決定要因と部位別
厚みの決定要因は、砕石・割栗石の凹凸(5cm未満では均しの効きが弱い)、鉄筋・型枠の作業性(5cm以上あれば踏んでも壊れない)、墨出しの精度(薄すぎると平坦性が出ない)、セメント量・コスト(厚すぎると材料費の無駄)、というあたり。「5〜10cm」がコスト・性能のバランスで最適化された厚み、と理解しておきましょう。
部位別の使い分けは、独立基礎で50mm(直径より小さい範囲に打つ)、ベタ基礎で50〜60mm(敷地全体に均一に)、地中梁で60〜100mm(深さがある場合は厚めに)、場所打ちコンクリート杭頭で100mm(杭との取り合いがある)、というところ。杭基礎・直接基礎の話はこちらの記事も参考にしてください。
ベタ基礎・布基礎の選定はこちらの記事を参考にしてください。

厚みの管理方法は、墨出し時に「捨てコン天端レベル」を出しておく、レベル測量で天端高さをチェック、型枠に厚みのマーキング線を入れる、打設後すぐにコテで平らに均す、というあたり。「規定の厚みで、平坦に」が施工管理のキモ。これがズレると、本体コンクリの寸法精度に影響します。
捨てコンの施工管理上の規格チェック項目
施工管理として確認すべき規格まわりのポイントを整理します。
発注前・打設前
発注前の確認は、構造図・仕様書で「捨てコン」の指定強度を確認(Fc18か21か)、生コン工場との呼び強度・スランプの打合せ、配合計画書(生コン工場が提出)の確認、試験練りが必要か否か、というあたり。
打設前の確認は、受入時の強度試験(呼び強度に対する圧縮強度試験)、スランプ試験(規定値±2.5cm以内)、空気量試験(4.5±1.5%)、塩化物量試験(0.30kg/m³以下)、というところ。構造体ほど厳密に検査されない場合もありますが、JIS A 5308ベースの受入検査が原則です。
打設中・打設後
打設中の確認は、厚みのチェック(レベル測量で天端高さ)、平坦度(3mのスケール=直定規で凹凸チェック)、養生(直射日光・雨・低温対策)、打継ぎ(原則「1日内で完了」する範囲で計画)、というあたり。
打設後の確認は、強度試験(圧縮強度試験=4週強度)、墨出し(捨てコン天端への墨出しが正確にできるか)、平坦度(鉄筋・型枠工事に支障がない仕上がりか)、というところ。養生についてはこちらの記事も参考にしてください。

捨てコンと本体コンクリートの規格の違い
本体コンクリと比べることで、捨てコンの位置づけがより明確になります。
主要な規格項目の比較
| 項目 | 捨てコン | 本体コンクリ |
|---|---|---|
| 呼び強度 | 18 N/mm² | 24〜60 N/mm² |
| スランプ | 15〜18 cm | 12〜21 cm(用途別) |
| 水セメント比 | 60〜65 % | 50〜55 %(耐久性) |
| 構造耐力 | 算入しない | 算入する |
| 養生期間 | 1〜2日 | 1週間以上 |
| 圧縮強度試験 | 4週強度(簡易) | 4週強度+必要に応じて構造体強度 |
| 塩化物量 | 同基準 | 同基準 |
「強度が低く、軽い管理でOKだが、JIS A 5308ベースのルールは共通」と整理できます。
設計図書での表記は、構造図で「捨てコンクリート Fc18、厚さ50mm」、仕様書で「JASS 5に準拠」、打継ぎ図で「捨てコンとの取り合いを明示」、というあたり。どこに何の規格があるかを図面・仕様書から拾えるようになると、現場で迷うことが減ります。
現場での体験談
僕も電気施工管理時代に、ある低層工場の基礎工事で、捨てコン打設の翌日に「鉄筋の墨出しをしようとしたら捨てコンの表面に巣穴が空いていて、墨が引けない」というトラブルに立ち会った経験があります。原因はスランプを現場で勝手に変えた(粘度を高めた)ことで、コテ仕上げが甘くなった、というもの。捨てコンだからといってJIS外の調整をすると、結局後工程で詰まる。規格通り(呼び強度18、スランプ18cm、厚み50mm)に淡々と打つ方が、結局現場全体の段取りが良いと痛感した現場でした。
捨てコンの規格を扱う上での注意点
最後に、実務で見落としがちなポイントを整理します。
強度・厚み・配合変更
注意1:強度を上げすぎない。Fc18で十分なところをFc24で発注するとコストアップ、強度を上げると硬化遅延もあり得る、構造耐力に算入しないので上げる意味が薄い、というあたり。「捨てコンだから安く済ませる」という方針が、現場全体ではコスト的に合理的です。
注意2:薄すぎない。厚さ30mm程度で打つと平坦度が出にくい、鉄筋の足が突き刺さって鉄筋の被り厚が確保できない、墨出しが擦れて消える、というあたり。「最低50mm」を死守することで、後工程の精度が確保されます。
注意3:配合の現場改ざんはNG。生コン到着後に勝手に水を加える「加水」は禁止、スランプが大きい・小さい場合は工場に連絡、工場側で再調整するのが原則、というあたり。JIS A 5308ベースの調達・受入のルールは捨てコンでも同じです。
レベル管理・環境条件
注意4:天端レベルの管理。捨てコン天端レベル=本体コンクリ底レベル、ここがズレると本体の被り厚・寸法精度に直結、±10mm程度を目標に管理、というあたり。「捨てコンは荒っぽく打って良い」ではなく、「寸法精度は本体並みに管理」が正解。
注意5:環境条件(気温・降雨)への対応。夏期(28℃超)で水分蒸発が早いので打設後すぐの養生開始、冬期(4℃以下)で凍結対策(シート養生、加熱養生)、雨天で打設は原則中止して止水・養生対策が必要、というあたり。環境条件は本体コンクリと同じ基準を当てはめます。コンクリート打設の天候判断はこちらの記事も参考にしてください。

捨てコンクリートの規格に関する情報まとめ
- 規格の基準:JASS 5(鉄筋コンクリート工事標準仕様書)が事実上のスタンダード
- 呼び強度:Fc18 N/mm²が標準。場合により15や21
- 配合(標準):普通18-18-20N(強度18、スランプ18cm、粗骨材20mm、普通セメント)
- スランプ:15〜18cm
- 厚み:50mm(5cm)が標準、大型基礎は100mm以上
- 構造耐力には算入しない「貧調合コンクリート」
- 受入検査・スランプ試験・空気量試験はJIS A 5308ベースで実施
- 加水・配合変更は厳禁。発注時の配合通りに打設
以上が捨てコンクリートの規格に関する情報のまとめです。
捨てコンは「軽く打っておけばOK」と扱われがちですが、JIS・JASS 5に基づく規格管理が現場全体の品質を支えています。施工管理としては、呼び強度・スランプ・厚みの3点を最低限押さえ、本体コンクリと同じ感覚で受入検査をすることが大切です。一通り捨てコンクリートの規格に関する基礎知識は理解できたと思います。
合わせて、基礎工事や本体コンクリの関連記事もチェックしておくと、コンクリ工事全体の流れが頭に入りやすくなります。






